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【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 3【一般】

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/22(火) 21:20:54 ID:x/s5ur3m
ここはローゼンメイデンの一般向けSS(小説)を投下するスレです。
SSを投下してくれる職人は神様です。文句があってもぐっとこらえ、笑顔でスルーしましょう。
18禁や虐待の要素のあるSSの投下は厳禁です。それらを投下したい場合は、エロパロ板なりの相応のスレに行きましょう。
次スレは>>950を踏んだ人が、またはスレ容量が500KBに近くなったら立てましょう。

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【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 2【一般】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1146976611/
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ【一般】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1143018114/

関連スレ

Rozen Maiden ローゼンメイデン SS総合 6
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1142958794/

薔薇乙女(ローゼンメイデン)のエロ小説 第10話 (エロパロ)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1155639801/

2 :雛苺・越南編:2006/08/22(火) 22:29:25 ID:LvP9V7cP
「真紅〜ここにうにゅ〜おいてたの〜しらない〜?」
「あら、雛苺は食べないと思って私が食べてしまったのだわ」
雛苺の目に狂気の光が宿る。

「真紅ゥ!お前を見ているとメコン川の夕日を思い出すぜ、ウェーハッハー!」
「雛苺、またベトナムに戻りたいのか?この糞蟲がっ!」
真紅と雛苺が睨み合う。
「お前のことが大嫌いだったぜ、ベイビー!ジャンクにしてやるぜ!」
「誰が上官なのか思い知らせてやる、たっぷり戦争を教育してやろう」
雛苺が服の中からナイフを取り出す、真紅は笑みを浮かべたままそれを見ている。
「地獄で後悔しな!赤豚野郎!」
真紅は突き出されたナイフを避けると雛苺の背後に廻り、自らのツインテールで雛苺の首を締め上げる。
「雛苺、教えたはずだぞ。武器を持ってない相手こそ慎重になれと」
雛苺が真紅の股間を蹴り上げ、首絞めを外す。
「糞ッたれが!セイウチのケツに頭つっこんで死んじまいな!」
「お前はしょせん、お父様の精液のカスから生まれた出来損ないの人形だ、始末してやる」
雛苺は真紅の顔面にナイフを投げると同時に足にタックルをかます。
「真紅ゥ!甘いぜ!甘すぎるぜ!このままカエルみたく足を引きちぎってやるぜ!!グボッ!」
真紅が雛苺の背中に空中で掴み取ったナイフを突き立てる。
「あせるなよ!雛苺!たっぷり楽しもうぜ!ヒーーハァーーー!」
雛苺がナイフを突き立てられたまま真紅を壁に叩きつける。
「これが戦争!!昔を思い出すぜ!ウェーハッハー!!」

「真紅、雛苺、おやつにケーキ買ってきたけど食べないか?・・・って何してるんだおまえら」
「なんでもないのだわ」
「なんでもないのよ〜」

「雛苺と昔の思い出話をしてたのだわ」
「そうなの〜真紅とヒナは外人部隊にいたのよ〜」

桜田家に平和が戻った。

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/22(火) 22:42:04 ID:3x6kq3+k
>>1
超乙

>>2
キャラの変わりっぷりにワロス

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/23(水) 10:09:43 ID:H4B+fKEl
グッジョブ

このスレは批判禁止ネ。

5 :戦国薔薇乙女 1:2006/08/23(水) 11:47:21 ID:kEfX92IS
昔々、まだ日本が戦国時代だった頃、一人の戦国武将のもとに一つの鞄が送られていた。
「ほぉ。これが南蛮の物入れと申すか?全く変わった形をしておるのぉ。」
その戦国武将は海外の事柄に興味を持ち、当時日本と交易を行っていた南蛮の物品を良く集めていた。
その中にこの鞄が紛れ込まれていてもなんらおかしい事では無かった。
「よし。サル!この物入れを開けてみい。」
武将はサル顔の家臣に命令し、鞄を開けさせる。その中に入っていたのは翠色のドレスに身を包んだ
西洋人形だった。
「人形・・・か。流石南蛮渡来の品だのう。日本の物とは出来が違う。」
武将はその人形を気に入った様子であった。そして色々調べているウチにネジの存在に気付く。
「ほお。これを背中に刺して回せと言う事か。」
するとどうした事か、人形が独りでに動き出したではないか。
「おお動いたぞ。流石は南蛮渡来の品じゃ。日本の物とは出来が違うわ!」
「お前が私のネジを巻きやがったですかぁ?何か変な髪形の変な親父ですぅ?」
「うぉ。口を聞きおったぞ。南蛮渡来の人形はみんなこうなのか!?」
「何を言っているですかこの変な髪形の人間!私はローゼンメイデン第三ドールの翠星石ですぅ。
そんじょそこらの人形とは違うですぅ。全くここは変な所ですぅ。部屋も人間もまったく
変なのばっかですぅ。まあいいですぅ。こら人間、さっさと契約するですぅ。
この翠星石がお前を下僕にしてやってもいいですぅ。」
そう言って、翠星石と名乗る人形が武将に手を差し出そうとした時だった。それ以上の速さで
武将が腰に差していた刀を抜き、翠星石の首元に当てたのである。それには翠星石も真っ青になった。
「い・・・。」
「うぬが我の下僕となるのじゃ。口答えは許さぬ。」
「は・・・はいぃぃ・・・ですぅ・・・。」
翠星石は素直にこう答えるしか無かった。彼女は元来他人の命令にあっさりと従うような
性格では無いのだが、今目の前にいる武将にだけは従わなければならないと言う雰囲気を放っていたのだ。
「それにしても口を聞く南蛮渡来の人形か。面白い奴よ。貴様、翠星石と言ったな?」
「は・・・はいぃ・・・ですぅ・・・。」
武将は恐ろしい雰囲気を放ちながらニヤリと微笑んだ。その時の顔は翠星石にとって
鬼や悪魔の類の様にさえ感じられた。
「我の名は織田信長。第六天魔王、織田信長じゃ。」
「は・・・はいぃ・・・ですぅ・・・。」
下僕にされてしまう所か逆に下僕にされてしまった翠星石、しかし、相手が相手だけに
翠星石は全く逆らう事が出来なかった。
「サルよ。この事は農には秘密にするのじゃぞ。」

それからしばらくの時が流れ、織田信長の率いる軍は延暦寺や本願寺を
中心とした一揆衆と戦っていた。そこで織田軍は思わぬ苦戦を強いられる事になる。
一揆衆側に恐ろしい秘密兵器の存在があったからだ。
「うわぁぁ!仏像が動いたぁ!!」
一人の足軽が叫んだ。呼んで字のごとく、仏像が動いていたのだ。
「ハッハッハ!御仏を恐れぬ輩に天誅を下してくれるわ!」
何という事か、仏の力は仏像を動かす事さえ可能にしていたのだ。そして仏像の前に
織田軍の士気は低下していた。ただ動くだけではない。様々な摩訶不思議な力で
鉄砲等、当時の近代装備を持つ織田軍を翻弄していたのである。

6 :戦国薔薇乙女 2:2006/08/23(水) 11:49:39 ID:kEfX92IS
「一揆衆に動く仏像が出現!前線は大混乱であります!」
「ほぉ。動く仏像とな。面白い事をする。」
最悪の状況でありながら信長は笑っていた。そして信長の手にはあの例の鞄が握られていた。
「目には目を、人形には人形じゃ。さあ翠星石よ。あの仏像を倒して来い!」
「無理無理無理無理ですぅ!と言うかあれ何で動いてるんですぅ!?」
いきなりの無理難題に翠星石は狼狽しながら首を高速で左右に振る。
だが、そんな翠星石の首元に信長の刀が当てられた。
「我の命令が聞けぬと申すか?第一得体の知れなさはお前も同じであろう?」
「い・・・行ってきます・・・ですぅ・・・。」
翠星石は鞄を片手に泣く泣く前線に出るしかなかった。

そして最前線で仏像と向かい合う翠星石の姿があった。
「ほお。アレが噂に聞く南蛮渡来の人形と言う奴かのう。だが、それで御仏に対抗しようとは片腹痛い!」
遥か後方では何十人と言う僧のお経が響き渡る。彼等の力が仏像を動かしていた。
ローザミスティカによって稼動するローゼンメイデンとは全く異なる存在である。
そして仏像が剣を持ち、翠星石目掛けて振り下ろす。だが、翠星石も庭師の如雨露でそれを
受け止めていた。
「ひぃぃ〜怖いですぅ〜重いですぅ〜。」
「如雨露で剣撃を受け止めるとは何と非常識な。これだから南蛮渡来と言う奴は。」
遥か後方で仏像を操作する高僧は思わずグチをたれていた。
「怖いですぅ〜死ぬぅ〜ですぅ〜誰か助けろ〜です〜!信長の馬鹿野郎〜ですぅ〜!」
「この!ちょこまかと・・・これだから南蛮渡来は・・・。」
泣きながら逃げる翠星石と仏像の追いかけっこが始まった。仏像はひたすら翠星石を追い駆ける。
そして翠星石は必死に逃げる事しかしなかった。だが、それで十分だった。
翠星石が仏像の目を反らしているウチに本隊が一揆衆本陣に接近、一網打尽にしてしまったからである。

織田信長が翠色の南蛮人形を持っていたと言う事実はわずかな伝承のみに残るだけであり、
明確な記録の類は残されていない。そして伝承によると信長が本能寺の変で亡くなった後、
翠色の南蛮人形はこつぜんと姿を消したと言う・・・。だが、それで全てが終わったワケでは無かった。

「始めまして。僕は蒼星石と言います。」
「おお、信長様が持っていた南蛮人形にそっくりじゃのう。まあ近うよれ。」
豊臣秀吉が蒼色の南蛮人形を持っていたと言う記録は無い。
(以下中略)

「あ〜らぁ。貴方が私のネジを巻いたのぉ?何か太ってて冴えない親父ねぇ〜。」
「おお、信長殿や秀吉殿が持っていた人形そっくりじゃ。」
徳川家康が銀髪の人形を持っていたと言う記録は(以下中略)

                        終わり

7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/23(水) 20:50:52 ID:ZkVxHgzp
GJ!!
その時、歴史は動いた!?

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/23(水) 23:43:09 ID:1Kro8eJB
・・・ん?
確か秀吉はエロ親父で有名だから・・・蒼はどうなる(;゚ Д゚)

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/24(木) 09:37:11 ID:Kj0WNARB
>>8
案外男と思われて何もされなかったり・・・と思ったけど、
戦国大名ってホモが多かったんだよね?武田信玄とかもそうだったし。
どっちにせよ危ないか・・・or2

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/24(木) 10:13:06 ID:rZ8qbPaw
>>6

「ローゼンメイデン一の策士カナリアが来たからには、ラクしてズルして天下奪りかしらぁ〜」
「おお、この光秀そなたが居れば百人力!早速あの信長にケンカ売っちゃうぜ!」



「このデブいオッサンがマスター?人間のオスは想像以上に醜悪で下劣なのだわ」
「あぁ、ママ、ママ、ロシアの冬将軍がボクをイジメルよぉ〜、ワーテルローはもうヤだよ〜」



「・・・回る・・・回る・・・あなたは・・・だぁれ?」
「そなたはまさしく藤紫の生まれ変わりか、この光源氏、幼きそなたを美姫に育て上げ・・・」




「うにゅ〜食べたいの〜、一緒に遊ぶの〜」
「よしよし雛ちゃん旅館に戻ろうね、龍馬おじさんが何でも買ってあげ・・・って、うを?新撰組!」


11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/24(木) 11:50:31 ID:Aw8KNUQL
はいはい0点0点

12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/25(金) 12:44:48 ID:aVe3H5xe
>>9
秀吉は衆道に興味なし

13 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/25(金) 12:54:49 ID:vYTSX+px
美少年と思われてホモな香具師に狙われるが、
「な〜んだ女か」とか言われてポイってされるような展開を連想した

14 :真紅・子犬編:2006/08/26(土) 19:00:24 ID:uIUEBQt1
真紅はいつものように近所の散歩に出かけた。
大嫌いな猫をステッキを振り回して追い払い、水銀燈を思いださせるカラスには石を投げつける。

道端に置かれたダンボールに小学生たちが群がっていた。
「かわいい〜、この子犬飼ってあげたいな〜」
「アパートじゃなかったら飼うのにな」
犬好きの真紅には聞き捨てならないことである。
「貴方たち、そこをどきなさい。私に見せるのだわ」
見れば産まれたての子犬である、雑種であろうが茶色地に黒いブチのその姿はくんくんをおもわせる。
「どうやら捨てられた子犬のようね。この子は私が飼うことにするのだわ」

抗議の声をあげる小学生たちをツインテールのムチで叩きのめして追い払うと真紅は子犬を抱き上げた。
「あら、意外と重いのね。自分で歩きなさい」
子犬とはいえ人形の真紅には重すぎた、地面に下ろすと首にヒモをつけて引っ張りまわす。
「お前は私の下僕になるのだわ、私の家で飼ってあげるのだから感謝なさい」
空腹のためにヨロヨロと歩く子犬にお構いなく真紅は家までの帰り道を急ぐ。
「お前の名前はくんくんにするのだわ、名探偵くんくんを見習って立派な犬になりなさい」

「ただいま帰ったのだわ。ノリ、この子をお願い、キレイに洗ってちょうだい」
真紅は家に帰ると早速ノリに世話を押し付ける。
「あら〜ワンちゃんね〜、今から食事の準備するから待っててね」
ノリは子犬を抱き上げるとやさしく頭をなでる。

「ジュン、新しい下僕を連れてきたわ、仲良くしなさい」
真紅はジュンに子犬を飼うことを説明する。
「真紅、ただでさえ人形が3匹もいるのに犬まで飼うのか?」
文句を言うジュンを叱り飛ばし、真紅は読書で夕食までの時間を潰す。

「みんな〜ご飯できたわよ〜」
ノリの呼ぶ声に釣られて全員が食堂に集まる。
「今日の夕食はポシンタンよ〜」
食卓の上には煮込まれた肉のスープが並び、良い匂いをたてていた。
「このスープおいしいわね、このお肉も甘みがあって柔らかくておいしいわ」
真紅がノリの料理を褒めるとノリも喜ぶ。
「真紅ちゃんのおかげよ〜」

夕食を食べ終わると真紅がノリを呼び止める。
「ノリ、余った食材はないかしら?子犬にエサをあげたいの」
「真紅ちゃん、何言ってるのかな〜?犬なら食べちゃったじゃない」
ノリが笑いながら告げる事実を真紅は受け入れることができない。
「え!?よく説明するのだわ!!くんくんをどこにやったの!」
「だからポシンタンは犬肉の料理なの、おいしかったでしょ?」

真紅は3日間トランクの中で閉じこもって泣いた。

3日後、腹が減ってトランクから出てきた真紅は散歩に出かけた。
「ノリ、また犬を拾ってきたわ。この子をお願いね」

15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/26(土) 19:27:30 ID:7SZvLEF5
これはワロタ
真紅が犬を飼い始めたのは良いけど、犬の世話が大変で・・・
って展開を予想したのだが、斜め上を行ってしまったw

16 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/26(土) 19:53:09 ID:cSdRGjSv
全米を恐怖に陥れるのり。

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/27(日) 01:15:30 ID:XhdUuvJZ
黒の話
水「は〜い、久しぶり元気してた。」
私はこの病室で独り言のようにつぶやく。
水「あなたが居なくなって、せいせいしてるわ。だってあなた、私と同じで
  ジャンクでいやだったもの。」
暗く何も言わないベットの私は言う。
水「でも・・・・あなたの唄また・・・聴きたい。あなたは私を天使と言っ
  て、私のマスターになって・・・私に優しさを教えて・・・」
窓から月の光が差す。
水「でも、私に天使と言うとは思わなかったわ。どっちかって言うと堕天使
  もしくは悪魔よ。」
私は数分いや数十分、独り言のように話した。彼女と話すように・・・
水「・・・・・また来るわ。今日はこれだけ。また・・・・かならず」
私は窓から飛び立つ。”うんまたね”そう聞こえた気がした。

END



18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/27(日) 12:49:16 ID:9sDFQghj
街を闊歩する真紅の暴君っぷりにワラタ

19 :水銀と水銀燈:2006/08/27(日) 22:00:30 ID:LgwaSNkE
その日、桜田家ではあるテレビ番組を見ていた。それは水俣病など、いわゆる公害病に
関連した内容の事柄を紹介する番組で、何故か人形達も興味深く見入っていた。
「みなまたびょう怖いの〜。いっぱい人が苦しんでたのよ〜。」」
「まったく人間と言う奴は何時の時代もろくな事しやがらねーですぅ。」
「恐ろしい話ね。」
番組が終わった後も、人形達は何故か公害病と環境問題に関する話題で盛り上がっていた。
「お前等人形なんだから別に問題無いだろ?」
「あら、でも環境問題に目を向ける事は良い事よ。」
と、ジュンとのりもそれぞれ様々な思いを馳せていたのであったが、
これが後に思いも寄らぬ展開に発展する事となる。

「お馬鹿さ〜ん達ぃ〜。今日は機嫌が良いからローザミスティカ三つ全部貰いに来たわぁ。
3対1でも良いのよ〜。かかって来なさぁい。」
人を小馬鹿にしたようなセリフを吐きながら水銀燈が桜田家にやってきた。
いつもなら真紅と水銀燈の睨みあいが始まり、互いに攻撃の機を伺う殺伐とした空気に
包まれるのだが、この日だけは違っていた。
「いやぁ!水銀燈怖いのー!みなまたびょうになっちゃうのよー!!」
「触るなですぅ!!コイツに触られると水俣病になっちまうですぅ!!」
「水銀燈・・・貴女・・・本当に酷い事をしてしまったのね・・・。見損なったわ。」
そう言って三人は一斉に水銀燈から逃げ出したでは無いか。それには水銀燈も唖然とした。
「え!?え!?ど・・・どうしたのぉ!?」
予想だにしない行動に水銀燈は焦った。慌てて追い駆けても三人は騒ぎながら逃げ回る。
「沢山の人を苦しめやがった奴がきやがったですぅ!!逃げるですぅ!!」
「これ以上追って来たら訴えるのよ〜。こうがいそしょうなのよ〜!!」
「水銀燈・・・。貴女・・・あんな事するなんて・・・お父様も悲しんでるわ。」
「ちょっ!一体どうしたというのよぉ!私まだ何もしてないのにぃ!」
周知の通り水俣病は工場が有機水銀を海に垂れ流した事が原因である。
そしてこの有機「水銀」こそがポイントだった。
水俣病の番組を見て、水銀も含めたその恐ろしさが強く印象に残った人形達にとって
「水銀」燈にも同じ様な事がありうると勝手に思い込んだ事が原因だった。
「何で逃げるのよぉ!!私まだ何も悪い事してないのにぃ!!」
この後、アリスゲームはうやむやの内に終了し、水銀燈は強い罪悪感を感じながら帰って行った。
                おわり

リアルで水俣病で苦しんでる皆様スマソorz

20 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/27(日) 22:33:56 ID:hF1cptgr
だが水銀燈が可愛いのには文句つける奴はいないだろうGJ

21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/28(月) 09:18:55 ID:otk8V3EJ
古の権力者は不老長生を求めて水銀燈と契約し命を縮めたわけだな

22 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/28(月) 21:50:12 ID:A8tJ9GMn
デュ留デュ留デュ留デュ留デュ留デュ留デュ留デュ留デュ留

23 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/29(火) 12:23:33 ID:EkollRse
水銀燈 「う、うぅっ・・・みんなヒドいわ・・・めぐぅぅ・・・うわぁぁん!」
めぐ  「よしよし・・・そうだ、いいモノあげるわ♪」
水銀燈  「何?・・・これ」
めぐ  「水銀軟膏よ、ある難病に苦しむ人達を救った特効薬なの
     今はもう手に入らないから、その病に罹った人は患部を全摘出されるわ」
水銀燈 「わたしが・・・難病を・・・治すの?」
めぐ  「そうよ、だから元気出して♪」

佐原  「あら、めぐちゃん珍しい物持ってるわね」
めぐ  「ふふ、だってコレ以外無いんでしょ?アレの治療薬って」
佐原  「そうね、今は水銀軟膏が使えないから、毛ジラミになったら全剃りよ」
水銀燈  「何よ何よ〜毛ジラミって何よぉ〜!」
めぐ  「水銀燈、あなたは大丈夫かしら、毛ジラミ・・・うん、髪の毛はキレイね
     ・・・でも毛ジラミになるのは・・・こっちの毛よ!」
水銀燈  「いやぁぁぁぁ!」

24 :真紅・真夏編:2006/08/30(水) 05:43:30 ID:L9KSVAwy
ある夏のとても暑い日

「うわ〜〜ん〜〜、翠星石がいじめるの〜」
雛苺が大泣きしながら真紅にすがりつく。
「うるさいわね、今くんくんを見ているの。ジュン、なんとかしなさい」
ジュンは雛苺をあやすが一向に泣き止まない、ジュンも真紅も苛立ってきた。
「うるさいわね。こうするのよ」
真紅が雛苺の首を掴むと180度ゴキッとひねった。
雛苺が白目を剥いてその場に倒れる。
「お、おい!!雛苺!大丈夫か!?」
「大丈夫よ、放っておきなさい」

「今日も感動の名推理だったのだわ」
くんくんを見終わった真紅が足元の雛苺に気がつく。
「雛苺、こんなとこで寝たらダメよ・・・・雛苺!?」
すでに雛苺は事切れていた。

「ジュン!雛苺がやられたわ!水銀燈の仕業ね!」
「真紅・・・さっき真紅が雛苺を・・・」
真紅は目に涙を浮かべながら怒りを露わにする。
「水銀燈!許さないわ!」
「ふざけるな!真紅・・・雛苺の仇だ!」

ジュンが金属バットを真紅の脳天に叩き下ろした。

グシャッ!

鈍い音を立てて真紅の頭が潰れ、バットが顔面にまで食い込む。
「ジュン・・・貴方まで水銀燈に操られてしまったのね・・・」
顔の半ばまで潰れた真紅が諦めたように倒れる。

「真紅!雛苺!!チビ人間!これはどういうことですぅ!」
飛び込んできた翠星石がジュンに詰め寄る。
「うるさい!うるさい!お前が雛苺をいじめたせいだ!」
金属バットが翠星石までも粉々にしていく、額から流れ落ちる汗が目に沁みて痛い。
「チビ人間・・・許さんです・・・」
首だけになっても喋り続けていた翠星石も動きを止める。

「これで呪い人形どもから解放された・・・」
全身汗だくになったジュンが呟く。

ある夏のとても暑い日

25 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/30(水) 08:40:48 ID:gk9PKLv3 ?BRZ(5763)
しね

26 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/30(水) 10:31:45 ID:2UwmDArg
悲しくもワロッタ

27 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/30(水) 14:27:33 ID:pgC1c0cD
腹立つけど…ワロタ、くやしいっ(ビクビクッ

28 :水銀燈・留守電編1:2006/08/30(水) 19:50:19 ID:L9KSVAwy
私は水銀燈を捨てた。

3ヶ月前、家にかかってきた怪しげな電話。
よくわからないままに巻きますと答えると翌日に届いたのは美しい人形。

私はその人形に魅入られてしまった。
言われるままに契約をして人形の下僕となった。

その人形、水銀燈を私は愛した。
水銀燈も私を憎からず思ってくれたはずだ。
水銀燈との毎日は楽しかった。

朝起きると水銀燈と朝食を食べ、会社に向かう。
水銀燈が待っててくれると思うと仕事に張り合いがでた。
家に戻れば水銀燈と過ごす本当の自分の時間。

ある日、会社のトイレで鏡を見た。
これは・・・誰だ?
鏡に映っていたのはやつれきった自分の姿だった。
私は怖くなって友人の占い師に相談した。

何かに取り付かれていると言われた。
水銀燈のことだろう、捨てなければ命を失うと告げられる。

私は夜中に水銀燈の入ったトランクを持ち出し、県境の山に向かった。
中で眠っている水銀燈を起こさぬように慎重にトランクを運ぶ。
山奥まで担ぎ上げ、深い穴を掘って埋めた。

翌日は胸の中のモヤモヤを押さえきれないまま会社で過ごした。

家に帰るのが怖い。
何かが変わるのか、変わるのが怖いのか。
真っ暗な部屋に入ると留守番電話の着信ランプだけが緑色に光っている。

「メッセージが25件あります」

私は恐る恐る再生ボタンを押した。


29 :水銀燈・留守電編2:2006/08/30(水) 19:51:42 ID:L9KSVAwy
ピーッ!!

「気がついたらトランクから出れないんだけど、どういうことかしらぁ?早く迎えにきなさぁい」

ピーッ!!

「早く来ないとお仕置きよぉ、ウフフ・・・」

ピーッ!!

「私から逃げられると思ってるのかしらぁ?こんなとこ捨てたぐらいじゃダメねぇ」

ピーッ!!

「今すぐ迎えにくればお仕置きは勘弁してあげるわぁ、だから早くしなさい、早くぅ」

ピーッ!!

「何か言いたいことがあるなら聞いてやってもいいわぁ、だから早くきなさぁい」

ピーッ!!

「貴方って本当におばかさぁん、私に不満があるなら言えばいいのに・・・ウフフ・・・」

ピーッ!!

「もしかして私が力を吸い尽くして殺すと思ったのぉ?そんなことしないから早く来なさい」

ピーッ!!

「もしかして食事に文句いったのが気に入らなかったのぉ?からかっただけよぉ」

ピーッ!!

「部屋を羽で散らかしたのは反省してるわ・・・悪かったわね」

ピーッ!!

「ここ・・・暗くて怖いわぁ・・・早く迎えに来なさぁい」

ピーッ!!

「わかったわぁ・・・クスクス・・・これって放置プレイって奴?」

ピーッ!!

「もう充分楽しんだから、早く迎えに来てぇ。続きをしましょ」



30 :水銀燈・留守電編3:2006/08/30(水) 19:52:35 ID:L9KSVAwy
ピーッ!!

「もしかして本当に捨てちゃったの?私がジャンクだから?」

ピーッ!!

「色々ゴメンなさいね、私たちまだやり直せるわ・・・早く来て」

ピーッ!!

「貴方には感謝しているわぁ、もう一度契約からやり直しましょ」

ピーッ!!

「やり直してくれたら、私は良い人形になるわ、掃除も炊事もするわぁ」

ピーッ!!

「私、本当は尽くすタイプなのよぉ・・・これまでは貴方に甘えていただけよぉ」

ピーッ!!

「本当に私を捨てるつもりかしらぁ?そんなことできないくせに」

ピーッ!!

「私はジャンクなんかじゃない・・・だから捨てないで」

ピーッ!!

「貴方だけは私を捨てないと思ったのに・・・私が人形だから?」

ピーッ!!

「私を捨てたのね・・・他に好きな人が出来たんでしょ?」

ピーッ!!

「好きな人がいるんでしょ?相手はだれ?誰なの?」

ピーッ!!

「許さないわ・・・絶対許さない」

ピ゚ーッ!!

「薔薇乙女の誇りにかけてお前を殺すわ、待ってなさい」

ピーッ!!

「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる」

ピーッ!!

「今、貴方の後ろにいるわ」


31 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/31(木) 01:16:28 ID:zGnQXe1t
怖いわよバカ!

32 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/31(木) 02:30:11 ID:4cVWnBIr
鳥肌立っちゃったワ!

33 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/31(木) 17:31:43 ID:YAl+yr2V
これは怖すぎるwwww
でも水銀燈じゃなく他のドールならやつれる事は無かっただろうな。

34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/31(木) 20:04:54 ID:zZzSQBaB
つ「雛苺」

35 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/01(金) 20:03:02 ID:ajvK60pT
>>34
鏡に映るゴスロリドレスな自分の姿を見て友人に相談した結果、
何かに目覚めたのだと言われ、捨てなければ戻って来れないと告げられて
真夏にピンクのドレスを詰めたトランクを持ち出し、有明の一角へと向かうんだな?

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/02(土) 02:40:37 ID:jh3IvEJH
前3文字、後ろ10文字ぐらいしか読んでないが

その通りだと思う。

37 :水銀燈・留守電編3:2006/09/02(土) 16:32:42 ID:oWCDNbXs
>>35

私は鏡に映る自分の姿を見つめた。

美しい・・・もう元の自分には戻れない・・・

今の私には股間にぶら下げている物は異物でしかなかった。
私は性転換手術を受けるため雛苺を連れバンコクへと向かった。

38 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/02(土) 21:40:05 ID:BkE4zHRY
おまいらもし良かったら手伝ってくれないか

無理にとは言わない

http://vote.rentalcgi.com/html/daioh.html

上のサイトの「水銀燈」に投票してくれないか

サイトの下の方にあるよ

39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/03(日) 00:26:55 ID:dDSi45np
↑投票しといた

しまじろう、最っ高!

40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/03(日) 02:53:05 ID:q8wuGlo6
>>39
ルリルリにいれたなww

41 :真紅・紅茶編:2006/09/04(月) 19:34:36 ID:OamIHAF4
「ジュン登りなの〜わぁ〜〜い」
「ほ〜ら、雛苺、飛行機だぞ〜」
頭の上に登ってきた雛苺を両手で支え上げ走り回る、雛苺は大喜びだ。
「ジュン、紅茶を淹れてちょうだい、今すぐよ」
いきなり真紅が命令する、どうやら僕と雛苺が仲良く遊んでいるのが気に入らないらしい。
「真紅、紅茶ならまだカップに入ってるだろ」
「冷めてしまったのよ、淹れなおしなさい。まったく使えない下僕ね」

カチン!

真紅の勝手さには慣れたつもりだったが今回は頭にきた。
黙って台所に行き、ヤカンいっぱいにお湯を沸かす。
適当に紅茶の葉を湯に淹れて沸騰させた。

リビングで本を読んでいる真紅に背後からそっと忍び寄る。
「真紅、紅茶だぞ!好きなだけ飲んでくれ」
真紅の頭の上から煮えたぎった紅茶を思い切り注ぎかける。
「熱いのだわ!!ギャーーー!!ア、アツッ!!止めるのだわーーー!!」
逃げ出そうとする真紅の足を引っ掛けて転ばせる。
「真紅お嬢様、淹れたての熱い紅茶を味わってくださいませ」
床に倒れこんだ真紅の頭から足先まで満遍なく紅茶をたっぷりかける。
「ギャーーー!!死ぬ!熱い!熱い!熱い!止めて!」

降り注ぐ紅茶の中で手足を振り回して暴れていたが、そのうちぐったりとして動かなくなった。
足で蹴飛ばして仰向けにしてみたがヒューヒューと苦しげな呼吸をするだけで意識はない。
顔も真っ赤に腫れ上がり、茹でられたタコのように見えた。
床に放り出されていた真紅のマイカップを踏み潰して粉々にする。
今日はこれくらいで許してやろう。

その日から真紅はおとなしくなり、紅茶を飲まなくなった。
わがままも言わなくなったし、家の手伝いもするようになった。
僕の顔を見るとビクッと怯えたような顔をするが素直に言うことを聞く。
やはり人形にも躾はしっかりしないとダメだ。

ある日、人形たちの服を洗うと言うので真紅に僕のトレーナーを着せてやった。
トレーナーの下から見えた真紅の手足は驚いたことにケロイド状になっていた。
僕の視線に気がついた真紅は恥ずかしそうに言う。
「首から下は材質が違うのだわ、熱に弱いから溶けてしまったのだわ」

少し罪悪感を感じた僕は紅茶花伝の一番高い奴を買ってあげた。

42 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/04(月) 23:53:44 ID:3ZDnyIls
ここってグロSSメインなの?

最近になってローゼンにはまってここに来たのが先月。
少々後悔してる。


43 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/05(火) 00:16:00 ID:47brht8R
一応>>1だし、あんまりアレなやつは総合スレに投下したほうが…
と言いたいけど微妙なんだよね正直。8:2くらいでNG?

44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/05(火) 00:51:35 ID:EsJw8qSi
こいつも昔はもっと笑える物を書いてたんだがな

45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/05(火) 00:59:12 ID:6zSu0aoN
鬼畜ものが増えてる

46 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/05(火) 01:41:33 ID:AxfIORRX
たしかにあんまり締め付けるのもとはおもって何もいわなかったけど
俺も8〜9:1か2くらいでNGだと思う

47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/05(火) 01:46:48 ID:ywqRVHVG
ああ、やっぱりそうだったんだ。
そういえばキャラ個別スレも同じような状況だった。

VIPで時々SS書いてたけど、今はもう書く暇ないしなぁ。

48 :好き!好き!蒼星石  1/9:2006/09/05(火) 07:25:56 ID:C7tRlZQx
みーんみんみんみん……
眸をゆっくりと開く。 鞄の隙間から差し込むのは、どこか褪せた残暑の光。

「ん……。」

鞄を開いて一伸び。 思わぬ明るさに軽く眩暈。 珍しく昼まで寝過ごしてしまったらしい。

「翠星石あたりが起こしてくれそうなものだけどな……。」

お節介で世話焼きな双子の姉。 彼女を思うと自然と口元がほころんでくる。
少しずつ、頭の靄が晴れていく。 辺りに視線を巡らす。 いつもおなじみジュンくんの部屋。

でも今は誰もいない。 瞼を軽く閉じて、耳を澄ましてみる。
かすかに雛苺の笑い声。 うん、リビングだね。 スッと瞼を開く。 視界に再び光が戻る。

お泊りゲストのクセに朝寝坊か。 みんなに何て言われるかな。 くすりと笑って、階下に向かおうとした時。
何か違和感を感じた。 ……? なんだろう。 何かいつもと違うような。 うーん……あっ!

帽子が無い……! 無い、無い、無い。 昨晩床に就くまでは確かに被っていたのに。
分からない、解らない、判らない。 なんで? どうして? 今朝は何だか、何かがおかしい。

すっきりしない気持ちのまま階段を降りる。 真紅たちに聞けば何か分かるかな。
溜息を一つついて、リビングのノブをがちゃり。

ふりふりふり。 あ。 僕の帽子。

「で、カナ……僕は百円玉をたっくさん握りこんだんだけど、なぜか入れる時はすんなり入った手が抜けなかったんだよかしら〜。
 あの罠を考えた人は、きっと金糸雀級の天才猟師に違いないよかしら!」

「ヒナ知ってるぅ。 それはねぇ〜、よくばって百円玉をぎゅーっとしすぎてるからなのよー。 蒼星石、意外とお馬鹿さんなのねっ。」
「うふふ。 今日の蒼星石は、何だかすこぶるアンポンタンですぅ。 でもそんな所も可愛いですぅー!」
「失礼よ貴女たち。 私たちは皆どこかしら不完全な存在。 そして蒼星石はそれが偶々おつむだった……それだけの事だわ。」

…………。
何だろう、この新手のイジメは。

49 :好き!好き!蒼星石  2/9:2006/09/05(火) 07:26:45 ID:C7tRlZQx
僕の帽子は確かにそこにあった。 うん。 被ってる人もいるね。 うんうん。

でもそれ僕じゃないだろ!!!
金糸雀じゃん! どう見ても金糸雀じゃん!! なんで君たちごく自然に会話してるんだよォーーーーーー!!!

ばたん! 勢いに任せてリビングに闖入する僕。

「キャーーーッ! ぞぞぞ賊です! ジュン! ジュンー!」
「貴方は誰!? 私の邸内に無断で踏み入るなんて、不躾にも程があるわ! 名を名乗りなさい!」

くっ! 何だよこの反応。 悪戯にしても手の込んだ真似を……。
落ち着け僕! こんな時こそ怒りを静める呼吸法だ! ひっひっふー。 ひっひっふー。 ……よし。

「名乗れじゃないよ! 僕だよ! どう見ても蒼星石だろ! 悪ふざけは止めてくれ!」
「馬鹿も休み休み言うです! 蒼星石はちゃんとここにいるですよ! 双子の姉である私の目をたばかる事はできないですぅ!」
「そうだよかしら! 偽者は及びじゃないかしら!」
「ばーか!」
「ばーか!」

くくっ! こ、この言勢。 マジだ。 みんな大真面目に金糸雀が僕だと思い込んでいる。
知らなかった。 我が姉妹ながら、ここまで馬鹿だったとは。 そして馬鹿に馬鹿と言われる事が、ここまで腹立たしいとは……。

「「「「 かーえーれ! かーえーれ! 」」」」

……なんかもう目から切ない汁とか出てきた。 え、何? 僕のアイデンティティって帽子だけだったの?
ふ。 ふふふ。 どちくしょぉおおおーー!! 僕は泣きながらリビングから走り去った……。

「な、なんとか不届き者を撃退できたようですねぇ。 ……(クルクルピーン)。 よよよ。 ジュンー。 翠星石はとっても怖かったですぅー。」
「ちょっと! もう賊はいないじゃないの! 薔薇乙女らしく振舞いなさい!」

ばたーん! ふざけんな! なんで僕が帰らなくちゃいけないんだ。 我に策あり。 さっきのようにはいかないよ!

「ひっ! も、戻ってきたですぅー! ……って、あれ?」
「そ! 蒼星石なの!」
「蒼星石が二人いるのだわ!!」

50 :好き!好き!蒼星石  3/9:2006/09/05(火) 07:27:31 ID:C7tRlZQx
ふっ……金糸雀敗れたり! じゃきーん! 颯爽とポーズを決める僕の頭上には、逆さになった植木鉢!
色も形も申し分なく、これで蒼星石らしさは五分と五分! ……うぅ、五分と五分……。 しくしく。
でも場が乱れた今がチャンス。 すぱん! 踏み込んで、素早く帽子を奪い返す。

「あっ! かっ……カナちゃんじゃないのぅーー!」

……呼吸法、呼吸法。 ひっひっふー。 ひっひっふー。

「ふふふふふ! バレてしまっては仕方が無いかしら! これにて作戦失敗! ごきげんようかしら〜!」

がしゃーん! 窓を突き破って逃走する金糸雀。 いやいやいや! 普通に帰れよ!


「ほ、ほら蒼星石。 たくあんあげるですぅ。 お姉ちゃんは笑った蒼星石の方が好きだな〜、です?」
「ヒナのうにゅーあげるのー。」

お昼時。 朝方の珍事をとりなすかのように皆が優しい。 ふふふ。 なめんなよ。
こんな事くらいで、僕は君達の薄情さを忘れたりはしないからね……。
一人暗い笑みを浮かべていると、目の前にひょっこり雛苺。 眉根を寄せて、首を傾げて。 不安そうに聞いてきた。

「うにゅー嫌い?」

……。 まずは溜息。 それから笑顔。 そしたら、うん。 いつもの蒼星石に元通り。

「ありがとう雛苺。 じゃあ、僕のおかずと交換こしようか。」
「ほんと? 蒼星石大好きなのー!」

ようやく空気が和み出した。 そうだね。 やっぱりこうでなくちゃ。

「あらぁ〜、雛ちゃん蒼星石ちゃんとおかず取替えっこしたのぅ? 良かったねぇ〜。」
「蒼星石のくれたおかず、すっごく美味しいの〜。」

それ。。は。。。。 よかっ。。。。。。

「ほぎゃあああ! ちちチビヒナ! 何食べてるですか! それは蒼星石のローザミスティカですぅーーーーー!!!」

51 :好き!好き!蒼星石  4/9:2006/09/05(火) 07:28:18 ID:C7tRlZQx
「う、うよえ゛ぇーーーー!!?? …………あっ。」
「なっ、なんだ? どうした雛苺!」

「…………飲んじゃったの。」
「「「「 なんですとぉーーーー!!??? 」」」」

「ちょ、ちょっと! 飲んじゃったじゃ済まないのだわ! 早く吐き出しなさい!!」
「かっ、かっ、カニみたいに蒼星石が泡吹いてるですぅー! もう手遅れですぅーーー!」
「はわわわわわ…………え、えーいなの!!」

ばこん!!! ……。 しーん。

「あ、泡が止んだ? でもローザミスティカは確かにおチビが……。 一体何を突っ込んだですかチビチビ?」
「うにゅー。」
「とどめ刺してどうするですぅーーー!」

「ぅぅぅ……酷い目に遭った……。」
「生き返ったですぅーーーーーー!!??」


「まさか苺大福で代用できるなんて……私たちの仕組みは存外いい加減だったのだわ……。」
「ホント一時はどうなる事かと思ったですぅ。」
「……いや、今も充分どうした事かと思ってるんだけど……。」

午後3時。 いつも通りのティータイム。 なんでいつも通りなんだよ。
薔薇乙女から雪苺娘(仮)にクラスチェンジした僕の身にもなってくれよ……。

「うゅ〜。 でも、蒼星石なんだか前より素敵になったのよ。
 ヒナ、今の蒼星石を見てると胸がドキドキするの。 これが恋とゆうものなのねー……。」
「……いや、たぶん食欲だと思うよそれ……。」

歩く苺大福になってしまった僕は雛苺を惹き付けるフェロモンを放出しまくっているようだ。 うぅ、ギラギラお目々とヨダレが怖い……。

「でもまぁ良かったじゃないか蒼星石。 これでようやく女の子らしい個性ができたんだからな。」

ジュン君の無神経な一言。 どっ! なぜかリビングが笑い声に包まれる。 ぶっ殺すぞ。

52 :好き!好き!蒼星石  5/9:2006/09/05(火) 07:29:24 ID:C7tRlZQx
夜の帳が降りてきた。 一頃と比べると、めっきり日が暮れるのが早くなった。
マスターお元気ですか? しばらく会わない内に、僕は不○家無しには生きられない体になってしまいました。

ちらりと時計を見やる。 時刻は午後6時半。 いつもならとっくに夕食なのに、今日は未だにお呼びが掛からない。
今日はもう何から何までおかしいよ……。 半ば諦念にも似た気持ちでリビングのドアに手をかける。

「ふぅん……これが花丸ハンバーグって奴ぅ? あなた、人間にしてはやるじゃなぁい。」
「うふっ。 そんなに喜んでくれると、お料理を頑張った甲斐があるわぁ〜。」

ドアを開ければ、もうみんなとっくに食事中で。 僕の席には、植木鉢を被った水銀燈。
……。 おおお落ち着け僕! いいい怒りを! 静める!! 呼吸法ゥォォオオオオオオ!!!

「やぁ皆さん……。 美味しそうなものを食べてらっしゃいますねェ……。」

僕の声で、みんなの視線が戸口に集中する。 またこのパターンかよ……。

「ああっ!」
「貴女は!!」
「水銀燈!!!!」

「何 で だ よ !!!!!!」

そんなとこでパターン変えなくていいよ!!

「フッ……足りないおつむで頑張ったのでしょうけど、所詮はジャンク、浅はかね。
 そんな植木鉢を被って蒼星石のフリをしようだなんて、私たちを馬鹿にするにも程があるのだわ!」
「現在進行形で馬鹿だろが!!!!」

「ふぅ……お生憎ですけど、今の私たちをたばかる事なんて不可能なのです。 チビチビ!」
「うぃっさー!」

ぴょこんと雛苺が飛びついてくる。 ? あ、そっか。 今の僕は雪苺娘(仮)。 雛苺なら一目瞭然ってわけだ。

「という事は…………。 た、たばかったですね!! 戸口にいる方が本物の蒼星石ですぅー!!」
「な、なんですって!?」

……。 ひっひっふー。 ひっひっふー。 ぬぐうぁぁああああ! この呼吸法ダメだよ! 全然役に立たないよ!

53 :好き!好き!蒼星石  6/9:2006/09/05(火) 07:30:15 ID:C7tRlZQx
「うふふ……。 今頃になって気付くなんて、揃いも揃ってとぉんだお馬鹿さんたちぃ。
 おかげでエネルギーもたっぷり補充できたしぃ。 今からお礼をしてあげるわぁ!!」

うわわ! 水銀燈の羽根が炎となり、辺り一面に降り注ぐ。
久し振りに?まともな食事にありついたからか、その威力は従来の彼女とは比較にならない。

「ローズテイル!」
「苺わだち!」
「庭師の鋏!」

「無駄! 無駄!! 無駄よッ!!!」

っっ。 強い! 前から規格外とは思っていたけど、まさかたった一人で四人のローゼンメイデンを圧倒するなんて。

「あっ……。」

! 翠星石がバランスを崩した。 今の水銀燈がそれを見逃すはずもなく。
やっ、やめろぉぉおおおおお!!!

「なぁんて……引っ掛かったですね!」
「なっ!?」

えっ。 見れば翠星石はさらりと突進をいなし、勢い余った水銀燈はツタの中に突っ込む形に。 上手い。 フェイクだったのか!
そして翠星石を助けようと駆け寄っていた僕は、今まさに水銀燈の真後ろ。 ベストポジション!

「ふっ、水銀燈……蒼星石に背中を取られたのが貴女の最大の失敗ね! 『絆メガンテ』で粉微塵になるといいのだわ!!!」
「で き る か ア ホ !!!!!!」

できたとしても絶対にやらん! おのれ、僕を粉末にしてまで勝とうとするとは……。

「くっ、千載一遇のチャンスですのに……! まさか蒼星石のエムピーが尽きていたなんて……!」
「そういう問題じゃない!!!」

エムピーって言い方が殊更に僕をムカつかせる。 なんでメガンテ前提で話を進めるんだよ!
この躊躇が仇になった。 素早く身を翻した水銀燈の刃は。 構える暇も与えずに、寸分違わず僕のクビ。 を。

54 :好き!好き!蒼星石  7/9:2006/09/05(火) 07:31:03 ID:C7tRlZQx
「そっ…………蒼星石ぃーーーーーー!」
「あらぁ、ごめんなさいねぇ、蒼星石? 首まで落とすつもりは無かったんだけど。
 でも安心してちょうだぁい。 貴女のローザミスティカ。 私が貰ってあ・げ・る・か・ら。」

あーん。 ぱく。

「あぁん、甘ぁ〜い。 ふふふ、すごぉい。 力が溢れて…………溢れて………………来ないわね。」
「そりゃ、苺大福食っただけだからな……。」

「……ふっふっふっ。 甘かったわね水銀燈ちゃん!(物理的に) 今度はこっちの番よぅ! 見なさい!」
「!? 人間? 何を……ッ!?」

「蒼星石ちゃん! 新しい顔よぉおおうーーー!!!」
「何ですってぇぇぇぇえええええ!!??」

ばひゅーん。 がっしぃぃぃぃぃぃぃぃん!!


……うっ。 生きてる。 僕は生きてる。 助かった、のか?
ぼんやり戻ってきた視界には、顔をくしゃくしゃにして泣き腫らす翠星石が見えた。

「蒼星石! ひ〜ん、良かったですぅ! のりが新しい顔を作っておいてくれたんですぅー!」

何だって? 流石はジュンくんのお姉さん。 彼女にそんなマエストロ級の技術があったなんて。
驚嘆の気持ちで鏡を覗き込み、新しい顔を確かめる僕。


餃子だった。


「ふぅー。 カナちゃんが来た時のために沢山作っておいて良かったわぁ〜。」
「お手柄ね、のり。」
「ヒナ、どうしようもなく蒼星石にゾッコンLOVE♥なのぉー!」

餃子に涙腺は無く、僕はもう涙すら出なかった。

55 :好き!好き!蒼星石  8/9:2006/09/05(火) 07:31:51 ID:C7tRlZQx
「これで分かって、水銀燈? 結局最後にものを言うのは、人とドールの絆の強さなのだわ!」
「うっ……な、何よ何よ何よぉッ! 私は一人でも……ッ!」
「水銀燈!!!」

声のした方に目をやると、長い黒髪を振り乱した少女が立っていた。

「めぐ!? 何でここに!?」
「水臭いわよ水銀燈。 この命、あなたにあげるって言ったでしょ?」

そう言い終わるや否や。 少女の体はどこか優しく、どこか悲しい、淡い光を放ち始めた。

「!? めぐ、駄目よ! 早まっちゃ駄目!!」

水銀燈のこんな声、初めて聞いた。 儚げなその光の中で。 水銀燈の叫びに、少女は微かに笑ったように見えた。

「絆 メ ガ ン テ !!!」
「できるのかよぉぉぉぉぉぉォォォーーーっ!!!!!」

閃光が辺りを包み、桜田家のリビングは木っ端微塵に吹き飛んだ……。

56 :好き!好き!蒼星石  9/9:2006/09/05(火) 07:32:39 ID:C7tRlZQx
。。。。。。 あ、どうも。 おなじみニラ乙女第4ドール・蒼星石(全治3ヶ月)でっす。
え、他のみんな? 無傷ですよ。 なんか絆マホカンタがどうとか言ってたけど、そんな事より早く体治してあいつらシバきたいなぁ。
水銀燈とそのマスターは全治1ヶ月だそうで。 体が丈夫な人は羨ましいですね。

とかなんとか考えてたら、みんながガヤガヤお見舞いにやってきた。 無傷で。

「よく眠っているようね……いい、貴女たち? 確かに蒼星石は体は大福、頭脳は餃子のへっぴりコナン君になってしまった。
 でも、ジャンクにだってプライドはあるのよ。 彼女が起きたら、どちらかと言うと外見を褒め称える方向で行くわよ。」
「うーっす。」「きーね。」「もーっち。」「きなぁーこ。」

「聞こえてんだよ!!!」

うっ、いかん、傷口が……。 思わず呻くと、目の前にひょっこり雛苺。

「あのね、あのね、今日は蒼星石のローザミスティカを返しに来たのよ。」
「えっ……。」

そうだ、ローザミスティカ。 あれさえあれば僕も薔薇乙女に戻れる。
薔薇乙女に戻れば、ジュンくんの力で頭を取り付けて貰えるのではないだろうか。

「あっ、ありがとう雛苺……。」

軋む体を必死で起こし、雛苺に手を差し伸べる。 瞬間。 眉根を寄せて、一歩退がって。 雛苺はのたまった。

「くさっ!」

…………。 どっ。 途端に病室が笑い声に包まれる。
和やかな空気に包まれながら、僕は心の底からこいつらをアリスにさせてはいけないと感じひっひっふー。

                                                         - やるせなく完 -

57 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/05(火) 20:24:05 ID:qipPzKRd
ωwrt
贅沢な文章能力の無駄遣い乙w

58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/05(火) 22:15:37 ID:6zSu0aoN
最近わけわからんの多いね

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/05(火) 23:05:56 ID:769wHYCu
マジカオスwww

60 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/06(水) 00:26:33 ID:cHccbZeW
ニラ乙女がニダ乙女に見えた件について

61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/06(水) 00:46:23 ID:PTBbVRar
メガンテはえむぴー消費1

62 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/06(水) 01:11:42 ID:s5O0lWi3
もしも薔薇乙女達がドブネズミだったら
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1157367376/

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/06(水) 15:55:53 ID:W8J26lOr
『赤き拳神』本名真紅
人形師ローゼンの最高傑作であるローゼンメイデン第5ドール
そう 彼の主人であり パートナーでもあった人形

私はジャンクになるはずだった でもならなかった
軋んだ体で目覚めた場所は
私達が傷つけあったあの『薔薇園』だったのだわ
そこかしこに残る戦いの爪跡……
それがなんだか悲しくてしょうがなかった

アリスゲームなんてする必要はないのかもしれない
でも今のままで無くせるのかしら?
アリスゲームを無くすのは 互いを信じる力『絆』なのだと思う
信じ合えば憎悪は生まれない でもそれが出来ないのも私達ローゼンメイデンなのだわ

私はまだ桜田家にいる
確かめたいのだわ アリスの意味を
そしてそれを生み出そうとするお父様の意志を
   
ここに答えなど無いのかもしれない
   
でも探したいのだわ
   
そう 今はそう思う それでいいと思う

この映像はあの子も見るの?
会ったら伝えてちょうだい 

   お久しぶりね ジュン まだ生きてるのかしら?

――またあなたの入れた紅茶が飲みたいのだわ いずれ会いましょう

『桜田ジュン』
真紅と共にアリスゲームを駆け抜け マエストロとひきこもりの狭間で生きた少年
彼はたった数ヶ月の間だけnのフィールドに存在していた
その後の消息は不明
ついにその人間性までは迫ることは出来なかった
ただ 彼の話をするたび 
彼女は少し嬉しそうな顔をしていた
それが答えなのかもしれない


64 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/07(木) 05:46:18 ID:YI7qamrc
>>56
まさに才能の無駄遣いwGJ

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/07(木) 08:01:21 ID:OT7woXVI
エスコン0WWWW

66 :真紅・紅茶編2:2006/09/08(金) 21:31:31 ID:akM3x8Nz
「ジュン、紅茶を淹れてちょうだい」
僕は真紅に教えられたとおりに紅茶を淹れる。
アッサムのブレンド茶葉を適量、沸かしたお湯を少し冷まし、温めたティーポットに入れ蒸らす。

「ほら、できたよ」
カップに注いでやると真紅はしばし香りを楽しみ、ゆっくりと口をつける。
「そうね・・・おいしいわ、だけど何かが足りないわね」
「真紅に言われたとおりに淹れたんだけどなあ」

「私の前のミーディアムが淹れた紅茶とは何かが違うわ、そう・・・心遣いかしら」
真紅は前の持ち主の話をはじめた。
「前のミーディアムは乱暴でいい加減な人だったけど、紅茶だけは違ったわ」
遠くの景色を眺めるように窓の外に目をやり、言葉を続ける。
「あの人の淹れた紅茶はとても味が深くて・・・この紅茶のレシピもあの人に教えてもらったのだわ」


「ジュン、紅茶を淹れてちょうだい」
真紅が紅茶を求める、僕は台所で紅茶を淹れる準備を始める。

ふと、戸棚にあった「午後の紅茶ストレートティー」に目がとまる。
真紅は紅茶の味にうるさいけど市販品はどうかな・・・

「ほら、淹れてやったぞ」
真紅は紅茶の香りに少し眉を動かし、一口飲む。
「ジュン!これは・・・」
しまった、市販品だとばれてしまったようだ。
「ジュン!これよ!この味よ!前のミーディアムの淹れた紅茶と同じ味だわ!」
真紅は感動で目を潤ませる。
「すばらしいわ・・・ジュン、よくやったわね」

どうやら前のミーディアムは午後の紅茶でごまかしていたようだ。
毎回毎回、丁寧に紅茶を淹れるのは大変だからな・・・
僕は会ったこともない前のミーディアムに親近感を感じていた。

「真紅、これからは毎日その味の紅茶を淹れてあげるよ」

67 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/08(金) 21:42:15 ID:+od0OQKD
きらめく涙は星に風に乗り空を飾る月明かり雲に途切れても僕を照らす真直ぐなレールが嫌でがむしゃらに走り出した道は続く西へ東へ日はしずんでもきらめくなみだはほしに

68 :雛苺・飛行編:2006/09/09(土) 21:35:12 ID:TR1bdupa
水銀燈はその翼で空を自由に飛べる。
翠星石と蒼星石もカバンに乗ることで空を飛べる。
金糸雀さえも傘で風任せではあるが飛ぶことができる。

雛苺は飛べない。
「ヒナもお空を飛びたいの〜うらやましいの〜」
その願いを僕が叶えてあげるよ。

雛苺を川原に連れ出し、買っておいたペットボトルのコーラを与える。
1本・・・2本・・・3本・・・4本・・・
結局1.5リットルのコーラを12本も飲みやがったよ。
「けっぷ〜〜もうおなかいっぱいなの〜」
そうかそうか、良かったな。

「これを噛まずに飲み込んでごらん」
オブラートに包んだフリスク30粒を雛苺に食べさせる。

「うゆ!?おなかの中がシューシューするのよ」
今だ!すかさず雛苺を抱き上げて上下に激しくシェイクする。
「うぷっ〜〜気持ちわるいの〜」
雛苺を逆さにして手を離す。

次の瞬間・・・
「うぼぼぉぉぉ〜〜〜おえぇぇ〜〜!!!ぼぇぇ〜〜〜!!」
口からコーラを激しく噴出しながら雛苺が飛んだ!
あっという間に高度10メートルを超え、さらに飛ぶ。

やった!!成功だ!!雛苺ロケット!!

僕は大空に向かって叫ぶ。
「雛苺!!空を飛べて楽しいかい?」
口からコーラを吐きつつ飛ぶ雛苺が笑って手を振ったように見えた。
やがて雛苺はピンクの点のようになり見えなくなった。

3日後、オディールという人から国際電話がかかってきた。
どうやら雛苺は前の持ち主の孫の所まで飛んでいき、そこで楽しく暮らしているようだ。

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/09(土) 23:02:12 ID:rSng3DlU
雛苺   「そろそろジュンの所に帰りたいの〜」
オディール「わかったわ、今ペリエを買ってくるから待ってて」







安倍さん 「本日未明、日本の領空を何らかの飛翔体が・・・」

70 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/09(土) 23:18:46 ID:CJitZ49Y
間違って北朝鮮に落下。落ちた先には将軍様が・・・。

71 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/10(日) 00:33:36 ID:MKDOlSs1
キャラ名・〜編書いてるやつ、なにいきなり暴力的な作品になってるの?
デュードに感化されたか?

72 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/10(日) 14:26:40 ID:FXbch5au
忘れた頃に、薔薇乙女の「請求書」を送りつけられるマスター達

みっちゃん 「オリコ使える?・・・リボで」

73 :水銀燈・夏祭編:2006/09/12(火) 01:11:14 ID:YU3NthFJ
今日は楽しみにしていた夏祭りだ。
この村ではみんなで水銀燈様を祭っている社に行き、そこで夏祭りをする。

みんなでゾロゾロと神社への階段を登る、普段はうるさい子供たちもこの時ばかりは神妙な顔つきになる。
神社につくと水銀燈様が屋根の端に座ってこちらを見下ろしていた。
「ナムアミダブツ・・・ナムアミダブツ・・・」
婆ちゃんが水銀燈様に手を合わせて拝む。

村人全員が集まると村長さんが水銀燈様に声をかける。
「今年も水銀燈様のおかげで無事に過ごせました、お礼の宴をさせていただきます」
水銀燈様はプイッと横を向くが、しばらくすると屋根から降りてきて用意された席に座る。

選ばれた巫女さんたちが水銀燈様に甘酒を注ぎ、神主が来年の運勢等をお伺いする。
「今年の冬は大雪になりますでしょうか?」
「しらないわぁ、そんなこと」
「田上さんの嫁さんに子宝が授かったんですが、名前はいかがいたしましょう?」
「適当でいいわぁ、適当で」
「来年の田植えはいつごろにしたらいいでしょう?」
「いつもと同じでいいわぁ」
どうやら来年も何事もなく過ごせそうだ。

占いが終わると水銀燈様が邪気を払う舞を踊り、村民を祝福する。
「太郎、水銀燈様が踊りを見せてくださるき、しっかりみちょけ」
前の方に集まっていた大人たちが急にザワザワと騒ぎ始めた。
「ど、どうするべさ・・・」
「しっ、寝てるのを起こしたらタタリがあるべ」
どうやら水銀燈様は甘酒を飲みすぎて眠りこんでしまったらしい。
今年の邪気払いの舞はなしでいこうと村長さんが神主さんに耳打ちする。

主役の水銀燈様は眠ったままだがヤクルトとカラスの羽をお供えして来年の無病息災をお願いする。
子供たちは水銀燈様に願い事を書いたお札を納め家に帰り、大人たちは集会場に場所を移して一晩中飲み明かす。

次の日、家の外に出ると水銀燈様がフラフラと飛んでいた、二日酔いらしい。
大丈夫ですかと声をかけると照れくさそうに手を振って答えてくれた。


74 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/12(火) 21:08:12 ID:5j6Lme/h
ラスト2行の銀様に萌え

75 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/12(火) 23:25:47 ID:GrAs3ROc
もはやローゼンメイデンのキャラを使う必然性が皆無
虐待にchaos

これがrlkwfhdcb/c,f:BKB`krhtき7

76 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/13(水) 02:21:27 ID:P8IoydO4
chaosというより不思議空間

77 : ◆vJEPoEPHsA :2006/09/15(金) 17:53:43 ID:D2x/ZXwj
え〜と前スレが落ちてるのに気づいていませんでした。
という訳で、作業を完了しましたので確認をお願いします。
ttp://rinrin.saiin.net/~library/pukiwiki/
ttp://rinrin.saiin.net/~library/pukiwiki/index.php?%3A%A1%DA%8E%C9%8E%B0%8E%CF%8E%D9%A1%DB%A5%ED%A1%BC%A5%BC%A5%F3%A5%E1%A5%A4%A5%C7%A5%F3%A4%CESS%A5%B9%A5%EC%202%A1%DA%B0%EC%C8%CC%A1%DB


78 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/16(土) 01:47:55 ID:bfhSKYFM
>>77
ご苦労様〜

79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/16(土) 04:23:34 ID:I4iNFLba
乙カレーさん

80 :真紅・失恋編1:2006/09/17(日) 11:49:08 ID:oAG7hPvJ
「ジュン、はっきり言ってくれてかまわないのだわ」
「真紅と翠星石のどっちを選ぶかはっきりするですぅ」
2体の人形が腕組みをしながらジュンをにらみつける。
「真紅・・・ゴメン・・・」
真紅はジュンに振られてしまった。

ジュンはこれまでどおり一緒に暮らそうと言ってくれたが誇り高い真紅は受け入れられるはずもない。
ミーディアムを寝取られた人形として同じ屋根の下で翠星石と暮らせるわけがない。
真紅はトランクを引きずりながら桜田家を出て、行くあてもなく歩く。
(ジュンが私を捨てるはずがないのだわ、きっとすぐに追いかけてくるわ)
トボトボと歩く真紅に小雨が降りかかる。
(雨・・・どこかで雨宿りするのだわ)
雨が服に滲みて寒い、真紅の頬を濡らしているのは雨か涙か。


プルル・・・プルル・・・ガチャ
「はい、桜田です」
「私よ、真紅なのだわ。ジュンに代わってもらえるかしら」
ジュンに捨てられてから3ヶ月が経ったが真紅はいまだに諦めきれずにいた。
「・・・真紅ちゃん、もうジュン君は話したくないって」
「ジュンは翠星石に騙されているのだわ、少しだけ話がしたいのだわ」
振られた原因を自分に求めず、ジュンが騙されていると主張するのは高すぎる誇りのせいだろうか。
「真紅ちゃん、いいかげんみっともないよ。あきらめたほうが良いと思うの」
ガチャ・・・
ノリに電話を切られてしまった真紅は電話ボックスの床に座り込む。
(もう一度電話しようか・・・みっともない・・・薔薇乙女としての誇り・・・帰ろう・・・)

寒風の吹き荒ぶ中をねぐらにしている公園まで歩く。
(ジュン・・・どうして私を捨てたの・・・なぜ・・・)
真紅は近所の公園のトイレで暮らしていた、人形にとってホームレス生活は過酷である。
すでに服はあちこちがほつれ、砂埃が入りこんだ球体関節は軋みをあげる。
陽に晒された髪は色が薄くなり、ゼンマイには錆が浮きはじめていた。
ここまで落ちぶれていても真紅は新たなミーディアムを捜すことはしなかった。
(きっと翠星石がジュンの夢に入って操っているに違いないわ・・・)
ジュンのことを諦めきれないのは愛だろうか、それとも翠星石に対する嫉妬だろうか。
ミーディアムを失った真紅が翠星石に勝てるはずもなく、ただジュンの面影だけを追い続けていた。


81 :真紅・失恋編2:2006/09/17(日) 11:51:00 ID:oAG7hPvJ
翌朝、目覚めた真紅は自分でゼンマイのネジを巻く。
ジュンにゼンマイを巻いてもらっていた頃の記憶がよみがえり涙がこぼれる。
人目が無いのを確認して公園のゴミ箱を漁り、食べ物を手に入れる。
贅沢は言ってられない、腐ったコンビニ弁当でもあれば良いほうだ。
今日は幸いにもカビの生えたパンとリンゴの芯が捨てられていた、小さな両手で抱えてトイレに戻る。

「お!いいもん拾ったぞ!これ売れそうだ」
「シゲさん、古道具屋もってけば焼酎一本くらい買えるべ」
真紅がトイレに戻ると薄汚い作業着を着たホームレス二人が大声で騒いでいた。
(あ、あれは・・・私のトランク!!)
ホームレス達は真紅のトランクを乱暴に扱いながら持ち去ろうとする。
「ま、待つのだわ!それは私のトランクなのだわ!!」
真紅はホームレスのズボンを引っ張って返すように要求する。
「なんだ?このちっこいのは?俺が拾ったのは俺の物だ!」
小さな人形が自分より大きなトランクの所有権を主張したところで信用されるはずもない。
ホームレスはいつまでも手を離さない真紅に腹をたて、掴みあげる。
「返すのだわ!返すのだわ!」
真紅はホームレスの腕をポカポカ殴るが、殴られた方は気にする様子も無い。
「生意気な人形だ、ちょっと頭冷やせや!」
ホームレスはトイレの大便器に真紅を頭から突っ込むと足早に立ち去っていった。

30分後、ようやく大便器から抜け出した真紅は泣きながら公園の中を探し回る。
(ない・・・どこにもない・・・私のトランクが・・・)
すでに真紅のトランクは持ち去られ、中に入っていたマイカップや人工精霊も失った。
顔は涙と埃でグシャグシャになり、服も泥だらけ、体からは汚物の異臭が漂う。


82 :真紅・失恋編3:2006/09/17(日) 11:52:30 ID:oAG7hPvJ
真紅は水飲み場に向かい、顔の汚れを洗い落とす。
服も脱ぎ、足で踏んで洗うが服の汚れは容易には落ちない。
かつての鮮やかな紅色は失われ、ドス黒い赤色に茶色の油染みがあちこちにあるボロボロの服。
のそのそと服を着込んだ真紅の頭上に白い物が降ってきた。
「雪だわ・・・」

濡れたままの服を着た真紅には寒さが骨にまで滲み込む。
トイレの中で拾ってきた新聞紙を体に巻きつけるが震えが止まらない。
「寒いのだわ・・・寒いのだわ・・・」
濡れた服とコンクリートの床が容赦なく真紅の体温を奪っていく。
「このままでは凍死してしまうのだわ・・・」
すでにトイレの外には5cmほど雪が積もっていた、10cmも積もれば人形の真紅には身動きが取れなくなる。
助けを求めるためにトイレの外に出た、雪が降りそそぐ中を電話ボックス目指して歩き出す。
真紅の頭や肩に雪が降り積もっていく。

電話ボックスについた真紅は凍える手で桜田家の電話番号を押す。
「はい、桜田です。もしもし?」
思いがけず最初にジュンが電話口に出た、真紅はいきなりのことで声がでない。
「もしもし?・・・もしもし?」
ここで素直に助けを求めれば良かったのだが、プライドが邪魔をした。
「・・・・・・・・・巻きますか?巻きませんか?」
かすれた小さな声でまたミーディアムになることを求める。
「!?・・・真紅か!ふざけるな!いいかげんにしろ!」
ガチャ・・・

電話の受話器を抱えたまま真紅は涙をこぼす。
(ジュン・・・ジュンに名前を呼んでもらえたのだわ・・・)
今の真紅にはジュンに名前を呼んでもらえただけでも喜びを感じることができた。
再び受話器を取り、桜田家に電話をかける。
すぐに切られたが何度でもかけなおす、ポケットの小銭がなくなるまで。
ジュンにまた名前を呼んでもらうために。

翌朝、雪化粧で真っ白になった公園を小学生が通りかかった。
電話ボックスの床にボロキレのような物が転がっている、小学生はそれを掴みあげると調べ始めた。
「な〜んだ、壊れた人形か」
キレイ好きな小学生はそれをゴミ箱に放り込み、元気に学校に向かった。

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/17(日) 13:27:08 ID:OBNLq1YP
あの気高く美しい真紅がここまで落ちぶれるわけないのだわ!
まったくとんでもない文章を書くのね!
罰として真紅とジュンのラブラブ小説を書くのだわ。

84 :真紅・乞食王女編:2006/09/17(日) 14:15:51 ID:CCms8GZQ

「シゲさん、そろそろ缶集めの人達を集めて、夜が明けるまでに終わらせるのだわ」
「へい、真紅様に替わってキッチリ働かせますんで」
「タカさん、くれぐれも都内の缶には手を出させないで、県内だけよ」
「承知しました、奴等も真紅様のご意向に背くほど馬鹿じゃないでしょう」

「真紅様、いつまでもトイレ暮らしでは不便でしょう、自立支援住宅は
いつでも真紅様のために一部屋空けておりやす、どうかお引越しを」

「私はここでいいのだわ、私はローゼンメイデンの誇り高き第五ドール、幸せな乞食王女」








「真紅様、新入りが入りやした、最近多い親が死んで路頭に迷った引きこもり野郎です」
「真紅・・・久しぶりだね、僕だよ!あの時のことを謝りたいんだ、もういちど君と・・・」 

「真紅『様』よ・・・」

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/17(日) 19:17:14 ID:Wuo6VJIh
悔しいけど面白い

86 :ロマンシング・聖闘士銀ちゃん:2006/09/18(月) 00:52:41 ID:wwLu4zOD
有栖川大学病院

ここに入院してもう何年経つのか、もうめぐはそんなことは忘れてしまった。
ただ一つだけ言えることは、自分の命がもう幾許もないということである。
半年前、めぐはローゼンメイデンに第一ドールである水銀燈と契約を交わしていた。
彼女と一緒に過ごす時間はとても幸せで、めぐにとっての天使だった。
だが、めぐは水銀燈がどれだけ自分を想ってくれているか知りたいというささやかな
欲望にかられていた。


「・・最近、水銀燈来ないな・・・」
病室の窓から見える見慣れた風景を見ながら、めぐは呟いた。
確かにここ数日、水銀燈に会っていない。だがそれはめぐだけのことで実際には、
めぐが眠っているときに水銀燈はめぐを心配して来ていたのである。
だが会話がないというのはめぐにとって淋しいことだった。
「・・・え?」
大きな木に視線を移しためぐが小さな驚きの声をあげる。
そこにいたのはタキシードを着たウサギの姿、そのウサギはめぐと視線が合うと
病室の窓まで飛んできたのだった。
「こんにちはお嬢さん、ずいぶんと退屈しているようですね」
「・・・あなたは誰?」
「フフフ、わたしはあなた、あなたはわたし、退屈は多忙・・・なにやら
悩みがあるようですね」
ラプラスの魔の問いかけにめぐは答えない。さらにラプラスは言葉を続ける。
「一番目のお人形は、貴女をどう想っているのか?試してみたくはありませんか?」
「ど、どういうこと」
かろうじてそれだけ口にするめぐだったが、その目は好奇に満ちていた。
「つまり彼女―水銀燈を試すのです。彼女がどこまで貴女のために行動するのかを」
「できるのそんなこと?」
問い返すめぐに対し、ラプラスは頷いてその秘策をめぐに耳打ちする。
「そうね、やってみるわ」
積極的に賛成し、小悪魔のような笑顔をみせるめぐ。
「楽しき宴の始まり、じっくり見物すると致しましょう」
ラプラスはそう言い残すと病室より消えていった。



87 :ロマンシング・聖闘士銀ちゃん:2006/09/18(月) 00:53:31 ID:wwLu4zOD
翌日の夜
めぐは水銀燈が現れるのをずっと待っていた。彼女が来るのは深夜であることを
ラプラスから聞かされていたから、10時まで眠り、それからは水銀燈が来るのを
見計らっていた。
「・・・もうそろそろかな」
めぐが呟くと、はたして水銀燈の気配がした。めぐはラプラスの指示通りに行動を開始した。突然激しく苦しみだし、水銀燈の名前を呼ぶ。
「め、めぐ、どうしたの?!」
もがき苦しむめぐに、水銀燈はあわててめぐの側に飛び出しグッと手を握る。
「・・・す、水銀燈、わ、わたしもうダメかも・・・」
手を握る水銀燈を見つめめぐは答えた。
「ダ、ダメよ!しっかりしてめぐぅ!!」
いつもの水銀燈ではない。ミーディアムを大事にし守りたいと思う水銀燈の
初めて見せる表情だった。
「フフフ、なにやらお困りのようですね」
声がする方を水銀燈は振り返る。そこにいきなり現れた道化のウサギを水銀燈は
睨みつけた。
「その彼女を助けたいですか?ありますよ方法なら」
「何ですって!」
「聞きたいですか?その方法」
「もったいつけないで早く言いなさい!その毛をむしり取ってやるわよ!」
「フフフ、相も代わらず、お気の強い。まあいいでしょう、彼女の病を和らげる
アイテムをお教えしましょう」
それからラプラスは長々と必要なアイテムについて語り始めた。
「というわけで、必要なアイテムは金糸雀の傘、翠星石のレース、蒼星石の帽子、
真紅のヘッドドレス、雛苺のリボン、そして薔薇水晶の眼帯、この6つのアイテム
が揃えば貴女の大事なミーディアムは助かります」
「ふざけないで!どうしてそんなものでめぐが助かるのよ!!」
からかわれていると思った水銀燈がラプラスに食ってかかる。
「別にふざけてなどおりません。ローゼンメイデンの身に付けるものには、
それなりの力が与えられているのです。貴女はお父様をお信じにならないのですか」
「・・・お父様」
ローゼンのことを持ち出されては水銀燈には返す言葉がない。だが水銀燈は
ラプラスを睨みつけ、もう一度念押しした。
「本当なんでしょうね。その言葉」
「勿論です。貴女の健闘をお祈りいたしますよ」
そう言ってラプラスは姿を消した。水銀燈はめぐを見つめ、固く誓った。
「待ってて、めぐ、必ずわたしが助けてみせるわ」



88 :ロマンシング・聖闘士銀ちゃん:2006/09/18(月) 00:54:18 ID:wwLu4zOD
VS 金糸雀
水銀燈のめぐ救出の戦いの火蓋は切って落とされた。まずは第一の関門、金糸雀の
持つ傘をターゲットにする。
都内の某マンションに潜入し、様子を窺う。そこに金糸雀はいた。
「見つけたわぁ、金糸雀、貴女のその傘、必ず奪ってみせる!」
金糸雀をロックオンして、一気に部屋に侵入しようとする水銀燈、だがそこには
大きな蹉跌が待ち構えていた。
「きゃあぁぁぁぁぁ!!この子可愛いぃぃぃぃ!!!」
水銀燈を見つけたみっちゃんがダッシュで駆け出し、水銀燈を捕獲する。
「貴女もローゼンメイデンなのね!もう早速、着せ替えしなきゃ!それでそれで
いっぱい写真もとらなきゃあぁぁぁぁ!!!」
バーサーカーのように水銀燈へのハグをやめないみっちゃん。熊をも絞め殺す
かのような凄まじい攻撃に水銀燈は苦しんだ。
「こ、こんなところでやられてたまるものか」
水銀燈の小宇宙が高まり、みっちゃんの腕から脱出する。
「ハァハァ、これで終わりよ!」
みっちゃんの延髄に強力なキックをかまして失神させる。倒れるときもみっちゃんは
恍惚の表情を崩さなかったという。合掌・・・。


「あぁ!みっちゃん!みっちゃん!しっかりするかしらー!!」
騒ぎを聞きつけた金糸雀がみっちゃんに駆け寄る。
「ひどいかしら!なんてことするのかしら!」
金糸雀は水銀燈に向き直り、戦う決意を固める。
「金糸雀、貴女の傘、めぐのために頂いていくわぁ」
水銀燈も戦闘準備をして金糸雀と対峙する。
「絶対に許さないかしら!!みっちゃんの弔い合戦かしら!」(←死んでないって)
金糸雀はバイオリンを奏で始める。
「いくかしら!水銀燈!デッドエンドシンフォニーかしらぁぁぁ!!!」
強力な音波攻撃が水銀燈を襲う。
「何このメロディー、身体が、力が抜けていく・・・」
「かかったわね水銀燈、もう貴女は力が半減してしまったかしら」
金糸雀の音波攻撃にめげず、何度か攻撃を仕掛ける水銀燈であったが、
その攻撃はことごとく金糸雀にかわされていた。
「・・聞いちゃダメ、この音を聞いちゃダメ・・」
水銀燈は耳を塞ぎ、音を遮断しようとする。
「無駄無駄無駄ァァァかしら!!その音は貴女の脳波に直接響くかしら!」
膝をつき、倒れかける水銀燈、だがそのとき、めぐの意識がローザミスティカを
通じて流れ込んだ。
(水銀燈、貴女はお人形。だから脳なんてものは存在しないわ。だからそんな
まやかしに騙されてはダメ、今こそ金糸雀を倒して・・・)
「!!っく、めぐぅ!!!」
水銀燈はめぐの名前を叫び、雄々しく立ち上がる。
「な、なにかしら、す、水銀燈の小宇宙が高まっていくかしらぁぁ!!」
水銀燈からの凄まじい小宇宙を感じた金糸雀が後ずさる。
「わたしは、わたしは、こんなところで負けるわけにはいかないわぁぁぁ!!」
金糸雀の音波攻撃を撥ね返し、金糸雀に詰め寄っていく。
「いくわよ金糸雀、ブラックウィングアロー!!」(←勝手に命名しました)
無数の黒い羽根が光速の矢となって金糸雀を襲う。
「ひぃぃぃぃぃ!!やられちゃったかしらぁぁぁぁ!!!!」
金糸雀は吹っ飛んで、みっちゃんの隣に倒れた。
水銀燈の勝利が決まった。技の力がアップ、HPがアップ、金糸雀の傘をゲット!
「・・や、やったわ。まずは1つ。あとアイテムは5つ・・・」
水銀燈は金糸雀の傘を奪いそのままマンションを立ち去っていった。




89 :ロマンシング・聖闘士銀ちゃん:2006/09/18(月) 00:55:20 ID:wwLu4zOD
VS 蒼星石
金糸雀との戦闘のダメージも癒えぬまま、水銀燈は次の目的地へと向かう。
めぐが苦しんでいる今、残された時間はあまりなかった。
柴崎時計店、水銀燈にとってある程度、見知っている所である。だが状況は
以前訪れたときとは全くというほど違っていた。
「たしかこっちの部屋だったはず・・・」
水銀燈は記憶の糸をたどり、蒼星石のいる部屋へと近づく。
「何をしとる!」
厳しい言葉が発せられ、水銀燈は声の主の方を向く。
柴崎元治、それが彼の名だった。
「あらぁ、おじいさんお元気ぃ。ちゃんと乳酸菌摂ってるぅ?」
嘲るような水銀燈に対し、元治はいきなりほうきで襲い掛かってきた。
「ダメよ、おじいさん、おとなしくしてなきゃ」
さすがに老人を本気で殴る気も起こらず、水銀燈は一瞬で片付けるつもりだった。
“ドボッ!”
元治の鳩尾に水銀燈のパンチが入る。これで気を失って倒れるはずであった。
「ん〜、今何かしたかね」
不気味に笑い元治は水銀燈をほうきで振り払う。
「な、なによ、棺桶に半分足を突っ込んでるから感覚がないわけぇ」
ゾンビといっしょじゃないか!こうなれば完全に止まってしまうまで攻撃するしかない。
だが元治の攻撃はさらに速さと激しさを増し、水銀燈を追い込んでいった。
「こんな年寄りにこんなに苦戦するなんて」
水銀燈は自嘲しながらも必死に元治の攻撃をかわしていた。
「むぅ、とどめじゃー!」
廊下の角に水銀燈を追い込んだ元治がとどめの一撃を振り下ろす。絶体絶命の
水銀燈の頭上に電球が閃いた。
「ナイアガラバスター!!!」
水銀燈は咄嗟に元治を持ち上げると垂直落下で頭から落としていった。
強烈な大技を喰らい元治はそのまま動かなくなった。
「い、いまの技は?」
咄嗟に出した必殺技に水銀燈自身が驚いていた。だがこれで終わったわけではない。
水銀燈はそれを思い出すとターゲットの元へと進んでいった。



90 :ロマンシング・聖闘士銀ちゃん:2006/09/18(月) 00:57:08 ID:wwLu4zOD
「来たね、水銀燈」
蒼星石は予め知っていたかのように言った。
「蒼星石、貴女のその帽子頂いていくわ」
「帽子?ローザミスティカじゃなくて?」
「そうよ、貴女のローザミスティカなんていつでも取れるわ」
自信満々、内心は不安だらけで水銀燈は答える。
「そう、だったらこの全てを切り裂く聖剣もとい聖鋏で相手しよう」
蒼星石が鋏を構え、水銀燈に襲い掛かる。蒼星石の繰り出すその鋏の
剣圧もとい鋏圧で触れてもいないのに水銀燈のドレスが切り裂かれていった。
「遅い!!」
蒼星石は水銀燈の動きを読みきって攻撃を仕掛けている。水銀燈も羽根から創りあげた
剣を持って戦っていたが太刀筋において蒼星石が勝っていた。
“カキーンッ!!”
水銀燈の剣が蒼星石の鋏に弾き飛ばされる。蒼星石は鋏を水銀燈の眼前に突きつけた。
「勝負ありだね。潔くここで散るといい」
蒼星石が鋏を頭上に掲げて一気に振り下ろす。
“バシィッ!!”
「な、こ、これは・・・」
鋏を受け止められた蒼星石が驚きの声をあげる。
「真剣白刃取り、わたしたちのミーディアムの国に伝わる武芸よぉ」
水銀燈は真剣白刃取りの型のまま、蒼星石に強烈なキックを見舞う。
「くっ!やるね水銀燈、でももうそんな芸当はできないよ」
蒼星石は鋏を何度も抜刀乱舞させ、その剣圧ならぬ鋏圧で水銀燈を追い詰めていく。
「うっ!ぐっ!あぁぁぁぁぁ!!!」
蒼星石の猛攻に水銀燈の命はもはや風前の灯火状態となった。
(水銀燈、負けちゃダメよ!水銀燈!!)
ハッと我に返る水銀燈、そうここで倒れてはいけないのだ!
水銀燈の不屈の闘志が心の小宇宙が奇跡を起こす。
「いけ!黒龍波ッーーー!!!」(←これも勝手に命名)
水銀燈の翼が黒い龍となり、蒼星石に襲い掛かる。
「うっ!うわ〜〜〜〜〜!!!」
蒼星石はその技をまともに喰らいK.Oした。
「ハァハァ、勝った。ようやく勝った・・・・」
水銀燈は苦戦の末、なんとか蒼星石を倒した。
各種ステータスがレベルアップし、蒼星石の帽子を手に入れた。
だが負ったダメージはあまりに大きく水銀燈はその場に倒れ伏してしまった。
頑張れ水銀燈!立て!立つんだ水銀燈ォォォォ!!!!



91 :ロマンシング・聖闘士銀ちゃん:2006/09/18(月) 00:59:33 ID:wwLu4zOD
続きはまた今度。

>>84
GJ!!
よくネタを思いつきますね。
すごいです。

92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/18(月) 02:29:55 ID:kJGPvEnP
>な、なによ、棺桶に半分足を突っ込んでるから感覚がないわけぇ

何気に面白い台詞だとオモタ
続き頑張って

93 :薔薇乙女危機一髪 1:2006/09/18(月) 10:21:39 ID:qJCh9SWk
それは何の前触れも無く突然起こった。ジュンが倒れたのだ。それだけではない。
のりや巴、また家の外を歩いていた通行人や猫にいたるまで、次々に人が倒れて行った。
「ジュン!?一体どうしたのだわ!」
突如発生した不可解な事件に真紅は戸惑った。そしてさらに彼女は気付く。
「雛苺と翠星石がいない!?」
さっきまで直ぐ隣でテレビを見ていたはずの雛苺と翠星石までいなくなっていた。
「これは一体どういう事!?」
真紅はワケが分からなかった。しかし、何とか紅茶を飲んで落ち着かせようとしていた。
と、その時だった。何者かが真紅の目の前に現れたのである。
「あ!貴女は!薔薇水晶!生きていたの!?」
薔薇水晶。ローゼンの弟子である槐が薔薇乙女を超える存在として作った薔薇乙女のレプリカ。
だがその強さは一級品であり、ローザミスティカを6つも取り込む事に成功した事がある。
とはいえその6つのローザミスティカの生み出す力に耐え切れず自壊し、その後行方不明になって
しまったはずだったのだが・・・。
「私は薔薇水晶では無い・・・。私の名前は真・薔薇水晶。」
「でも特に変わったようには思えないのだわ。それに真なんて私の名前と被るのだわ、訂正なさい!」
真紅はツインテールを振り、薔薇水晶を叩こうとした。だが、それより先に真紅が目に見えない力に
襲われ、壁に叩き付けられてしまった。
「な!?」
「真・薔薇水晶は今までの薔薇水晶とは違う・・・。」
確かに名前に「真」が付くだけの事はあった。真・薔薇水晶は薔薇水晶に比べて遥かに
パワーアップしていたのだ。だが、それだけではない。真・薔薇水晶には恐るべき秘密があった。
「既に貴女以外の全ては私の物になった。残るは貴女だけ。」
「え!?それはまさか・・・。はっ!!」
真・薔薇水晶の全身が輝きを発した。その輝きは真紅にとって見覚えがある物。そう、それこそ
薔薇乙女の命とも呼べるローザミスティカの輝きだった。
「まさか雛苺や翠星石がいなくなったのは・・・。」
「私は強くなった。あの時はこの力に耐えられなかったのに、今はなんとも無いのだから。」
一体どういう手を使ったのかは分からない。だが、真・薔薇水晶は真紅のそれを除いた全ての
ローザミスティカを手に入れ、しかもその力にさえ屈しない耐久力さえ手に入れていたのだ。
「この分だと水銀燈や金糸雀のローザミスティカも・・・、後は私の物を手に入れて
アリスになろうと言う魂胆ね?」
「いいえ、私はアリスにはならない。」
「え!?」
真・薔薇水晶の口から出た意外な言葉。そして彼女はこう続けた。
「私はアリスを超える存在になる。貴女以外の全てのローザミスティカを手に入れたのは
所詮通過点に過ぎない。そして私はこの世界の全てを手に入れ、アリスを遥かに超越した存在となる。」
「アリスを・・・超える・・・。」

94 :薔薇乙女危機一髪 2:2006/09/18(月) 10:22:32 ID:qJCh9SWk
真紅は愕然とした。真紅は、いや、恐らく薔薇乙女全てにそのような発想は無かったからだ。
彼女等にとってアリスこそがこの世で最も至高な存在であり、アリスを目指す事が薔薇乙女の
本分と考えていた。だが、真・薔薇水晶はさらに上の高みを目指していたのである。
「まさか・・・ジュン達が倒れたのも・・・。」
「そう、貴女を除く全ての人の力を、いやこの周囲一帯に存在する全ての力をも私は手に入れた。
でも大丈夫。皆死んでいるワケでは無いから。もっとも、目は覚まさないでしょうが・・・。」
「ジュン達を元に戻しなさい!」
真紅は真・薔薇水晶に飛びかかった。しかし、容易くあしらわれ、また壁に叩き付けられてしまった。
「痛・・・。」
「今日はこれで帰るから。また何か用があればnのフィールドでまた会いましょう。」
「な・・・何故私のローザミスティカを奪わない?」
「一人くらい敵がいないと面白くないから。幾ら力を手に入れても、それを磨かなければ
アリスを超える事は出来ない。そう、貴女をあえて残したのは、私がアリスを超える存在となる為の
踏み台とする為。今の状況から考えて、貴女は私に取り込まれた者達を解放する為に
どんな手を使ってでも私を倒さなければならない。そして私はそれを何度でも阻止する。
貴女は私の練習相手。この後永劫たった一人で生きていきたくなければ、精々頑張りなさい。
凶器を使っても、どんな卑怯な手を使っても私は構わないから。精々楽しみましょう。」
そう言って真・薔薇水晶は消えた。だが、真紅はその場から動けなかった。
真・薔薇水晶の恐ろしい計画に恐怖していたからだ。
「そんな・・・、あんな化物とどう戦えば・・・、でも彼女を倒さないと皆は戻ってこないし・・・一体どうすれば!」
真紅はその場で頭を抱えた。真・薔薇水晶は確かに恐ろしい。しかし何よりもこのまま
皆が目が覚めず一人ぼっちのままで生きなければならないと言う事の方が遥かに恐ろしかった。

それから一時後、真紅は暗い部屋の中、ホーリエの発するかすかな光の中で紅茶を飲んでいた。
電気は付かない。真・薔薇水晶は本当に真紅以外の全ての力を奪い去ってしまったのだ。
そして真紅が呑んでいる紅茶も、ポットに残っていた少量のぬるま湯から真紅が自分で作った
お世辞にも美味しくない紅茶である。そして彼女の手は震えていた。
「まさか・・・孤独がこんなにも恐ろしいなんて思っても見なかったのだわ・・・。」
真紅の目に涙が浮かんでいた。確かに暗闇は真紅にとって恐ろしい物だが、今はそれさえも
気にならなくなる程の、「孤独」と言う名の恐怖に真紅は襲われていた。
「このまま彼女を倒さなかったら、私は永劫孤独のままなのだわ・・・。でも・・・怖いのだわ。
彼女は私以外の全てを奪ってしまった。そんな化物にどうやって勝てば・・・。」

そして真紅は二回に上がり、ジュンの部屋へと入る。ベッドの上ではジュンが寝ていた。
辛うじて息はしているが、ジュンは全く起きる気配が無かった。
「ジュン!起きなさい!」
真紅はジュンの顔に平手打ちを放った。しかしジュンは起きない。
「いい加減に起きなさいジュン!なんて世話の焼ける下僕なの!?」
真紅はジュンの顔に平手打ちを続けた。だが、何度やっても結果は同じだった。
次第に真紅の目に涙が浮かんでくる。
「ジュン・・・ジュン・・・起きなさい・・・いい加減に・・・ううう・・・。」
真紅はジュンに抱きついて泣きじゃくった。それでもジュンは目を覚まさない。
「ダメなのだわ・・・。こんな所で泣いていたのでは、ジュンやのりは目を覚まさない・・・。
でも・・・、真・薔薇水晶も恐ろしい・・・。」
真紅は葛藤していた。真・薔薇水晶を倒さなければジュンやその他は目を覚まさない。
だが、真・薔薇水晶の力は圧倒的で真紅の力で敵うようなレベルでは無い。
しかしそれでも真紅は戦う道を選んだ。
「ジュン・・・私に勇気を頂戴・・・あの化物にも立ち向かえる勇気を・・・。」
真紅は眠っているジュンの唇に口付けをした。
「ジュン・・・貴方には本当に酷い事を何度も言ったけど、何だかんだで貴方との生活は
楽しかったわ・・・、だから・・・だから私は命に代えても元の暮らしを取り戻してみせるのだわ。」
そういい残すと真紅はジュンのアルバムの中からジュンの写真を一枚取り出してドレスの中に
入れた。せめてこうする事でジュンと一緒にいると言う暗示を自らにかけようとしたのである。
そして真紅はnのフィールドへ向かった。目的はただ一つ、真・薔薇水晶を倒す事。

95 :93:2006/09/18(月) 10:24:54 ID:qJCh9SWk
>>83
泣いた。可哀想過ぎて泣いた。

>>86
目的や意味はどうあれ、ヘッドドレスやら帽子やらと取るという展開が
斬新だと思った。

96 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/18(月) 16:19:24 ID:3zi7sJgg
評価はDだね。

97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/18(月) 22:01:48 ID:4hz03pNA
>>94 早く続き早く

98 :真紅・失恋編3:2006/09/18(月) 22:37:06 ID:RZbEQdLd
>>93
>>86
書く人が自分だけになったかと不安になってた
まだいてくれて安心した、続き楽しみにしてます

まとめて書けって言う人いるけど最近ペース遅いから連載でもいいかもしれない

>>84書いたのは別の人なんでよろしく

99 :薔薇乙女危機一髪 3:2006/09/19(火) 21:52:18 ID:Q4+dq041
nのフィールドに到着した真紅が最初に見た物は、変色した世界樹だった。
枯れてはいないが、精気が感じられなかった。
「世界樹にも影響が出ているなんて・・・、本当に何もかも奪われてしまったのだわ・・・。」
この世とnのフィールドは表裏一体。片方に何かがあれば、もう片方にも影響が現れる。
世界樹の変質が何よりの証拠だった。

「思ったより早かったのね。」
「絶対に皆を元に戻してみせるのだわ・・・。」
真紅は勇気を振り絞って真・薔薇水晶に向かっていった。だが、真・薔薇水晶は強く
片手であしらわれた。それだけではない。真・薔薇水晶は自らが取り込んだ他の薔薇乙女の
能力を完全に自分の物としていたのである。金糸雀のバイオリン攻撃で真紅を怯ませた後、
翠星石の庭師の如雨露で太く強靭にした雛苺の苺の蔓で真紅を雁字搦めにし、
さらに蒼星石の庭師の鋏と水銀燈の羽で真紅の全身を切り裂いた。だが、その傷は浅かった。
確かにその気になれば真紅を倒す事など容易いだろう。しかし、簡単に終わっては面白くない。
故にわざと傷を浅く抑えていたのである。
「こんな程度では私の経験にはならない。もっと腕を磨きなさい。」
真・薔薇水晶は真紅を束縛する蔓を解いた。しかし、真紅は真・薔薇水晶の脚に
しがみ付いて来たのだった。
「何をする!?」
「あえて攻撃を浅く抑えたのが間違いだった事を思い知らせてあげるのだわ!」
いくら真紅の傷が浅いとは言え、全身が切り刻まれており、その痛みは相当な物である。
だが真紅は真・薔薇水晶の脚にしがみ付いたまま離さなかった。
「(真・薔薇水晶の圧倒的な力を正面から無理に倒そうと考えていたから、その難題さに一度
勝負を投げかけてしまった。何事も積み重ねなのだわ。まずは片膝を付かせる事から始めるのだわ。
そうすれば、いずれは地面に倒す事だって出来るはずだわ!)」
真紅の顔に恐怖は無かった。むしろ悩みを吹っ切った清々しい顔をしていた。
「離しなさい。」
だが力の差は圧倒的。真・薔薇水晶は片手で真紅を持ち上げ、投げ飛ばした。
頭から地面に叩き付けられた真紅だが、それでも起き上がり、真・薔薇水晶の脚に組み付いた。
「見苦しい。いい加減似なさい。」
真・薔薇水晶は庭師の鋏で真紅を殴り飛ばし、さらに水銀燈の羽が追い討ちをかけて
真紅の全身を切り裂いていく。そして地面に叩き付けられた真紅は今度こそ立ち上がれなかった。
「もう・・・だめなのだわ・・・。」
真紅は意識が朦朧としてきた。しかしその時だった。
「負けるな真紅!何時も僕をひっぱたいていた時のような強気の真紅に戻ってあんな奴やっつけろよ!」
「え・・・?ジュン・・・?」
真紅は信じられなかった。真・薔薇水晶に力を吸い取られ、眠っていたはずのジュンが目の前にいたのだから。
「ジュン・・・貴方・・・眠っていたのでは・・・。」
「馬鹿!お前がたった一人で戦ってるのにおちおち眠ってられるか!」
「嘘・・・完全に力を奪い去って眠りから覚めないはず・・・まさか自分の力で意識を取り戻したと言うの?」
その時、真紅はもう一つの異変を感じた。真・薔薇水晶に力を吸い取られ、精気が失われていた
世界樹の精気が徐々に蘇り始めていたのだ。
「世界樹が・・・、ジュンもそうだけど・・・、これは一体どういう事なのだわ!?」
「何故!?一体どうなっていると言うの!?」
真・薔薇水晶は予想外の事態にうろたえる。と、今度はさらに突然苦しみ始めたのだった。
「うぁ!な・・・全身が・・・痛い!」
「何だ!?」
「どうしたと言うの?」
その場でのた打ち回る真・薔薇水晶の姿に真紅とジュンは唖然としていた。
すると真・薔薇水晶の中から聞き覚えのある声が響いてきたのだった。

100 :薔薇乙女危機一髪 4:2006/09/19(火) 21:54:08 ID:Q4+dq041
『真紅なんかに助けられて借りを作るなんて私のプライドが許さないのよぉ。
だからお馬鹿さんの助けなんかいらない!自分の力でここから出てやるわぁ!』
『チビ人間にだって出来た事ですぅ。翠星石も自分の力でここから出てやるですぅ。』
『雛も頑張るのよー。』
『もうこんな所は二度と嫌かしらー。』
何という事か、真・薔薇水晶に取り込まれた姉妹達が内部から反抗を始めていたのだ。
そして内側からの攻撃が真・薔薇水晶の各機能を妨害し、苦痛を与えていた。
「今だ真紅!今ならアイツを倒せるはぞ!」
「そんなの一々言われなくても分かってるのだわ。全く煩い下僕ね。」
「なんだとぉ!?」
ジュンに対し素っ気無い言い方で返す真紅。しかし、その顔はどこか嬉しさが混じっており、
ジュンの方も真紅に対して怒りつつもまんざらでもない様な顔をしていた。
「取り込まれてもな戦っている姉妹達がいるのに・・・私が頑張らないワケにはいかないのだわ!
真・薔薇水晶!覚悟!」
真紅は苦しみのたうつ真・薔薇水晶に飛びかかり、顔面に絆パンチをお見舞いした。
たちまち吹っ飛ぶ真・薔薇水晶。さらに地面に倒れる前に真紅の第二発が腹に打ち込まれ、
若干浮き上がった所を下あごから上向きに、つまりアッパーの体勢で殴り飛ばされた。
「そ・・・そんな・・・貴女の何処にそんな力が・・・。」
「私には普段使う力とは別に、危機に陥った時にだけ働く力があるのだわ。例え体力が無くとも
気力で働く力が・・・。それが絆だと言うのよ!」
再度真紅は真・薔薇水晶を殴り飛ばし、激しいラッシュを叩き込んだ。しかもそのスピードは
どんどんと上がっているでは無いか。忽ち真・薔薇水晶の全身に真紅の拳がめり込んでいく。
「くっ!調子に乗・・・うぁ!」
真・薔薇水晶は水晶を飛ばして真紅を貫こうとした。しかし、内部で暴れる他の薔薇乙女のせいで
本来の力が出せず、容易く弾かれてしまった。そしてなおも続く真紅の激しいラッシュ。
その間もどんどんとスピードは上がり、真紅の姿さえ見えなくなる程だった。
「さあアリス超えを目指す者よ!皆を元に戻しなさい!」
「こんな所で・・・こんな所で・・・うああああ!!」
外と内の両方から攻め立てられた真・薔薇水晶はついに限界を迎え、強い光を放つと共に朽ちて行った。
真・薔薇水晶に取り込まれていた他の姉妹のローザミスティカが飛び出し、それぞれ飛び去っていく。
本来の体に戻るのである。この様子ならば他の力を奪われた人々や町も元に戻るはずであろう。
「真・薔薇水晶・・・、貴女の敗因を教えてあげるわ。それは私以外の姉妹を取り込んだ事なのだわ。
だってそうでしょう?あ〜んな如何わしい姉妹の力なんて当てになるとお思・・・。」
「真紅!?」
突然真紅は倒こみ、思わずジュンが駆け寄った。真紅いわく、気力で働く絆の力ででなんとか戦って
いたのだから、体力は残っていないも同然なのである。無理も無い事だった。
「一体何がどうなってたのかわかんないけど、良く頑張ったな真紅・・・。」
ジュンは真紅を抱え上げ、歩き始めた。目指すはnのフィールド。
真・薔薇水晶が何故復活したのかは依然分からないままだが、とりあえずこれで一件落着。
出口の向こうの全ては元に戻っているだろう。ジュンは後で真紅のボロボロのドレスを直して、
暖かい紅茶を淹れてやろうと思った。

101 :薔薇乙女危機一髪 5:2006/09/19(火) 21:54:55 ID:Q4+dq041
真・薔薇水晶が負けた原因。それは大きく分けて二つある。まず第一に他の者の力を取り込む行為
そのものだろう。幾ら力を取り込むと言えど、殺しているワケではない。相手を生かした状態で
取り込まなければ、その力を自分の物に出来ないからである。それだけなら問題は無いが、
二つ目の理由として真紅一人を残した事、これがいけなかった。真紅を孤立させた事が
かえって真紅に「絆を大切にする心」を増幅させる結果となり、その真紅の頑張りに
触発され、真・薔薇水晶が取り込んだ者達が自らの力で内側からの抵抗を行う結果となった。
前述の通り、取り込まれた者は真・薔薇水晶の中で生きているのだから。
人に病気に対して自らの力で病気に打ち勝とうとする力が備わっている様に、彼らもまた
真・薔薇水晶の束縛から自らの力で逃れようと戦ったのである。
もっとも、これは真紅の頑張りと言う名の「きっかけ」が無ければ
この様な事は起こらなかったであろうが・・・。

他力本願ではアリスになる事も、アリスを超える事も出来ない。
大切なのは自分自身を自分自身の力で磨いていく事なのである。
真紅の大切にした絆も誰かに頼った物ではなく、自らの力で勝ち取った物なのだ。
確かに真・薔薇水晶に取り込まれた他の者達が内側からの抵抗を始めなければ
真紅は勝つ事は出来なかった。だが真紅は決してそれに頼ったワケでは無い。
他人に頼らず、あくまでも自分の力だけで真・薔薇水晶を倒そうとした勇気が
他の真・薔薇水晶に取り込まれた者達にも影響を与えたからに過ぎない。
皆が他人に頼らず、自らの力だけで何とかしようと努力した事が、
結果的に皆を救う事に繋がったのである。
友情や助け合いの精神も確かに大切である。しかし、それに頼りすぎてはいけない。
時には誰にも頼らず、自らの力だけで何とかしようとする心も大切なのである。
それが自分自身のみならず周囲を救う事にも繋がる事もあるのだから・・・。
                   おわり

102 :93:2006/09/19(火) 22:02:17 ID:Q4+dq041
いきなり評価Dとか言われた時はそのままぶっ倒れるかと思ったけど
とりあえず最後まで書いてみたとよ。

あと、こんな事書いていいのかわかんないけど、この話って
劇場版キン肉マン「ニューヨーク危機一髪!」のオマージュだったりする。
内容としてはこんな感じ。
ttp://www.obi.ne.jp/~terry/story/ny.html

トロイメントの薔薇水晶の最期がどうもこれの復活悪魔将軍と被ると思っていたから
(まあ取り込んだはいいけど、そのエネルギーに耐えられずに自壊ってネタは他にも沢山あるんだけど)
こんな話を作ってみた。今も反省していない。

103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/20(水) 01:34:14 ID:RyH9yKli
倒れるなよw

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/20(水) 16:09:46 ID:X74shVVO
A〜Zまでの26段階評価でDですよ

105 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/20(水) 21:48:52 ID:vx5tuw8J
>劇場版キン肉マン
「私には普段使う力とは別に、危機に陥った時にだけ働く力があるのだわ」
の時点で、火事場のバカ力を思い出したよ。お互いいい年だな。
読んでいて気分が悪くなるものじゃなし、別に問題ない。

106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/21(木) 23:14:26 ID:xVo5cG70
最近の投下物を全てスルーしているオレは勝ち組

107 :さようなら。そしてお帰りなさい。 1:2006/09/22(金) 22:40:59 ID:DFzUHq3a
大きな戦いがあった。nのフィールドに突如発生した異変。放っておけばこちらの世界にも
絶大な影響を及ぼしかねない大きな異変があった。その異変を阻止する為に薔薇乙女が立ち向かった。
壮絶な激闘の果てに、薔薇乙女達はその異変を阻止する事に成功した。だが、払った代償も大きかった。
「真紅!しっかりしろ!真紅!」
薔薇乙女第5ドール、真紅。彼女はその戦いで瀕死の重傷を負った。彼女のマスターであるジュンが
グッタリとしている真紅を抱きかかえ、必死に励まそうとするが彼女からは精気が徐々に抜けていく。
そして彼女のローザミスティカの輝きが失われ、どす黒く変色していた。
「おい!何とかならないのか!?」
「ダメです・・・。ローザミスティカの輝きが失われるなんて・・・こんなの初めてですぅ・・・。」
「・・・。」
ジュンと共に真紅を見守る他の薔薇乙女達もお手上げと言う状況だった。
第3ドール翠星石が言った通り、ローザミスティカの輝きが失われ、さらにはどす黒く変色して
しまうなど、今まで無かった事だからである。
「真紅・・・死んじゃうの・・・?そんなの嫌なのよ・・・。」
「縁起でもない事言うな!それにドールに死は無いんだろぉ!?」
「ハイですぅ。確かにドールに死は無いですぅ。でも・・・でも・・・これが死以外の何と呼べば・・・。」
「くそっ!何も出来ないのか僕は!」
何をやっても無駄だった。真紅の背中のネジを回しても、くんくんのぬいぐるみで釣って
真紅の自立的回復を促す作戦も、花丸ハンバーグを持って来ても、何もかも無駄だった。
そして徐々に真紅の体力は失われ、呼吸の間隔も少なくなっていた。
「ジュ・・・ン・・・。」
「真紅!?」
真紅がかすかではあるが口を開いた。しかしやはり精気が感じられなかった。
「ジュン・・・何処にいるの・・・?」
「お前・・・目が・・・。」
皆は愕然としていた。ローザミスティカの輝きの喪失に伴い、真紅の目の色も変色していたのである。
そして彼女の口ぶりからすれば、もしかすると既に視力は失われているかもしれなかった。
「真紅!僕はここにいるよ!翠星石と雛苺もいるよ!」
「そうですぅ!」
「そうなのよ!」
「(あれぇ!?ひょっとして僕忘れられてる!?)」
約一名ショックを受けている者がいたが、真紅はかすかに微笑んでいた。
「ありがとう・・・。ジュン・・・最後に言いたい事が・・・あるのだわ・・・。」
「最後!?何を言うんだ!お前の皮膚のツヤだって失われて無いし、大丈夫だよ!助かるよ!」
「ジュン・・・、やっぱり貴方は励まし方が下手だわ・・・。でも嬉しいわ・・・。」
真紅はかすかに微笑む。だが、それが逆にジュン達により涙を流させる結果となった。
「ジュン・・・、今までありがとうなのだわ・・・。そして・・・今まで色々迷惑かけてごめんなさい・・・。」
「馬鹿!謝るなよ!お前らしくないよ!何時もの強気の真紅に戻って本当どうしようも
無い馬鹿な下僕なのだわとか言えよ!」
「チビ人間の言う通りですぅ!」
「そんなの真紅じゃないのよ!」
皆は必死に真紅を励まそうとするが、それでも真紅の力は少しずつ失われていた。
「もう・・・私もここまでなのだわ・・・。翠星石も雛苺も・・・今までありがとう・・・。
アリスになれないのも、お父様に会えなくなるのは名残惜しいけど、これはこれで楽しかったのだわ・・・。」
「(うわぁ!やっぱり僕の事忘れられてるよぉ!)」
やっぱり役一名ショックを受けている者もいたが、ジュンは真紅の体を揺さぶった。

108 :さようなら。そしてお帰りなさい。 2:2006/09/22(金) 22:42:44 ID:DFzUHq3a
「弱気になるな!お前は死なない!僕が保障する!」
「ありがとうジュン・・・嘘でも・・・嬉しいのだわ・・・。」
「嘘じゃない!嘘じゃないぃぃぃ!」
ジュンは真紅を抱きかかえたまま叫んだ。だからと言って真紅の体力が回復するワケは無かった。
「翠星石・・・雛苺・・・、そしてジュン・・・今までありがとうなのだわ・・・。
もしこの後、私が何か別の物に生まれ変わると言う事があるならば・・・、ジュン・・・
その時は貴方の子供に生まれ変わりたいのだわ・・・。」
「馬鹿!そんな事言うな!第一子供なんて・・・!?真紅!?真紅!?真紅!?」
真紅は返事をせず、完全に動かなくなっていた。そして彼女のローザミスティカもまた
完全に赤い輝きが失われ、真っ黒いただの石ころへと姿を変えていた。
「し・・・真紅ぅぅぅぅぅ!!」
「うわぁぁぁんですぅ!」
「そんな・・・嫌なのよぉ!」
真紅の亡骸を抱え、皆は号泣した。と、その時だった。三人に来訪者が現れたのだ。
「あ〜ら〜、お馬鹿さん三人で何泣いてるのぉ?」
「(やっぱり僕数に入ってないよ!無視されてるの!?)」
それは薔薇乙女第1ドールの水銀燈だった。そして彼女は三人をあざ笑うかのような目で見下ろしていた。
「あらぁ?真紅・・・貴女死んじゃったのねぇ?アハハハ!ほんとどうしようもないお馬鹿さんねぇ!」
水銀燈はその場で腹を抱えて笑っていた。
「今更ノコノコやって来て何するつもりですか水銀燈!」
「真紅のローザミスティカを取っちゃうつもりなの!?」
「はぁ?冗談!そんなどす黒く変色した石っころ何て取り込んだらこっちの体まで
腐っちゃうかもしれないじゃなぁい!そんなの私はごめんよぉ!」
そう突っぱねると水銀燈はその場から飛び去った。彼女の態度に翠星石と雛苺は激怒した。
「今日こそは許せんです水銀燈!今直ぐ追って謝らせるですぅ!」
「そうなのよ!私達二人で戦えばなんとかなるのよ!」
「(あの〜・・・、僕の事忘れないで〜・・・。)」
翠星石と雛苺は直ぐに水銀燈を追撃しようとした。しかし、ジュンがそれを止める。
「やめろ二人とも!」
「何でですかチビ人間!」
「そうなのよ!水銀燈は真紅を馬鹿にしたのよ!」
「お前等は気付かなかったのか?立ち去る時のアイツ・・・泣いてたんだぞ・・・。」
「え!?」
二人は硬直した。と同時に信じられなかった。あの水銀燈が他人の為に涙を流すなどと
考えられなかったからである。
「それは何かの見間違いですぅ!水銀燈がそんな事するワケ無いですぅ!」
「そうなのよ!きっと目にゴミが入っただけかもしれないのよ!」
「嫌・・・あれは確実に泣いてた・・・。そりゃあ僕は真紅とアイツが今まで何をやって来たのは知らない・・・。
けど、ちょくちょくああやってちょっかいかけていたって事は、結構まんざらでも無かったって事だろ?」
「・・・。」

その頃、桜田家から遠く離れた一つのビルの屋上で水銀燈が一人月を眺めていた。
「真紅のお馬鹿さぁん・・・。本当に死んじゃうなんて・・・本当どうしようもないお馬鹿さんねぇ・・・。」
相変わらずの酷い言い様。だが、彼女の目からは大粒の涙があふれ出ていた。
「真紅の馬鹿ぁ!何で死んじゃうのよぉ!薔薇乙女が一人でも欠ければアリスにはなれないと言うのに!」
真紅が死んでしまった事を最も悲しんでいたのは水銀燈だったのである。
アリスゲームに敗れたドールはローザミスティカを勝ったドールに奪われる。
だが、死ぬワケでは無い。そのローザミスティカは勝ったドールの中で生き続けるのである。
そしてアリスになる事に最も固執し、その為には様々な悪行にも手を染めて来た水銀燈。
だがそれは考え方を変えれば、最も他の姉妹を愛していたが故の行為だったのかもしもしれない。
他の姉妹のローザミスティカを自分自身に取り込むと言う事は、その姉妹のローザミスティカを
自分自身の手で他の者をから守ると言う事にも繋がるからである。確かに水銀燈は
今まで姉妹にさんざ酷い事をしてきた。だが、それは不器用な彼女の出来る精一杯の
愛情表現だったのである。さらに姉妹の中でも特に真紅に対して目を付けていた事も、
いうなれば真紅を最も愛していたが故だったのかもしれない。
「私はもう戦わない・・・。」
涙をぬぐった水銀燈はそのまま飛び去り、闇夜に消えた。

109 :93=107:2006/09/22(金) 22:45:40 ID:DFzUHq3a
新しい話を作ってみた。自分なりに考えたローゼンメイデンの最終回的なお話。

>>103-105
サンクス

>>106
orz

110 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/23(土) 09:30:40 ID:ObdS9pYo ?BRZ(5770)
蒼星石カワイソウ・・・

111 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/23(土) 19:58:47 ID:7S4slQHT
長えよタコ
3行でまとめろやブタが

112 :ロマンシング・聖闘士銀ちゃん:2006/09/23(土) 20:41:21 ID:yH6WIEjh
VS 薔薇水晶
「・・・わ、わたしは・・いったい・・・」
窓からの風でようやく水銀燈は目を覚ました。よろよろと立ち上がり、
ふらつきながら飛び去っていく。
「あと4つ、めぐ、待ってて・・・」
体の痛みに耐えながら、水銀燈は次の目的地へと向かって行った。


「人形作家 槐」と書かれた看板のドールショップ。深夜のため店内は暗く、
静まり返っている。水銀燈の周囲には何体ものアンティークドールが飾られて
おり、そのドールたちの瞳が水銀燈を映し出していた。
「・・・誰?」
ショーケースの中の1体のドールが突然、水銀燈に話しかける。
「いたわね!薔薇水晶!」
振り向いた水銀燈の視線の先にアメジストのドレスを纏った薔薇水晶が現れた。
「・・・水銀燈・・何をしにここへ・・・」
「貴女のその眼帯を頂くためよ。おとなしく渡しなさい!」
先手必勝、水銀燈の攻撃!!
「ブラックウィングアロー!!」
水銀燈の黒い羽根が薔薇水晶めがけ飛んでいく。
「・・・クリスタルウォール」
薔薇水晶が静かに右手をかざすと透明な防御壁ができ、水銀燈の黒い羽根を
ことごとく撥ね返していく。
「うっ!ああぁぁぁぁぁ!!!」
自分の技をその身に受けて倒れる水銀燈。
「・・そ、そんな・・わたしの技が全て撥ね返ってくるなんて・・・」
「・・この壁は決して破られることのない水晶の障壁・・・」
水銀燈を見下ろし、淡々と述べる薔薇水晶。
「・・そしてわたしのこの指に宿る燐光は全てを死の世界へと導きます・・・」
薔薇水晶が右手の人差し指を掲げ小宇宙を集中させると薔薇水晶の頭上に
黒い空間が現れる。
「・・・積尸気冥界波」(←さっきとキャラ違うぞ)
「っく!な、なに!こ、これは、あぁぁぁ!!」
水銀燈の身体の自由が利かなくなり、水銀燈はバタリと倒れこむ。
水銀燈のローザミスティカが黒い穴の中へと吸い込まれていった。
「・・・他愛のない・・・・」
抜け殻となった水銀燈を見下ろし、薔薇水晶はつまらなそうに呟いた。



113 :ロマンシング・聖闘士銀ちゃん:2006/09/23(土) 20:42:09 ID:yH6WIEjh
「・・・こ、ここはどこ・・・」
辺り一面、モノクロームの世界が広がっている。その中でようやく水銀燈は目を覚ました。
周囲を見廻し、自分の置かれている状況を確認する。
「・・わたしは薔薇水晶の技にかかって・・・」
技をかけられたことは理解できたが、ここがどこで、どうすれば良いのか、
水銀燈は分からなかった。
「とにかくここから出ないと」
そう思ったが、見慣れない世界に水銀燈はわずかながら混乱していた。
その水銀燈の視線の先に何やら人影が映った。
「何かしら?ここにいても埒が開かないわね」
人影の方へと飛んでいく水銀燈、だが、そこにいたのは無表情にヨレヨレと行進
していく人間の姿だった。
「なんなの?この人間の群れは」
呼びかけどもその人間たちは何の反応も示さない。ただひたすら進むだけだった。
水銀燈の心に不安がよぎる。だがその不安をかき消すような光が水銀燈の前に
現れた。
「・・・水銀燈、そっちに行ってはいけない」
その光が水銀燈に話しかける。
「・・・?」
「水銀燈、私だよ、水銀燈・・・」
「その声は、まさか、お父様?!」
あまりの衝撃的な出会いに水銀燈の声が上ずる。その光は尚も水銀燈に語りかける。
「そっちに行ってはいけない、ここは黄泉比良坂、向こうに行けば、そこの
人間同様に死界の穴に落ちることになる」
「・・・じゃあ、やはりわたしは薔薇水晶の技にかかって」
「そうだ。早く元の世界に戻りなさい」
そう言って、水銀燈に一条の光を指し示す。
「この光を辿って行けば元の世界に戻れる。早く行きなさい」
「・・で、でもお父様は」
「わたしに会うのはアリスになってからだ。そのためにも早く!」
再度、その光に促され水銀燈は光の道を辿っていく。その水銀燈にその光は
さらに言葉をかける。
「さあ水銀燈、急いで戻り、あの不肖の弟子の創ったドールをジャンクにしてきなさい!
これは命令だよ。いいね水銀燈」
(お父様!これは、抹殺命令!キターーーーーーーーー!!)
ローゼンの命令(?)に水銀燈は勇気100倍、殺る気満々で元の世界へと
戻って行った。



114 :ロマンシング・聖闘士銀ちゃん:2006/09/23(土) 20:43:24 ID:yH6WIEjh
「・・こ、これは?」
店内のショーケースから水銀燈のローザミスティカが戻り、水銀燈のボディに
入っていくと水銀燈は再び立ち上がった。
「薔薇水晶!上意よ!思いっきりジャンクにしてあげる」
水銀燈の目がギラリと光り、薔薇水晶を睨み付ける。
「いくわよ!ブラックウィングアロー!!!」
黒い羽根が威力を増して薔薇水晶に襲い掛かる。
「・・その技は通用しないと理解したはず・・クリスタルウォール・・・」
薔薇水晶が全ての攻撃を弾き返す水晶の壁を創り出す。
水銀燈の黒い羽根がまたも撥ね返ってくる・・・はずであった。
「・・・な、そんなバカな・・・あぁぁぁ!!!」
威力を増した黒い羽根は薔薇水晶のクリスタルウォールを粉砕し、薔薇水晶に
大ダメージを与えた。
尚も立ち上がろうとする薔薇水晶に対し、水銀燈は止めの一撃をお見舞いした。
「黒龍波―――!!!」
水銀燈の一撃は薔薇水晶の右腕をもぎ取り、その衝撃で薔薇水晶の眼帯は吹き飛ばされた。
「ウフフ、これはもらっちゃうわよ」
眼帯を奪った水銀燈は薔薇水晶にゆっくりと歩み寄り、止めを刺そうとする。
水銀燈が手を振り上げたその瞬間、隣の部屋からローゼンの弟子―槐が現れた。
「何をしている?薔薇水晶!なんてひどいことを!」
槐は水銀燈を睨みつけ、薔薇水晶を助け起こす。
「そこをどきなさぁい。お父様の命令でその子をジャンクにするんだからぁ」
「バカな!私の師がドールの破壊命令などするはずないだろう!」
「貴方はしたじゃない」
「ほっとけ!私はするが、師はそんな命令は出さん!」
かなり自己中だな槐。
「とにかく、その子を渡しなさい。でないとここのお店ごとジャンクにしちゃうわよ」
「断わる!それよりお前のそのボディのパーツ造ったのは私だぞ!」
「だから何よ」
「お前には貸しがあるということだ。それとも材料費払ってくれるのか?」
話をすり替えながら、巧みに違う方向へ誘導する槐。当然のことながら水銀燈に
手持ちの金など無い。有るわけがない。
「フン、分かったわ。とりあえずその子は助けてあげるわぁ。今回は」
ニヤリと笑うと水銀燈は店から出て行った。
「大丈夫かい?薔薇水晶。腕はすぐに直してあげよう」
薔薇水晶を抱きかかえ、槐は工房に入り明かりを点ける。
「・・お父様、あれは本当に私の姉妹なのですか・・・」
「いや、姉妹というより従姉妹なんだが・・・」
「・・・気高くて、誇り高いのがローゼンメイデンのはず・・・」
「そうだな。私もそう思っていたんだが、あれはむしろバーバリアンだな」
師の造った至高のドールに落胆しながら、槐は薔薇水晶を直していった。
この後、彼はローゼンメイデンとは別のドールシリーズを造り出していく。
そのドールたちは別名モビルスーツと呼ばれることとなるが・・・・
それはまた、別のお話・・・・。




115 :ロマンシング・聖闘士銀ちゃん:2006/09/23(土) 20:46:31 ID:yH6WIEjh
今日はここまでです。
続きは考えてないんだよなぁ・・・。
でも続きます。

>93
GJ!!ですぅ。

116 :さようなら。そしてお帰りなさい。 3:2006/09/23(土) 21:59:11 ID:UGChQGop
皆が寝静まった頃、ジュンはベッドの上で一人真紅の亡骸と向かい合っていた。
人間と違い、ドールである真紅は死亡してもその体は腐る事は無く、死してもなお美しかった。
そして翠星石と雛苺は既に泣き疲れて鞄の中で眠りに付いている。なお、雛苺は真紅に代わって
翠星石が擬似媒介となる事で今まで通りの状態を維持していた。
「お前がウチに来てから・・・、本当色々な事があったな・・・。あの時僕がまきますと答えなかったら、
今までの生活は無かった。雛苺、翠星石、水銀燈、金糸雀、雪華綺晶・・・。こいつ等とも会う事は無かった。」
「(ジュンく〜ん!一人忘れてないか〜い?)」
約一名必死に己の存在をアピールし続けている者がいたものの、ジュンはもう動かない真紅を見詰めていた。
そしてジュンの目から大粒の涙がとめどなく流れ出るのであるが、必死にその涙を堪えていた。
「もう泣いちゃダメなんだ・・・。真紅が生きていたら絶対救いようも無い下僕ねとかそう言う事を言うはず・・・。
確かに今までの僕なら今回の事でまた塞ぎこんで閉じこもっていたかもしれない。でも、それじゃダメなんだ。
僕はもう泣かない。だから・・・明日から学校に行こうと思う。その方が真紅としても嬉しいだろう?
だから・・・お休み・・・。今までありがとうな・・・。」
ジュンは涙を拭き、ゆっくりと真紅を鞄の中へ入れた。
「(ジュン君・・・。いい加減にしないと、桜田家全体に血の雨を降らせるよ・・・いやマジで・・・。)」

翌日、久々に登校したジュンの姿があった。その事で他の生徒がジュンにちょっかいを掛ける事も
いた仕方ない事であったが、今日のジュンは今までの彼とは違っていた。
「やあ久し振りだな桜田。今日はパンティーの色でも妄想するのかな?」
「ああその件だけど、こんな物を作ってきたんだ。」
早速ジュンにちょっかいを掛けてきた生徒Aに対し、ジュンは一枚の紙を取り出す。
その紙にはなんと、それまでジュンを馬鹿にした男子生徒がフリフリでエロティックなドレスを着て
いやらしいポージングをしていると言う想像するだけでもおぞましいイラストがデカデカと描かれていた。
「う!うぇぇぇぇぇぇぇ!!」
そのイラストを見た男子生徒は一斉に吐き気をもよおし、物凄い速度でトイレ目掛けて殺到して行った。
ジュンはその光景を見詰めながら静かにニヤニヤしていたのだが、巴もかすかに微笑んでいた。
「(桜田君・・・強くなったね・・・。)」
ジュンは完全に吹っ切れていた。他の生徒がジュンを洋服関係の話題で馬鹿にするのならば、
今回のようにそれを逆用しようと考えたのである。こうして完全に開き直ったジュンは
有無を言わせぬ迫力があり、馬鹿にする者は徐々に姿を消していった。

しばらく引きこもっていた為に授業から取り残され、これから色々大変だなと考えながら
ジュンは帰宅するワケだが、ここにももう一つの変化が見られた。
「ジュン、おかえりですぅ。」
「え・・・?」
出迎えた翠星石の言葉にジュンは硬直した。
「どうしたですぅ?」
「いつものチビ人間とは呼ばないのか・・・?」
ジュンが驚いた事。それは翠星石がいつものチビ人間と言う呼び方では無く、名前で呼んだ事にあった。
「お前はもうチビ人間なんかじゃないですぅ。立派な男になったですぅ。だからもう
チビ人間なんて呼び方は似合わないですぅ。そのくらい翠星石にだって分かるですぅ。」
「あ・・・そう・・・。」
皮肉な事に、真紅が死んでしまった事がジュンを大きく成長させるきっかけとなっていた。
そして間も無くして久々に帰ってきたジュンの両親に薔薇乙女の事を打ち明け、
雛苺と翠星石は晴れて正式に桜田家の一員にして貰ったりと、様々な変化があった。
「(やっぱり僕の事忘れられてるんだね・・・。もう慣れたけどね。でも、このままじゃ済まないよ。
君達が僕の事を無視し続けれるのならば、それを逆に利用してあ〜んな事やこ〜んな事を
やってあげるから・・・。)」

117 :107=116:2006/09/23(土) 22:05:06 ID:UGChQGop
とりあえず今日はここまで。明日が丁度日曜日だからその時に完結編を書こうと思う。

>>110
スマソ・・・
今回の話は「良い話系」にしたかったつもりだけど、欝っぽい要素もあるから
その辺を「カレーにカリントウを混ぜると隠し味効果で美味くなるらしいよ」の理論により
蒼星石を物語の隠し味(隠れてないけど)にしてみた。けど本当好きな人にはスマソ

>>111
このスレの意味ネーorz

>>112
臨死体験とかローゼン登場とか色々面白かった。
特に最後の部分にワロッタ。自分もローゼンメイデンが軍事利用されるなんてネタを
考えた事もあったんだけど、何か本当に軍事利用されそうな気がした。

118 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/23(土) 22:55:37 ID:PtNJDeI+
SS以外のレスには目を通してるから、安心して!

119 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/23(土) 23:24:10 ID:ObdS9pYo ?BRZ(5770)
>>116
イイヨイイヨー

120 :蒼星石・色違編1:2006/09/24(日) 01:53:23 ID:IjVe5e9v
「ブレーンバスターですぅ!!」
「ローリングクレイドルなの〜〜!」
雛苺と翠星石がプロレスごっこで遊んでいる、元気だな。
「バックドロップなの〜〜!!」
一際大きな雛苺の声が響く、どうやら必殺技らしい。

ドシーーーン!!

地響きをたてて翠星石の体がカーペットにめり込む、すると何かが僕の足元に転がってきた。
「なんだこれ?ビー玉か?」
ガラス球が2個、赤色と青色。
拾い上げてみるとまるで目の玉みたいだ。

「痛いですぅ、目の前が真っ暗ですぅ〜」

えっ!?慌てて翠星石を見ると目が無い!!
目の位置にぽっかりと穴が空いた翠星石は手を前に出しながらフラフラと歩いている。
「翠星石の目がなくなっちゃったの〜〜!怖いの〜!うわ〜〜ん!!」
雛苺が大声で泣き出す、このビー玉が翠星石の目なのか!

翠星石を抱き寄せて目を嵌め込もうとすると必死にしがみついてくる。
「チビ人間、助けてですぅ。翠星石の目はどこにいっちゃったですか?」
大丈夫、すぐ直してやるよ
翠星石の眼窩にガラス玉を押し込んで、パシッと頭をはたく。
しばらくすると目の焦点が合ってきたのか、目がクリクリと動き出す。
「お、直ったみたいだな。ちゃんと見えるかい?」
「ありがとう、ジュン君。僕の目が外れちゃうなんて思わなかったよ」

そうかそうか、直ったみたいだな・・・って誰だ??
「お、おい。自分の名前を言ってみろ、頭だいじょうぶか?」
僕は翠星石の肩をつかみ、目を覗き込む。
「僕は翠星石だよ。ジュン君、どうしたんだい?」
雛苺が僕の服の袖を引っ張る。
「ジュン〜翠星石の目の色が逆なのよ〜」
あっ!!右目が赤、左目が青だったのが逆になってる。
慌ててガラス玉を眼窩に押し込んだので間違えてしまったようだ。
目の色の間違いのせいで外見は翠星石、性格は蒼星石になったようだ。

これはおもしろい・・・
もう一度いれなおせば性格も元に戻るだろうが、面白いから放っておこう。

121 :蒼星石・色違編2:2006/09/24(日) 01:56:09 ID:IjVe5e9v
「こんにちは、何を騒いでいるんだい?」
ちょうどいいところに本物の蒼星石が遊びに来た、すかさず捕まえて頭を殴る。

バシッ!!ころころ・・・

翠星石も同様に目を取り出すと手元にあるガラス玉は4個になった。
翠星石に赤・赤、蒼星石に青・青の組み合わせで入れてみる。

「遊びに来たのに殴るなんてひどいのだわ!」
ああ、もういいや。これは真紅の性格だな、黙ってろ。
「目の色を間違えて入れるなんて本当におばかさぁん」
おお!期待通りに水銀燈の性格になってくれたぞ!
「翠星石、お茶でも飲むかい?」
「そんなのより乳酸菌はないのかしらぁ?」
うんうん、これでこそ水銀燈だな。

翠星石と蒼星石が喧嘩をはじめた、やっぱり真紅と水銀燈の性格じゃ合わないか。
二人の戦いを特等席で見学をしていると、いつの間にか夕食の時間になっていた。
「みんな〜ご飯よ〜」
ノリがみんなを食堂に集める、台所から良い匂いもただよってくる。

「もうこんな時間ね。そろそろ失礼するのだわ」
蒼星石がトランクに乗って飛び去っていった。
目の色戻すの忘れたけどいいかな。


翌日、蒼星石が泣きながらやってきた。
真紅の性格のまま家に帰った蒼星石はマスターのお爺さんにいきなり
「下僕、紅茶を入れてちょうだい」
とやって、さらに
「ぬるいわ、淹れなおしなさい。まったく使えない下僕ね」
とやらかしてマスターの家を追い出されてしまったそうだ。

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/24(日) 09:00:52 ID:yyBCZNMh
滅茶苦茶ワロッタ 蒼星石カワイソス

123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/24(日) 10:48:17 ID:aAJMX+YU
読むに値しないゴミが多いな。

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/24(日) 13:47:54 ID:OUtplhiQ

>>120-121 は読んどけ
在り来りなバトル物ではないぞ

>>120
久々の投稿乙。
次回も期待しとります

125 :さようなら。そしてお帰りなさい。 4:2006/09/24(日) 17:39:57 ID:yyBCZNMh
真紅が亡くなって十年近い時が流れた。その間も様々な事があり、ジュンは本格的に洋服関係の
道に進み、デザイナーになっていた。その業界に入って上には上がいる事を知り、
挫折しかけた事もあったが、それでも何とか頑張って今ではそれなりに稼げる漢になった。
その際本格的に身に付けた技術は仕事以外にも生かされ、ジュンは翠星石と雛苺に
新しいドレスを作ったりしていたた。何時までも同じ服では・・・と言う事もあったのだが、
特に翠星石の丈の長いスカートは動き難いだろうし、もし外を出歩くような事が
あった場合汚れ易いのではと言う事で割と動きやすく、スカートの丈も程よく短い物にされていた。
人間関係に関してもその十年の間に色々な事があり、巴と結婚して子供を授かるまでに至った。
ぶっちゃけ本当色々あったんで細かい突っ込みはやめてもらいたい。

そしてついにジュンと巴に第一子が誕生した。玉の様に可愛らしい女の子である。
数日後にその子は巴と共に退院し、家のベッドに寝かされた赤ん坊を翠星石と雛苺は
興味深く見入っていた。
「赤ちゃん可愛いの〜。」
「全くですぅ〜。ジュンの子供とは思えない可愛さですぅ〜。」
「お前な〜・・・。」
相変わらず口の悪い翠星石にジュンもやや困り顔であったが、今度は雛苺がジュンの服を引いた。
「ねえジュン、この子の名前はどうするの?」
「そうだった・・・。そう言えば仕事が忙しくて考えるのを忘れていたんだよな〜どうしよう・・・。」
「全く・・・。チビじゃなくなってもやっぱり抜けた所があるですぅ。」
ジュンは我が娘を抱き上げてその顔を見詰めていたが、その時だった。
眠っていたその娘が目をゆっくりと開け、父親であるジュンを見詰めるとかすかに口を開き・・・、
「タダイマ・・・ナノダワ・・・。」
「え!?」
三人は硬直した。赤ん坊が喋ったのである。だがそれ以上の事は言わず、
また元の普通の赤ん坊に戻っていた。
「今の声は・・・。」
「まさか・・・なの?」
直後、三人の記憶の中に埋もれかけていた十年前のある記憶が蘇った。

『もしこの後、私が何か別の物に生まれ変わると言う事があるならば・・・、ジュン・・・
その時は貴方の子供に生まれ変わりたいのだわ・・・。』

「真紅!真紅なのか!?お前!まさか本当に・・・。」
ジュンの目に涙が溢れ、強く抱きしめた。
「そうだ!お前の名前は今日から真紅だ!」
「私もそれが良いと思うのよ。」
「異議なしですぅ。」
この娘が本当に真紅の生まれ変わりなのかは分かりようも無い。だが、それでも
三人は真紅が十年前の約束通りにジュンの子供として生まれ変わって来たのだと信じた。
「お帰り・・・真紅・・・。」
「(うん。僕もそれで良いと思うよ。でもやっぱり僕は無視されてるんだね?
僕にも祝福させてよ。じゃないと・・・僕の鋏が君達の血を吸っちゃうよ・・・。)」

126 :さようなら。そしてお帰りなさい。 5:2006/09/24(日) 17:42:01 ID:yyBCZNMh
それから、巴にも赤ん坊の名を真紅にする事を話し、またジュンは物凄い速度で
真紅と名付けられた赤ん坊用の為に真紅のベビー服を作り、着せていた。
「こうして見ると、本当に真紅が生き返ったみたいね・・・。」
「顔は似てないけど、雰囲気は真紅と同じ物を感じるですぅ。」
と、皆は真紅を囲み、食事ついでにワイワイガヤガヤと盛り上がっていた時、
窓から真っ黒い影が姿を現した。
「あなた達楽しそうじゃなぁい?その楽しさを私にも分けてちょうだぁい?」
「水銀燈!」
窓から入って来たのは水銀燈だった。そして真紅(赤子)の方を見詰めた。
「真紅の元マスターに子供が生まれたって小耳に挟んでやって来たのだけどぉ、
その子がそうなのねぇ?名前は何ていうのぉ?」
「し・・・真紅だよ・・・。アイツと同じ名前を付けたんだ。」
ジュンがそう答えた時、水銀燈は一瞬鼻で笑った。
「貴方本当にお馬鹿さんねぇ!お馬鹿さんな名前付けるなんて!きっとその子もお馬鹿さんに育つのねぇ!」
「水銀燈!お前言って良い事と悪い事があるですぅ!」
「そうなのよ!今直ぐ謝るのよ!」
翠星石と雛苺は怒って突っかかるが、水銀燈はそれを容易くかわし、真紅(赤子)の前に立った。
「近くで見るとますますお馬鹿さぁん。でも、あなた達がどうしてもって言うなら・・・
その子の頭くらい撫でてやっても・・・良いのよぅ?」
「水銀燈・・・。」
ジュンは水銀燈の気持ちを察した。口では馬鹿にしていても、心の底では祝福してくれているのだ。
そして結局水銀燈は真紅(赤子)の頭を撫で、その後直ぐに窓の外に出た。
「それじゃあまた来るわぁ。」
「オイオイ、もう行くのか?もう少しゆっくりして行けよ。」
「嫌よ。私はあなた達お馬鹿さんと違ってやる事がいっぱいあるのよぉ。」
そう言って、水銀燈はその場から飛び去った。だが、窓の前に水銀燈の物らしき
何かが入れられたビニール袋が残されていた。
「水銀燈の奴、何か忘れてるですぅ。本当しょうがない奴ですぅ。どれ、どんな物か見てやるですぅ。」
ビニール袋の中にはヤクルトが沢山入れられていた。そして、手紙まで同封されていた。

『乳酸菌は体に良いのよぉ。赤ちゃんにも沢山飲ませてあげてねぇ。』

「水銀燈・・・。」
風の噂では、十年の間に水銀燈の方でも色々な事があり、
その間にめぐの病気も完治して、水銀燈自身もめぐの手によって
家族に紹介され、家族の一員にしてもらったと言う。もっとも、めぐは闘病生活が長かったので
社会復帰にもそれ相応に時間が掛かったし、水銀燈も背中の翼を利用した飛行能力が評価されて
ちょくちょく色んな所にお使いに出されて大変らしい。
ついでに言うと、第2ドール金糸雀もみっちゃんとよろしくやっているそうな。

127 :さようなら。そしてお帰りなさい。 6:2006/09/24(日) 17:43:15 ID:yyBCZNMh
その日の深夜、ベッドの上でスヤスヤ眠っている真紅(赤子)を見詰め、ジュンは
様々な思いを馳せていた。
「お前が大きくなったら、いつか話してやろう・・・、お前と同じ名を持った一人のドールのお話を・・・。」
そしてジュンは部屋の電気を消して自室に戻るのだが、丁度その時、ある事を思い出した。
「あれ?そういえば何か忘れてなかったっけ?」
「(来たぁ!ジュン君・・・早く僕の事思い出して・・・。)」
「それは雛も思ったのよ。でも、それが何なのか思い出せないの。」
「どうしても思い出せないと言う事はそれは何と言う事は無いどうでも良い事なのですぅ。
そうに決まってますぅ。」
「そうだよな。」
「雛はこの国の決まりを知ってるのよ。大きな鋏なんて持ち歩いたらじゅうとうほうって決まりを
やぶっちゃうから、警察さんに捕まって牢屋にいれられちゃうのよ。」
「そうですそうですぅ。そんな危険な物を持ち歩く物騒な輩とは付き合っちゃいけないですぅ。」
「(そ・・・そんな・・・翠星石・・・キミまで・・・。マスターも天国に行ってしまった今、キミだけが
頼りだったのに・・・酷いよ・・・。)」

「私は誰・・・? 私は私・・・。私はこれからどうすれば良い? それはこれから探していこう・・・。」
nのフィールドでそれぞれの生き様を見た雪華綺晶も、自問自答しながら
自分の生き方を模索しようと決めていた。

これからも苦しい事や辛い事はあるかもしれない。だが、それをある時は己の力で、またある時は
皆との絆によって乗り越えていくのが人と言うものだ。そして薔薇乙女と呼ばれるドール達もまた・・・。

「(あのさぁ、いい加減僕の事誰か気にしてよ。怒るよ本当に・・・。大体僕は薔薇乙女の中でも・・・
ってアレ!?もう終わっちゃうの!?そんな酷いよ!僕は誰にも気にされないまま終わっちゃうの!?
そんなの嫌だ!一人ぼっちなんて嫌だよ!畜生!こうなったら庭師の鋏で皆殺しに・・・。
あ!待って!まだ終わらないで!せめて後一分・・・。)」

絆は成長の遅い植物である・・・。それが絆と言う名の花を咲かすまでは
幾度かの試練、困難の打撃を受けて耐えねばならぬ・・・。

                     おわり

128 :116=125:2006/09/24(日) 17:47:59 ID:yyBCZNMh
ジュンと巴がケコーンしたと言う展開にしたり、下手すると色々問題あんじゃないかと
ガクブルした事もあったが、とりあえず最後まで書いてみた。

死んでしまった真紅がジュンの子供として生まれ変わってくると言う展開も
何かありがちじゃねとか言われそうな悪寒がした。

>>120
そういう割と馬鹿馬鹿しい(良い意味で)話は大好きだよ。
でも蒼星石はかわいそうだと思った。自分が言える立場じゃないけど。
だからネタ次第では蒼派への謝罪をかねて蒼メインのお話をいつか作ろうかなと思った。

129 :PAPRIKA  1/3:2006/09/24(日) 23:56:46 ID:1ZfyZs06
「ねぇ、桜田きゅん。」

噛んだ。 めっちゃ噛んだ。 やってしまった。 クールで売ってるこの私が。
何よ、きゅん、って。 物凄く頭悪そう。

違うのよ。 違うって。 桜田くん、って言うつもりだったんだってば。
ちらりと桜田くんに目線を投げる。

うっわー、ムカつく顔。 もうすんごいニヤニヤしてる。
何かを期待してるかのようなソワソワ感を漂わせてるのが、一層ムカつきに拍車をかける。

「ぷっ。 だっせ。」

くらぁ! 誰よ今の! 振り返れば、雛苺が顔を背けて明後日の方向を向いている。
うぬぬ……。 ま、まさか今のは雛苺が。

いえ。 きっと幻聴ね。 雛苺が私に向かってそんな事言うわけないもの。 取り乱してるんだわ、私……。
気を取り直して桜田くんに言い訳するべく体を反転する私。

「マジだっせ。 話になんね。」
「ぬがぁ!!!」

タイミングを測ったように背中に罵声。 マッハで振り返ると、天井を見上げながら口笛を吹く雛苺。
怪しい! 露骨に怪しいわ!

「そんなに取り乱さなくてもいいよ。 僕なら気にしてないから。」

気遣わしげな桜田くんの声が背中にかかる。 さ、桜田くん。 そうよね。 今の状況、私一人が動転してるだけだわ。
笑顔を取り繕って向き直れば、桜田くんは相変わらずのニヤケ面。 イラッ。

「それにしても驚いたな。 トゥモエたんがこっちサイドの人間だったなんて……。」
「ぱんち!」

それ以上言ったらぶん殴るわよ! と言おうと思ったけど、もう既に私の右拳は桜田くんの鼻骨を砕いていた。
半泣きで転げまわる桜田くん。 だ、だって凄くキモい笑顔だったんだもの……。
それに桜田くんに同類と思われるなんて、私、耐えられない。

130 :PAPRIKA  2/3:2006/09/24(日) 23:57:52 ID:1ZfyZs06
「ちょっと! 鼻血で床が汚れるじゃないの! ジュンを痛めつけるなら首から下になさい!」

ご、ごめんなさい。 真紅に叱られてしまった。 もっともな意見だわ。
めくれた裾から見える桜田くんのおなかに、ちらりと視線を走らせる。 ぶち抜きやすそうなボディね。

「うぉおお……い、痛い…………けど、それがまた気持ちイイようでもあり……ぐぁあああ……。」

彼の言動がすべからくキモい。 致命傷を与えたはずなのに、けっこう元気ね……。

あ、いけない。 この感情は、フォローの達人である私のキャラに合わないわ。
えーっと、どうしよ。 あ、そうそう。 桜田くんは、いい意味でキモい。 よしっ。 今日も完璧にフォロー完了!

と言うか、なんでちょっとセリフを噛んだだけでこんな珍奇な事態になるのよ。
そもそも私、一体何を言おうとしてたんだっけ。

うーんと……。 うーんと……。 あ。 思い出した。

「さっき言おうと思った事なんだけど。 桜田くんってメガネ外すと、俳優の中村俊介に似てるよね。」

「あら、それ本当?」
「もし本当だったらすっごい大発見なのよー。」
「見せて見せてですぅー!」

途端にきゃいきゃいと色めきたつドールたち。 うふふ。 人形とはいえ、やっぱり女の子ね。
ハンサムな男の人の話題には、やっぱり目が無いみたい。

「どれどれ……。」

131 :PAPRIKA  3/3:2006/09/24(日) 23:59:23 ID:1ZfyZs06
ぐったりと動かなくなった桜田くんのお顔を拝見。

半分閉じた瞼から、うつろで焦点の定まらない瞳が覗いている。
鼻は炎症を起こして赤く大きく腫れ上がり、熟れきったパプリカのよう。
締りなく開いた口は、パクパク無機的に開閉を繰り返している。

「あんまり似てないのだわ。」
「うゅー、残念なの〜。」
「うーん。 巴は知り合いを芸能人に当てはめるセンスは無いみたいですねぇー。」

がっくり。 ついさっきまでは似てると思ってたんだけどなぁ。
誰かに殴られたとかで、短時間で桜田くんの顔が激変でもしたんじゃないかしら。

肩を落とした私の様子を見兼ねたのか。 真紅が優しい声音でうそぶいた。

「秋。 恋の季節ね。 でもやっぱり、そうそう旨い話は転がっていないものなのだわ。
 私たち、こんなに可愛いけど、どうやらもう少しシングルのままのようね。」

「……ぷっ。 よっく言うですぅー。」
「じゃあ、それまでは食欲の秋を楽しむとするのよー!」

くすり。 あはははは。 乙女たちの笑い声が、優しく室内に響く。
桜田くんの遺骸も笑い声に合わせてピクピク痙攣する。

そうね。 私たちは女の子。

いつだって恋の季節なんだわ。
                             − お ☆ し ☆ ま ☆ い −

132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/25(月) 00:05:17 ID:d+4xmi8X
ものすごいなw

133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/25(月) 00:42:58 ID:c5j4A3fV
なかなか楽しい
最近は投稿が多くてうれしい

134 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/25(月) 01:15:35 ID:zTJSQn6S
しかし俺の中での評価はE〜DレベルでCがない。

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/25(月) 04:24:11 ID:/6KB2nNX
ウッホウッホ

136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/25(月) 06:56:29 ID:dW/+P+8Y
>>134
お前の好きなバストサイズなど聞いていない

137 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/25(月) 08:05:15 ID:76aUykvE
SS以外のレスには目を通してるから、安心して!

138 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/25(月) 18:19:09 ID:zTJSQn6S
>>136
C以上欲しけりゃもっとマシなの書け。

139 :さようなら。そしてお帰りなさい。 番外編:2006/09/25(月) 18:28:07 ID:/G6bqKOc
桜田ジュンに第一子が誕生したと言う事で、ローゼンメイデンに登場した面々が一斉に桜田家に集まった。
ドールズ勢揃いは当然として、挙句の果てには梅岡先生や槐、ラプラスの魔までやってくると言う
凄い事になっていた。これだけの人々が一斉に集まるのは本当に珍しい事なので、
皆で記念写真を撮る事になった。
「それじゃあハイ!チーズ!」
皆が並んだ後、ジュンはカメラのタイマーにスイッチを入れると共に走るのだが案の定こけてしまい、
ジュン一人だけすっ転んだ格好悪い姿で写真に写ると言うまあ記念写真によくありがちなネタを
やったりしていたが、その日は皆でワイワイ楽しく過ごした。

その後、記念写真は現像して皆に配ったワケだが、その記念写真について翠星石がある事に気付くのだった。
「た!大変ですぅ!この写真に恐ろしい事が起こってるですぅ!」
「何だ何だ?どうしたんだ?」
「翠星石、どうしたの〜?」
皆が集まって来た所で翠星石は写真のある部分を指差す。
「これ見るですぅ!これ心霊写真だったですぅ!怖いですぅ!皆で楽しく撮った記念写真が
心霊写真になってしまうなんて・・・、縁起悪いですぅ!」
「何を言ってるんだ翠星石・・・、もしかして写真の揺らぎとか、感光とかそういうので
心霊写真とか言ってるんじゃないのか?そういうのはな、現像時のミスとかで良くあ・・・
ってマジで何かいるよぉ!」
翠星石の指差した箇所を見たジュンは一瞬目が飛び出しそうになった。
記念写真の翠星石がいた箇所の直ぐ隣に怪しい人影があったのである。
「一体何なんだコイツは・・・。シルクハットもどきの変な帽子被った変な野郎が
翠星石の隣に立ってる・・・。しかも片手にでっかい鋏を持って・・・おっかねぇ・・・。
もしかしてこれが噂に聞く切り裂きジャックと言う奴か!?」
「嫌ぁ!翠星石は悪霊に憑り付かれてしまったですぅ!助けてですぅ!」
「幽霊・・・怖いのよ・・・。」
翠星石と雛苺は泣きながらジュンに抱き付き、ジュンもまたガタガタと震えていたのだが・・・
「(そう来たか・・・。僕はついに心霊現象の領域にまで到達してしまったんだね・・・。
それに・・・君達が言っていた絆と言うのは一体何だったんだい? 僕はその中に入っていない
とでも言うのかい? そんなの酷いよ・・・。なら本当に切り裂きジャックになってやろうか・・・?)」
約一名が恐怖に震える三人の姿をすぐ間近で呆れ顔で見つめていたのだが、
やっぱり気付かれてはいなかったとさ。
                  めでたし めでたし

140 :139:2006/09/25(月) 18:32:25 ID:/G6bqKOc
>>127の後日談をちょっと書いてみた。蒼星石好きな人スマソ

>>129
ワロタ ジュンどれだけ弱いんだとw
皆もなんだかんだでひでぇ事言うしw でもそこが良い!

141 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/25(月) 19:22:33 ID:d+4xmi8X
ワロタwww

142 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/25(月) 23:34:48 ID:OK4MSUiZ
蒼星石はいらない子、まで読んだ

143 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/25(月) 23:45:27 ID:bN3DGvk1
SS以外のレスには目を通してるから、安心して!

144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/26(火) 13:03:09 ID:l6d08f5m
蒼キチは死ね、まで読んだ

145 :蒼星石・色違編3:2006/09/27(水) 05:15:12 ID:HbVe2Mot
>>121 続き

緑茶をいれておやつを食べさせると蒼星石も落ち着いて泣き止んだ。
「それは大変だったね、これからどうするんだい?」
僕の質問に蒼星石は当然のように答えた。
「これからはこの家に住んであげるのだわ、感謝するのだわ」

もちろん家から叩き出してやりましたとも
真紅は家に一人いれば充分ですよ。


困ったのは水銀燈の性格になった翠星石と真紅が喧嘩することかな
戦闘力は真紅のほうが強いけれど、真紅は相手が翠星石ということもあって遠慮がち
だいたいは引き分けにおわる。

「真紅!覚えてなさぁい、次は許さないわぁ」
「翠星石、水銀燈ごっこもいいかげんにするのだわ」
翠星石は窓際に立ち飛び去ろうとする。
「お、おい!ここは二階だぞ!」

ヒューーーーー!ドスン!!

自分に羽があるつもりで二階から飛ぶ翠星石は地面に叩きつけられ全身打撲
困ったものですよ。

146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/27(水) 19:46:30 ID:RB+Nrsc5
SS以外のレスには目を通してるから、安心して!

147 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/27(水) 22:20:39 ID:np+wFqkf
↑コイツの目的は何?

148 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/27(水) 23:13:18 ID:vEJsTbrN
MMR< >>146は「公表されたSSはあえて見ない書き手」だったんだよ!

149 :イメージチェンジだ蒼星石 1:2006/09/27(水) 23:17:05 ID:NM1nw8ca
ある日、蒼星石は真紅に呼び出されていた。蒼星石が真紅のもとを訪ねると、真紅は真剣な顔で
座布団の上に正座していた。そして真紅は用意していたもう一つの座布団に蒼星石を座らせる。
並ならぬ雰囲気。きっとかなり真面目な話であると蒼星石は予感し、息を呑んだ。
「蒼星石・・・、貴女に大切な話があるのだわ。」
「何だい?」
これから真紅の口から出る言葉によって、蒼星石は壮絶な事実を知る事となる。
「ハッキリと言わせてもらうわ。貴女はアリスにはなれない。」
「え!?」
唐突の事に蒼星石は驚いた。
「僕がアリスになれないだって!?一体何の根拠があってそんな事を!」
蒼星石は思わず立ち上がり、庭師の鋏を振り上げていたが、真紅は眉一つ動かさずそれを宥めた。
「落ち着いて考えても見なさい。お父様が求めたアリスの定義とは何か・・・わかるでしょう?」
「アリスの・・・定義・・・。確か一点の穢れも無く、至高の美しさを持った究極の少女だったよね・・・。
それに何の問題が?」
「まだ分からないと言うの?貴女らしく無いのだわ。お父様の求めたアリスは”究極の少女”
なのだわ。それに対し貴女のその格好や口調・・・、まるで男の子みたいなのだわ。
そんな事では逆立ちしてもアリスにはなれないのだわ。」
「そ・・・そういえば・・・。」
衝撃の事実を聞かされた蒼星石の顔は青ざめてる。確かにそうだ。蒼星石自身、他の姉妹と違い
僕口調で話す上に服装も男性的と極めてボーイッシュである。その為、究極の少女である
アリスに最も遠いと言われるのは当然の事だったのである。しかもそれを知った時の
彼女のあまりにも真剣すぎる驚きようは真紅さえ唖然とさせる程だった。
「そういえばって・・・、貴女今まで気付かなかったと言うの?」
しかし、蒼星石は何か思う所があったのか、直ぐに冷静さを取り戻していた。
「僕は生まれてずっとこのスタイルを貫いて来たんだ。今更それを変える事なんて出来ないよ。
だから、自分の信念を曲げるくらいなら、僕はアリスにならなくても良い。
確かに僕はお父様に作られた薔薇乙女。だけど、同時に僕は僕でもあるんだ。」
「それが貴女の見付けた答えなのね?なら私はそれを応援するのだわ。」
何かを吹っ切ったかのような清々しい表情で帰る蒼星石。しかし、それが悲劇の始まりだった。

150 :149:2006/09/27(水) 23:18:06 ID:NM1nw8ca
>>145
翠蒼姉妹テラカワイソス
でもワロッタ

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/28(木) 10:35:36 ID:Zioi0QBh ?BRZ(5770)
>>149
ドキがムネムネ

152 :イメージチェンジだ蒼星石 2:2006/09/28(木) 21:18:45 ID:7Gi8Ox/X
翌日、真紅がジュンの部屋で本を読んでいた。何の事はない何時もの風景である。
だが、突然それは起こった。トイレに行っていたジュンが何やら物凄い勢いで階段を駆け上がって来て
部屋のドアを開け、大きな音を立てながら閉めたのだった。
「ジュン、もっと静かに出来ないの?落ち着いて本も読めないのだわ・・・ええ!?」
ジュンを注意しようとした時、真紅は硬直した。その時のジュンは、まるで何かとてつもない
恐ろしい物を見てしまったかのようなおぞましい形相になっていたのだ。
「じゅ・・・ジュン・・・?一体どうしたと言うのだわ・・・。」
「お・・・オラは・・・見てはいけねぇ物を見ちまったぜよ・・・。」
「え!?」
何時ものジュンの口調ではない。口調さえ変えてしまう程恐ろしい物を見たのだ。ジュンは・・・。
そしてジュンは真っ青な顔で逃げ込むように布団の中に潜り込み、その中でもガチガチと震えていた。
その行動の異様さは真紅にも恐怖を植え付ける程だった。
「ジュン!どうしたと言うの!?一体何が起こったの!?」
「お・・・オラは・・・見てはいけねぇ物を見ちまっただぁ・・・。」
「ジュン!何を見たの!?ねえ!何があったの!?」
真紅が慌ててジュンを揺さぶった時だった。部屋のドアがゆっくりと開いたのである。
そして真紅がゆっくりとドアの方を向いた時・・・それはいた・・・。
「こんにちわ真紅・・・。見てこの格好、どお?可愛い?」
「・・・・・・・・!!」
真紅は声にならぬ叫び声を上げた。真紅の眼前に立っていた者、それはなんと蒼いフリフリのドレスに
身を包んだオッドアイの少女人形だった。
「だ・・・誰・・・?」
「僕・・・じゃなかった・・・私よ真紅。今風の言葉で言う所のイメチェンしてみたの。似合う?」
「ヒィ!」
真紅は思わず後ずさった。何という事か、蒼星石が実に女の子らしく振舞っていたのである。しかも口調まで
変えて・・・。確かに予備知識の無い者からすればそれは可愛らしく映った事だろう。だが、既にボーイッシュと言う
イメージが固定されている真紅達にとってはとてつもなく恐ろしいものに映ったのである。
「ヒィ!寄らないで!怖いのだわ!」
「どうしたの真紅?どうして皆避けるの?」
逃げる真紅の後を困った顔で追う蒼星石。だが、それにますます真紅は恐怖に打ち震えた顔で逃げ回る。
もしもこれで真紅が人形ではなく、人間であったならば確実に失禁していたであろう。
「ねえ。今日はお菓子を作ってきたのよ。みんなで食べてよ。」
「嫌ぁ!寄らないで!怖いのだわ!」
蒼星石も必死なのだろう。色々な事をして自分も女の子らしいと言う事をアピールしているつもりなのだろうが、
ますます本来のボーイッシュな彼女とのギャップによりとても恐ろしいものに映っていた。

153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/29(金) 00:51:32 ID:kE2VvPJi
真紅バロスwww

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/29(金) 08:13:36 ID:dBd/hYuz
蒼すげえ可哀想

155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/29(金) 08:26:54 ID:2u7YXyre ?BRZ(5770)
フクザツなキブン

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/29(金) 09:04:15 ID:z7vkyLeP
うんうん

157 :イメージチェンジだ蒼星石 3:2006/09/29(金) 18:08:16 ID:o8lRy6QQ
その結果、真紅が取った行動は・・・。
「ごめんなさい・・・。私が悪かったのだわ・・・。」
真紅はその場に跪き、蒼星石に土下座していた。人に頭を下げる事は愚か、土下座するなど本来の彼女からは
とても考えられない事である。今の蒼星石は彼女をそうさせる程の様相だったのである。
「こめんなのだわ・・・、まさかこんな事になるなんて思いもしなかったのだわ・・・。」
「僕の方こそごめん・・・。あっさり自分の信念を曲げてしまった僕が悪いんだよ。僕もまさか
皆がここまで驚くなんて思いもしなかったよ。翠星石なんか僕の姿を見た途端に気絶してしまったんだよ。
こんな目にあってまで女の子らしくするくらいなら、僕は今まで通りの僕のままでアリスを目指すよ。」
「そ・・・それが良いのだわ・・・。私もああは言ったけど、何処かに欠陥があるのは貴女だけじゃない、
私や他の姉妹にも何処か欠陥があるのだわ。この世で唯一完璧な物、それは正義超人の友情なのだわ。」
「良い事言ったとは思うんだけど・・・、最後にさり気なく凄い事言わなかった?」
蒼星石は少し呆れていたものの、気を取り直して続けた。
「まあとにかく、確かに真紅の言う通りかもしれないね。真紅の冷静に物事を判断出来る所や
落ち着いた物腰は僕としても見習いたいポイントだけど、でもキミって生活力無いんだよね〜。」
「(ピクッ)」
真紅は一瞬カチンと来た。だが蒼星石は続ける。
「キミが何時もジュン君みたいなそこそこの生活が出来る家に住んでて、、なおかつ自分の力で
屈服出来る様な弱い人間ばっかりをマスターにして、しかもそれを下僕にしてしまう所を見てると
良く分かるんだ。キミは本当に生活力が無いとね。だからキミはマスターがいないと何も出来ないんだ。
せめてお茶くらい自分で淹れられるようになろうね。じゃないと真紅もアリスにはなれないよ。」
「(ピククッ!)」
真紅はゆっくりと手を蒼星石の肩に乗せた。
「ありがとうなのだわ蒼星石・・・。私もその辺を心得て精進するのだわ・・・。」
次の瞬間だった。蒼星石の肩に乗った真紅の手が首元に滑り込むと共に蒼星石の首を絞め始めたのだ。
「何て言うと思ったの!?」
「な・・・何故首を絞めるの・・・真紅・・・!?」
「言って良い事と悪い事があるのだわ!このまま絞め殺してやるのだわ!」
「オラは見てはいけねぇ物を見ちまっただぁ!」
その日、ジュンの部屋でアリスゲームが勃発するが、何かグダグダの結果に終わったそうである。
                      おわり

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/29(金) 18:51:14 ID:XMwwLn7R


ここは短篇以外は投下不可のようだな

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/29(金) 20:42:13 ID:+8mmmT2y
カス作者ばかりなんで

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/29(金) 22:43:41 ID:dBd/hYuz
そう自虐的になるなよ

161 :もしも蒼がジュンの所に来ていたら・・・:2006/09/30(土) 11:59:12 ID:Q7qbRWaL
「ジュン、お茶を淹れてちょうだい。10秒以内に。」
「無茶だ!ってんべっ!」
「一々口答えする下僕ね。まったく・・・。ほら、もう5秒経ってしまったのだわ。早くしなさい。」
何時ものようにジュンは真紅にこき使われていた。そして渋々お茶を淹れつつジュンは
ある思いを馳せていた。

「あ〜あ〜・・・何が幸せなお人形なもんか・・・。僕をさんざこき使って・・・。でも、もし僕の家に
やって来たのが真紅じゃなくて蒼星石なら・・・こんな事にはならなかっただろうな。
それどころか蒼星石の方から僕にお茶を淹れてくれそうだな。主人と認めた相手にはマスターって
従順に従うみたいだし・・・。」
そう独り言を言いながらジュンの妄想が始まった。勿論真紅ではなく蒼星石が家に来ていたら?
と言う妄想である。

「おはようマスター。」
「マスター、お茶を淹れて来たよ。」
「マスター、肩を叩くよ。」
などなど、色々とジュンの身の回りの世話をしてくれる蒼星石と言う構図がジュンの脳内に
浮かんでいたのだが、妄想が一人歩きしすぎた結果とんでもない事態に発展する事となる。

「マスター、学校にはいかないの?」
「!?」
蒼星石の痛い一言にジュンは硬直した。妄想の中での一言とは言え、ジュンにとっては強烈な一言だった。
「マスターと同じ位の年齢の子はみんな学校に言って勉強するんだよ。何故マスターは行かないの?」
「あっあんな所行く必要ないんだよ!もう変な事言うな!」
「変な事じゃないよマスター!これは大切な事なんだよ!」
蒼星石の力のこもった反論にジュンは思わず怯んだ。蒼星石は他の薔薇乙女に比べて
生真面目すぎると言う側面もあった。その生真面目さがジュンにとって仇となっていたのである。
「それに僕は知ってるんだよ。この国には義務教育って言う制度がある事を。」
「そ・・・そんな事知るもんか。もういい加減変な事言うな!」
「ダメだよ!これはマスターの為なんだよ!学校に行ってしっかり勉強しないと就職も出来ないんだよ!
就職も出来なくて路頭に迷うマスターの姿なんて・・・僕は見たくないよ!」
蒼星石の目には大粒の涙が浮かんでいた。そう、これ程までにジュンの事を考えていたのである。
だが、それを理解できる程ジュンの精神は大人ではなかった。
「うっうるさい!そんなに文句言うなら出て行けぇ!!」
「酷いよマスター!僕はマスターの為を思って言っているのにぃ!」
「わっ待てっ何故ここで鋏を出す!」
「ここでマスターを殺して僕も死ぬぅ!」
「わーやめろーうわー!!」

「うわぁぁぁ!!」
ジュンははっと我に返った。だが、妄想の中でまで酷い目にあった事へのショックは残ったままだった。
「妄想の中でさえこんな目に遭うなんて・・・僕の存在っては一体何なんだ?んべっ!!」
直後、ジュンは真紅のツインテールに跳ね飛ばされていた。
「もう3分も経っているじゃない。呆れて物も言えないのだわ!とにかく早くお茶を淹れなさい!」
「・・・。」
ジュンは無言で起き上がり、またお茶を淹れなおしていたがジュンの顔にはやや笑みが浮かんでいた。
「(やっぱり真紅で良いや・・・。確かに真紅は酷いけど、学校に行けなんて言わないしね・・・。)」
                     おわり

162 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/30(土) 15:43:16 ID:SwrZDKw2
リアルでありそうで吹いた

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/30(土) 19:38:25 ID:bNGPeEFi
真紅だったらもっとネチネチと言うよ

「ジュン、巴が学校のプリントを届けてくれたわ。机の上に置いておくわね」

「ジュン、そろそろ衣替えの季節ね」


164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/30(土) 20:29:46 ID:eK5o+UEZ
翠星石はそのうちひきずってくかケツ蹴っ飛ばすかでジュンを強引に学校に連れて行くな

雛苺は「あのね、今日トモエとがっこうのおはなしをいっぱいしたの〜、ジュンにもはなしてあげる」
邪心が無いだけに一番痛い

銀様は「学校なんて行くよりも街に出てカッパライでもしてらっしゃ〜い」と
逆に学校に行きたくなるようなことを言いそう

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/30(土) 20:41:03 ID:81Efk1Ek
翠星石は単行本7巻で「学校になんか行かないでずっと側にいてほしい」という
爆弾発言をしているわけだが

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/02(月) 09:52:42 ID:EO/qMYv8 ?BRZ(5770)
>>161
蒼星石カワイイヨ・・愛してるよ

167 :真紅・便所編2:2006/10/04(水) 22:05:59 ID:wZxdsf2k
前スレ 便所編の続き

学校から家に帰ると、家の前に人形が立っていた。

トイレに流したはずの真紅だ・・・

「おかえりなさい。学校にいって来たようね」
真紅はやさしく話しかけてきた。
「し、真紅・・・昨日はゴメン・・・」
僕は冷や汗をかきつつ、必死に謝る。

「・・・もう、いいのだわ。私も忘れてしまいたいし」
誇り高い薔薇乙女にとってウ○コまみれになったのは屈辱だろう。
「あの部屋は人間が排泄行為をする場所のようね、しらなかったわ」
ずっとそこで暮らしてたんだけどな。
「ジュンの恥ずかしいところも見てしまったし、お互い様ということで忘れてあげるのだわ」
ありがとう・・・正直会いたくなかったけど・・・
「いつまでも立ち話しても仕方がないのだわ、中に入りましょう」

真紅は微笑みながら抱っこしてちょうだいポーズをとる。
僕は真紅を抱き上げた。
「くさっ!!!!」
抱き上げた途端、強烈な異臭が鼻をつき真紅を放り出してしまう。

真紅は明らかに傷ついていた、うつむきながらドレスのホコリをポンポンと払う。
「私はもういらない人形なのかしら?」
目に光って見えるのは涙だろうか。
「ち、違うんだ!!ちょっと臭いがきつかったからさ!・・・ちょっと待ってて!」

僕は家の中に飛び込むとファブリーズを持って引き返した。
「真紅!これをかければ・・・真紅?」

真紅は居なくなっていた、臭いが抜けたら戻ってきてね。

制服が臭くなったので次の日から学校いくのはやめた。

168 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/04(水) 22:18:55 ID:7m8px0Il
あいかわらずのこの黒さwwwできれば便所編1はってくれ

169 :嬉しくも悲しい微妙な気持ち 1:2006/10/04(水) 23:22:19 ID:Q6Y+Jl+M
「じゃあ行って来るよ。」
「行ってらっしゃいなのー!」
とある休日、出かける為にドアの外に出るジュンを雛苺が見送っていた。
色々あってジュンはヒキコモリを克服し、さらに猛勉強のかいあって学業面でも皆に追い付く事が出来た。
確かに復学直後は他の者に色々言われたりと、またヒキコモリに逆戻りしそうになった事もあった。
だが、実際にはそうならなかった。ジュン自身の頑張りも確かにあるのだが、巴がジュンを支えた事も
また大きく、そして何時しか二人は本格的に付き合うようになっていた。この日もジュンは巴と
映画を見に行く約束をしていたのであるが、それを快く思わない者がいた。
「キィィィィ!!チビ人間なんかに彼女なんて46億年早いですぅ!!
チビ人間は一生翠星石に仕えていれば良いですぅ!!」
ジュンの家に居候している薔薇乙女第3ドール翠星石、彼女こそその筆頭であり、まるで子供の様に
駄々をこねて部屋中を騒ぎまわっていた。
「悔しいです悔しいですぅ!!あんなチビ女なんかよりも翠星石の方が一億倍も可愛いですぅ!!」
「アハハ、翠星石まるで子供みたいなのー。」
「チビ苺なんかに言われたくないですぅ!!」
第6ドール雛苺に馬鹿にされた翠星石は真剣に怒っていたが、雛苺は相変わらず笑っていた。
「雛苺!!お前だって悔しくないですかぁ!!」
「えー?雛はジュンも巴も大好きだから二人が仲良くするのは嬉しいのー。」
「・・・。」
翠星石は無言で肩を落とす。
「お子様なチビ苺なんかに聞いたのが間違いだったですぅ・・・。」
「まったく・・・、どっちがお子様なのか分かった物ではないわね。」
「真紅!?」
今度は第5ドール真紅が翠星石にキツイ一言を言い放った。
「真紅!!そうですぅ!!真紅ですぅ!!真紅なら私の気持ちがわかるですよねぇ!!
あんなチビ女なんかにジュンを取られて悔しいですよねぇ!!
ジュンを下僕として使っている真紅ならばと翠星石はジュンに詰め寄るが、真紅は無情だった。
「いいこと?翠星石・・・。私達は歳を取らないドールだけど、ジュンや巴は人間。
だから二人とも歳を取っていくのだわ。そして歳を取るからこその考え方の変化もあるでしょう。
こうして二人が本格的に付き合うようになったのもまさにそれなのだわ。それに、
仮にこのまま二人が大人になって結婚するような事があったとしても、ジュンが私の下僕である事は
変わらない。いや、むしろ下僕がもう一人増えて得なのだわ。そして子供が生まれたら、その子も
私が直々に下僕にしてあげるのだわ。」
「真紅の薄情者ぉ!!もういいですぅ!!一人で何とかしてやるですぅ!!」
大粒の涙を飛び散らしながら翠星石はその場から走り去った。しかし、真紅と雛苺は呆れた顔をしていた。
「まったく、翠星石も何だかんだ言ってまだまだ子供ね・・・。雛苺の方よっぽどしっかりしてるのだわ。」
「雛、真紅に褒められちゃったー。」
雛苺は少し嬉しそうな顔をしていたが、その後で真紅が立ち上がって部屋を出た。
「真紅どうしたの?」
「ジュンの部屋でお昼寝でもするから、静かにして欲しいのだわ。」
「うんわかったー。雛一階でテレビ見てるー。」
そうして真紅は階段を上っていった。

170 :169:2006/10/04(水) 23:26:15 ID:Q6Y+Jl+M
>>167
便所編ナツカシス・・・でも相変わらず真紅カワイソスw
でも生きていただけでも何か安心したとよ。
しかも結局ジュンまたヒキコモリに復帰するしw

171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/05(木) 09:28:06 ID:bnj1WLPn ?BRZ(5770)
>>169
期待

172 :真紅・便所編1:2006/10/05(木) 16:39:24 ID:TGlrKFG6
「ジュン、紅茶を私の部屋に持ってきてちょうだい」
僕は紅茶を淹れてトイレに運ぶ。
「ジュン、ご苦労様。そこのテーブルに置いておいて」
僕は紅茶を便座の蓋の上に置く。

最初に会った時に説明しなかった僕が悪いんだ。

初めてトイレに入った真紅は芳香剤の匂いと落ち着いた色の壁紙がすっかり気に入ってしまった。
真紅はトイレを自分の部屋に決めてそこで生活するようになった。
幸いにも僕の家には一階と二階にトイレがあるから不自由はないが
トイレで紅茶を飲み、トイレで眠り、トイレでシャワーを浴びるのは問題がある。
いつかは真紅に本当のことを説明しなければならない。

ある晩、僕は腹痛で目を覚ました。

グキュ〜〜キュルル〜〜グリュリュ〜

もう間に合わない!真紅には申し訳ないが二階のトイレを使わせてもらおう。
僕はトイレに駆け込むと床に置いてあるトランクを踏まないように便座にすわる。

ブビッ!ブビビビビッ!ブビビッ!ブピピピ!プシュ〜〜!

ふ〜快感!!食べ過ぎた夕食の中身を全部はき出してしまい、腹内のガスもついでに出す。
そういえばトイレの電気つけっぱなしだった、いつも閉まってる便座の蓋が開いてたな・・・

「・・・なのだわ」

僕のお尻の下からくぐもった声が聞こえてきた。
どうやら真紅は夜中に水風呂につかって涼を楽しんでいたらしい。

僕は黙って尻を拭き、トイレを流した。
背後の人形の悲鳴を聞きながら明日から学校に行こうと決心した。



173 :嬉しくも悲しい微妙な気持ち 2:2006/10/05(木) 18:04:40 ID:KyIddsKv
ジュンの部屋に入り、ドアを閉めた真紅は部屋の電気も点けずに寝転がった。しかも自分の鞄ではなく
ジュンのベッドにである。そして、真紅の目には大粒の涙が浮かんでいた。
「どうして・・・どうして涙が出てくると言うの・・・。今までにも様々な人間との出会いと別れを
経験して来たと言うのに、何故ジュンにだけ涙が出てくると言うの・・・。」
表面的には無頓着な態度を取っていた真紅だが、心の奥底では彼女もまた悲しんでいた。
そして翠星石と違って外に発散させない分、その悲しみは翠星石とは比較にならない物だったのである。
「何故涙が出てくるの・・・。ジュンは人間で、私はドールなのよ・・・。だからいつかは別れが来るのだわ。
それは今までにも既に何度も経験している事・・・。なのに・・・何故ジュンがこんなにまで愛しいの・・・。」
真紅もジュンの事を愛していた。だが、翠星石と違い彼女は物事の分別が分かるドールである。
いや、むしろそれが分かるからこそ余計に葛藤していたのかもしれない。
「私達はドールで、ジュン達は人間。」
「ジュンの精神的成長は私にとっても嬉しい事。」
「でもジュンが他の女の所に行ってしまうのは悔しい。」
「けど流石に翠星石みたいに子供みたいに騒ぐ事は出来ない。」
など、様々な気持ちが真紅の心の中でぶつかり合っていた。
「ジュン・・・生涯真紅の下僕でいてくれるのよね・・・。私を置いてどこかに行ったりはしないのよね・・・。」
真紅はジュンのベッドにうつ伏せになったままそう何度も問いかけていた。だが、部屋には真紅以外の
誰もいない。真紅の目からは涙がますます溢れてきていた。いくらクールに振舞っていても
彼女もまた以前ジュンにこっそり打ち明けた通りに怖がりな少女なのである。
そんな時だった。ジュンのパソコンのディスプレイから水銀燈が現れたのは。
「あ〜らどうしたの?お馬鹿さぁん。」
「そうなのだわ・・・私はドールであるにも関わらず身の程知らずな考えを持ったお馬鹿さんなのだわ・・・。」
「ええ!?」
真紅の普通では無い言動に水銀燈は唖然とした。普段なら水銀燈が少し煽れば、真紅は怒って
突っかかってくるはずである。だが、今は違う。もう水銀燈に突っかかっていく気にさえならない程
いじけてしまっていたのだ。それには流石の水銀燈も心配になった。
「ちょっと!どうしたのよぉ真紅!何で・・・何でそんないじけてるのよぉ!」
水銀燈は真紅の体を揺さぶるが、真紅はベッドに蹲ったまま動かなかった。
「私は水銀燈の言う通りのお馬鹿さんなのだわ・・・。」
「あっさり肯定しちゃこっちが困るのよぉ!いつもの強気の真紅に戻って私をジャンクとか罵ってみなさいよぉ!」
「・・・。」
ついに真紅はそのまま黙り込んでしまった。そしてかすかに真紅が泣いているのが水銀燈の耳に入った。
「泣いているのねぇ・・・。一体何があったと言うのぉ?」
水銀燈は心配そうな顔で真紅の背を摩った。水銀燈らしくない行動。だが、こんな真紅の姿は
水銀燈にとっても面白くなかった。相手を馬鹿にする行動一つをとっても、その相手が必死に
それを否定しようとする姿が水銀燈にとって面白いから良いのであって、あっさりそれを受け入れて
しまったのでは全く面白い物ではなかった。ましてや今の真紅の精神状態では仮にローザミスティカを
奪ったとしても、水銀燈の方に悪影響が出てしまうかもしれない。だから水銀燈としても
一刻も早く何時もの真紅に戻って欲しかった。

174 :173:2006/10/05(木) 18:07:16 ID:KyIddsKv
>>172
改めて見直したが、やっぱワロッタ
真紅やっぱりカワイソス・・・
特に「・・・なのだわ」 の部分は吹いてしまう

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/05(木) 18:56:13 ID:2ZoavHlL
>>172
dクス
なのだわバロスwwwwwwwww

>>173
期待

176 :真紅・便所編1:2006/10/05(木) 21:07:35 ID:TGlrKFG6
>>173
カキコが止まってたので次の作品が投下されるまでのつなぎにと続編を書いたのですが
新作が投下されてうれしいかぎりです
長編になりそうですが完結までがんばってください、期待しております


私の次作はホラーっぽいものに挑戦しようかなと思っております

177 :嬉しくも悲しい微妙な気持ち 3:2006/10/06(金) 15:56:38 ID:RnP4P9Bn
「実は・・・。」
真紅は目に涙を浮かばせながら話した。何故自分が泣いているのかを・・・
「あ〜らそんな事なのぉ!馬鹿みたい!」
話を聞くなり水銀燈は笑いながら立ち上がった。
「ならその巴って子を殺せば良いって事じゃなぁい。簡単な事よぉ。それに、この国の警察力じゃ
nのフィールドなんてわかりっこないしぃ。完全犯罪も可能よぉ。」
「それはダメなのだわ。」
立ち去ろうとした水銀燈を真紅が涙目で呼び止めた。
「何でよぉ。アンタはその巴って子が目障りなんでしょぉ?」
「確かに貴女ならこの国の警察の基準から見た場合の完全犯罪も可能なのだわ・・・。もっとも、
くんくんには敵わないでしょうけど・・・。でも、私はジュンの幸せのお人形。そして巴が
死ねばジュンは悲しむのだわ。だからそんな事はやってはいけないのだわ。」
「じゃあ・・・貴女はどうするの?」
「・・・。」
水銀燈は真紅を睨みながら問うが、真紅は黙り込んだ。と、その直後だった。水銀燈が
真紅の首元のリボンを掴み挙げると真紅の頬に平手打ちを放ったのだった。
「まったくうっとおしい!!私が知ってる真紅は確かにお馬鹿さんだけどこんな腑抜けじゃないのよぉ!!
ホラホラ!!悔しかったらいつもの強気の真紅に戻って私をジャンク呼ばわりしてみなさぁい!!」
水銀燈は真紅の頬に何発も平手打ちを放つ。それは次第に水銀燈の手さえ赤くはれ上がる程だった。
水銀燈も真剣なのである。真剣だからこそこのような事が出来るのである。そしてその直後だった。
今度は真紅の右拳が水銀燈の左頬に叩き込まれていた。
「あんまり馬鹿にしないで欲しいのだわ・・・。私だって・・・私だってやってやるのだわ・・・。」
その時の真紅の顔は先程までの腑抜けた顔ではない。真剣に物事に打ち込む顔になっていた。
「そう・・・それで良いのよ・・・。これでもう心配はいらないわねぇ。そしてこの問題が解決したら・・・
その時は私が貴女のローザミスティカを奪ってあげる。」
「なら私だって貴女の顔面をもう一度殴って、さらに羽を全てむしりとってやるのだわ。」
「そして戦って戦って疲弊した所を私が乱入して貴女達の体を頂く漁夫の利作戦・・・。」
「え!?」
どさくさに紛れていつの間にか雪華綺晶までジュンの部屋にいた。だが、二人に見付かるなり
彼女はさっさと帰っていった。
「・・・。」
「ハア・・・。じゃ・・・帰るわねぇ・・・。」
雪華綺晶一人のせいでせっかく盛り上がっていたムードが台無しになってしまった。

178 :177:2006/10/06(金) 15:57:47 ID:RnP4P9Bn
>>176
どういう風にホラーっぽくなるのか楽しみにしてる

179 :嬉しくも悲しい微妙な気持ち 4:2006/10/07(土) 19:45:45 ID:r8wEgkq8
「実は・・・。」
真紅は目に涙を浮かばせながら話した。何故自分が泣いているのかを・・・
「あ〜らそんな事なのぉ!馬鹿みたい!」
話を聞くなり水銀燈は笑いながら立ち上がった。
「ならその巴って子を殺せば良いって事じゃなぁい。簡単な事よぉ。それに、この国の警察力じゃ
nのフィールドなんてわかりっこないしぃ。完全犯罪も可能よぉ。」
「それはダメなのだわ。」
立ち去ろうとした水銀燈を真紅が涙目で呼び止めた。
「何でよぉ。アンタはその巴って子が目障りなんでしょぉ?」
「確かに貴女ならこの国の警察の基準から見た場合の完全犯罪も可能なのだわ・・・。もっとも、
くんくんには敵わないでしょうけど・・・。でも、私はジュンの幸せのお人形。そして巴が
死ねばジュンは悲しむのだわ。だからそんな事はやってはいけないのだわ。」
「じゃあ・・・貴女はどうするの?」
「・・・。」
水銀燈は真紅を睨みながら問うが、真紅は黙り込んだ。と、その直後だった。水銀燈が
真紅の首元のリボンを掴み挙げると真紅の頬に平手打ちを放ったのだった。
「まったくうっとおしい!!ウジウジウジウジとぉ!私が知ってる真紅は確かにお馬鹿さんだけど
こんな腑抜けじゃないのよぉ!!ホラホラ!!悔しかったらいつもの強気の真紅に戻って
私をジャンク呼ばわりしてみなさぁい!!」
水銀燈は真紅の頬に何発も平手打ちを放つ。それは次第に水銀燈の手さえ赤くはれ上がる程だった。
水銀燈も真剣なのである。真剣だからこそこのような事が出来るのである。そしてその直後だった。
今度は真紅の右拳が水銀燈の左頬に叩き込まれていた。
「あんまり馬鹿にしないで欲しいのだわ・・・。私だって・・・私だってやってやるのだわ・・・。」
その時の真紅の顔は先程までの腑抜けた顔ではない。真剣に物事に打ち込む顔になっていた。
「そう・・・それで良いのよ・・・。これでもう心配はいらないわねぇ。そしてこの問題が解決したら・・・
その時は私が貴女のローザミスティカを奪ってあげる。」
「なら私だって貴女の顔面をもう一度殴って、さらに羽を全てむしりとってやるのだわ。」
「そして戦って戦って疲弊した所を私が乱入して貴女達の体を頂く漁夫の利作戦・・・。」
「え!?」
どさくさに紛れていつの間にか雪華綺晶までジュンの部屋にいた。だが、二人に見付かるなり
彼女はさっさと帰っていった。
「・・・。」
「ハア・・・。じゃ・・・帰るわねぇ・・・。」
雪華綺晶一人のせいでせっかく盛り上がっていたムードが台無しになってしまった。

水銀燈が帰ってしばらく後、ジュンが帰って来た。と、その直後に真紅のツインテールがジュンを襲った。
「うわぁ!何だいきなり!」
「ジュン!のどが渇いたわ。お茶を淹れて頂戴!」
「な!帰って来て早々何を言うんだ!こっちだって疲れてるんだぞ!大体そういうのは姉ちゃんに・・・。」
「私はジュンに淹れてほしいのだわ!例えぬるくても、不味くてもジュンの淹れたお茶が飲みたいのだわ!」
真紅は真剣な顔でジュンを見つめていた。それには流石のジュンも怒る気が失せていった。
「分かったよ・・・ちょっと待ってな。」
ジュンは靴を脱いで台所へ行った。その後を真紅が付いて行く。
「(私は薔薇乙女第5ドール真紅、ジュンの主にしてジュンの幸せなお人形・・・。私はもう泣かない。
だからジュンと巴の仲を応援するのだわ。下僕の幸せを願うのも主の務めなのだから・・・。
でも、その分ジュンにも働いて貰うのだわ。それが私の出来る精一杯の愛情表現なのだから・・・。)」

180 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/08(日) 05:34:32 ID:Gp30qhqX
懐かしい・・・俺もちょっと前までヘタクソなSS書いてたなぁw
もうトロイメントが終わって何ヶ月経つ?
このスレってまだ需要あるの?

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/08(日) 06:17:20 ID:yvySXBFr
需要ならいくらでもあるぜ。
さぁ、投下しておくれ!

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/08(日) 10:54:18 ID:G971APip
その閃光は確認できない速度で私に突き刺さった。

一瞬何が起こったのか、なぜこんな事になったのか、私には理解できないでいた。

「水銀燈。あなたはここでお終い。ここでお別れ。ここで朽ち果てる。」

目の前には赤い、紅いドレスを纏った人形。

「あなたはもう動けない。もうアリスにはなれない。再び立ち上がることもないわ。」

…真紅。目の前にいるのは同じ薔薇人形の一人。真紅がいた。

「私はこれからアリスになるために他の姉妹のローザミスティカを奪いにいくわ。」

真紅が?なぜ?

「何故かって?愚問ね。死に行く者に答える必要など無いわ。」

真紅の姿が段々と薄れてゆく。まるで雪のように。
それを見た私は、どうしてだろうか、とても綺麗だと思ってしまった。

なぜ彼女がこんな行為に及んだのか。それは分からない。
それを考えようとする余力も残っていない。
真紅は言った。私はもう終わりなのだと。現に私の体の半分は既にもっていかれ。
一つ、大きな風穴が開いている。不思議と怒りは沸いてこない。
ただ、真紅に対する憐れみが沸いてくるだけ。彼女はこれで良かったのだろうか。
私はこれで良かったのだろうか。もう少し、もう少しだけでいい。時間が欲しい・・・

アリスになる思いは叶わず。私の意識は闇へと落ちた。

再び光差す事が無い闇へと。

183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/08(日) 16:47:09 ID:FF7DbIy4
続きある?wktk

184 :嬉しくも悲しい微妙な気持ち 5:2006/10/08(日) 22:43:40 ID:/DQxgv38
一方、翠星石がどうなったのかと言うと・・・。
「と言う事なのですぅ。そんなワケで蒼星石にも協力して欲しいですぅ。」
「ダメだよ。二人の仲を無理矢理引き裂くなんていけないよ。」
翠星石は双子の妹である第4ドール蒼星石の所に協力を仰ぎに来ていたのだが、見事に拒否されていた。
「そんな・・・蒼星石なら翠星石の気持ちを分かってくれると思ったですのにぃ・・・。」
「そりゃあ僕だって翠星石の力になりたいさ。でも、
そんな理不尽な理由でジュン君を酷い目に遭わせるのはいけないよ。」
「分かったですぅ。なら蒼星石、庭師の鋏だけ貸してですぅ。」
「え!?いきなり何を言うんだい!?一体何に使うんだい!?」
「いいからさっさと貸せですぅ!!」
翠星石は突然何かに憑り付かれたかのように蒼星石に飛びかかり庭師の鋏を奪おうとした。
「わぁ!翠星石落ち着いて!落ち着いてよ!」
「煩いですぅ!さっさと貸せですぅ!これでジュンを刺し殺して翠星石も死ぬですぅ!」
「ダメだよ!そんなの余計に貸せないよ!」
「嫌ですぅ!ジュンは翠星石の物ですぅ!あんなチビ女にはやれないですぅ!」
翠星石は泣きながらなりふり構わず蒼星石から鋏を奪おうとした。
だが次の瞬間、蒼星石に殴り飛ばされていた。
「いい加減にしろ!」
「・・・。」
初めて蒼星石に顔面を殴られた。そのショックで翠星石は硬直した。だが、蒼星石も手を痛そうに抑えていた。
「痛いかい?でもね、殴った僕の手も痛いんだよ。それにね、無理矢理二人の仲を引き裂いたら
ジュン君は君の事を怨むと思うんだ。それこそ本末転倒だろう?だから少し落ち着いて考えるんだ・・・。」
翠星石が静かになった所で蒼星石は優しく言い聞かせるつもりだった。確かに実際いい事言っているのだが
それを理解できる程翠星石の精神年齢は高くなかった。
「何ワケのわからねぇ事言ってやがるですか!さっさと鋏出せですぅ!」
「わぁ!もういい加減にしてぇ!!」
この後、アリスゲームが勃発するがやっぱりグダグダな結果に終わったそうである。
                     おわり

185 :184:2006/10/08(日) 22:45:18 ID:/DQxgv38
>>182
何か悲しげなお話だな。
真紅が何故そのような非情な道を選んでしまったのか
気になる所

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/08(日) 23:15:33 ID:VjwocD6d
遂に仲間内だけでWKTKするクソスレになったな
見事な策略でしたw

187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/08(日) 23:28:22 ID:plKlTVwh
そう自虐的になるなよ

188 :蒼星石・復讐編1:2006/10/08(日) 23:29:48 ID:NNBI8QZC
僕には前から気になっていたことがある。
蒼星石は本当に女の子なんだろうか?
好奇心を抑えきれなくなったので確かめることにした。

リビングで遊んでいる人形たちに飲み物を振舞う。
緑茶、紅茶、ジュースを用意した。
期待通りに蒼星石は睡眠薬入りの緑茶を飲んでくれた。
いきなり性別確認させてって言っても怒るだろうから、眠らせて調べよう。

「なんだかボク、眠くなってきたよ。少し横にならせてもらっていいかな」
蒼星石は見るからに眠そうで、まぶたが今にも落ちそうだ。
「じゃあ、僕の部屋のベットで寝るといいよ」
僕は蒼星石を抱き上げると、すでに寝息をたてはじめた人形をベットに運ぶ。

蒼星石をベットに寝かせると、早速ズボンのボタンを外す・・・
って興奮して自分のズボン脱いじゃったよ・・・脱がせなきゃいけないのは蒼星石だ!
あくまでも学術的な探究心で確かめるんだ!人形相手に興奮してどうするんだ!

気分を落ち着かせるためにまずは全裸になる。
学術的な雰囲気を出すために保健の教科書と無修正外国産写真集を用意して参考資料にする。
不測の事態に備えてロープとロウソクも準備する。
準備は完璧に整った、確認作業をはじめよう。

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/08(日) 23:34:47 ID:FF7DbIy4
>>188
こwwwれwwwはwww

190 :蒼星石・復讐編2:2006/10/08(日) 23:36:37 ID:NNBI8QZC
蒼星石の半ズボンのボタンを外し、腰を持ち上げて脱がせる。
人形用の衣装だが縫製も丁寧で高級感がある、匂いも確認するが無臭だ。
次は下着だ、深呼吸で心を落ち着かせ下着の外観を調査する。
他のドール達はスリップの様な下着だったが蒼星石はパンティータイプだ。
白色のシンプルなデザインで縁取りにレースがついていた。
下着を破らないように最新の注意をはらい、ゆっくりと脱がす。
まずは下着の匂い、味、感触を確かめノートに記録していく。

いよいよ蒼星石の股間の確認だ。

・・・・ついてるじゃん!!

身長と比較すると小ぶりだが男の印がしっかりついていた。
ポークビッツのようだが触ってみると硬い。
根元が球体関節になっており、360度クルクルと動く。
大きくなったりはしないようだが自由に動かすことはできるだろう。

スポン!!!

面白がっていじっているうちに蒼星石の大事なところがとれてしまった。
ど、どうしよう・・・
慌てて元にもどそうと押し込むがうまくはまらない、角度を変えたり回しながら押しても入らない。
あせって強く押し付けたせいか蒼星石がモゾモゾと動き出す。
「う、う〜〜ん」
ヤバイ!目を覚ましそうだ!
大事なところを見られた上に、引きぬかれたとわかればタダでは済まないだろう。

191 :蒼星石・復讐編3:2006/10/09(月) 08:47:00 ID:pBy5EsL9
すばやく蒼星石に下着とズボンを着せ、僕は服を小脇に抱え部屋から飛び出す。
「あ〜〜〜!ジュンがハダカでいるのよ〜」
タイミングが悪いことに雛苺がいた。
「あ、ああ・・・お風呂に入ろうと思ってね。先に服を脱いじゃったのさ」
雛苺は口を押さえ、ププッと笑う。
「ジュンは慌てんぼうさんなの〜」

背後の部屋からガサゴソと物音がする、蒼星石が目を覚ましたようだ。
「雛苺、これを預かってくれないか」
僕は蒼星石のポークビッツを雛苺に押し付け、衣服を身に着ける。
「うゆ〜?なんなの〜これ?」
「いいから、下で遊んできな。あとで苺大福あげるから」
とりあえずの証拠隠滅は済んだ、後はしらんぷりしてればいいや。

背後のドアがガチャッと開く。
「おはよう、ジュン君。ゆっくり寝かせてもらったよ」
蒼星石は伸びをして気分が良さそうにしている。
「や、やあ・・・体の調子はどうだい?」
「絶好調だよ、なんだか体が軽くなった気がするよ」
・・・そりゃ、部品が無くなってりゃ軽くなるだろうな。

192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/09(月) 14:59:46 ID:9ydL1urK
>>188
吹いたww

193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/09(月) 16:15:39 ID:X6nZfl5T
ここはSS以外は投下したら駄目??

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/09(月) 16:18:16 ID:9ydL1urK
>>193
SS以外に何かあるのか

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/09(月) 16:21:15 ID:X6nZfl5T
詩みたいなやつとか…

196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/09(月) 16:21:17 ID:Io9g5NPv
SS ×
ポエム ○

嘘はいかんよ。

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/09(月) 16:29:05 ID:X6nZfl5T
ん??つまり駄目なのか…orz

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/09(月) 16:57:08 ID:9ydL1urK
いや、別にいいと思うが

199 :ひとり:2006/10/09(月) 17:50:49 ID:X6nZfl5T
剥がれ落ちる仮面がぽろぽろと
こぼれ落ちる不安がしたしたと

頭の奥でざわめいて
この耳には何も聞こえない

愛した名さえ遠くに響いて
信じた腕すら掴めなくなって


暗闇置き去りひとりぼっち
潰れたように何も見えない


嗚呼どこかで忘れてきた現実
嗚呼どこかで狂いだした愛情


200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/09(月) 17:55:21 ID:MafTVulF
え、えっと・・・うん・・・良いと思うよ

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/09(月) 17:56:21 ID:X6nZfl5T
>>194>>196>>198
回答ありがとう。とりあえず怖いもの知らずで、銀ちゃん独白詩投下してみた。

202 :蒼星石・復讐編4:2006/10/09(月) 19:15:53 ID:pBy5EsL9
その後、蒼星石は何事もなく帰宅した。
人形だから一個や二個部品足りなくても大丈夫なんだろう。
念のために真紅に聞いてみよう。
「なあ、ローゼンメイデンって体の部品足りなくなっても大丈夫かな?」

「ジュン、想像してもらえるかしら・・・
 私は時計台の時計・・・街中の人が私の時刻の鐘の音に合わせて
 日々の生活を送っているのよ・・・
 ある日、私の中の歯車がほんの少し欠けてしまった・・・
 私の告げる時刻は少しずつ遅くなっていく・・・
 それに合わせて生活をしていた人たちも少しずつ遅れていく・・・
 ある日私は怒りに燃えた街の人たちによって打ち壊されてしまうのだわ・・・
 なにも変わらないように見えて毎日が少しずつおかしくなってしまうのよ・・・
 わかってもらえたかしら?」

ゴメン、よくわかんない。

「ジュン、私たち薔薇乙女は究極の少女アリスを目指しているのよ
 お父様にいただいた大事な体を失ったりしたらアリスにはなれない・・・
 部品一つ、キズ一つでも私たちの存在価値は無くなってしまうのだわ」

そうか・・・それは大変だな・・・
やっぱり蒼星石に事情を話してチンコを返そう。
落ち着いて直せば元通りになるはずだ。

「おい、雛苺。さっき渡したの返してくれよ」
「うゆ?・・・あのねヒナはお腹がすいたから食べちゃったのよ」
え?何を言ってるんだ!あれは大事な物なんだぞ!
「固くてコリコリしておいしかったのよ〜」

203 :蒼星石・復讐編5:2006/10/09(月) 19:39:28 ID:pBy5EsL9
あれは絶対に必要な物なんだ!返してもらうぞ!

僕は雛苺を捕まえると逆さにして振ってみる。
「ジュン〜、いやなの〜!目がまわるの〜〜」
中々出てこないので雛苺の頭を床にガンガンと打ち付けてみる。
「いたい〜いたいの〜!うわ〜〜〜ん」
雛苺は泣き出してしまったが、チンコは出てこない。
最後の手段として口から手を突っ込む。
「ウグーーーッ!!フゴゴーーッ!ウウー」
苦しいだろうけどちょっと我慢しろよ
肘まで手を入れて雛苺のお腹の中を探る。
指の先に何か固いものが当たる。これだ!!
取り出してみるとピンク色に輝く宝石だった。

なんだこれ?

気がつくと足元で雛苺が死んでいた。
僕が取り出したのはローザミスティカだったらしい。

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/09(月) 20:20:28 ID:g0j8S9k0
いい加減にしろボケ、全然楽しくねぇんだよ

こんな不愉快な文章ノーマルスレに投下していいかどうかくらい、自分で分かるだろうが

エログロスレに行けよ

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/09(月) 21:20:29 ID:N0rd63CJ
            ヾヽ'::::::::::::::::::::::::::'',    / 時 .あ ま ヽ
             ヾゝ:::::::::::::::::::::::::::::{     |  間 .わ だ  |
             ヽ::r----―‐;:::::|    | じ て    |
             ィ:f_、 、_,..,ヽrリ    .|  ゃ る     |
              L|` "'  ' " ´bノ     |  な よ     |
              ',  、,..   ,イ    ヽ い う    /
             _ト, ‐;:-  / トr-、_   \  な   /
       ,  __. ィイ´ |:|: ヽ-- '.: 〃   `i,r-- 、_  ̄ ̄
      〃/ '" !:!  |:| :、 . .: 〃  i // `   ヽヾ
     / /     |:|  ヾ,、`  ´// ヽ !:!     '、`
      !      |:| // ヾ==' '  i  i' |:|        ',
     |   ...://   l      / __ ,   |:|::..       |
  とニとヾ_-‐'  ∨ i l  '     l |< 天  ヾ,-、_: : : .ヽ
 と二ヽ`  ヽ、_::{:! l l         ! |' 夂__ -'_,ド ヽ、_}-、_:ヽ

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/09(月) 21:31:37 ID:39pYFMgT
球体関節陰茎
何やら新しい世界を垣間見た気がする
本番描写無しならここで書きつづけてくれ!

とりあえずは真紅に装着
「真紅おかしいですぅ、くんくん探偵を見る目つきが変わったですぅ」
「ハァハァいってこわいのー!、おトイレばっかりいくし」

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/10(火) 01:40:10 ID:mpxsW6IE
>>204
今回ばかりは同意だわ

208 :蒼星石・復讐編6:2006/10/10(火) 09:25:08 ID:Q+aPtTqw
真紅にローザミスティカを渡してみた。
「ジュン・・・いつかはやってしまうかと思っていたのだけど・・・
 私への愛のために雛苺を殺してしまったのね・・・」
なんか感動してくれた。

結局、蒼星石のチンコは見つからなかった。
蒼星石アリスゲーム脱落ってことになってしまうのかな。
いや、そもそもチンコついててアリスになれるのか疑問だが。

形とかは覚えているから紙粘土を使って同じような物を作ることはできるだろう。
明日は早起きをして替わりの義チンコを作ろう。
菓子折りでも持って謝りにいけばきっと許してくれるさ。

その晩、寝ていると胸の苦しさで目を覚ました。
まるで何かが体の上にのっているようだ。
何かで縛られたように手も足も動かない、かろうじて動くのは目だけだ。
胸の上に目をやると・・・蒼星石だ!!
精気のない顔でぼんやりと僕を見下ろしていた。
(蒼星石!!)
蒼星石の名前を呼ぼうとしたが声がでない。

「ジュン君・・・かえして・・・かえして・・・かえして・・・」

まるで壊れたラジカセのように「かえして」と繰り返す。
(蒼星石!ゴメン、あれはなくなってしまったんだ・・・)
謝ろうとする言葉もでない。

「かえして・・・かえして・・・かえして・・・かえして・・・」

それから一時間ほどもその状態が続いただろうか。
蒼星石が胸の上から降りて、僕の下半身の方に向かった。
(ゴメン・・・許してくれるのか・・・)
蒼星石はゴソゴソと僕のパジャマのズボンを引き下ろし、下半身を露出させた。
(え?もしかして気持ちいいことしてくれるの?)
蒼星石は僕の期待には微塵もこたえず、空中から巨大なハサミを取り出した。

「ジュン君・・・かえして・・・ボクの大事なものをかえして・・・かえして・・・」

蒼星石はハサミをゆっくりと僕の固くなってるチンコにあてがった。

(や、やめろーーーーーーーー!!!!)

チョキン!!

209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/10(火) 10:21:52 ID:Az0oxCB6
>>208
テラホラーwwwwwwww

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/10(火) 13:10:38 ID:ePQ0Arf/
>>210
感動した!

211 :真紅の新しいドレス 1:2006/10/10(火) 21:01:44 ID:upXxjYqu
真紅は水銀燈に猛攻を受け、大切なドレスをボロボロにされてしまった。
皆の協力を得て、真紅自身は何とか助かる事が出来たが、真紅が今まで着ていた
赤いドレスは水銀燈の黒い羽によって、新調した方が早いと思える程にまで切り刻まれてしまった。

「お父様から頂いた大切なドレスをボロボロにされてしまった・・・。私は不恰好だわ・・・、ジャンクだわ・・・。」
今はジュンの部屋のタンスの中にあった赤いシャツを代わりに着ていたが、真紅のショックは大きく、
一人鞄の中に閉じこもって泣きじゃくっていた。仕方の無い事である。真紅は自身を包んでいた
真紅のドレスと共に数百年近い時を過ごして来たのである。当然相当な愛着もあっただろう。
それが突然失われてしまう。これは自分自身の体の一部が失われるに等しいショックだった。
「流石に見てられないよな・・・。」
真紅の閉じこもった鞄を見つめながら、ジュンは呟くと共に机の中から一つの裁縫箱を取り出した。

泣き疲れていつの間にか眠ってしまった真紅が目を覚ました時、既に朝になっていた。
そして鞄から外に出た時、真紅の目に最初に飛び込んで来たのは机によりかかって眠るジュンの姿だった。
「ただでさえ私が水銀燈に大切なドレスをボロボロにされて悲しんでる時に
そんな行儀の悪い事が出来るなんて・・・良いご身分ね・・・ジュン!」
悲しみと怒りが混じりあい、冷静な判断が出来なくなっていた真紅はそんな何と言う事も無い事でも
怒り出し、ジュンの頬に平手打ちをしようと手を振り上げた。が、直後に真紅の手が止まった。
「それは・・・。」
真紅が見た物、それはジュンの机の上に置かれた赤いドレスだった。と、その時に丁度ジュンも目を覚ました。
「何だ・・・真紅起きてたのか・・・。」
「ジュン・・・これは一体何?」
「何って・・・お前用の新しいドレスだよ。何時までもそんな格好はまずいしな。」
「・・・。」
ジュンは真紅の為に新しく作ったドレスを広げて真紅に見せた。デザイン等は本来の真紅のドレスとは
異なっていたが、真紅のカラーリングと言う点は共通していたし、その完成度もプロでも通用出来る程の
物だった。
「僕なりのアレンジとかしてみたんだけど、ダメかな?ほら、漫画やTVでよくあるだろ?
ヒーローとかがパワーアップした時に服装とかも若干変わったりするじゃないか。あれ見たいな感じでさ・・・。」
「ダメなのだわ。」
「!?」
単刀直入すぎる真紅の返答に眠気眼だったジュンの目は大きく見開いた。
「確かにジュンが作った物だから良く出来ているのだわ。でも、私はお父様が作った薔薇乙女・・・。
だから・・・そんな物は着られないのだわ。」
「そんな事言うなよ。こっちだってせっかく徹夜して作ったんだぞ・・・。」
真紅の厳しい返答にジュンも怒りそうになった。だが、結局怒らなかった。真紅は口では
ジュンの作ったドレスを拒否していても、今直ぐに着てみたいと言う顔をしていたからである。
これが雛苺や金糸雀みたいなタイプならあっさり着ていたのだろうが、真紅は薔薇乙女の中でも
プライドが高い。例え内心興味があっても、それを着てしまうのは何かに負けてしまう気がしたのだろう。
何より前述した彼女のプライドが許さないはずである。そして真紅は、ジュンに対して
申し訳ないと言った顔をしながら部屋を出て一階に下りていった。その間も、ジュンの作った
ドレスを何度もチラチラと見つめていた。本当は着たくてしょうがなかったのである。
「全く素直じゃないな・・・。分かったよ。ここに置いとくから着たくなったらいつでも着ていいからな。」

212 :真紅の新しいドレス 2:2006/10/10(火) 21:03:05 ID:upXxjYqu
それから真紅は一階でテレビを見ていたのだが、やはり内心葛藤していた。
「ジュンの作ってくれたドレスは真紅にとっても素晴らしく、是非着て見たい」と言う気持ちと
「お父様が作った薔薇乙女第五ドールとしてのプライド」がそれぞれぶつかり合い、落ち着いて
テレビを視聴する事もままならなかった。だが、ここで意外な物が真紅に決断のきっかけを作る事となる。
それは真紅が何気無くテレビをつけた時にやっていたロボットアニメだった。
普段なら馬鹿馬鹿しいと直ぐにチャンネルを変える所であるが、今は何故かそれを見入っていた。
その中に主役のロボットが敵に破壊されてしまうが、修理ではなく新開発の部品を使う事で
パワーアップして復活すると言う内容のシーンがあった。また、コマーシャルの際にも
他の番組に関連したCMで色々な部品を組み替えて自分だけのキャラクターを作るといった
玩具のCMや、いわゆる着せ替え人形のCMなどがあった。
それに無意識の内に影響されてしまったのだろうか。いつの間にかに真紅の中に
「例え傷付いても、壊されても、新しい部品で補修すれば良いじゃない。壊れたままにしておくより
遥かにマシだろうから。だから、やっぱりあのドレスを着てもいいかもしれない。」
と言う気持ちが芽生えていた。

それから真紅はジュンの部屋にいた。ジュンは部屋にはいなかった。トイレだろうか。
だが、真紅にとっては都合が良かった。先程ジュンの真心を突っぱねてしまっただけに
今更になってその服を着させてくださいと頼むのは真紅にとっても申し訳なかった。
だが、今はジュンの姿は無い。故に安心して着る事が出来た。
「流石はジュンの作ってくれたドレス・・・お父様のには負けるけど・・・良い出来だわ・・・。」
ジュンの作った新しいドレスを着た真紅は鏡の前でクルリを一回転していた。
そのドレスは現代人であるジュンの感性によって割りと現代的な部分があり、
真紅がそれまで着ていたドレスとはまた異なる特色を持ったドレスであったが、
真紅との親和性も含め、これはこれで中々素敵なドレスであった。と、その時だった。
「やっぱり何だかんだで着てるじゃないか。」
「ジュン!」
突然ドアが開いてジュンが部屋の中に入って来た。それには真紅も思わず後ずさりする。
「ジュン!謀ったわね!」
「何言ってるんだよ。そっちだってまんざらでも無い顔してるくせに。」
口では否定しようとしていても新しいドレスに対する喜びは完全に隠せなかった。
「そうなのだわ!あんな赤いシャツを着続けるよりかはマシなのだわ!」
「げっコイツ開き直りやがった!」
どう言い訳しても言い繕えないと判断した真紅は結局開き直ってしまった。
「そんな事よりジュン!お茶を淹れてきて頂戴!」
「何だ?やっぱ恥かしいか?ってうわっ!」
口答えしたジュンに対してお約束のツインテール攻撃。幸い回避できたジュンだが、
仕方なくお茶を淹れてくる事にした。そしてドアを閉じる時に真紅がかすかにこう言った様な気がした。
「次はもっと・・・水銀燈も嫉妬するような素敵なドレスを作りなさい・・・。」

数日後、真紅は水銀燈と対峙していた。ジュンが作った新しいドレスで心機一転して
水銀燈に対してリベンジしようと言う魂胆である。
「あ〜らぁ、真紅そのドレスどうしちゃったのぉ?」
「ジュンが新しく作ってくれたドレスなのだわ。」
「どうしようもないお馬鹿さんねぇ。お父様から頂いたドレスじゃないとアリスにはなれないのよぉ。」
「何とでも言うがいいわ。私はジュンとの絆によって誕生したこの新しいドレスでアリスを目指すのだわ。」
両者はにらみ合う。一触即発の事態。そしてアリスゲームが始まる・・・と思われた時だった。
水銀燈がある事を思い出した。
「そういえばあんた、時間のネジを巻き戻して壊れた物も元に戻せなかったっけぇ?」
「あ・・・そ・・・そういえば・・・。」
「忘れてたのね・・・。」
それから、双方共に気まずい表情で硬直する。
せっかく盛り上がったムードが水銀燈の余計な一言によって一気に台無しになってしまった。
                     おわり

213 :211:2006/10/10(火) 21:05:49 ID:upXxjYqu
>>208
ノーマルスレ向きの話ではないと頭では分かっていても、
何故か笑ってしまう。そんな話だった。
蒼星石が滅茶苦茶怖いw けどそこが良いw

214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/10(火) 21:25:10 ID:kyugvE26
>>213
こんな陰惨なストーリーで笑うなんて、自分は良識に欠けてると思った方がいいよ

215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/10(火) 22:06:43 ID:ZfQwATCA
どこが?

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/11(水) 01:00:55 ID:sPGkzAOT
214じゃないけど、単なるウケ狙いでキャラ貶めるような作風が増えた希ガス
ファンにしてみりゃ胸糞悪くなるような内容のもあるわな

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/11(水) 09:19:40 ID:oR3A/nHu
216じゃないけど、単なる過疎化狙いでSS貶めるようなレスが増えた希ガス
住人にしてみりゃ胸糞悪くなるような内容のもあるわな


218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/11(水) 10:07:37 ID:nz26XruS
このスレは自分の思い通りのSSが来るまで煽りあいをするスレになりました

219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/11(水) 12:25:11 ID:F2IJL02o
マジレスしても無駄
>217みたいな馬鹿ガキに煽られるだけ

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/11(水) 17:22:36 ID:qdn6jrU/
面白かったけど、確かにノーマルスレ向きじゃないかもな。

でも○○編の人、これからも頑張ってくれ。
あんたの話の毒が好きです。

221 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/11(水) 21:00:57 ID:sTc0K92V
いいんじゃね、好きなSSが無いんで一切読んでないからどうとも言えんけど。
ローゼンメイデンのキャラ使って書く必要無いSSばっかでも
こうやってキーキーありがたがってるしょーもない香具氏ばっかだしね。

222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/11(水) 22:19:06 ID:PRuRSxqZ
>>221
良作を期待します

223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/11(水) 23:51:42 ID:BkS0yXLK
なんつーかね、
あの蒋介石ですらキャラクターへの愛情が所々で垣間見えてたのに
ここの連中って・・・・まあいいや

224 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/12(木) 03:36:09 ID:uo0MNwKo
総合スレの住人を見習って欲しい

225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/12(木) 20:54:03 ID:8Wxz63p+
蒋介石は底に愛を隠し持ってた希少なコテですふぉ

226 :真紅・排泄編:2006/10/18(水) 21:52:36 ID:zwG9uuzD
なあ、おまえらは毎日三食におやつまで食べてるけどさ。食べた物はどこにいったんだろうな?

そうね、そろそろ話しておこうかしら・・・人間と同じよ

人間と同じって、人形がトイレ行ってるとこ・・・

我慢してるのよ!!

ええっ?

何十年、何百年も我慢してきたのだわ。それはアリスになるまで解消されることはないのだわ

アリスになるまでか・・・人形のままだとトイレで何も出ないのか、大変だな

そう・・・時には気が狂いそうな苦しみ・・・

わかるよ・・・僕も遠足のバスの中でお腹が痛くなったときは・・・

そんなものじゃないのだわ!!軽々しくわかるなんて言って欲しくないのだわ!

そ、そうなのか・・・何百年も我慢するなんてすごいな

もう・・・限界なのだわ・・・

限界!?

水銀燈は耐え切れずに自らの腹部をえぐり出してしまったのだわ・・・それでも解消されなかったのだわ

水銀燈が・・・・そうだったのか・・・

蒼星石も我慢できずに勝ち目のない戦いに走ってしまったのだわ、もう耐え切れないと自覚したんでしょうね

蒼星石が・・・なぜ姉妹で戦うのか疑問だったけどやっとわかったよ・・・

姉妹たち全員に限界が近づいてる・・・私にはわかるのだわ

アリスゲームの最後か・・・

話が長くなってしまったわね。ジュン、紅茶を淹れてちょうだい、シフォンケーキもね

まず、食欲を我慢しろよ


227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/20(金) 08:46:37 ID:mq54yatu
ワラタ

快便乙女を目指してくれ

228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/21(土) 02:05:43 ID:1oIOMu/U
過去、早々にして終結した話題を
今に蒸し返し、拾い上げる無思慮さ。
 その偉業をしでかしたのは
    >>226です!
 素 晴 ら し い 才 能 で す !
皆さんもこれに続いて下さい!
形骸化したノーマルスレを
今こそ! スカトロ・メイデンに昇華させましょう!!

229 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/21(土) 07:41:54 ID:yeV+Izo7
正直言ってローゼンの作風に汚下劣ネタって合わんよなあ

230 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/21(土) 10:55:09 ID:Q7jjt67H
過去に名作を投下した職人達は
どんな作品にも涌く妄言に取り合わぬスルー技術をも持ち合わせていた






231 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/21(土) 14:24:56 ID:XowZJFHY
ここと比較しちゃ失礼だろ

232 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/21(土) 23:08:52 ID:v3kUrfR4
変態住人のスカトロSS募集age

233 :のりと水銀燈 1:2006/10/26(木) 13:38:34 ID:6blc4pPB
めぐが亡くなった。
元々体が弱かった上、水銀燈と契約して力を送り続けた事がめぐの衰弱を加速させたのである。
しかしめぐに後悔の念は無かった。彼女自身それを望んで契約したからである。
だが、残された水銀燈にとってそれは終わりではなく始まりに過ぎなかった。
めぐが亡くなった後、再び鞄の中で眠りに付く水銀燈。このまま誰かがネジを巻かなければ
水銀燈は数十年、数百年と眠り続けるのであるが、数日と待たずして何者かにネジを巻かれ
水銀燈は目覚める事となった。

「まあ、動いたわぁ。」
「あんたがネジを巻いたの?」
水銀燈が目を覚ました時、最初に見た者は一人のメガネをかけた少女。
その上少女はおっとりしていて、頭の回転もかなり鈍そうな雰囲気を持っていた。
名前は桜田のりと言うそうだが、見て分かる程頼りになりそうに無い少女だった。
だが、水銀燈にとってはむしろ都合が良かった。
頭の悪い人間の方が水銀燈にとっても扱いやすいからである。こういうタイプは余計な事は
考えない為、言う事を聞かせられれば素直に従ってくれるだろう。
実際水銀燈が簡単な状況説明をしただけでのりはあっさりと契約して新たな媒介となった。
まずこののりの家を拠点として力を蓄え、再びアリスゲームに挑もうと水銀燈は考えていたのだが
ここから意外な事実を知る事となる。
「まぁ素敵な指輪。ジュン君とお揃いね。もしかして水銀燈ちゃんって真紅ちゃんのお友達?」
「!!」
直後、水銀燈の顔は豹変した。そして物凄い形相でのりを睨み付ける。
「どうしたの?水銀燈ちゃん。そんな怖い顔になって・・・。」
「あんた・・・今さっき何て言った・・・?」
「え?素敵な指輪ねって・・・。」
「その後よぉ!あんた真紅の何なのよぉ!」
水銀燈は背中の翼を一点に束ね、槍状にした物をのりの首下スレスレの所に付き付けた。
「ちょっと水銀燈ちゃんどうしたの?そんな事したらダメよ〜。」
やや困り顔になりながらも、笑顔のままおっとりとした口調ののり。それが余計に
水銀燈の神経を逆なでした。
「つべこべ言わずに答えなさい!あんた何で真紅の事を知ってるの!?素直に答えないと殺すわよ!」
「そんな殺すなんてぇぶっそうな事言っちゃダメよ。」
「いいから答えなさい!」
相変わらずマイペースなのりに水銀燈はますます怒る。と、その時だった。
「のり、騒がしいわ、静かにしてくれないかしら。落ち着いてお茶も飲めないわって・・・。」
「あ・・・。」
突然紅い服のドールがドアを開けて入ってきた。彼女こそ水銀燈宿命のライバルである真紅。
「水銀燈!貴女が何故ここに!?のり!これは一体どういう事!?」
「真紅こそ何故ここにいるのよぉ!」
予想外の事態に二人とも半ば混乱する。しかし水銀燈は苦しいながらも余裕を装い翼を広げる。
「まあ良いわ。ここで貴女を倒してローザミスティカを奪ってあげるぅ。」
「のり!まさか貴女水銀燈と契約を!?何故そんな事を・・・。」
「え!?え!?私何か悪い事したの!?」
のりの指にはめられた薔薇の指輪に気付いた真紅は、少女に詰め寄る。だが、次の瞬間に
水銀燈の翼が真紅に襲い掛かっていた。そして真紅はそれを素早くかわす。
のりの部屋で水銀燈と真紅の壮絶な戦いが始まる・・・かに見えた。

234 :のりと水銀燈 2:2006/10/26(木) 13:39:35 ID:6blc4pPB
           『こらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

大地を揺るがす超大音量が家中に響き渡った。そして、水銀燈と真紅はその場に正座させられ、
その前でのりが物凄い形相で説教をしている光景が見られた。
「喧嘩なんかしちゃダメよ!貴女達姉妹なんでしょ!?だったら仲良くしなさい!」
「喧嘩じゃなくてアリスゲー・・・。」
「つべこべ言わない!」
「・・・。」
先ほどまでのおっとりしていた彼女は一体何処へ行ってしまったのか、今ののりには
有無を言わせぬ凄まじい迫力があった。そして二人は正座したまま動けなかった。
真紅はおろか水銀燈さえも逆らえない、嫌、逆らってはいけない何かをのりに感じていたのだ。
「水銀燈ちゃん!貴女が一番のお姉ちゃんなんでしょ!?なら貴女が一番しっかりしないと
ダメじゃない!なのに一方的にあんな事するなんてみっともないったら無いわ!」
「(うう・・・何故私が人間ごときに・・・。)」
人間を糧としか思わない水銀燈にとって、人間であるのりに説教される事は屈辱だった。
だが、それ以上にのりに逆らえない自分が何より許せなかった。

その後、のりの説教は小一時間に及び続き、水銀燈と真紅は無理矢理仲直りさせられ、
二度と喧嘩しないと言う内容の誓約書まで無理矢理に書かされた。
そして水銀燈とのりが契約した件も今更どうにもならない故に、水銀燈も
桜田家で真紅達と同じ屋根の下で生活する事になる。
「(まあ良いわ・・・気に食わないけど今の内は大人しくしておいてあげる・・・。
でもこのままじゃ済まさないわよ。何時の日かあんた達が安心して油断しきった所を
一気に寝首をかいてあげる・・・。そして私はアリスになってお父様の所へ行くのよ。
その日を覚悟しておきなさい・・・お馬鹿真紅にのり・・・フフフフフ・・・。)」

そうして、当初は確かに違和感こそあったものの、水銀燈も次第に桜田家に打ち解けて行き、
数日もすれば真紅と共にくんくん探偵を視聴する仲になっていた。
挙句の果てにはどさくさに紛れて雪華綺晶まで一緒になってくんくんを見ている始末。
だが、それも水銀燈の作戦に過ぎない。敵として戦い続けるのではなく、
仲良くなったフリをして敵の内側に潜り込み、弱点を探りながら相手の隙を伺い、
確実に勝てるタイミングを見計らった後で勝負を挑むと言う壮大な計画を立てていたのである。

だが、ここで水銀燈にとって誤算が生じた。それは薔薇乙女とはまた異なる新勢力の台頭である。
ローゼンのライバルを自称する人形師が薔薇乙女とは別の方法で命を持たせたドールで
薔薇乙女に挑戦してきたり、最先端科学技術の粋を集めて作られたロボット軍団と戦う事になってしまったり、
陰陽道の使い手が操る妖人形と戦わなければならなくなったり、
呪いによって多くの人間の命を奪い、時の高僧によって世界各地の権威ある寺院や神殿などに
厳重に封印されたものの、最近になって再び封印を破って脱走した世界の7大呪い人形の
再封印作戦に協力しなければならなくなったり、薔薇乙女の起源を主張する某国が
送り込んだ真・薔薇乙女(だがどう見ても劣化してる)と戦わなければならなくなるなど、
それまで敵対しあっていた薔薇乙女7体が団結しなければならない程にまで
強力な敵が次々に現れ、アリスゲームどころの話では無くなってしまう。
その上、水銀燈自身にも様々な戦いを乗り越えていく内に真紅達との仲間意識が
本格的に芽生え、敵対心が徐々に薄れていくのだが・・・それはまた別の話である。
                     おわり

235 :233:2006/10/26(木) 13:41:43 ID:6blc4pPB
のりが誰かのマスターになるなんて展開をやりたかったし、
真紅と水銀燈を仲直りさせるにはこうするしかないと考えたから書いた。
今も反省するわけ無い。

236 :233:2006/10/26(木) 13:47:25 ID:6blc4pPB
あと、確か原作じゃアニメと違ってのりは水銀燈と会って無いはずだから
そっち基準でよろしく

237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/10/26(木) 18:14:25 ID:IkEvCOce
グッジョブ!

剣と羽根を振り回してイキがる水銀燈が
「草原の格闘技」ラクロスのスティックで一撃を食らい
飛んで逃げようとするのをあっさりネットで捕らえられるシーンが頭に浮かんだ
「ウチのレギュラー連中のボールより全然遅いわよ、水銀燈ちゃん♪」


238 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/02(木) 23:05:44 ID:4RqORzbT
過疎スレ
投下しようにも悩むな

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/03(金) 02:56:36 ID:FJ6sv5KS
ヒント:SS総合

240 :家族 1:2006/11/04(土) 10:44:12 ID:VTMEu131
ジュンがヒキコモリを克服し、元通り学校に通う様になった。
そしてその表情も何処か明るい。しかし、対照的に真紅が悲しげな顔をするようになった。
確かに皆で一緒にいる時は気丈に振舞ってはいる。だが、ジュンと二人きりになると
途端に悲しげな顔でジュンの方を見つめるようになった。ジュンが学校に行く時も
玄関まで見送りに来てくれるようにもなったが、やはりその時も心なしか悲しげな顔を
するようになった。無論それに気付かないジュンでは無い。
「何だ?どうしたんだ真紅?」
「何?何かおかしい事でも?」
「お前、何か最近おかしいぞ。何でそんな悲しい顔をするんだ?」
「そんな事無いわ。いつも通りよ。」
ジュンに問い掛けられた真紅は必死に平静を装っていたが、焦っている事は目に見えていた。
「あのな・・・そんな隠したって僕にはお見通しだぞ。付き合い長いからないい加減。」
「・・・。」
真紅は目を閉じてやや微笑んだ。
「全く、口が過ぎる下僕ね。まあ良いわ。正直に答えてあげるのだわ・・・。」
すると今度は途端に悲しげな表情でジュンを見つめだした。
「ジュン・・・明日も外に出かけるの?」
「ハ?」
「ハ?じゃないのだわ。ちゃんと答えなさい。明日も外に出かけるの?」
「そりゃぁ明日も今まで学校に行ってなかった分を取り戻す為に図書館で勉強しなきゃならないからな。」
「じゃあ帰って来るの?」
「そりゃ帰って来るさ。ここは僕の家だぞ。」
真紅の質問にジュンは半ば呆れていたが、真紅の質問はまだ続いた。
「じゃあジュン・・・貴方は私を置いて何処かへ去って行ったりはしないのね?ずっと、一緒にいてくれるのね?」
「今更何言ってるんだ真紅・・・。僕達は家族だろ?お前を置いて何処かに行ってしまうワケ無いじゃないか。
そりゃ確かに毎日学校に行ったりはするけど、きちんと夕方には帰ってきてるだろ?」
「家族・・・。」
「そうだ。そりゃ確かに最初は嫌な奴だと思ったさ。でも、もうお前達は僕達にとって無くては
ならない存在になったんだ。と言うか、何故そんな分かりきった質問をするんだ?」
「そう・・・私の取り越し苦労だったみたいね・・・。」
すると真紅の表情が心なしかほっとした物に変わっていた。

241 :家族 2:2006/11/04(土) 10:46:08 ID:VTMEu131
「本当は私・・・怖かったのだわ。ジュンがあのドアから外に出たっきり、
もう二度と帰ってこないんじゃないか?って毎日思ってしまうのだわ。」
「何でそんな事考えるんだ?ちゃんと帰ってきてるじゃないか。」
「そう、ジュンは出かけてもちゃんと帰ってきてる。でも・・・何となくそう思ってしまうのだわ。
ジュンが出かけるたびに・・・。今度こそ本当に二度と帰ってこないんじゃないかと、
ジュンが私から去ってしまうんじゃないかと、そう考えてしまうのよ。
事実、私は貴方にそういう考えを起こさせる程の事をしてきてるから・・・。」
「(自覚してたのか・・・今までのお前の所業・・・)大丈夫だよ。そんな事はしないよ。だから安心しろ。」
ジュンは少し呆れながらも、また悲しげな表情に戻った真紅をあやそうとしていた。
「ジュン・・・私は以前貴方に教えてあげたわね。私が怖いと思っている物。」
「ああ・・・暗いのとか猫とかだろ?」
「そう・・・。でも、本当に一番怖いのは孤独・・・。一人ぼっちが一番怖いのだわ・・・。」
その時の真紅はいっそう悲しげに見えた。真紅の精神年齢は高い。だから悲しい事があっても
雛苺などのように安易に泣き喚いたりはせず、心の底に隠してしまう。だが、それが余計に
悲壮感を増幅させてしまう結果になるのである。そして真紅がジュンを含め、マスターを下僕にして
こき使ったりする行為も、真紅が抱いている孤独に対する恐怖心を覆い隠す為の苦肉の策だったのかもしれない。
「大丈夫だよ。勝手に何処かへ行ったりする様な事は無いから。いい加減泣き止めよ。」
ジュンは真紅を抱え挙げて抱いた。これが何時もなら真紅に勝手に触れるなと言われて叩かれる。
しかし、その時の真紅にはそれが心地よい物に感じた。
「でも真紅、もし僕が本当に帰ってこなかったら・・・どうする?」
「そんな事は許さないのだわ。ジュンは一生涯私の側に仕えるのよ。でも、それでも本当に
帰ってこないと言うのなら・・・、私が迎えに行くわ。そして引っ張ってでも連れて帰るのだわ。
でも、私にそんな労力を使わせては駄目。ちゃんと帰ってきなさい。」
「ハイハイ分かったよ。」
「ハイは一度まででしょ。」

それから、真紅の顔に微笑が戻った。その代わり何時ものようにジュンをあれこれこき使うようになったが、
ジュンは分かっていた。それだけ真紅がジュンを信頼している証拠なのだと・・・
                        おしまい

242 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/04(土) 11:43:22 ID:qMHdibO9
わんだ

243 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/04(土) 17:04:52 ID:VEJIMAlI
モーニングショット

244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/05(日) 17:17:55 ID:ZGYKuQZz
え〜、バトル物を書いてみてるですけど、わけわからんものになりつつあるですってか、なったです。
いいです。厨臭いの大好きです。オリキャラ上等です。これ●●のパクリだろ、とかそんなんばっかです。
最初っから予防線張ると叩かれるですけど、叩かれないのも寂しいので一向にかまわんです。
というか、めぐ銀好きな人は叩いてくださいです。自分で書いてて死にそうになったです。

自分で読み直して、トリップ検索して、ごはん食べて、一服してから投下するです。

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/05(日) 18:16:18 ID:9K0dPw4O
じゃぁ先に叩いとく
銀様とめぐを離ればなれにするな
めぐを殺して銀様だけマターリハッピーエンドとかもクズだ
両方あぼんとかもう見てらんない
氏ね




むしろイキロ
バトルものは好きだから覚悟して待つ

246 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/05(日) 18:36:33 ID:L6jG3dsM
作品落としてくれるのはいいけど>>235-237とか>>244みたいなのは勘弁してくれ
例えようのない胸焼けがするというかオェッと来るというか
ものすごく萎える
作品に不満はないけど。

247 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/05(日) 19:13:06 ID:3s0hyehE
厨設定大好き、オリキャラ上等、めぐ銀イラネ

248 : ◆qrN8aillXg :2006/11/05(日) 19:56:09 ID:ZGYKuQZz
とある深夜。消灯後の有栖川大学病院の裏手、まばらな林の中。
同院の旧礼拝堂は、十階建ての病棟に月明かりを隠され、静かな暗黒に飲まれた。
その物陰にひとり潜む少年は、病棟に向けた首を上下左右に回していた。
敷地内の廃墟である。人間の居る場所でも、居てよいという場所でもない。
周囲は雑草が生い茂り、蔦の絡まった白い漆喰はあちこちひび割れ、
ステンドグラスがはめ込まれていたはずの窓は、ぽっかりと深い闇を覗かせていた。
少年は、着衣こそスータンにローマンカラーというカトリック聖職者のそれだが、
彼がそこから病院をのぞき見ることを許される理由になるだろうか。
いや、整えられた髪も、清潔そうな肌も、言い訳にはなるまい。彼は不審人物だ。
もっとも、薄気味悪い深夜の廃墟を監視している者はまずいないだろうし、
病院内から、暗がりに溶け込んだ彼の姿を見付けることは困難だ。
逆に、少年からは、病棟内部のほのかな非常灯すら輝いて見えた。
そして、七階か八階か、とにかく高い位置に並ぶ窓の一枚が開き、
そこから白い人影が身を投じた瞬間も、少年聖職者の目ははっきり捕らえていた。
入院患者だろうか。その人物は三〇メートル余の高さから、植樹の向こう側に姿を消した。
少年はしばらく、幽霊でも目撃したかのような青白い顔で、開いたままの窓を眺めていたが、
まさか、とつぶやいて礼拝堂の陰から飛び出した。
飛び降りたのが人間ならば、例え息があったとしても、落下地点に横たわっているはずだった。
しかし、法衣のすそを乱して駆けつけた少年は、二本の足で立つ入院着姿の少年に遭遇し、
再び目を剥いた。二人の少年は互いを見知っていた。
「弟さん!?」
「待ってろって言っただろ。あいつに見つかる」
入院患者風の少年は、礼拝堂に黒縁眼鏡を向けたままぶっきらぼうに言い放つと、
石畳のアプローチをぺたぺたと素足で通り過ぎ、裏の林へ入って行った。
ばさばさの髪の頭に包帯を巻き、入院着の下から医薬品の臭気を放っていたが、
その足取りに負傷の様子はなく、神父風よりも幼い横顔の血色は良かった。
「いや、でも、ジュン君の方が目立ってましたよ」
彼の常軌を逸した行動以外に、外見上の特異があるとすれば、左手から垂れた金色の……。
しかし、いつの間にか、それは最初から存在しなかったかのように消え去っていた。
「クン? 馴れ馴れしいぞ、お前」
患者風にとがめられ、神父風はどもりながら「すみません」と謝り、入院着の背中を追った。
年齢と立場の上下関係は、必ずしも一致しないということだろう。
「あの、ケガの方はもういいんですか」
年長の少年は控えめに敬語で尋ねたが、年少の方はそれを黙殺した。

249 : ◆qrN8aillXg :2006/11/05(日) 19:58:58 ID:ZGYKuQZz
第1話 案内人 die Empfangsdame

二人が向かった先は、やはり例の礼拝堂だった。
固く閉ざされた両開きの木戸の前で、ジュンと呼ばれた少年が後ろを振り返った。
「鍵」
「あ、はい」
神父風は慌て気味に駆け寄って、閂の南京錠に鍵を差し込んだ。その腕の震えは背徳のためか。
軋んだ音と共に開放された門を潜り、素足とスニーカーが、床に積もった埃を踏んだ。
ほとんど視覚の利かない黒い冷気の中で、ジュンはにやりと口の端をつり上げた。
「臭うな」
その言葉に対し、神父風は少し考えてから応えた。
「近く取り壊すと言っても、神聖なチャペルですよ。善良な霊ならともかく、悪魔なんて……」
しかし、ジュンは年長者に耳を傾ける様子もなく、先に進んで行ってしまった。
ぼんやり浮かび上がっていた入院着の白は、たちまち暗闇にかき消された。
「おい。電気は点かないのか」
「無理言わないでくだ……うわっ!」
そのときである。どこからともなく薄紫の燐光が出現し、青銅の聖母像を照らし出した。
まるで、横柄な少年の要望に応ずるかのようだった。
「おい、ええと、お前。なんだアレは」
訊かれた神父風は、怪異との遭遇に驚き、床にへたりこんで埃まみれになっていた。
「山本ですよお」
「は? お前の名前なんか聞いてない」
浮遊する発光物体は螺旋を描きながら降下し、注意深く観察するジュンにまとわりついた。
光が頬を掠めると、カビ臭い空気に、甘い花の香りが混じった。
山本と名乗った神父風の少年は、胸のロザリオを握りしめ、ジュンの問いに答えた。
「善良な霊魂か、精霊、だと思いますけど」
燐光は、綿毛のように揺らめきながら、少年達を誘うかのように礼拝堂の奥へと飛んでいった。
「知らないのか。使えないヤツだな。もう帰っていいぞ」
ジュンは傲慢に吐き捨て、燐光を追った。よせばいいのに、山本も慌てて続いた。
「困りますよ。弟さんに何かあったら、俺、桜田さんに何て言えばいいか」
「うるさい。見ろ」
燐光は木製の祭壇の前に留まり、その前面に刻まれた文字を自らの輝きで示していた。

             VOLVES?   NE VOLVES?

250 : ◆qrN8aillXg :2006/11/05(日) 20:02:19 ID:ZGYKuQZz
二つの簡潔な疑問文は、木板の上にナイフのようなもので荒く刻みつけられていた。
それらの周囲だけ埃が拭われており、まだ最近彫られたばかりのようだった。
「誰かのイタズラじゃ……」
少年聖職者はありきたりな所感を述べ、年下の少年に睨まれた。
「早く訳せよ」
「ええと、あなたは転がすでしょうか、転がさないでしょうか、かな。たぶん」
「どけ」
ジュンは乱暴に山本を押しのけ、右の親指を立てた。その上を左手が通ると、
まるで刃物で裂いたように指紋から血が滴り、そのまま指を二つの疑問文の前者に押し当てた。
「僕は契約に応じるぞ!」
「ちょっと、弟さん、何してるんですか!」
山本が恐怖に引きつった声を上げた。"VOLVES?"の文字列が、ジュンの赤い血に彩られると、
燐光が勢いよく舞い上がり、山本は腰を抜かして崩れ落ちた。
「もうやめてくださいよ、帰りましょうよぉ」
山本の泣き言など、半狂乱にあるジュンの耳には届いていなかった。
燐光は彼を、堂内右手奥の、鉄格子の扉で仕切られた小部屋に案内した。洗礼室である。
部屋の中心に据えられた半球形の洗礼盤は、水を湧き出させるままに放置されていて、
波打つ水面が、燐光の放つラベンダー色の輝きを、小部屋の漆喰全体に乱反射させていた。
そんな幻想的な光景に目もくれず、ジュンは床に置かれた一つの箱、いや鞄の前に跪いた。
その革張りの四角い鞄は、幼児がひとり入れるぐらいの大きさで、
たった今そこに置かれたかのように、塵一つ付着していなかった。
飾り金具は重厚な真鍮製、特に上面中央に配された薔薇の細工が見事だった。
ジュンは緩慢な動作で両手で伸ばし、鞄の上蓋を持ち上げた。
瞬間、濃密な妖しい香気が立ち上った。
その中に収められていたものは、横たわり眠る少女、いや──。
「人形、ですか」
やや距離を置いた場所から、山本が震える声で尋ねた。
彼が遠目にそう判別できたのは、非日常的な、黒と白の編み上げドレスのためだろう。
そのベルベットとサテン、腰まで届くプラチナブロンド、鴉色のフェザーストール、
エナメルのロングブーツ、それら全てが光沢を放ち、アンティークの様式美を引き立てていた。
「ふん、人形か」
ジュンは目を閉じた少女人形を抱き上げ、つぶやいた。
その声色には明らかな失望が混じり、攻撃的な笑みは自嘲的なものに変質していた。

251 : ◆qrN8aillXg :2006/11/05(日) 20:07:06 ID:ZGYKuQZz
だが、その人形は身長100センチメートルはあろうかという大作で、保存状態は完璧に見えた。
「オクに出したら、いくらぐらいになりますかね、それ」
「呪われるぞ、俗物坊主」
「やめてくださいよ。ただの人形なんでしょ」
山本の確認は、ただの願望に過ぎなかった。いつの間にか、ジュンの表情から笑みが消えていた。
彼の視線は、箱に同梱されていた、羽を広げた蝶のような真鍮の器具を捉えていた。
「おい、さっきのアレ。転がす、じゃなくて、巻く、じゃなかったのか」
「え?」
ジュンは左手で人形を抱いたまま、右手にその小さな器具を取った。
「ねじ巻きだよ。柱時計のと同じだ。お前、巻いたことないのか」
問われて、山本が「すみません」と謝ったが、既にジュンの関心は人形に奪われていた。
左手を返し彼女の背を上向けると、銀色のストレートヘアがさらりと左右に流れ、
大きく開いたドレスの背中に、純白の柔肌が露わになった。
フェザーストールに見えていたそれは、人形の背中から生えた一対の翼と判明したが、
少年が本当に求めていた少女の秘密は、そこからやや下ったところにあった。ねじ穴である。
右手のねじ巻きを無遠慮に差し込み、ジュンは巻いた。キリ、キリ、と、耳障りな音を立てて。
山本は、制止することなく、ただ口を半開きにして、その様子を眺めていた。
 キリ、キリ、キリ、キリ、キリ……。
金属音、いや、木材とも陶器とも取れない、不可思議なノイズだった。
  キリ、キリ、キリ、キリ、キリ……。
ふと、ジュンは手を止めた。人形が彼の左手からわずかに浮き上がっていたからだ。
   キリ、キリ、キリ、キリ、キリ……。
緩やかに中空に浮上しながら、脈を打つかのように震える少女人形は、
かすかに発光を始め、少年達は押し黙って息を飲んだ。
やがて音と光が消失したとき、そこには赤い瞳を見開いた少女が直立していた。
「すごいな……」
一連の不可解な現象に眉一つ動かさなかったジュンですら、このときばかりは感嘆した。
頭頂の黒薔薇から、冷ややかな童顔、ドレス前面の編み上げを経て、ロングブーツに至る中心線、
パフスリーブの曲線、両翼からオーバースカートへと繋がる直線が形成する黒色のソールタイア(X字)、
その上に縫いつけられた白い逆十字──幾何学的に完璧な魔性がそこに存在した。
「出た……」
山本があえぎ声を漏らすと、少女人形はくすりと笑い、少年達を値踏みするように見回した。
「私のネジを巻いたのはだぁれ」

252 : ◆qrN8aillXg :2006/11/05(日) 20:10:02 ID:ZGYKuQZz
鈴を鳴らしたような声に、ネジを巻いた少年は正気を取り戻した。
「僕の名前は桜田ジュン。お前と契約したのはこの僕だ」
「ふぅん、さえないカンジぃ」
人形がそう評価を下したのも無理はなかった。裸足にパジャマで、頭に包帯を巻いた眼鏡の少年である。
「人形がしゃべった……」
山本が遅れて反応したが、彼の発言は、意志を持つ人形の機嫌を確実に損ねた。
「当たり前でしょぉ? 私、失礼なお馬鹿さんは大嫌ぁい」
「俺に話しかけるな! 悪魔と話したら取り憑かれるだろ! 主よ、我深き淵より主に叫び奉れり!
主よ、我が声を聞き入れたまえ! 願わくは我が願いの声に御耳を傾けたまえぇー!」
ロザリオを振りかざして喚き始めた小坊主を、少女人形は鼻で笑い飛ばした。
「ふっ、なにそれ。エクソシストぉ?」
口に手を当て小馬鹿にする彼女の仕草は、生意気な人間の少女と寸分変わりなかった。
少女人形は、ふわりと舞い上がると、ガラスのはめ込まれていない高窓に腰掛け、
澄んだ赤い瞳でジュンを見下ろした。もし月光が差し込んでいれば、さぞ絵になったことだろう。
「私は水銀燈。最も気高く、最も美しく、そして最もアリスにふさわしい薔薇乙女よ。おばかさぁん」
「は? 何で僕までバカなんだよ」
ジュンが問い質すと、水銀燈という人形の口元が、くいっと酷薄そうにつり上がった。
「あら、怒っちゃやぁよ。だって貴方、まだ水銀燈と契約を結んでないんだもの」
「なんだって」
先程、あの刻字に血を捧げたのは、意味のない行為だったのか。それとも、まだ何か儀式が必要なのか。
ジュンが洗礼盤の上を漂う燐光を睨んでいる間に、祈祷していた山本が後ろから口を挿んだ。
「じゃあ、今ならまだなかったことに!?」
水銀燈がぴくりと翼を動かすと、一枚の黒い羽根が飛び出して、小坊主の額にダーツのように突き刺さった。
悲鳴を上げるおばかさんは放置しておいて、人形はジュンを猫なで声でくすぐった。
「でもぉ、あらかじめ契約の事を知っていたのは誉めてあげるわぁ」
「バカだな。悪魔を召喚して使役するなら当然じゃないか」
ジュンにまで悪魔扱いされて、水銀燈は眉根にしわを寄せた。
「なによ。私は誇り高きドール水銀燈。卑しい悪魔なんかと一緒にしないでちょうだい」
「わかったわかった。契約しようとすまいと、僕の要求を聞いてもらうぞ、人形」
「要求ぅ? 人間。貴方、なにか勘違いしてない?」
強引に迫る少年を呆れ顔で見下ろしていた少女人形は、しかし、何か思いついたのか、
一つ悪戯っぽく微笑して彼の無礼を許した。
「ふ、まあいい余興だわ。願い事を言ってご覧なさい。その代わり、貴方の命を水銀燈にちょうだぁい」
「ああ。僕を殺せ」

253 : ◆qrN8aillXg :2006/11/05(日) 20:13:35 ID:ZGYKuQZz
それが要求だった。簡潔すぎて理解できなかったのか、水銀燈は微笑んだまま反応しなかった。
「聞こえなかったのか。僕の願いは死だ。お前のお望み通り、魂をくれてやるよ」
「ちょっと弟さん、何言ってるんですか」
山本にとっても寝耳に水のようだった。水銀燈は気味悪そうに、ジュンから視線を外した。
「なにそれ。すっごくつまんない」
「つまるとかつまらないとかはいいだろ。僕に従えよ」
「いやぁよ。壊れたいなら、勝手に独りで壊れちゃえば? おいで、メイメイ」
興ざめしたのか、水銀燈はそのまま窓から這い出し、場を去ろうとした。が、しかし、
突然、体がさび付いたかのように、彼女の動きはぎこちなくなった。
「なによ、これ……」
水銀燈は見えない何かによってじわじわと室内に引き戻され、窓枠を掴んで抵抗するのも虚しく、
彼女の肢体は空中に固定された。まるで蜘蛛の巣に絡め取られた蝶のように。
薄紫の燐光は、やはり彼女の使い魔だったのか、囚われの主人の周りをせわしなく飛び回っていた。
「人形、まだ話は終わってないぞ」
「あぁらあら、人間のくせにぃ……。こんな真似してただで済むと思ってるのぉ?」
余裕ぶった笑顔で、生き人形は狼藉者を見下ろした。同時に、ざわっと、彼女の黒い両翼が逆立った。
「タダ? 出来の悪いヤツだな。僕は一目で分かったぞ、お前が人間の生命力を餌にする類の輩なのは」
「だからなによ。別に、貴方の力なんか要らないわ。私は糧にする人間は自分で選ぶの」
冷静に吐き捨てる人形の赤い目は、使い魔の光を反射する、金色の"糸"の存在を捉えていた。
ジュンの左手から伸びるそれは、洗礼室全体に張り巡らされ、彼女の四肢に絡みついていた。
窓は"糸"によって塞がれていたが、鉄格子の扉が開いたままの出口は──。
そのとき、小部屋の入り口あたりまで逃げていた山本が、ジュンに何か抗議を始めた。
「話が違うじゃないですか! 呪いを解く方法を探してたんでしょ!?」
「まだいたのか。うるさいヤツだな」
「メイメイ!」
ジュンの注意が逸れた一瞬の隙を、水銀燈は見逃さなかった。
メイメイと呼ばれた燐光は高速で"糸"を断ち切り、拘束されていた主人の解放に成功した。
両翼を広げた水銀燈は、床すれすれまで急降下し、鞄を拾い上げ、
少年達に向かって羽根を機関銃のように発射しながら、洗礼室から礼拝堂内へと突っ切った。
死にたがりの少年が、羽根の攻撃を"糸"で防御していたのは、まったくもって笑止だった。
「逃げるな!」
「おバカさぁん!」
一瞬にして、水銀燈は"糸"の射程外に飛翔した。人形と人間との機動力の差だ。
しかし、彼女にも一つ誤算があった。第三の人間の存在である。

254 : ◆qrN8aillXg :2006/11/05(日) 20:16:00 ID:ZGYKuQZz
朽ち木のようなベンチの並ぶ礼拝堂の闇を切り裂き、白銀の人形は正面玄関のアーチを目指した。
その下に、いつからいたのだろうか、一人の人間のシルエットがあった。
「どきなさい!」
水銀燈は減速することなく、人影に突進した。強引に突破するつもりだったのだろう。
先行するメイメイの光が、影よりも黒い尼僧衣を照らし出した。
若い尼僧は、その場を逃げるどころか、空飛ぶ怪異たちに向かって微笑んですらいた。
「Domine, profer lumen caecis!」
歌うように高らかに、尼僧は祈りの言葉を発した。その瞬間、飛行する水銀燈の挙動が乱れた。
手にしていた鞄を落とし、錐もみ状態になって、とうとう木の床に墜落してしまった。
乾いた騒音と埃を巻き上げながら転がってきた人形を見下ろし、尼僧は歓喜した。
「最高! 私ったらツイてるわー!」
何が起きたのか、全く理解できていない様子で、水銀燈は第三の人間を見上げた。
その鼻先に、尼僧は指を突きつけ、やはり歌うように高らかに宣言した。
「貴女、悪魔ね。決定!」
「おい、エクソシスト、そいつは自動人形だぞ!」
駆け寄るジュンが尼僧に向かって叫んだ。その声のおかげか、我に返った水銀燈は再び翼を立てた。
だが、尼僧のローファーに頭を踏まれる方が早かった。
「あぐぅっ!」
「誰が何て言おうとそう決めたの。貴女は悪魔よ」
天使のような微笑みで、尼僧は少女人形の頭部を文字通り蹂躙した。
「おい、水銀燈は僕のモノだ!」
数メートルの距離まで迫ったジュンが、尼僧に向かってボールを投げるように左手を振るった。
同時に、尼僧の足が人形を跳ね上げた。真上に舞い上がった小さな体──といっても、
十数キロはある──は、突然軌道を変えてジュンの方へと飛び、そのまま彼の手中に収まった。
あの"糸"で水銀燈を絡め取ったのだが、「ちっ」とジュンは舌打ちした。
人形を奪還"させられた"僅かな間に、玄関の重厚な扉は閉ざされ、尼僧の姿は掻き消えてしまっていた。
「ダメよ、ジュン君。電車に轢かれた子が、昨日の今日で生き返ったりしちゃ」
メイメイの灯りだけが頼りの暗い礼拝堂に、どこからともなく尼僧の明るい声が響いた。
閉ざされた扉は、よく見ると破り取った書物の断片がびっしり貼り付けられていた。どうせ聖書だろう。
「何だよ。これで僕を閉じこめたつもりか」
「挑発しないで下さいよ! 柿崎さんもやめてください、ここ病院のチャペルですよ!」
追いついた山本が、ジュンともう一人の人物を諫めた。柿崎とはあの尼僧のことらしい。
「放しなさい、人間! 仲間割れ!? 私は関係ない!」
ジュンの腕の中の水銀燈が暴れ出した。埃まみれの酷い有様だが、壊れてはいないようだ。

255 : ◆qrN8aillXg :2006/11/05(日) 20:18:57 ID:ZGYKuQZz
「おまえら、僕に指図するな!」
感情気味に叫んだジュンだったが、荷物になる水銀燈は解放せざるを得なかった。
どのみち逃げ場はない。あの柿崎も、そのつもりで一度人形を手放したに違いない。
  《 Gloria Patri, et Filio, et Spiritui Sancto, 》
次に聞こえてきたのは賛美歌の独唱だった。結局、ジュンの側から離れない水銀燈が吠えた。
「くっ、バカにしてぇ!」
「バカだな。歌で心を操るのがあいつの攻撃だ。人形には効いてないのか?」
ジュンの言った通り、その異常なまでに澄んだ歌声は、耳を塞ごうがお構いなしに、
直接頭の中に侵入してくる類の魔力を持っていた。
  《 sicut erat in principio et nunc et semper et in saecula saeculorum. 》
「経験者は語るってヤツぅ?」
「うるさい。こんな歌、不意を突かれなきゃどうってこと……!」
  《 Amen. 》
肉と肉とが激しくぶつかる音と共に、不意を突かれたジュンの体が吹き飛んだ。
たっぷり十メートルは飛ばされて、落下の衝撃で木製のベンチをいくつか破壊した。
「あ、俺……?」
山本が、ジュンを蹴り飛ばした右足を上げたまま、呆然と固まっていた。
水銀燈もまた、この無害そうな少年には油断しきっていた。危険を察知したときには手遅れで、
高速で背後に回り込んだ山本によって、両腕両翼を羽交い締めに捕らえられてしまった。
この万力のような締め付け、人間を空き缶のように蹴り上げた脚、どちらも尋常ではなかった。
「あなたたち悪魔って、ホント単純」
水銀燈の眼前に、柿崎が出現した。いや、初めからそこにいたのか。
「自分が操られないことばかり集中してたのかしら。それとも、山田君を忘れてたのかしら。
あ、山田君はちょっと黙っててね。えーと、水銀燈だったわよね。知ってる?
私たち人間は普段、神に与えられた潜在能力の三割しか使えないわ。常識よね?
でも、私の歌はその枷を外し、潜在能力を何倍にも高めることができるの。スゴイでしょ?
私の歌に抵抗すらできない山田君でも、神に与えられた100パーセントの力を発揮できるのよ」
長広舌を振るい始めた柿崎に、水銀燈は「貴女、お勉強苦手でしょ」とだけ答えた。
一瞬だけ、心配そうに浮遊するメイメイに目を向けたが、何も命じなかった。
柿崎の双眸は、その光を受けずとも、爛々と輝いていた。
「でもね、私、お料理は得意なの。ねぇ、水銀燈、貴女の手足をねじり切って、
油で揚げて、子供たちのおやつにしてあげたら、どんな声で泣いてくれるの?」
「今までいろんな人間がいたけどぉ、こんなイカれた子初めて……」
今さっき出会った自殺志願者の少年など、この尼僧に比べれば常識人に過ぎなかった。

256 : ◆qrN8aillXg :2006/11/05(日) 20:21:20 ID:ZGYKuQZz
「あら、イカれてるのは貴女でしょ。礼拝堂に来る悪魔なんて、私、初めて見たわ。
感激しちゃった。私のために殺されに来てくれたのよね」
「バカじゃない」
このあたりが限界のようだった。柿崎はく軽やかに身を翻して、歌唱を開始した。
  《 Kyrie eleison, Christe eleison, Kyrie eleison. 》
「くうぅっ……!」
  《 Christe audi nos, Christe exaudi nos, 》
水銀燈の端正な顔が苦痛に歪んだ。
  《 Pater de coelis Deus, miserere nobis. 》
山本は無言で、締め付けを強めてくる。いくら歯を食いしばっても、関節はぎしぎしと悲鳴を上げた。
  《 Fili Redemptor mundi Deus, miserere nobis. 》
柿崎の猟奇的な宣言の通り、水銀燈の両腕がねじり切られるのは時間の問題だった。
  《 Spiritus Sancte Deus, miserere nobis. 》
もし蹴り飛ばされたジュンが、そのまま眠っていればの話である。
  《 Sancta Trinitas, unus De...EEHHHEEEEUUUUUU! 》
異音と共に、柿崎の体がぐいっと空中に持ち上がり、白目を剥いて両手で喉をかきむしり始めた。
途端に脱力した山本が、水銀燈の背中から弾き飛ばされた。
暗がりの向こう側、散乱したベンチの破片の中から、ジュンが左腕を挙げていた。
そこから伸びた"糸"は、天井の梁から垂らされ、柿崎の首を絞めていたのだ。
「次から、自分で首吊れよ。バーカ」
女の細長い四肢が垂れ、事切れたと思われたとき、尼僧姿は白い煙に変じ、雲散霧消した。いや──。
  《 Sancta Maria, ora pro nobis. 》
聖母を称える歌は、未だ礼拝堂内に健在だった。
何らかの魔術だったのか、絞殺された柿崎は、実体を持つ幻影に過ぎなかったのだ。
「どっちが悪魔だよ……」
眼鏡を失ったジュンのぼやきは虚しく、意識を失ったままの山本もまた、立ち上がった。
神父服の両腕が妙な方向に曲がっているが、気にする者は誰もいなかった。
  《 Sancta Dei genetrix, sancta Virgo virginum, ora pro nobis. 》
「礼は言っておくわ」
ジュンの下へ飛来した水銀燈は、目を合わせようとはしないが、しおらしいことを言った。
が、そんな雰囲気をこの桜田ジュンが読むはずもなかった。
「僕と契約しろ。足手まといなんだよ、お前」
「なによなによ偉そうに! ジャンクになりたがってたくせに!」
言い合っている間に、傀儡と化した山本が迫ってきていた。

257 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/05(日) 20:22:36 ID:d9SH0xeV
神と呼ばれる書き手になれとまで言わないが、ここでSS投下を楽しみたいなら
作品の質を上げるのと同じくらい、叩きを無視する図太さを大切にしろ
過去に名作を投下した職人の多くには内容叩きのレスがついたが
それで安易に路線変更したり投下中止したりした奴はすぐに忘れ去られる
叩きなど見えないかのように完全なる無視を貫く奴なら、それだけでGJに値する

まだ途中だけど緻密な構成の文章は読んでて楽しくなる
これからも投下を願う、無理のない範囲で

258 : ◆qrN8aillXg :2006/11/05(日) 20:23:30 ID:ZGYKuQZz
  《 Mater Christi, mater divinae gratiae, mater purissima, mater castissima, ora pro nobis. 》
ジュンは、解けかかっていた頭の包帯を、引きちぎって捨てた。彼の頭には傷など無かった。
「あいつらに痛めつけられても、僕は壊れない。痛い思いをするだけなんだ。痛いのは好きじゃない」
入院着は肩口から大きく裂けていたが、そこからのぞく肌には、かすり傷一つ残っていなかった。
「ふぅん。それが、呪い?」
水銀燈は翼で宙を舞い、ジュンは"糸"を使って天井の梁に上り、山本をやり過ごした。
「あれ。お前にそんなこと話したか」
「さぁね。ありふれた話だし。でも、そんな事私には関係ないわぁ」
山本は猿のような身軽さで数メートルの高さを飛び、梁によじ登ると、正気を保つ二人を追いつめた。
  《 Mater inviolata, mater intemerata, ora pro nobis. 》
「ジュンくぅん、左手を出しなさぁい」
「僕に命令するな」
などと言いながら、ジュンは水銀燈の顔の前に左の拳を突き出した。
人形の小さな手が、握りしめられた少年の手を優しくこじ開けた。
  《 Mater amabilis, mater admirabilis, ora pro nobis. 》
「もう嫌と言っても手遅れよ。あなたの命、水銀燈にちょうだい」
どこに隠し持っていたのか、水銀燈は薔薇の意匠の指輪を、ジュンの薬指にはめ込んだ。
刹那、朽ちかけた礼拝堂に、光が溢れた。
  《 Mater Creatoris, mater Salvatoris, ora pro nobis. 》
ジュンに与えた指輪が放つ、熱を感じるほどの閃光を背中に浴び、水銀燈は不敵な笑みを浮かべた。
「さっきは、よぉくもやってくれたわねぇ」
突進してくる山本を紙一重で回避し、水銀燈は至近距離で両翼を逆立たせた。
「おばかさぁぁぁぁん!!」
無数に撃ち出された黒い羽根は、傀儡の体をその勢いで持ち上げ、吹き飛ばし、
全身を真っ黒に染め上げ、遙か彼方の床へと墜落させた。
  《 Virgo prudentissima, virgo veneranda, virgo praedicanda, ora pro nobis. 》
「熱いぞ、これ……」
まばゆい輝きを放出しきった後も、ジュンにはめられた指輪はまだ赤熱していた。
「あははは! 貴方のお友達、ジャンクにしちゃったぁ」
残酷に哄笑する水銀燈は、乱れた髪や汚れたドレスまで回復させていた。これも契約の力か。
床に叩き付けられた山本はそのまま動き出す気配はなく、ジュンもまた梁から下りた。
「弱いくせに、僕に付きまとうからこういう目にあうんだ」
  《 Virgo potens, virgo clemens, virgo fidelis, ora pro nobis. 》
「ていうか、あいつ、いつまで歌ってるつもりだよ。これ録音だったりしないよな」

259 : ◆qrN8aillXg :2006/11/05(日) 20:26:54 ID:ZGYKuQZz
「隠れてないで出てきなさぁい。この恨み晴らさないではおかないわァ!」
頭を踏みにじられ弄ばれたことは、気位の高い水銀燈にとって忘れ得ぬ屈辱なのだろう。
興奮気味の彼女とは対照的に、ジュンは冷め切った目で、取り巻く闇を睥睨していた。
「外に出るぞ。放火して燻りだしてやる。あいつをやったら、僕も殺せよ」
「罰当たりねぇ。待ってなさい、私の人工精霊で結界を破ってあげるわぁ」
聖書のページがびっしり貼り付けられた玄関に向かって、水銀燈がメイメイを飛ばそうとすると、
それには及ばないとばかりに勝手に扉が開いた。が、それは地獄の釜の蓋だった。
  《 Speculum justitiae, sedes sapientiae, ora pro nobis 》
患者、患者、看護師、患者、医師、看護師、患者、医師、警備員、患者、患者、看護師、患者……。
例外なく、連中の目は腐臭を放っていた。礼拝堂の騒ぎを聞き、様子を見に来たわけではなかろう。
柿崎の傀儡どもは怪奇映画さながらに、堂内になだれ込んできた。
最初に危機的状況に晒されたのは、床に落としたままだった水銀燈の鞄だった。
「私の鞄を拾いなさい、ジュン、今すぐッ!」
「なんで僕が!?」
ジュンは文句を垂れながら"糸"を飛ばして、間一髪、それを拾い上げた。
  《 Causa nostrae laetitiae, ora pro nobis. 》
水銀燈は長いスカートを翻すと、メイメイを伴って礼拝堂の奥へと飛んだ。
「逃げるのか?」
「痛い思いをしたくないんでしょぉ?」
彼らが向かったのは、あの小さな洗礼室だった。逃げ場と言えば、ガラスのない高窓ぐらいだが。
  《 Vas spirituale, vas honorabile, vas insigne devotionis, ora pro nobis. 》
少し目を離した隙に、その窓に有刺鉄線と聖書による封印が施されていた。さすがに仕事が早い。
ただ、そのことは人形の頭でも予測済みだったようだ。
「メイメイ、扉を開きなさい!」
水銀燈が彼女の人工精霊に指し示したのは、部屋の中心に据えられた洗礼盤だった。
メイメイが溜められた水の中に飛び込むと、円形の水面から白く淡い光があふれ出した。
「nのフィールドの入り口には不十分だけど、この際仕方ないわ」
「は? なんだそれ」
説明している時間はなかった。傀儡たちが古い床を踏みならす音が、すぐそこまで迫っていた。
  《 Rosa mystica, turris Davidica, ora pro nobis. 》
「ジュン、私を抱き締めることを許してあげる。放したらジャンクの刑よぉ」
冗談っぽく言って、水銀燈はジュンの胸の中に収まった。ジュンは洗礼盤を見てうなった。
「そこに飛びこめって言うんじゃないだろうな」
彼は水銀燈の意図を察していたが、未知への扉を前に二の足を踏んだ。
なぜなら、この小さなパートナーは、邂逅した当初、この逃走手段を用いなかったからだ。

260 : ◆qrN8aillXg :2006/11/05(日) 20:30:08 ID:ZGYKuQZz
  《 Turris eburnea, domus aurea, foederis arca, janua coeli, stella matutina, ora pro nobis. 》
"不十分な入り口"には、何らかの危険があるに違いなかった。
しかし、遂に傀儡たちは洗礼室にまで侵入してきた。こちらは明確な危険である。
「フクロにされるよりはマシだよな?」
傀儡たちをが猟犬のように飛びかかってくると、ジュンの体はもはや勝手に動作し、
人形とその鞄を抱いて、波打つ入り口へとダイブした。
傀儡たちが洗礼盤に群がり、それを横転させると、真っ暗闇の中にカビ臭い水が零れ広がった。
既に少年と少女人形の姿は、どこにもなかった。
同時刻、眼下に礼拝堂を臨む病院の屋上で、柿崎が聖歌の独唱を終えた。
深夜に歌う彼女を咎めようという者は、結局、最後まで現れなかった。
黒衣の尼僧は、魔の気配の絶えた礼拝堂をしばらく眺めやってから、暗澹たる夜空に溶け込んでいった。

山本少年が意識を取り戻したのは、その夜から数日後のことだった。
やはり、有栖川大学病院の一室である。
午後の暖かなそよ風に混じって、断続的に、不快な衝撃音が響いていた。
「おはよう、山田君。起こしちゃったわね。あのチャペルを取り壊す工事が始まったのよ」
傍らから、山本に話しかける声があった。彼が恐る恐る視線を平行移動させると、
真っ白い病室内では恐ろしいほど目立つ黒衣の、清楚な笑みがそこにあった。
彼は覚醒早々、病院内ではた迷惑な悲鳴を上げることになった。

(続く)

次回予告:
「酷いですよ、柿崎さん! 両手複雑骨折で箸も持てないんですよぉ!」
「何言ってるの、山田君。ただの筋肉痛じゃない。一晩寝れば治るわ。
それとも、私にごはんを食べさせて欲しい? なんなら料理だってしちゃうわよ?」
「え、遠慮します……」
「食べる方はともかく、出す方は大変よね。あ、そうそう、あなたが惰眠をむさぼってる間、
愛しの桜田さんがシモの世話までしてくれてたのよ?」
「うそ!?」
「嘘。でも、夜のお世話をお願いしておいてあげたわ。手が使えないと不便でしょ?」
「誰か俺を殺してぇー!」

第2話 楽士 die Spielerin

261 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/05(日) 23:51:12 ID:vfMhZG28
面白いじゃないかあああああああああああああああ!!!!!!11111111

最近久々に読書を始めたけど、本でも違和感ないクオリティ。続き期待

262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/06(月) 00:10:59 ID:uu52927e
死ねよプラスキー

263 :突き抜け系最終回 1:2006/11/09(木) 00:11:23 ID:JYy+sWz0
その日、アリスゲームは最終局面を迎えようとしていた。
各姉妹間の均衡を破った雪華綺晶は雛苺、翠星石、金糸雀を葬った。
あろう事か水銀燈にローザミスティカを奪われ、抜け殻となった蒼星石の体も
雪華綺晶によって喰われてしまった。
しかし、そんな雪華綺晶も急遽タッグを組んだ真紅と水銀燈のダブル攻撃の前に倒れた。
そして残った真紅と水銀燈による最後の戦いが行われようとしていた。
「7体いた姉妹もついに私達だけになってしまったわね。」
「泣いても笑ってもこれでアリスが決まる。全力でいかせて貰うわぁ。」
真紅と水銀燈は互いに睨みあい、構えた。そして一時の沈黙の後、二人は一斉に飛びかかった。

真の実力者同士の戦いは長期戦になるか、一瞬で決着が付くかのどちらかである。
今度の戦いは後者のほうだった。水銀燈の翼が真紅の体を切り裂き、貫くよりも一瞬速く、
真紅の右拳が水銀燈の顔面に叩き込まれていた。忽ち水銀燈は派手に吹っ飛び、倒れた。
「か・・・体が・・・動けない・・・。く・・・苦し・・・。」
水銀燈は必死に起き上がろうとするが、動けなかった。そして真紅は水銀燈に歩み寄って
見下ろしていた。
「フ・・・フフ・・・。無様でしょぉ?真紅・・・。お馬鹿真紅に負けるなんて・・・私はそれ以上の
お馬鹿さん・・・。もう生きていても仕方ないわ。さっさとトドメを刺して頂戴・・・。」
水銀燈はもう完全に観念していた。無様な姿をこれ以上晒すくらいなら、
潔くローザミスティカを奪われる道を選んだのである。だが・・・
「私はもうこれ以上要らないのだわ・・・。」
「!?」
水銀燈は驚愕した。真紅は水銀燈の申し出を拒否したのである。
「あんた・・・私に情けをかけると言うの!?私に生き恥を晒せと言うの!?
そんな事・・・そんな事許せな・・・ぐふぅ!!」
水銀燈の必死の叫びを邪魔するかのように、真紅の拳が水銀燈の腹にめり込んでいた。
「かはっ・・・うげぇ!!」
水銀燈は腹を押さえてのた打ち回った。もしコレが人間であるならば、胃の中の物を
全て吐き出していたに違いない。
「勘違いしない事ね水銀燈。私はこれ以上姉妹が死ぬのを見たくないだけなのだわ。
その為なら私はアリスになれなくても構わない。」
「あんた・・・あんたやっぱりお馬鹿さんよぉ・・・。」
「馬鹿でも良いわ。私には帰る所がある。お父様に会えなくても、アリスになれなくても
私にはジュンやのりがいる。私には帰る場所があるのだわ。」
「帰る・・・場所・・・。」
真紅はその場に座り込み、水銀燈の顔を近付けた。
「私は考えたわ。何故お父様が私達の前から姿を消したかを・・・。アリスを作れなくて
私達に失望して逃げ出したのだと思っていた・・・。だからアリスになればお父様に会えると
思って私達は今まで戦っていたのよ。でも、もしかしたらそれは違ったんじゃないかしら?」
「違う?」
「お父様は逃げたんじゃない。あえて私達を突き放つ事で私達の巣立ちを促したのではなくて?」
「巣立ち・・・。」
「そう。私はジュンを見てそう思ったのだわ。」
「ジュンってあのメガネの子?」
真紅は黙って頷く。
「ジュンは今までずっと家の中に閉じこもっていたわ。でも、最近になって外の
世界に目を向けるようになった。まだ完璧とは言えないけど、ジュンは巣立とうとしているのだわ。
きっと、お父様も私達に対して巣立ちと自立を願ったのでは無くて?でも、もしかしたら
これも私が勝手にそう考えているだけかもしれない。それでも私はそう思うのだわ。」
「お父様がいないなんて・・・。そんなの考えられない・・・。」
案の定水銀燈は真紅の論を否定した。だが、彼女は葛藤していた。口では否定していても
めぐの事を思い出すと、真紅の論も一理ありとも考え始めていたのである。

264 :突き抜け系最終回 2:2006/11/09(木) 00:12:37 ID:JYy+sWz0
「私はこれで行かせて貰うわ。ジュンやめぐが帰りを待っているもの。」
と、真紅が帰ろうとした時だった。突如として二人の前にラプラスの魔が現れたのである。
「それはいけません。貴女方どちらかがアリスとならなければならないのです。」
「ラプラスの魔!?何故!?」
「空をご覧下さい。」
と、ラプラスの魔は天を指差した。すると、天高くに大きな火の玉が見えた。だが太陽では無い。
「あれは・・・。」
「世界を滅ぼす破滅の星です。この世界はあの破滅の星によってもう直ぐ滅ぶのです。」
「天から襲来する破滅の星って・・・まさか巨大隕石が近付いてるって言うの!?」
「そうです。かつて大昔にこの世界を支配していた大型爬虫類も破滅の星によって滅びを迎えました。
ですが、今近付いている破滅の星はその時の比較にもなりません。この世界は完膚なきまでに
滅ぼされるのです。」
「大型爬虫類・・・つまり恐竜・・・。恐竜絶滅以上の悲劇がこの世界を襲うと言うの?」
「これから生き残る術は一つ。アリスとなってnのフィールドで貴女方のお父様と暮らす以外には無いのです。」
「ちょっと待って頂戴!この世界とnのフィールドは表裏一体よ!この世界が滅べば、
nのフィールドにも影響が出るのではなくて!?」
「ならどうすると言うのです?」
「え・・・。」
真紅は思い付かなかった。この事態を収束させる方法を。無理も無い。今度のそれは
恐竜絶滅時の隕石以上に巨大かつ強大な物なのだ。全世界に存在する全ての核兵器を
結集させても、何の役にも立たないだろう。
「何か方法は無いの!?このままじゃジュンやのり、巴や皆が死んでしまうのだわ!!
それに・・・世界が滅んだらくんくんも見れない・・・そんなの嫌なのだわ!!」
「一つだけ・・・方法があるわ・・・。」
「水銀燈!?」
水銀燈が今にも倒れそうになりながらも立ち上がり、真紅の顔を見つめていた。
「私達の持つローザミスティカは無限の力を持ったいわば永久機関。
そのローザミスティカをオーバーロードさせてぶつければ・・・多分・・・。」
「力を・・・貸してくれると言うの?」
「それ以上言わないで!あんたの言う絆にぼやかされたお馬鹿さんがここに一人いるだけよ!」
水銀燈は不満そうな顔をしていたが、その手はしっかり真紅のほうに差し出していた。
「どうやら・・・最後の勝負はこれからみたいね・・・。」
「待て真紅!!」
突然真紅を呼び止めた者、それはジュンだった。

265 :突き抜け系最終回 3:2006/11/09(木) 00:13:23 ID:JYy+sWz0
「ジュン!?」
「待て真紅!行くな!お前・・・まさか死ぬ気だろう!?そんなの嫌だ!」
ジュンは泣きながら真紅に抱き付いた。しかし、真紅に涙は無かった。
「ジュン・・・安心して。私はちゃんと帰って来るわ。少し出かけるだけ・・・。」
「本当か・・・?」
真紅は黙って頷き、ジュンの涙をぬぐった。
「直ぐに帰って来るわ。だから暖かい紅茶を用意して待ってて頂戴。」
「わ・・・分かった!飛び切りの紅茶を用意して待ってるよ!」
「良い返事ね・・・流石私の見込んだ下僕よ・・・。」
真紅はジュンに対し微笑むと、水銀燈と手を繋いだ。そして強い光が二人を包み込み、
一人の神々しく輝く一人の少女が現れた。それこそ一切の穢れの無い美しさと
真っ白な美しい翼を持った完璧の少女。彼女こそアリス。ローゼンが求めた存在。
しかし、アリスの目的はローゼンに会う事ではない。天を越えた先から襲い来る
破滅の星を食い止める事なのである。
「言ってくるわ。」
そう一言言い残し、アリスは翼を広げ、猛烈な速度で飛び上がった。
如何なる超音速戦闘機も敵わない速度で・・・。

ジュンが帰ると、家ではのりが料理を作っていた。
「ジュン君、そろそろお夕飯だから真紅ちゃん達を呼んできて頂戴?」
「あいつ等なら・・・出かけたよ・・・遠くに。でもちゃんと帰って来るから・・・。」
「そう・・・。」
ジュンの指には契約の指輪が残っていた・・・。

有栖川病院の一室、めぐが空を眺めていた。
「水銀燈・・・、貴女が本当の天使になって私を迎えにきてくれるまで・・・
私・・・待ってるからね・・・。」
そう一言言い残し、めぐはそれまで口につけようとしなかった病院食を手に取った。

アリスは自衛隊の哨戒機も容易く振り切り、大気圏さえ離脱しようとしていた。
そして地球に迫る隕石へ向けて真っ直ぐに直進する。
「私達は死なない!必ず生きて帰る!帰りを待っていてくれる皆の為に!!」
天へ向かうアリスの周囲に七色のオーラが表れた。銀、金、翠、蒼、紅、苺、白、
七つの色のオーラはアリスを構成する薔薇乙女7体の姿を形作り、
そしてアリスと共に隕石目掛けて宇宙を突き進んだ。
この世界を救い、帰りを待つ人達の所へ帰る為に・・・。
                  おわり

266 :263:2006/11/09(木) 00:15:44 ID:JYy+sWz0
>>248-260
これはすげぇ。

267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/09(木) 22:06:43 ID:noroGJPT
だが、翠はドコー?

268 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/11(土) 13:29:13 ID:LhfxMSqw ?BRZ(5770)
>>265
最後しか読んでないけど
フィフスエレメントじゃねーかw

269 :263:2006/11/11(土) 13:41:54 ID:lAzLE8TB
>>268
ゴメソ
どちらかと言うと宮下あきら先生の「天より高く」の最終回を
意識してるんですよコレが

270 :SHOWER ROOM  1/2:2006/11/11(土) 23:00:00 ID:MbYQIQ3U
蛇口から勢い良く跳ねる水。 狭い室内に水の音が木霊する。
立ち上る靄が、柔らかな熱気を教える。

私はシャワーが好きだった。 なぜかは自分でも分からない。
湯船に浸かっているより、ずっとずっと心が安らぐのだ。
はらり。 はらり。 一枚。 また一枚。 自分を隠す鎧を脱ぎ捨てて、裸の私に近付いていく。

白く薄い布地に指をかけ、足元まで引きおろす。 足首を軽く上げて、下着を足から引き抜いた。
これで全部。 ぶるっ。 夜気に晒された体が心もとない。 浴室に足を踏み入れて、私はかちりと鍵をかけた。


レバーを捻って、出水をシャワーに切り替える。
頭より更に高い位置から雨のように降りかかる水滴が、一日の疲れを洗い落としてくれる。
髪の毛の隙間が少しずつ湿り気を帯びていく。
私は目を瞑り、暫しの間、ただ水滴の音に耳を傾けていた。

「ふぅ……。」

薄い胸を水滴がつたい落ちていく。
運動で細く引き締まった体は、白い肌と相まって繊細なガラス細工のようだ。

ボディソープを原液のまま手に塗りたくり、そのまま首筋に指を這わせる。
柔らかな肌を指先でこすり、薄くボディソープを引き延ばす。

うなじから喉元へ。 喉から鎖骨へ。 鎖骨からなだらかに膨らむ胸元へ。
ゆっくりと指を滑らせていく。 胸の先に指をかけたまま、吐息。

思春期の少年とはあまりに違う、この体。 時間がこの体つきを変えてしまった。
それは喜ばしいことなのかもしれない。 それでも、今はなぜかそれが無性に悲しくて。
湿気と熱気がこもり、湯気に包まれた私の体は、ひどく曖昧なものに思えた。

「桜田くん……。」
無意識に口からこぼれ出た、名前。 彼こそ思春期の少年そのものだ。
っふ。 知らず指先が滑り、また吐息。 最近の私は、なんだか妙に彼を意識している。 それも当然か。
彼は、酷く私の心を掻き乱す。 私の世界を不完全なものにしてしまう。

271 :SHOWER ROOM  2/2:2006/11/11(土) 23:01:00 ID:MbYQIQ3U
指先を下げ、そのまま腹へとなぞる。 ぁは。 溜息が出た。
おなかを少し摘んでみる。 ……少し、脂肪がついてしまったかもしれない。

軽く首を振る。 仕方が無い。 当然の変化なのだ。 年と共に、誰もが変化していく。
昔はみな等しく子供だったとしても。 いつまでも同じではいられない。 一人一人が自分の居場所を見つけていく。

……でも。 彼には見つけられなかった。 迷子になってしまった。
桜田くん。 最後に彼の笑顔を見たのはいつだったろう。
彼が抱える傷口の深さに思いを馳せる。 私には分からない。 しくりと胸が痛んだ。

体を折り曲げて、今度は足首から上の方へ、上の方へ、ボディソープを塗り付けていく。
均整の取れたふくらはぎから、締まった太股へ。 太股からお尻の方へ。

やがて、私の指が傷口へと到達する。 桜田くんには無い、私だけの傷口。
私と彼は違う生き物。 分かり合えるはずの生き物。 なのに分かり合えない生き物。

「んっ……。」

声が漏れた。 疼く。 傷口が、疼いている。 神経が過敏になっているのかもしれない。
……いや。 違った。 そうじゃなかった。 過敏になっているのは心だ。 桜田くん。 桜田くん。 桜田くん。
それでも私はわざと、傷口にシャワーを当て続けた。 刺激に耐えられなくなるまで、ずぅっと。


シャワールームから出て、タオルを取る。 濡れて額に掛かった髪をかきあげて、鏡と向かい合う。
短く切りそろえた髪を手で撫で付けて、余計な水分を、ぎゅっ。 ショートヘアはこういう時に楽でいい。

新しく出した下着に足を通す。 白い布地が、お尻のお肉を引き上げる。
その間も、鏡の中の私は私を見つめ続けている。
笑顔を作ってみる。 私は私でいられているだろうか。 この笑顔は私のものなのだろうか。

ふっ。 ふと鏡の中の私が微笑んだ。 悪い癖が出ていた。 そうだ。 もう私は子供でいるのは止めたのだった。
一人で思い悩むのはやめよう。 もう迷子だった頃の私ではないから。
会いに行けばいいのだ。 桜田くんに。 会いたいと思った時に。 精一杯の私で。


だから私は服を着る。 髪の毛を乾かして、綺麗に櫛を通す。 ぴかぴかの靴を履いて、彼の家の前に立つ。
インターホンの前で、ちょっとだけ覚悟を決めて。 彼の顔を見つめて。
私の一番いい笑顔を見せよう。 一番いい声で挨拶しよう。 ほら。 そしたら、きっと分かり合えるから。



「久し振りだね桜田くん! 担任の梅岡だよ!」

272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/11(土) 23:06:12 ID:v7R37Hv1
一瞬巴ネタキタァァァァ!!?と喜んだけど
最後の壮絶なヲチに悲しくも笑ったのは俺とお前だけの秘密な。

273 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/12(日) 01:30:16 ID:NtPIiRds
キタ━━(゚∀゚)━━!!

(・∀・)イイ!!

(*´Д`)ハァハァ

(;´Д`)

(゚Д゚)

_| ̄|○ …

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/12(日) 11:13:35 ID:vqHl1H4J
だまされた・・・

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/12(日) 12:04:42 ID:w/2nMxXo
なんでいきなり梅岡なんだと思って読み直したぞw

276 :EVER GREEN  01/12:2006/11/12(日) 21:36:33 ID:TR5RaKTR
「さっさっさー。 となりは何をする人ぞ、ですぅー。」

さか、さか、さか。 竹箒で庭の落ち葉を掃く、掃く、掃く。
私は庭師。 紅葉の季節。 短い夏を駆け抜けた緑が、赤に黄色に染まっている。

足元に舞い積もる、枯れきった木の葉。 それは寂しくもあり。 それでいて愛おしくもある。
秋も深まり、来るべき春に向けて、木々たちが衣替えを始める季節。
サツマイモを落ち葉の中に据えながら、溜め息をひとつ。 今は少しだけメランコリック。

ぶぁさっ! 突然目の前の落ち葉まんじゅうが舞い上がった。

「ジャジャジャジャーン! 落ち葉の中からこんにちは! 策士・金糸雀、華麗に見参かしら〜!」

……。 しかしまぁ、世の中には全然メランコリーと縁の無い輩もいるわけで。
何がそんなに嬉しいのか、相変わらず幸せ一杯のバカ面をさげて、おバカな彼女が現れた。
すっぱり無視を決め込んで、枯れ葉の山に火を点ける。

「キャー!? キャー!? 何するかしら!? 火あぶりかしら! カナを焼いても美味しくないかしら!!」
「あれあれぇ。 こいつは驚いたです。 今日びのサツマイモは日本語が喋れるんですねぇ〜。」
「 カ ナ は お イ モ じ ゃ な い か し ら !!! 」

くすり。 まったく。 落ち葉の中に隠れたりするから、服があちこち枯れ葉まみれじゃないですか。
ほら、立って。 ぱしぱし枯れ葉を落とすですよ。 ぱしぱし。 ぱしぱし。
んんん? なかなか落ちないですねぇ。 この編み目にひっかかって……って、え? 編み目?

「およよ、おバカナ。 なんですその服?」
「! むふーん。 うふふ、翠星石。 やっぱり分かっちゃったかしら? やっぱり分かっちゃったかしら?」

むかっ。 撒き餌に飛びついてしまったようだ。 分からいでか。 それは私たちがお父様から戴いた衣装ではなく。

「そうでーす! これはみっちゃんがプレゼントしてくれたセーターかしら!」
そう、セーター。 朝に霜が降り、夜に息が白む季節を、暖かく過ごすための衣服。 淡いレモン色が目にやさしい。

「むふふふふ。 しかも、これはただのセーターじゃないかしら……!」
にへへと目元を緩ませるチビカナ。 ??? どう普通と違うのか。 滅多に無い事だが、私は金糸雀の二の句を待った。

277 :EVER GREEN  02/12:2006/11/12(日) 21:37:21 ID:TR5RaKTR
「 て あ み ? 」
「そうかしら! このセーターは、みっちゃんの愛情いっぱいの手編みなのかしら!!」
そう言ってふふーんと胸を張る金糸雀。 テアミ……?

「川に投げ込んで魚を一網打尽にする……?」「それは投網。」

「ほうじ茶を淹れてちょっと一服……?」「それは湯呑。」

「人間五十年〜、下天のうちをくらぶれば〜、夢幻のごとくなり〜。」「それは世阿弥。」
「ブブーッ。 これは世阿弥ではないのですぅ! ププッ、やっぱり生え際の怪しい奴はオツムの出来も怪しいですねぇ〜。」
「 生 え 際 は 関 係 無 い か し ら !!! 」


「手編みっていうのはね、市販品じゃない、自分の手で作った編み物の事を言うのよ。」
金糸雀のセーターをぽんぽん払いながら、デカ人間の弁。 ここはデカ人間のお家。 セーターを作った張本人。

「ふんっ。 わざわざそんなメンドっちい事しないでも、できあいの市販品でも買った方が全っ然お利口ですぅ。」
「でも翠星石だって、よくジュンのためにお菓子を作ってあげてるかしら〜。」
でぇぇーい! (ボコッ)

「ゲフゥッ!」「カナァーーー!!!」
景気良く宙を舞うデコスケ。 ねねね、寝言は寝て言えですぅ! だっ、誰があんなチビ人間のためにっ。

「まぁ、見た目はこんなだけどね。 手編みにはさ……お金じゃ買えない価値があるんだなぁ。
 少し右下がりの模様も。 ちょっと長めになっちゃった袖も。 気持ちを込めなかった場所なんて、一つも無い。」
「みっちゃん……。」

翠星石にはちょっと難しいかな、なんて微笑むデカ人間。 なぜだか無性に照れ臭くなって。 私は反射的に言い返した。
「ふんっ。 いい年齢して独り暮らし、六畳一間にメンズ用品ゼロの独身OLが、したり顔で何言ってるですかっ。」

「ゲフゥッ!」「みっちゃーーーん!!!」
景気良く吐血するデカ人間。 全く。 全く。 みんなして、なーに色ボケしてやがるですか。 ……でも。 でもでも。
本当の本当に、ほんの少しだけ。 「あいつ」の顔が思い浮かんで。 気付けば私は口にしていた。

「……この毛糸、少し貰っていってもいいですか?」

278 :EVER GREEN  03/12:2006/11/12(日) 21:38:09 ID:TR5RaKTR
ぼーっ。 ぼーーーっ。 ぼーーーーーっ。 ………。 ……ぃ。 …い。

「おい!」「ぅひゃわ!」
ドキリとローザミスティカが跳ね上がる。 呆としていたが、どうやらジュンに呼ばれていたようだ。

「な、な、な、何ですか?」
「いや何って。 もう9時過ぎてるけど、いいのか? 真紅たちはとっくに2階に行っちゃったぞ。」

本当だ。 気付けば時計の針は夜の9時を指していた。
帰ってきてから今まで、何をして、何を食べて、何を喋ったのか、これっぽっちも覚えていない。
気付けば、デカ人間とチビカナの幸せそうなやり取りばかり浮かんで。
なぜあの時私は毛糸をくれなどと言ったのだろう。 その毛糸で私は何がしたいのだろう。

「……きょ、今日はもうちょっとだけ夜更かしするですぅ……。」
そう言って、ちょこりとジュンの隣に腰掛けた。 ふーん、とだけ呟いて、またテレビに注意を戻すジュン。
一体どうしてしまったのだろう。 今日の私はちょっとおかしい。

テレビの中では年頃の男女がぴーちくぱーちく。 それがどうにも頭に入らなくて。 目線は自然とジュンに向く。
ふと気付いたように、ちらりとジュンが視線を寄こす。 私は慌てて目を逸らす。

「なんだよ。 なんか言いたそうだぞ。」
「う……す、翠星石はこのドラマの先週までのあらすじをサッパリ知らんです。 ちーっとは気を利かせるですぅ!」
しどろもどろに言い繕う。 ジュンは得心したようにあらすじを喋り出す。 なんとか誤魔化せたようだ。

適当にあらすじを聞き流しながら、再びジュンの横顔をのぞき見る。
真紅たちはもう眠っていて。 のりはお台所で洗い物。 今だけはジュンを独り占め。 物静かな秋の夜長。
それは緩やかに穏やかに過ぎて行って。

「「くしゅん!!」」
ドラマの主人公とジュンが同時にくしゃみをした。 ヒロイン役の女性が、主人公に優しくマフラーをかける。
傍らのジュンは、独りで小さく肩をこごめるだけ。

「ふふふ。 チビ人間はマフラーをかけてくれる相手がいなくてお淋しい事ですぅ。」
「ほっとけよ!」
ジュンにちろりと舌を出して。 私は、自分があの毛糸で何をしたかったのか、ようやく気付いたのだった。

279 :EVER GREEN  04/12:2006/11/12(日) 21:39:00 ID:TR5RaKTR
「さて、っと。」
まずは何を作るか決めなくちゃ……なんて。 実はもう決めてたりする。

「やっぱりマフラー、ですよね。」
そう、マフラー。 マフラーは一枚布。 とってもシンプルでサイズの誤差にも強い。 未経験者にはもってこいだ。
しかも昨日のドラマによれば、マフラーをプレゼントすれば……ふ。 うふふふ。

はっ。 少しばかり別世界を旅行してしまった。 いけないいけない。
勝って兜の緒を締めよ、です! 別に戦ってないですけど。

さて、具体的にどんなマフラーを作るべきか。 ボールの飾りを付けてみる? 派手にファーっぽく仕上げようか。
いやいや。 複雑なのはもちろん無理。 けど、プレーンな一色マフラーというのもちょっと寂しい。

そうだ。 ポイントにストライプを入れてはどうだろう? 我ながら妙案だ。 これなら多分そう難しくはないはず。
ただ、そうすると昨日の毛糸では足りない。 そもそも、よく見たら貰った毛糸は一玉もない。

「編み針と教本、それにもっと毛糸が欲しいですねぇ。 毛糸の色は……。」
ベースは薄いクリーム色がいいかな。 ストライプの色は……淡いグリーンにしよう。
クリームの部分がジュンで、グリーンの部分は…………べ、べ、別に何だっていいじゃないですか!

使う糸もよく考えなくては。 肌触りや通気性が悪いマフラーなど、誰も巻きたくないだろう。

うーん。 意外に考える事が沢山ある。 これは経験者に聞きながらでないと、ちょっと危険かもしれないです。
のり? 絶対ジュンに勘付かれるですね。 巴? 果たして経験者でしょうか。 となると……。


ぴしゃり!

「こら南極デコ! ちょっくら頼みがあるですぅ!」
「……最近は人に頼み事をする前にオデコを叩くのが普通なのかしら? そもそも南極デコって何よ!」
「知らないのですか? 露出してるのは額のごく一部に過ぎず、前髪の下には無限のデコが広がっているという……。」
「 あ ま り に 失 礼 か し ら !!! 」

餅は餅屋。 ジュンほどではないにしろ、デカ人間にも洋裁一般の心得があるだろう。
年齢的に、事情を詮索しないデリカシーもある。 少しばかり不服だけれど。 私は彼女に教えを請う事に決めたのだった。

280 :EVER GREEN  05/12:2006/11/12(日) 21:39:53 ID:TR5RaKTR
『朝です! とっとと起きやが』

カチリ。 目覚まし時計を止めてアクビを一つ。 窓の外はまだ暗い。
夜型生活に染まりきった体が、二回目の眠りを要求している。 うぅ、眠りたい……。
いや! 駄目だ、頑張らないと。 少しずつでも朝型体質に変えていくんだ。 ……Zzz……。

「おはようジュン。 ちゃんと起きられたのね。」
うぉっと! 真紅の声で思わず背筋がピンと伸びる。 危ない所だった。
時間になっても起きないと、漏れなく絆パンチをプレゼントされる。 今日はぎりぎりセーフだな。

「絆パンチ!!!」「ゲハァ!!?」
眼鏡がすぽーんと吹っ飛んでいき、無様に床に転がる僕。 えぇ!!
時間通り起きても全くの無駄かよ! ひでぇ!!

「しっ真紅! ちゃちゃちゃんと起きたじゃん! い、いきなり、何すっ、すっ、すっ……。」
やばい、ちょっと泣きそう。 眼鏡を拾う自分の哀れさに胸が詰まって、上手く言葉が出て来ない。

「そうねジュン。 貴方が朝早く起きるというのは、決して楽な事ではなかったはず。 偉いわ。 良く出来たわね。」
そう言って柔らかに微笑む真紅。 えぇ!! 超イイ笑顔!
え? でも今僕の事殴ったよね? え? なんで? なんでそんなイイ顔で人殴れるの?

「でもそれとこれとは話が別よ!!」
クワッ! ひぃ! 突然鬼の形相になる真紅。 お、起きた時間が問題じゃないのか。 一体僕は何をしてしまったんだ。
腰が引けた僕の膝に、雛苺がぴょこんと飛び乗ってきた。 ハッとする僕。 雛苺の顔は、今にも泣きそうで。

「あのね、翠星石が変なの。 しばらくジュンに会いたくないってゆってるの。 ……泣いてたみたい、なの……。」
えっ。 翠星石が。 なるほど、真紅が怒ってる原因はこれか。
あの性悪人形が憎まれ口を叩くのはいつもの事だが。 どうも今回は笑い事では無さそうだ。

「ねぇジュン。 怒らないから正直に言って頂戴。 貴方、翠星石に何をしたの!!!」
そう言ってドガン!!と机を叩く真紅。 合板製の机に亀裂が入った。 めちゃ怒ってるじゃん!!

「翠星石は出掛けていったよ。 心配しないで、だって。 あんなに目を腫らしていたのに。」
……恐る恐る振り返る僕。 ズゴゴゴゴ。 見える。 効果音が見える。 周囲を歪ませる程の闘気を隠そうともしない。
そこに居たのは一人の鬼神。 翠星石の双子の妹。 僕は無意識の内に完全服従のポーズを取っていた。

281 :EVER GREEN  06/12:2006/11/12(日) 21:40:40 ID:TR5RaKTR
目をこすりながら、くぁ〜っとアクビ。 ふぁぁ、眠みぃですぅ。 昨日も夜遅くまで頑張ってしまった。
目が赤い……のは生まれつきだけど。 どうにも目が腫れぼったい。

仕方がない。 自分はドール。 人間サイズのマフラーとなると、やっぱり時間が掛かる。
カバンの中でも、デカ人間の家でも。 使える時間は目一杯に使わないと、いつ完成するやら分からない。

スィドリームやツタを操って作業スピード向上を図ってはいるものの、使い過ぎるとジュンに負担が掛かってしまうし。
多少寝不足になっても、地道に作業時間を増やすのが一番なのだ。

くぁ〜っ。 あぁもう。 ぶんぶん頭を振る。 ここで気を緩めては駄目。 百里の道は九十を半ばとす、です!
とは言え。 編みかけのマフラーを明かりにかざしてみると、思わず顔がほころんでしまう。
上出来。 我ながら本当ぉ〜に上出来。 天才! まさに天才ですぅ!

苦労しただけの甲斐はあった。 好きこそ物の上手なれと言うか、苔の一念と言うか。
私の上達スピードはデカ人間も目を見張るほどだった。
ストライプも綺麗に入って。 もう少し。 もう少しで私の初めての「テアミ」が完成する。
そしたら……。 にへっ。 おっと、危ない。 ここで気を緩めては駄目。 酒は飲んでも飲まれるな、です! ……でしたっけ?

今朝は危うく真紅たちにバレそうになってしまったし、編み物に慣れて油断が出てきたのかもしれない。
ん! ここが踏ん張りどころです! ささ、もう一頑張りするですよー……。


「本当に心当たりが無いのかい? 真面目に考えてくれないと、僕も穏やかではいられないよ。」
シュッシュッと素振りをしながら蒼星石が問い掛ける。 脅しだよこれ……。
そりゃ毎日小競り合いはしてるけど。 泣かせてしまうような事となると、ちょっと思い当たらない。

「今日だけじゃないよ。 最近ずっと翠星石は変だった。 それに気付いてたかい? 彼女を見てくれてたかい?」
その口調は僕を責めるものではなく。 ただただ、心痛だけが伝わってきた。
振り返ってみると、僕はいつもあいつを適当にあしらってた。
自分では気付いていなくても、知らず知らずの内にあいつを傷付けてたんじゃないだろうか。 ……なら。

「やっぱり幾ら考えても分からない。 ……でも。 聞いてみるよ。 僕自身が。」
その言葉で。 ようやく真紅が、晴れやかに笑った。

「いい子ね、ジュン。」

282 :EVER GREEN  07/12:2006/11/12(日) 21:41:26 ID:TR5RaKTR
「で……」
できたぁーーーーー! 遂に。 遂に完成した。 私の初めての手編み。 それは心なしか輝きさえ放っていて。

「すごぉい……とても初めての作品とは思えないわ。 うんうん。 愛だねぇ。」
デカ人間のお墨が付いた。 最後の一言は敢えて無視。
でも、デカ人間がいなかったら、とてもじゃないけどここまでの物は作れなかった。

「ふんっ。 私の手に掛かれば当然ですっ。 当然ですけど……。 ま、いちお。 ……感謝してるです。」
「!! ぁあぁ……。 あぁーんもう! 翠星石かわいぃぃぃぃーーーんん!!!」
へぶぅ!! こら、放すです! 熱っ! 摩擦が熱っ!!

そんなこんなで、名残惜しくもデカ人間のお家とサヨナラする。 今日もちょっぴり遅くなってしまった。
まぁ、蒼星石には心配しないよう言い含めてあるし。 最近は大人しくしてたから、注目を浴びる事も無いだろうし。

紙袋に入ったマフラーを見ると、思わず顔がにやけてくる。
あとはみんなに見つからないように、こっそりジュンに渡すだけ。 どうやって渡そうですかね……。


のはずだったのに。

「翠星石!」「翠星石ちゃん!」「翠星石なのね?」「翠星石なのよ〜!」「帰って来たんだね!」
。。。。。。 へ? 何ですか、これ。 なぜ。 なんで今日に限って全員揃ってお出迎えなんですかぁーー!?
思わず紙袋を後手に隠す。 もし今このマフラーがバレたら、生き恥どころの話じゃない。

これは一体何なのか。 異様なテンションでエキサイトする衆人の中から、ジュンが一歩進み出た。

「あのさ、その……翠星石。 悪かった! 今日までお前の気持ちに、全然気付いてやれなくて。 ……後悔してる。」
。。。。。。
へ? へ!? へ!!? へぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ーーー!!?
なっ、なっ。 な゛ぁーーー!! いいいきなり何を言ってるですか、この唐変木は!?
私の気持ちって。 それって。 それって!!! キャー! キャー! じょっ。 冗談は即刻やめろですぅ!

ほっぺをつねる。 あっつ! 夢じゃない。 じゃ、じゃ、じゃあ。 これって。 これって!!!
つま先から耳の裏まで、自分が一瞬で茹で上がったのが分かる。 うそっ。 うそーーーっ!!!
くしゃり。 紙が潰れる感触。 あっ、そうだ。 これ。 私の手の中で急に、マフラーまでが早鐘を打ち始めた。

283 :EVER GREEN  08/12:2006/11/12(日) 21:42:13 ID:TR5RaKTR
マフラー。 ジュンのために作った手編みのマフラー。 渡す? 今? くるりと視線を走らせる。
のり。 真紅。 雛苺。 蒼星石。 みんなが私の一挙手一投足を注視している。 無理! ぜったい無理!

「そっ、その……何を勘違いしてるですか? すっ、翠星石は、チビ人間の事なんて、何とも思ってないですぅ!」
沈黙が訪れる。 私の顔も青ざめていく。 やってしまった。 思わず目がウルッとなる。
なんで私は、いつも。 しかし、しかし。 口を開いたみんなの反応は、私の予想を大きく外れていたのだった。

「何も無いはずはないだろう? 今朝だって、真っ赤に泣き腫らした目をしていたじゃないか。」
は? 蒼星石は何を言ってるのだろう。 泣かなくたって私の右目はいつも真っ赤だ。

「猛り狂ってジュンの顔なんか当分見たくないとも言ってたのよ〜。」
確かにジュンとは顔を合わせられない、とか言ったような気はするけれど。 猛り狂った覚えは微塵も無い。

「最近じゃジュンを避けるようにして、日中はいつも外出していたじゃない。 復讐計画を練っていたのよね?」
むむむ、流石は真紅、微妙に鋭い。 でも、決定的に間違ってるですぅ!!

私の中のフィーバーメーターが急降下していく。 早とちりしていた。 何か。 致命的なまでのズレが、こ奴らの間にある。

「あの……さっきから気になってたんだけどぅ。 翠星石ちゃんが手に持ってる袋は何なのかしらぁ?」
!! みんなの注目が紙袋に集まる。 勘弁してほしい。 こんな冗談みたいな状況で暴かれてたまるものか。

「ひっ、ヒナ、くんくんで見た事あるの。 翠星石が持ってるのは……時限爆弾よ!」
 は あ ? ? ? バカここに極まれり。 嗚呼、哀れなおダメいちご。 ついに頭の中身まで大福と化したですか?
お前に常識というものは無いのですか? 我が妹ながら、あまりに四次元な発想に泣きたくなってくる。
ほら、見るです。 みんなお前の事を呆れた顔で見てるですよ……。

「なっ!?」「じっ、時限爆弾!」「そこまで追い詰められていたの!?」「早まったらめっ!よぅーーー!」
。。。。。。 ぽかーん。 開いた口が塞がらない。 これが極限状況における群集心理なのか。
勝手に盛り上がりまくってる一同は。 雛苺の言葉を疑うどころか、あろう事か鵜呑みにしてしまった。

「すっ、翠星石。 いけないよ。 死んで花実が咲くものか! さぁ、落ち着いて。 その袋をこっちに渡すんだ!」
は。 何? 渡せ、って。 いや、だって、この中には。 ……無理。 ぜったい無理! もう、この状況自体が限界だった。

「やなこったですぅーーー!!!」「捕まえろーーー!!!」
脱兎の如く駆け出した私と、選び抜かれた5人のバカの、不毛極まる追いかけっこが始まった。

284 :EVER GREEN  09/12:2006/11/12(日) 21:43:16 ID:TR5RaKTR
「スィドリーム!」
庭師の如雨露が光を放ち、辺りが霧に覆われた。 混乱に乗じて、一気に階段を駆け下りる。
このまま逃げ切、っっっ!!!? がくりと。 突然足首を搦め捕られた。

「逃がさないの!」
苺わだち! 確かにこれなら視界は関係無い。 雛苺から最も遠い位置にいるのが私という訳だ。
くっ、チビチビの分際で頭脳プレーを……。 しからばコレです! 対チビチビ用秘密兵器。 忍法まきびし!!

「わぁ〜! マポロが落ちてるの〜♪」「あらあら雛ちゃん。 落ちてる食べ物をひらったりしたら駄目よぅ〜。」
マポロに飛びつく雛苺。 芋づる式に止まるのり。 ふっ、ちょろいですね。 さ、この隙に玄関まで行くですよ!

「待ちなさい! トリニトロトルエンなんて、貴女には過ぎた代物だわ!」
やはりと言うか流石と言うか、真っ先に混迷から抜け出してきたのは真紅だった。
真紅の飛び道具はヒットマン並の精度を誇る。 遮蔽物の無い廊下で相手にするには危険すぎる。
クイック&トリッキー! 真紅に対抗するには意外性です!
とぉう! 私は台所の窓から外に飛び出し、配水管にツタを絡ませ屋根に飛び上がった。

「翠星石、止まるんだ!」「年貢の納め時ね。 観念なさい。」
っと! 行く手には蒼星石が先回りしていた。 後ろからは真紅! 挟み撃ちです! どうしよう。 どうしよう!?
迷っている暇は無い。 一か八か! 私は素早く蒼星石の方に向き直ると、足元に紙袋を滑らせた。

「うわっ! ちょっと、翠星石!」
そう。 蒼星石はあれを時限爆弾と思っている。 こんな高速で滑らせれば。 爆発を恐れて受け止めようとするはず!

「許すです!」「うわわっ!?」「きゃあ!」
狙い通り、姿勢を低くした蒼星石。 ぽーん! 私は馬跳びの要領で、華麗に蒼星石を飛び越えた。
よろめいた蒼星石は真紅と正面衝突。 二人はもつれ合って転げ落ちていった。 成仏するですよ……。
って!? わわわ! また足に何かが! 見ると、なんと蒼星石。 ちっ、落ちなかったですか!

「ふ……ふふふ。 昔の偉人が言ってたよ。 二人はいつも一緒だってね!」
それ偉人っていうか私ですぅ! えぇい、諦めの悪い。 落ちろ落ちろですぅー! 私のマッハキックが蒼星石に降り注ぐ。

「 酷 す ぎ る よ ぉ ーー !! 」
泣きながら落下していく蒼星石。 違うですよ蒼星石。 これは翠星石の愛情、所によりライオン風味なのです……。
自己弁護も済んだ所で、マフラーを回収して階下にリターン。 当然そこにはジュンが待ち構えていた。

285 :EVER GREEN  10/12:2006/11/12(日) 21:44:02 ID:TR5RaKTR
そして今、私はジュンと最後の追いかけっこ中。 雛苺、のり、真紅、蒼星石。 残っているのはジュンだけ。
そう考えた時、チラリとこのまま逃げ続ける事に対する疑問が浮かんだ。
どのみち最初から渡すつもりだったのだ。 今マフラーを渡してしまってもいいのではないか?

ぶんぶんぶん。 頭を振って、慌てて自分の考えを打ち消す。 駄目だ。 駄目だ駄目だ。

時間も掛けた。 努力もした。 気持ちだって……悔しいけど、込めてしまった。
おバカナにも、デカ人間にも、たくさん協力して貰った。 そうして今、このマフラーはここにあるのだ。

そんなマフラーを。 成り行き任せに渡してしまうなんて、絶対に嫌だ。
馬鹿げた望みでも。 僅かばかりとしても。 伝わって欲しい。 ジュンに、マフラーの向こう側まで覗いてほしい。
自分は。 この場面を逃げて切り抜けなければならないのだ!

「待てよ!」
待たない! でもジュンと自分ではあまりに歩幅が違いすぎる。 どうすれば逃げられる? 焦る私の前は物置部屋。
nのフィールド! それしかない! 部屋に飛び込み、躊躇無く鏡へダイブ。 瞬間、視界一面に水と緑の大森林が広がった。

「待てったら!」
がしっ! 腕を掴まれた。 うえぇ!? 確かにジュン一人ではnのフィールドには入れない。 でも私と一緒なら話は別だ。
二人して、大きな木のてっぺんに着地。 見られる。 見られてしまう。 こんな形で。 このっ。 このぉ!

「このチビ人間! もういい加減放っとけですぅー! これが爆弾である訳あんめぇでしょーが!!」
「ぜぇ、ぜぇ……。 そんなの分かってるよ! でも、お前、泣いてたって。 放っとける訳があるか!!」

え。 胸の辺りがトクンと鳴った。 爆弾なんかじゃなくて。 私が泣いてたって言うから、追いかけた。
え。 え。  べ き っ。
え。 呆けた頭に、渇いた音。 何が起こったか認識するより早く、逃げていく重力。 二人の重みで、枝が、折れた。

落ちる。 ここはnのフィールド。 物理法則ではなく、観念が支配する世界。
本来は「上」も「下」も無く、「落ちる」というのは観念に過ぎない。 飛べると信じれば、誰もが飛べるという事でもあるのだ。
なら、飛ぼうとしなくちゃ。 分かってる。 でも。 ジュンの言葉で、私の頭は働かなくなっていて。
くらりと。 私の体は、糸が切れたように背中側から空中に投げ出された。

「翠星石!!」
!? がっしりと受け止められる感覚。 ジュン。 ジュンが私を追って、宙に跳んだ。

286 :EVER GREEN  11/12:2006/11/12(日) 21:44:50 ID:TR5RaKTR
「う……わあああああああああああああああああああああああ!!!」
そして自由落下が始まる。 そうだ。 人間であるジュンに「飛べる」などという観念は無いのだ。
このままでは、地面に叩きつけられる。 ジュンが死んでしまう! その意識が、私の頭を現実に引き戻した。

木を生やしてクッションを作る。 普通の状態ならそれは容易い。 しかし、この速度で落下していると話は別だ。
まず間違いなく成長が追いつかない。 私の手に届く前に、力のテリトリーから外れてしまうだろう。
一瞬でいい。 一瞬だけでも、この落下を止める事ができれば……!

それは刹那の逡巡。 それでいて、永遠にも似た決断。 私は紙袋からマフラーを引き出し、木に向かって投げつけた。
ぎししっっ! 木が。 マフラーが。 世界全体が悲鳴を上げて、瞬きほどの間の静止。 私にはそれで充分だった。


「…………マフラー、だったんだな。 このサイズ。 僕に……?」
私が生やした豆の木が、地面へ向けて縮んで行く。 ジュンが、ぽつり。 手には、大きなカギ裂きが出来たマフラー。

「べっつにぃー。 失敗作だから、お前に恵んでやろうと思っただけですぅ〜。 端の方だって撚れてるし……。」
「……味があっていいじゃないか。」
「最初に作った方と後に作った方で、出来が違いすぎるし……。」
「……どっちから巻くかで、違った気分で楽しめるだろ。」
「初めて作ったから……ひっく………………着心地が、悪いかも、しれないしぃ……ひっく……。」
「………………ありがとう。 …………ごめん。」

ごめん、なんて。 その言葉に、腹が立って、腹が立って。 くるり。 目標はアゴ、勢い良く頭を振って。 ごちーん!!!
「ってえぇぇーーー!? なっ、なっ。 なーーーっ!?」

「この大ボケボケのボケ左ェ門! こんなもの何度でも作り直せるです! ……でも。 お前に、代えは、居ないですよ。」
二つに伸びてしまったマフラーが、そよ風に揺れる。 涙の粒が風にさらわれていく。

「帰ったらまたマフラーを編むです。 その次は手袋。 その次は帽子。 それなのに、お前が居なくてどうするですか。
 今年の冬も、来年の春も。 そのずっとずっと先まで。 ジュンが居てくれる事が大事なのです。
 必要なのは、ジュンが側に居る事なのです。 …………それだけで…………いいのですよ…………。」

「翠星石……。」
感情が、堰を切ったように溢れ出した。 それはずっと言えなかった、私のことば。
暖かな沈黙が辺りに満ちて。 時が止まったかのような、その時。 突然ジュンの指輪から、眩く煌く生命の金糸が飛び出した。

287 :EVER GREEN  12/12:2006/11/12(日) 21:45:38 ID:TR5RaKTR
「僕とお前の合作……って事になるのかな、これは。」

気付けばそこには、カギ裂きも汚れも綺麗に消えて、元通りになったマフラーがあった。
いや、元通りではない。 私が作ったより、もっと。 一人で作ったより、もっと。 それは暖かな輝きを帯びていて。
ジュンがたどたどしい手付きで、生まれ変わったマフラーを巻いた。

「ちょっと長いな、こりゃ。 二つに折ってから巻いた方がいいか?」
そう。 裂けた部分を生命の糸が補ったせいか、マフラーはかなり長くなってしまっていた。
あんなに余っていたら、首に隙間ができてしまうだろう。 まったく一体……いや、そうか。 これで正しいのだ。

「……教えてやるです、チビ人間。 こういうマフラーは、こうやって巻くのが正解なのです。」
「えっ? おっ、おい……。」
すぽっ、と。 マフラーとジュンの間に潜り込む私。 動揺するジュンの細い肩に、素知らぬ顔で頭を預ける。
ローザミスティカがバクバクうるさいけれど。 ほら。 二人で巻けば。 ちょうどぴったり。

「……が、合作ですし。」「えぅ……っと。 そ、それもそう……か?」
ちょっぴり言い訳をしてしまった。 二人で一つのマフラーにくるまる。 それは、予想を遥かに超えて暖かくて。

「その……今日の事ですけど。 もう、無理して他所行きみたいに振舞うなです。 翠星石は。 いつものお前がいいです。」
こんな状況でも私はやっぱり私のまま。 でも、いつもよりほんの少しだけ素直なことば。

「ん……。 分かった。」
あとは、二人とも何も言わなくて。 お互いの息遣いだけが聞こえて。 気付けば、どちらからともなく見つめ合っていて。
あぁ。 ジュン。 私はゆっくりと目を閉じて。 なんて、静か。 少しずつ、ジュンと私の間が狭まっていって……。


「翠星石、無事なの!?」「いるなら返事をしてくれ!」「そろそろ寝る時間なのよ〜。」
ふぎゃあぁぁぁあああ!!? ジュンと私、二人して飛び上がる。 下の方からみんなの声。 い、いい所だったのにっ。
いや。 それより何より。 こんな所を、みんなに見られでもしたら? 想像しただけでも何処かに消えたくなる。

「あら。」「ふぁ……?」「か、解決済みみたいだね……。」「かしらかしらー。」
へ? 目線を上げれば、中空に姉妹たちが大集合。 来なくていいのに、ご丁寧にチビカナまでいる。
あぁ、そうか。 ここはnのフィールド。 飛べるなんて、観念に過ぎなくて。

ニヤリと笑って、アールデコがぽつりと一言。 これまでのリベンジを狙っていたのだろう。 その言葉を聞いた瞬間。
最後の糸もプツリとはらけ、手編み騒動に終止符を打つ、私の大絶叫が響き渡ったのだった。

「マフラー、まきますか? まきませんか? 今なら翠星石のハートがついてくるかもです……。 か し ら ! 」

                                                             − おしまい −

288 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/13(月) 05:31:03 ID:yTmvlGb0
翠星石可愛いよ翠星石(*´Д`*)ハアァ

289 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/13(月) 13:55:35 ID:cOAWEkIf
職人さん、乙。
心温まる作品を読ませてもらって感謝です。

290 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/13(月) 21:40:25 ID:lwNCqcoU
ひさしぶりに質のいい翠分を大量に補給できたw

291 :突き抜け系最終回パート2:2006/11/19(日) 22:33:45 ID:5CQHlUKR
アリスゲームもついに最終局面を迎えた。
最後に残った二人、真紅と水銀燈が激突しようとした時、二人はそれを見た。

?「敵は我々の宇宙を飲み込もうとしています」
?「全ての攻撃は敵には通じません!」
?「最後の攻撃・・・ビッグバンの命令を!」
?「ビッグバンは成功だ!敵は崩壊している!」
?「しかし敵は無限だ!いずれビッグバンの爆発力も弱まる、それまでに敵の核を見つけて攻撃せねば」
?「私は次の攻撃の準備を!」
?「私は・・・原始的だが分子構造体を食い見合わせ、敵を攻撃する生物を作り出す!
  我々のような意識体ではなく、己ら同士が食い合う種が良い!
  破壊せよ!同胞を殺せ!武器をつくり上げよ!
  星を食う魔物が生まれてもいい!兵器を使い宇宙を消滅させる機械の化け物でもいい!」
?「しかし、そいつらには自滅すると言うリスクが付きまとうぞ!」
?「かまわぬ!そしたらまた一からやりなおせばいい」
?「ビッグバンが収まるまでに作り上げろ・・・ 」

「こ・・・これは・・・。」
「私達ドールだけじゃない・・・人間も・・・兵器だったといの?」
衝撃の事実を知った二人は己の全てを否定された気分となり失意に沈んだ。
しかし、二人の前に突如ローゼンが現れた。
「娘達よ、敵が来るぞ!」
その一言と共に、宇宙を突き進む巨大な物体が映し出された。それこそ「敵」
ビッグバンによって消滅した敵の欠片がこちらの宇宙で再生したのである。
欠片とは言えそのサイズは太陽系さえ飲み込む事が出来る。
そして敵が突き進む先には地球があった。行く手に存在する星を砕きながら
敵は地球目掛けて突き進んでいた。

「敵を倒す。」
最大の危機に真紅と水銀燈は手を組む決意をした。そして二人が手を握り合うと共に
二人は合体してアリスとなり宇宙へ飛び立った。目的はただ一つ。敵を倒すために・・・
                おしまい

292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/19(日) 23:07:50 ID:gPtdCN1S
あの人の追悼作品か

293 :翠星石の悲しみ 1:2006/11/21(火) 23:55:12 ID:zjdFb3/D
「ジュン、お茶を淹れて頂戴。」
「ハイハイ分かったよ。」
「ハイは一度までと何度も言ったでしょう、まったくいつまでも学習しない下僕ね。」
今日も真紅はジュンの淹れた紅茶を召し上がっていた。何でもない何時もの風景。
もはや真紅とジュンが一緒にいると言うのは当たり前になっていた。
一見真紅が無理矢理ジュンを下僕として従わせている様に見えても
ジュンもジュンでそれを不満に思っている様な風には思えない。
本当に仲が良いのだ、二人とも。しかし、それが気に入らない者がいた。
「また二人ともイチャイチャしやがってるです。むかつくですぅ・・・。」
少し開いたドアの隙間から真紅とジュンを恨めしそうに覗く一人の影。
それは薔薇乙女第三ドールの翠星石だった。

数時間後、真紅は翠星石に呼び出された。しかもnのフィールドに・・・
「翠星石、nのフィールドに呼び出して一体何の用なの?」
「真紅・・・私は真紅が許せないですぅ・・・。」
「え?」
「私は真紅が許せねえですぅ!」
翠星石は如雨露を持ち構え、真紅へ向けて跳んだ。そして中の水を振り掛けると共に
急成長した植物が真紅を襲う。
「ちょっと!翠星石!どうしたと言うの?」
襲い掛かる植物をかわすも、真紅はワケが分からなかった。しかし、翠星石の顔は
真紅に対する憎悪に狂っていた。だが、同時に何処か悲しみも混じったような雰囲気もあった。
「態々言わないと分からないですかぁ!?アリスゲームですぅ!」
「何故!?何故今になってそんな事を!?」
如雨露で殴りかかってくる翠星石の攻撃を真紅はなんとかかわしていくが、
真紅には翠星石の豹変っぷりの理由が全く分からなかった。
「何故なの翠星石!私達は媒介を同じくする者なのに何故戦わなければならないと言うの!?」
「媒介が同じだからですよぉ!」
なりふりかまわず翠星石は如雨露を振り回した。こんな必死で死に物狂いな翠星石を
真紅は見た事が無かった。と、その時だった。真紅の顔に一滴の水滴が付着した。
「え!?これは・・・。」
それは水滴。だが、それは翠星石の如雨露から出た水では無かった。そして真紅は気付く。
翠星石が涙目になっている事に・・・。
「翠星石貴女まさか泣いて・・・!」
直後、翠星石の如雨露が真紅の脳天を直撃し、真紅は地面に倒された。しかしそれで終わらない。
「死ね死ね死ねですぅ!!」
翠星石は無情にも倒れた真紅を何度も如雨露で殴り付け、ついに真紅は動かなくなった。
翠星石は勝利した。しかし、その悲しげな表情は変わらなかった。
「真紅が悪いんですよ。真紅ばっかりジュンと一緒にいて・・・。ジュンは翠星石のマスターでも
あるですよ・・・。翠星石がジュンと一緒にいても良いはずですぅ・・・。なのに翠星石をのけ者にして
真紅ばっかりジュンとベタベタベタベタ・・・。」
「それが理由なのね、よく分かったわ・・・。」
「え!?」

294 :翠星石の悲しみ 2:2006/11/21(火) 23:56:12 ID:zjdFb3/D
完全に倒されたと思われた真紅が突如立ち上がった。しかし・・・
「まだ生きてやがるですかぁ!さっさと死ねですぅ!!」
また翠星石は如雨露で真紅の脳天を殴り付けた。しかし、今度は倒れ無い。それどころか
再度殴りかかろうとする翠星石の如雨露を逆に真紅は掴んで止めていた。
「何故ですか!?何故あれだけ痛め付けてもまだ立ち上がるですかぁ!?」
「確かにジュンは貴女のマスター、けどそれは私にとっても同じ事。そう簡単には譲れないのだわ・・・。」
次の瞬間・・・真紅の右拳が翠星石の下腹部にめり込んでいた・・・

「翠星石の負けですぅ!さっさと一思いに止めを刺しやがれですぅ!そして勝手に
ジュンと幸せに暮らしやがれですぅ!うっうっうっ・・・。」
あれだけ真紅を一方的に攻め立てながら、一撃で倒されてしまった翠星石は
ショックで自暴自棄かつやけくそになってしまっていた。だが、真紅はそんな翠星石の
肩を抱え立ち上がらせた。
「帰りましょう・・・。お互い疲れたわ。」
「な・・・なんでトドメをさしやがらねぇですか!?翠星石は真紅を殺そうとしたですよ!なのに何で・・・。」
「そんな事したらジュンが悲しむわ。ジュンは私のマスターであるだけでなく、
翠星石のマスターでもあるのだわ。ジュンは翠星石の事をのけ者になんかしてないわ。
だからそんなコソコソする事無く堂々としていればジュンと一緒にいられるのではなくて?」
「・・・。」
翠星石は言葉が出なかった。あれだけ痛め付けたと言うのに、真紅からは怨みの念が
一切感じられなかった。そう感じると共に翠星石はその場で泣き出した。
「うっうっうっ・・・。私は何てちいせぇ奴なんですかぁ・・・。本当のチビは私じゃないですかぁ。」
「翠星石・・・。」

それから、翠星石はジュンの前にいた。
「ちょっと・・・話があるですぅ・・・。」
「何だ?」
翠星石は勇気を出してジュンと一緒にいたいと言いたかった。しかし・・・
「やっぱ言えねぇですぅ!!」
「痛ぁ!」
と、ジュンの脛を蹴り付けて走り去ってしまった。それには真紅も呆れていた。
「翠星石・・・それじゃあ意味無いのだわ・・・。」
確かに翠星石はジュンと一緒にいたいと考えている。しかし、彼女のどうしても
素直になれない所がそれを邪魔してしまっていた。翠星石の戦いはまだまだ続きそうである。
                 おしまい

295 : ◆qrN8aillXg :2006/11/22(水) 02:52:02 ID:Rp4uq2Bw
うおー、バイオレンスだぜ。
言葉にしないで溜めておくと、体に毒だよね。

296 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/24(金) 01:52:35 ID:WJ9EcRF+
修羅場マジコワス

297 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/24(金) 09:39:39 ID:eFLXank1
トロ後日談だとしたら泣ける

298 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/25(土) 10:54:10 ID:CjaOYBQD
JUM「ケンカはやめてぇ〜、ボクのために争わないで〜、でもボクって罪な男」 

299 : ◆qrN8aillXg :2006/11/27(月) 21:53:34 ID:h4pS3Ojq ?2BP(103)
近くに幼稚園でもあるのか、子供連れの母親が目立つ路地だった。
この日の山本少年は、あの黒尽くめの法衣ではなく、灰色のブレザーという学生服姿だった。
と、いっても、1週間前の戦闘で負傷した両手はギプスと包帯で固定されており、
ブレザーは羽織っただけの状態だ。人の手を借りて結んだのであろう黄色いネクタイは、
初秋の風によれて曲がったままになっていた。
彼は、表札に「桜田」とある二階建ての住宅の前で、呼び鈴とにらめっこをしていた。
まさか、両手の負傷が原因で押せないというわけではあるまい。
不審というより、やや滑稽な姿だったが、2時間もそんなことをしていれば、
警察官に職務質問を要求しているようなものである。
「君、そこでなにやってるのかな」
「すみません!」
小心者が脊髄反射的に謝りながら振り向くと、そこには彼が期待していた婦警さんではなく、
黒衣のシスターが立っていた。右手に、革張りの大きな四角い鞄を提げて。
「って、柿崎さんじゃないですか。変な声色使わないでくださいよぉ」
「奇遇ね、山田君。というか、変なのは貴方よ。こんなの、こうしたって変わらないでしょ」
と言って、柿崎は左の肘で呼び鈴を押した。ピンポーンと音が鳴ってから、山本は慌てふためいた。
「わっ、そういう問題じゃなくて、それ失礼って言うか、待って下さい、心の準備がまだ!」
「じゃ、帰って準備してきたら」
柿崎が無体な提案をしたが、その猶予を与えず、住人は「はーい」と玄関ドアから姿を見せた。
パステルオレンジのサマーセーターを着た、十代中頃の少女だった。
やや大きめのボストンフレームに飾られた愛らしい容貌が、訪問者の少年を萎縮させた。
一方、宗教団体の勧誘員にしか見えない柿崎の風体は、桜田家の少女を警戒させていた。
「あの、どちら様でしょうか」
「私、ジュン君のクラスメートの柿崎といいます。いま、ジュン君はご在宅ですか」
「えっ、ジュン君の? ……ごめんなさいねぇ。いま、ジュン君、海外の両親の所に行ってて」
少女は疑った様子も見せずそう答えた。なかなか大物なのかもしれない。
山本は青白い顔で突っ立っているだけで何も言わなかった。柿崎は演技を続けた。
「実は、私、彼に預かって貰ってたものがあって、それが明日の授業に必要だから……、あら、私ったら。
ごめんなさい。お姉さんにこんなお話しちゃって」
「えっ、えっ、そんなことないのよぅ、ごめんね柿崎さん、ジュン君ったら、借りたものはちゃんと返さなくっちゃ!
ちょっと待っててねぇ!」
少女は踵を返すとばたばたと家の中に戻り、数秒してから、また外に顔を覗かせた。
「えっと、ジュン君は、なにを預かってたのかしらぁ?」
まあ、ある意味、彼女が大物なのは間違いなかった。

300 : ◆qrN8aillXg :2006/11/27(月) 22:01:17 ID:e38/LKGS
第2話 楽士 die Spielerin

柿崎はリビング・ダイニングへ通され、ソファに向かい合って配されたアームチェアに腰を落ち着けた。
邸内は掃除が行き届いており、留守を預かる少女の性格もあろうが、まず生活臭が感じ取れなかった。
ただし、埃一つない玄関に、踵の潰れたスニーカーが出しっぱなしだったり、
よく磨かれた深緑のアニリン革ソファに、薄汚いパーカーが掛かっていたりと、不自然な点も目立った。
部屋着すら小綺麗なこの少女が、それらのようなものを身につけるだろうか。
桜田姉弟の両親が不在というのはともかく、弟は本当に未だ帰宅していないのか。
「ごめんね、散らかってて。片付けちゃうと、ジュン君がおうちに帰って来なくなる気がして」
聞かれてもいないのに、ジュンの姉が言い訳した。それは弟が行方不明だと告白したも同然だったが、
いや、それすら演技である可能性は否めなかった。あの異能者の姉なのだ。
「大丈夫よ、のりさん。ジュン君は無事に帰って来れるわ。今時、海外旅行ぐらい当たり前でしょ? 
それでね、彼に預かって貰ってたのは人形なんだけど、のりさんは見た?」
柿崎がジュンの姉、表札によれば"桜田のり"に尋ねた。のりはキッチンカウンターの向こう側から答えた。
「お人形さん? ごめんねぇ。ジュン君、学校のことはあんまりお話ししてくれないから。
家庭科の実習で作ったの?」
どうやら、のりが連想したのは、縫い合わせた布に綿を詰めて作る、ぬいぐるみのようだった。
一口に人形と言っても、その種類は多様である。
「いいえ、美術で静物画のモデルに使うものよ。ビスクドール、だったかしら」
「本格的なのねぇ。柿崎さんはお紅茶でいい?」
「あなたに神のお恵みを。それじゃ、これとよく似たケースは?」
と、柿崎はアームチェアの脇に立て置いた鞄の取っ手を持ち、軽く持ち上げてみせた。
薔薇の彫金の施されたそれは、あの夜、水銀燈と呼ばれる生き人形が持っていた鞄と酷似していた。
ただ、もしのりがそのことを知っているなら、玄関先で目撃した時点で何らかの反応を示していたはずだ。
実際、彼女はポットを暖めながら、困ったように首を傾げるばかりだった。
「お人形さんのケース? うーん、ジュン君のお部屋にはなかったと思うのよぅ……」
そのとき、ピンポーンと呼び鈴が鳴り、のりが「あっ」と声をあげた。
「いっけない、さっきもうひとりお客さんがいらしてたような気がするぅ!」
「そういえば」
山本を表に放置したままだった。彼女らにとって、あの少年はその程度の存在でしかないらしい。
「ごめんね、柿崎さん、ちょっと待っててぇ」
と、のりはスリッパをぱたぱた鳴らし、玄関へと駆けていった。柿崎は口元に手を当て、優雅に笑った。
「ふふふ、いいのよ。お茶はみんなで楽しまなくちゃね」
その薬指には、清楚な尼僧衣に似合うといえば似合う、薔薇の細工の指輪が、鈍く光っていた。

301 : ◆qrN8aillXg :2006/11/27(月) 22:03:35 ID:e38/LKGS
ところで、その呼び鈴を押したのは、山本少年ではなかった。
置いてきぼりを食らった彼が、額に脂汗を浮かせて例のにらめっこを再開していたところ、
横合いから小柄なセーラー服が手を伸ばしたのだ。少女特有の酸い体臭が、山本の鼻を突いた。
「大丈夫ですか」
おかっぱ頭がちらりと山本の両手を見やって、無愛想に気遣った。ジュンの同級生か。
横顔の泣きぼくろと、大振りな竹刀袋を背負う細い肩が、アンバランスな存在感を放っていた。
「あ、うん、ありがとう」
「早く良くなるといいですね」
本当にそう思っているのか疑いたくなる、ひどく冷めた声で少女は言った。
程なくして、のりが「はーい!」と慌ただしく表に出てきた。竹刀の少女はおかっぱ頭をぺこりと下げた。
「あっ、巴ちゃん!」
「桜田君から連絡はありましたか」
そう問われると、のりは顔を曇らせ、首を左右に振った。のりは弟が行方不明であることを、
この巴という少女に隠していないようだった。が、巴は無関心そうに「そうですか」と返したのみで、
手提げのスポーツバッグから何枚かのわら半紙を出し、「今日の分です」とのりに受け取らせた。
学校で配られたプリントを、欠席したクラスメートのために届けに来たらしい。
「ごめんね、遠いのにわざわざ……」
「学級委員の仕事ですから。では失礼します」
冷淡過ぎる挨拶をして踵を返そうとした巴を、のりは慌てて引き留めた。
「えっ、お茶飲んでかない? 今、ジュン君と巴ちゃんのクラスの子も来てるのよぅ!?」
「あっ!」
と、声を上げたのは山本だった。当然、柿崎がジュンのクラスメートなどというのは偽称だから、
本物のクラスメートの訪問は非常に都合が悪かった。
「えーと、山本君? あっ、そうだ、みんなでお茶にしましょ。ね? ね?」
ようやくのりに存在を認められ、茶に誘われるという栄誉まで浴した山本だったが、
彼は真っ青な顔面を勢いよく振り下げ、腰を直角に折って謝罪した。
「申し訳ありません、桜田さん!」
「ええっ、山本君もだめなのぅ!?」
「最後にジュン君と一緒にいたのはたぶん俺なんです!」
「……それ、本当ですか」
山本の口からジュンの名前が出た途端、半分背中を向けて傍観していた巴の態度が急変した。
「巴ちゃん?」
「教えてください。あの日、桜田君が入院した日、桜田君に何があったんですか!」
巴は初対面の男に激しく迫った。ジュンの消息を気に掛けていないどころか、むしろ全く逆だった。

302 : ◆qrN8aillXg :2006/11/27(月) 22:06:36 ID:e38/LKGS
山本は頭を下げたまま、真正面から見据えてくる少女を上目遣いに見て、しどろもどろに答えた。
「その、俺、ここ数日、意識不明になってて、あの日も途中から記憶がないんですけど、ええと、
実はもう一人、友達が一緒にいて、その人がジュン君はその日からいなくなったって言ってたんで……。
すみません、俺がジュン君を止めてれば、こんな大事にならなかったのに」
ジュン君は悪魔人形を拾って悪魔払いに追われてました、などと話せるはずがなかった。
「ねっ、二人とも、そういうお話は中でしましょ!」
涙目ののりが強引に割って入って、玄関先での立ち話を止めさせた。隣近所というものがある。
「ごめんなさい」
「すみません、無神経でした」
客人たちは潔く詫びて、のりの招きに預かり、件の「お友達」と同席する運びとなった。
「あら、遅かったわね、委員長さん」
さも顔見知りのように声を掛けてくる怪しい尼僧に、巴は無言の姿勢を示した。
何のことはない。セーラー服の胸に付けた長方形のバッジには「委員長」と明確に記されていたのだ。
よく観察すれば、スポーツバッグや竹刀袋にも、"柏葉巴"とマジック書きされているのが見て取れた。
巴は不自然に隠す真似はせず、それらをソファの端に置き、いつでも手に取れる位置に座した。
ちょうど、アームチェアに掛ける柿崎と、正面から向かい合う形だった。
山本は突っ立ったまま失神寸前で、のりはキッチンスペースに逃げた。
「ごめんね、柿崎さん。お待たせしちゃって。巴ちゃん、お紅茶でいいかしら」
「お構いなく。すぐ帰りますから」
巴がにべもなく断ると、室内にはカチャカチャとカップやポットが立てる音だけが残った。
そんな気まずい沈黙を、ひとり笑顔の柿崎が破った。
「巴ちゃんは、どうしてジュン君のウチに?」
「プリントを届けに来ただけよ。そういう柿崎さんは?」
巴は、のりに気を使ったのか、その場で柿崎の正体を暴こうとしなかった。
柿崎は、傍らに立て置いた四角い鞄に手を伸ばした。
「ほら、明日の美術で使う人形を、ジュン君が持って帰ってたじゃない。巴ちゃんは見てない?」
唐突にそう聞かれたところで、巴は「知らないわ」とポーカーフェイスを守る他なかった。
「ジュン君を最後に見た夜、彼はこれと同じ鞄を持ってたのよ。ね、山田君?」
「貴女、桜田君が最後に会った、お友達?」
巴は、山本の証言との繋がりを得て、そう理解した。いや、誤解か。柿崎は哄笑した。
「そうよ。私ね、ジュン君ととっても仲が良いの。だから、神様からおそろいの鞄まで貰っちゃった!
これって運命よね? 巴ちゃんやのりさんなら、鞄の中から手がかりを見付けられるかも」
「中には、何が入ってたの?」
「ふふふ……。じゃ、お茶でもしながら作戦を立てましょ。金糸雀」

303 : ◆qrN8aillXg :2006/11/27(月) 22:09:42 ID:e38/LKGS
柿崎が不明な単語を口にしたと同時に、甲高い、何かが擦れる音が鳴り響いた。
バイオリン──と、その音色を言い当てる者はいなかった。
数秒の後、静寂に支配された室内は、柿崎を除く、全てが時間を止めていた。
巴は鞄を注視しソファから身を乗り出したまま。のりはティーセットを載せたトレイを手にしたまま。
柿崎は立て置かれた鞄の留め具を外し、無造作に取っ手を持ち上げた。
すると、当然、重力に従って上蓋が開き、鞄の中身がフローリングの上に転がり落ちた。
「いたぁっ! 何をするのかしら!」
ぶつけた額を撫でながら可愛らしく抗議したのは、人工的な緑色の巻き髪を持つ少女人形だった。
もう片方の手には、幼児向け1/16サイズの、淡いニスで彩られたバイオリン。
金糸雀とは、この人形への呼び声であり、名前だったようだ。
彼女のまとうハイウェストのベルスリーブ・チュニックは、いわゆるカナリーイエローという、
カナリアの羽根の色だった。膝丈で毬形の古典的ブルマーによるマリーゴールド色と合わせ、
柔らかな黄系色と丸みを帯びたシルエットが、彼女と同名の愛玩鳥を彷彿とさせた。
「ふふふ、素晴らしい演奏だったわ。みんな感動のあまり声も出ないみたい」
柿崎は人形の不平など意に介さず、悦に入った笑顔で道具を誉めた。
柿崎が歌声で人々を操れるように、金糸雀もまたバイオリンで同様のことが出来るのか。
誉められた方は嬉しそうな顔一つせず、ソファを踏み台にその後方のダイニングテーブルへと駆け上って、
そこからバイオリンの弓で柿崎を指した。緑の瞳が、まっすぐ柿崎を睨んだ。
「鞄の中で音がキンキン響いて、頭が割れるかと思ったわ。もう少しマシな作戦はなかったのかしら」
「ふふふ……。あんまり生意気言うと、藪に埋めるわよ」
なにやら両者は微妙な関係だった。そもそも、柿崎が生き人形を使役している事自体が奇妙だった。
この尼僧は先日、水銀燈という別の人形を、悪魔と見なして滅ぼそうとしていたのだから。
「……う、お茶しながら、作戦を立てるんじゃなかったかしら」
「そうだったわね」
主人との睨み合いに負けた金糸雀は、小刻みに震える顎と肩にバイオリンを挟んで、弓を弦に当てた。
人形の楽器が可憐な旋律を紡ぎ出すと、硬直していたのりが、ぎこちなく歩みを再開した。
お茶くみ人形は、トレイをコーヒーテーブルに運び、やはり硬い動作で、カップに琥珀色の液体を注いだ。
湯気とダージリンの香りも、何故かたどたどしく、尼僧のベールを撫で上げた。
「ありがとー、ピチカート」
演奏を終えた金糸雀が謝辞を述べると、バイオリンの駒から黄色い燐光──人工精霊──が飛び出した。
すると、次の瞬間、金糸雀が手にしていた楽器は、小さなパラソルへと変化していた。
むしろ、このピチカートが、パラソルを精巧なバイオリンに変化させていたというべきか。
金糸雀はダイニングテーブルからソファに下り、未だ固まっている巴の隣にちょこんと座った。
「これで、手駒はバッチリなんだけど、もう少し、ジュン君とやらの弱みが欲しいところかしら」

304 : ◆qrN8aillXg :2006/11/27(月) 22:12:53 ID:e38/LKGS
「じゃ、さっそく手駒に歌ってもらえばいいじゃない。貴女のバイオリンで」
柿崎の示唆は、つまり、のりたちを音で操ってジュンの秘密を暴露させろということだ。
「無理……じゃなくて、無駄かしら! 私だったら、自分の弱点は友達にだって絶対教えないし、
もしも知られたら、姉妹だって野放しにしておかないもの」
見かけによらず、なかなか冷徹な台詞を口にしたが、主人からは「はいはい」と一笑に付された。
「姉妹と言えば、ジュン君が後生大事そうに抱えてた水銀燈ってお人形、貴女の姉妹なんでしょ?
なにか、うまくおびき寄せられる餌はないかしら」
柿崎は尋ねて、紅茶を一口啜った。水銀燈を人質に取るつもりらしい。
金糸雀は角砂糖を鷲掴みにし、体のサイズに比べて大きなカップに遠慮無く投入した。
「甘い、お砂糖よりも甘いかしら! 薔薇乙女をナメてかかると痛い目を見るんだから。
……まぁ、独りぼっちのドールは大したことないかもだけど、力の媒介を得たドールは絶対無敵かしら!」
「力の媒介……、契約者の事ね。じゃ、条件は五分じゃない?」
柿崎は左手を掲げ、薬指にはめた指輪を見つめた。絶対無敵の金糸雀は、先程までの勢いはどこへやら、
ティーカップで口元を隠して、緑色の目を泳がせていた。
「あの、薔薇乙女同士の私闘はお父様に禁じられてるから、カナは見てるだけでいいかしら?」
「遠慮しなくていいのに。それじゃこうしましょ。私は水銀燈をバラバラにして遊んでるから、
その間に金糸雀はジュン君のお腹の中身を引きずり出して今夜はお鍋よ。アーメン」
柿崎が双眸を輝かせ、訳の分からないことを言いだした。金糸雀は肩を震わせ、肯くしかなかった。
「人間の男の子が相手なんて、この私、薔薇乙女一の頭脳派、金糸雀にとって役不足も甚だしいけど、
どうしてもって言うなら、や、やっつけてあげないこともないかしら?」
「はい、決定。それじゃ、案内して貰うわよ。nのフィールドとやらに」
水銀燈を誘出する算段を取り決めないまま、柿崎はカップを置いて椅子から立った。
この女はただ茶を飲みたかっただけで、真面目に作戦を準備する気などなかったようだ。
金糸雀は砂糖でドロドロにした紅茶を体内に流し込み、彼女の所有する人工精霊に尋ねた。
「ピチカート、この家の人たちの思いにつながる入り口はどこかしらー」
そんな曖昧な問いに応え、黄色い燐光はまずふらふらとリビングを浮遊し、次に廊下に出た。
そこからはまっしぐらにある扉の前に飛び、そこで金糸雀を呼ぶかのごとく、くるくる旋回していた。
何の変哲もない樫の片開き帯ドアだったが、子供の目の高さに"????? ??????"と赤い塗料で記されていた。
「なんの部屋かしら」
金糸雀が、彼女の手の届かない位置にあるドアノブに、パラソルの柄を引っかけて器用に開けると、
ひんやりとした空気が廊下側に流れ出た。そこは、窓がない真っ暗な部屋だった。
ピチカートが自身の輝きで、布に包まれ乱雑に詰め込まれた、彫刻や絵画を浮かび上がらせた。物置か。
「ぶはっ、ひどいホコリ!」
部屋の広さは、物と闇のせいで判然としないが、長い期間、清掃されていないことは間違いなかった。

305 : ◆qrN8aillXg :2006/11/27(月) 22:15:38 ID:e38/LKGS
西洋鎧や刀剣、楽器、子供の玩具までもが所狭しと積まれ、それらに見下ろされる小さな人形は、
所在なさそうに人工精霊の光を頼った。
「へえ、面白い部屋を見付けたわね、金糸雀」
突然出現した柿崎に金糸雀がぎょっとして振り返った。尼僧は勝手に骨董品を物色していた。
「ヘルメスのエメラルド・タブレッド、ローゼンクロイツの『Mの書』、ユーグ・ド・パイヤンの髑髏、
蜘蛛切丸にラスプーチンの性器。あらすごい、ブレゲの『マリー・アントワネット』まであるの?
古今東西、伝説の秘宝博物館ってとこね。どうせ全部偽作だけど、この胡散臭さがたまらないわ。
一家皆殺しにして、全部教会に寄付してもらわなくちゃ」
柿崎の饒舌と、舞い上がる埃に辟易して、金糸雀はハンカチで口を覆い、鼻声で主人の注意を促した。
「そんながらくたよりも、ピチカートがフィールドの入り口を見付けたようよ」
ピチカートは、麻布を被った大人の背丈ほどの品物の前で、タンゴのリズムを取って揺れていた。
柿崎は羽虫でも追い払うように、平手で人工精霊を退かせて、布の覆いを引きはがした。
それは胡桃材の額に装飾された姿見だった。鏡の奥で、仏頂面のシスターが柿崎を睨み返していた。
「なるほど、鏡ね」
あの夜、水銀燈らは洗礼盤の水面に飛び込んでいた。鏡と水面、どちらも物を映し出すという性質がある。
ピチカートが鏡面に接触すると、鏡の世界はまばゆい光に包まれた。入り口が開かれた合図だった。
「なかなかの年代物かしら。入り口として使えるのは、命を持ったモノだけだもの」
「ホントお馬鹿さんね。人間が作ったモノに命なんてないわ。命は神様が作った肉体にしか宿らないの。
霊の本質は善、物体の本質は悪。モノなんて、機能して利用できればそれでいいじゃない?」
柿崎に真っ向から否定された金糸雀は、しかし反論せず、ただ俯いて下唇を噛んだ。
  《 Veni, Creator Spiritus, mentes tuorum visita, imple superna gratia quae tu creasti pectora. 》
唐突に、柿崎が歌唱した。金糸雀が怪訝そうに見上げたが、その答えはすぐにやって来た。
柿崎は歌声によって、目の虚ろな三人の少年少女を、ほの暗い物置に呼び寄せたのだ。
「まだいたの、山田君」
山本は本当に偶然居合わせただけらしい。まあ、彼がジュンに対する戦力や人質になるはずもないが。
柿崎は山本のネクタイを掴んで引っ張り、鏡に向かって突き飛ばした。彼の体は鏡にぶつかることなく、
そのまま光の中に飲まれてしまった。柿崎は現象を確認して、「へえ」と感心したように頷いた。
金糸雀は、内心どうでもよさげな口調で、柿崎を責めた。
「何て酷いことをするのかしら。人間が独りぼっちでnのフィールドに入ったら、間違いなく迷子になって、
二度とこっちの世界には戻って来れないのよ。私だって、媒体なしじゃ1時間と持たないかしら」
道具に咎められたところで、この柿崎が良心を痛めるはずもなく、尼僧は半笑いで十字を切った。
「神よ、山田君の魂を救い給え」
救いようのない性根を持った主人を尻目に、金糸雀はピチカートを追って入り口を潜った。
無視された柿崎は不興を隠さず、のりと巴を入り口へ乱暴に放り込み、彼女自身も後に続いた。

306 : ◆qrN8aillXg :2006/11/27(月) 22:20:21 ID:e38/LKGS
白い虚無の世界。
物体、熱量、重力、距離、時間、全てが存在しない世界。闇すらない世界。
物体の本質に関する柿崎の言が正しければ「悪」のない世界は、彼女の出現によって変貌した。
最初に光が生まれた。光は、モノトーンの僧衣を可視のものとした。
「こんなところにジュン君がいるの?」
その問いかけは、大気を生成し、大気は放射状に遍く拡散した。
ある瞬間、白一色の背景に黄色い燐光が輝いた。人工精霊のピチカートだ。
遅れて、金糸雀も現れた。鏡の入り口を潜った順番は、この世界に生じた時間軸と関係ないらしい。
中空に浮かぶ人形は、逆しまの主人を発見し、ひどく狼狽した表情を見せた。
「カナより早く自分を取り戻してるなんて、本当に人間かしら」
金糸雀が疑問を呈すると、柿崎の唇が自嘲めいた形に歪んだ。
「ふふ、そうね。普通の人とは、ちょっと違うかもね。……何もないけど、ここがnのフィールドなの?」
「まだまだよ。ここは『9秒前の白』と呼ばれる所。nのフィールドはn個の世界の集合体なんだけど、
ここはnが実数値を取らない、世界の隙間。いわゆるひとつの虚数空間かしら」
得意げな金糸雀の説明を、柿崎は一言で片付けた。
「私、数学は嫌いなの」
「え、えっと、つまり、ここはジュンって子の居場所につながる、観念上の『扉』のある場所かしら。
そこで、私たちの手駒の出番よ。彼に親しければ親しいほど、その『扉』を見つけやすいって寸法かしら!」
金糸雀が指した先には、どこからともなく現れた、ゲル状の漂流物があった。
よく観察すれば、それは徐々に、裾の長い法衣をまとった山本少年へと変化していくのが分かった。
「何だか、おかしな格好ね。貴女のバイオリンのせいなの?」
「関係ないんじゃないかしら。ここでの容姿は、えーと、深層心理の投影だもの」
「ふうん。というか貴女、ここに来てから、ずいぶん小難しいコトをさえずるわね」
「カ、カナは薔薇乙女一の碩学かしら!」
山本に続いて、のりもまた、ゼリーのような物体として現れ、緩やかに輪郭を取り戻していった。
黄色いポロシャツにタータンのミニスカートという出で立ちで、手にはクロスと呼ばれる、
ラクロス球技で用いる先端にネットのついた棒を持っていた。意外とスポーツが得意なのか。
こうして意志薄弱そうな二人が──感情のない傀儡にされたままとはいえ──姿を取り戻したにも関わらず、
柿崎に正面から立ち向かってきた柏葉巴は、一向に姿を現さなかった。
「まさか、もう迷子になったのかしら」
「けど、お姉さんがいれば十分じゃない。意識を奪ったままでも『扉』は開けるの?」
柿崎が素早く決断を下すと、金糸雀はただ静かに、人工精霊をパラソルに宿らせ、弦楽器を得た。
「私たちは夢を見るとき、誰もが『扉』を開いてるのよ。……憂愁のノクターン」
金糸雀の構えた小さなバイオリンが、緩やかに、繊細で儚げな旋律を奏でた。

307 : ◆qrN8aillXg :2006/11/27(月) 22:24:32 ID:e38/LKGS
白い虚空に広がる、もの悲しい夜想曲。
『9秒前の白』の彼方を映す桜田のりの肉眼に、この世界の変化の兆しが現れた。それは涙。
丸い眼鏡の下から溢れたのりの雫が、重力の誕生によって頬から顎に伝い、彼女の足元に落ちた。
水玉は飛び散り、そこから石造りの道路、石造りの街並みが爆発的に広がった。
金糸雀が演奏の手を止めても、もうその変化は止まらなかった。
黒い尖塔がそびえ立ち、夜の星明かりが天頂に上り詰め、白い虚無は完全に消え去った。
三人と一体は、観念上の『扉』を通り抜け、冷たい微風が彷徨う、異国の街角に佇んでいた。
人っ子一人いない月夜の景観を眺め、金糸雀が呟いた。
「ビンゴかしら」
「どこ。プラハって感じだけど、人の気配がなさすぎない?」
「人間がいなくて当然かしら。だって、ここは第8128世界、水銀燈が支配するフィールドのひとつだもの。
あの子昔から人間嫌いで……あ、でもでも、この精神世界に留まるために、力の媒介を連れてるはずかしら。
私たちをここに導いたのは、水銀燈じゃなくてジュンって子を想う、お姉さんの潜在意識だから、
つまり、あの子たちがここにいると見て……」
「しーっ、静かに」
柿崎が人差し指を唇に当て、金糸雀の解説を遮った。柿崎は目を閉ざし、異界の夜空を仰いだ。
「ホント。近くにいるわね。水銀燈が歌ってるわ」
「へ、水銀燈が、かしら?」
金糸雀が優れた聴覚を発揮する前に、尼僧はカツカツと靴を鳴らし、鼻歌交じりに石畳の街道を歩み出した。
鼻歌に釣られて、神父風の山本とラクロス選手姿ののりも、不安定な足取りで後に続いた。
歩を進めるにつれ、確かに、柿崎のものではない少女のソプラノが、寂寥の中にはっきりとしてきた。
遠くからも分かる、金糸雀の夜想曲よりも、さらに感傷的なメロディ。
「ソルヴェイグの歌……。あの教会かしら」
通りの突き当たりに構える、二本の尖塔を頂く教会は、正面門を開放して柿崎らを待っていた。
エントランスの石段を登り切ると、堂内奥の聖壇の上に、一対の黒い翼が見えた。柿崎は鼻歌をやめた。
「水銀燈……」
十字架型のステンドグラスから差す月光に、輝く銀糸の髪。それが顔を隠していても、見間違えようがなかった。
少女人形は、胸に黒っぽい何かを抱き、祈るような姿で歌っていた。
音の魔力を自在に操る柿崎と金糸雀ですら、水銀燈が歌い終えるまで、微動だにせず聞き入っていた。
  《 Gud styrke dig, hvor du i Verden går, 》
  《 Gud glæde dig, hvis du for hans Fodskammel står. 》
  《 Her skal jeg vente til du kommer igjen; 》
  《 og venter du hist oppe, vi traffes der, min Ven... 》
またしてもこのような建物を選ぶとは。水銀燈は見かけによらず、信仰心が篤いのかも知れなかった。

308 : ◆qrN8aillXg :2006/11/27(月) 22:30:20 ID:e38/LKGS
訪問者達に気づいた様子のない水銀燈に、柿崎が乾いた拍手を送った。
「素敵な声ね。ますます聞きたくなったわ、貴女の断末魔の叫び」
水銀燈は、のろのろと顔を上げて、潤んだ赤い瞳で柿崎を見返した。人形でも泣くらしい。
彼女が胸に抱えていたものが月明かりに晒され、それを目にした金糸雀が「ひっ」と短い悲鳴を上げた。
何と、桜田ジュンの生首だった。眼鏡をつけてないにも関わらず、一目で彼だと判った人物がいた。
「桜田君!?」
柿崎らの背後から、『9秒前の白』で姿を消していた巴が叫んだ。呆気にとられる柿崎を押しのけ、
竹刀を手にしたセーラー服は聖壇へと向かっていった。金糸雀の演奏による術は解けたのか、
それとも術に掛かった振りをしていただけなのか。いずれにせよ、あの白い虚数空間から、
完全に気配を消して尾行してきたのだ。この少女、やはりただ者ではなかった。
「どうなっているのかしら!?」
自称頭脳派が、腰を抜かしてへたり込んだ。さすがに柿崎は、苦笑いを浮かべるに留まった。
「ホントに死んじゃうなんて。お姉さんにも見せて上げたい光景ね」
巴は聖壇に上がり、超常的な生き人形に物怖じもせず、見下ろして問うた。
「貴女が桜田君を?」
水銀燈は巴に一瞥もくれず、青白いジュンの顔に目を落とし、独り言を呟いていた。
「ジュンはね、悪夢にうなされてるの。悪夢が恐くて、こんなみっともない姿になっちゃったのに、
まだ悪夢を見てるのよ。ほら、早く起きなさいよぉ」
人形は小さな手で、ジュンの頬をぺちぺちと叩いた。巴は泥眼のごとき顔で要求した。
「桜田君を返して」
「やあよ」
水銀燈は拒絶し、再びジュンの頭部を抱きしめた。巴の竹刀が、ゆっくりと持ち上がった。
  《 O salutaris Hostia 》
そのとき、柿崎が詠唱を始めた。水を差された巴が振り返ると、背後から異常な速度で突進してきた影──。
巴が反射的に竹刀で受け止めたのは、猛然と振り下ろされた桜田のりのクロスだった。
  《 Quae coeli pandis ostium 》
柿崎の歌に操られ、のりが激しい勢いで攻撃を繰り出した。しかし、巴はそれを尽く受け流し、
容赦なくのりの胴体を打ち払った。ジュンの姉が木っ端のように吹き飛んでも、巴は顔色一つ変えなかった。
  《 Bella premunt hostilia 》
立て続けに山本が飛びかかってきた。巴は歯牙にも掛けず、得物を水銀燈に構え直した。
山本の回し蹴りを片手で受け止め、返す掌底でスータンの背中に触れた。
  《 Da robur, fer auxilium 》
山本の体が物理エネルギーを無視した方向に舞い、堂内のパイプオルガンに衝突した。
ここが現実世界ではないとはいえ、巴の体術は尋常のものではなかった。

309 : ◆qrN8aillXg :2006/11/27(月) 22:36:50 ID:e38/LKGS
「もう一度言うわ。桜田君を返して」
「誰よ貴女。今すぐ私のフィールドから出て行きなさいよ」
ようやく、水銀燈が周囲の騒動に反応した。一方、無視された柿崎は、双眸を輝かせて微笑んでいた。
「ふふふ……。あの子、魔女よ。決定。立ちなさい金糸雀。悪魔は全部殺さなくっちゃ」
「かしら……」
よろめきながら立ち上がった金糸雀を、水銀燈が汚物を見るような目で睨んできた。
「ふぅん。貴女が人間たちを連れてきたの。そこのイカれたシスターと契約を結んだってわけ?
信じられなぁい、ありえなぁい」
「かっ、カナは水銀燈と争うつもりなんてないんだけど、貴女のマスターが悪いのかしら!」
「相変わらずムカつく子だわぁ」
会話がかみ合わず、金糸雀はしぶしぶバイオリンを構えた。柿崎の左手の指輪が、黄金の輝きを放った。
「24のカプリッチオ、第1番ホ長調!」
弦の上を走り出す弓は、瞬時に目視不能の領域に達し、超高速のスタッカートを連射した。
音波による直接攻撃──。
教会の全てのステンドグラスが粉砕し、水銀燈と巴の体が見えない何かに、ぐいっと持ち上げられた。
金糸雀は小刻みな振動の中に長音を織り交ぜ、その音は真空の刃となって巴達を襲った。
石の床を裂きながら迫るそれを、水銀燈は翼による運動で辛うじて避け、巴は竹刀の放つ衝撃波で相殺した。
「嘘かしら!?」
巴は中空に浮かんだ説教壇を蹴り、その反動で金糸雀に突撃した。
「邪魔しないで!」
飛び込む巴の前に、薔薇の指輪を掲げた柿崎が立ちはだかった。
「せっかく一緒に連れてきてあげたのに、恩を仇で返すつもり?」
巴は構わず竹刀を振るったが、その一閃を、柿崎の前面に生じた黄金の障壁が弾いた。
「世迷い言を!」
二撃目も、その光の壁を打ち破ることはできなかった。柿崎は冗談っぽく、半笑いで宣言した。
「判決、被告人は死刑」
狂った尼僧に気を取られた巴は、背後から迫るのりと山本に気がつかず、彼らに両脇から組み付かれ、
たちまち動きを封じられてしまった。柿崎が金糸雀に命じた。
「まずは、巴ちゃんの解体ショーよ。手足をバラバラにしちゃいなさい」
「う……。わ、悪く思わないで欲しいかしら」
主人のような残虐性を持ち合わせていない金糸雀の躊躇が、巴を救った。突然、のりと山本の輪郭が崩れ、
幻のように姿を消してしまったのだ。偶然に解放された巴は間髪を入れず、油断した柿崎を打ち払い、
金糸雀もろとも瓦礫の中に吹っ飛ばした。荒い息をつきながら巴が振り返ると、水銀燈の影はなかった。
「一生やってなさい、おバカさぁん」

310 : ◆qrN8aillXg :2006/11/27(月) 22:43:30 ID:e38/LKGS
捨て台詞を吐いて、水銀燈がステンドグラスの失われた窓から飛び去っていった。
持ち去られたジュンを追おうと巴が駆けだしたが、彼女の体もまた、のりたちと同様にその輪郭が崩壊した。
「そんな、どうして……!?」
「タイムリミットかしら。心の迷子になって、nのフィールドを永遠に彷徨い続けるのよ」
金糸雀が説明してやるよりも早く、巴は第8128世界から排除されていた。
カシャン、と最後のガラス片が落下した後には、耳が痛くなるような静けさだけが残った。
柿崎は身を起こし、荒れ果てた教会を出た。そして水銀燈の歌に耳を澄ませたときのように、夜空を仰いだ。
「いい月ね、金糸雀」
「かしら」
金糸雀も、バイオリンを抱いて、月光浴をした。埃まみれの柿崎の表情は、何故か穏やかだった。
「巴ちゃんたちは消えちゃったけど、水銀燈はずっとnのフィールドに留まってたのよね」
「それじゃ、水銀燈の媒体はまだ……」
「ふふふ……。みんな、私がキッチリ、殺してあげなくちゃね」

山本少年が意識を取り戻したのは、異界の大樹の木陰だった。
草と土の匂いと、明滅する幾千もの木漏れ日が、彼の感覚をより曖昧にしていた。
「あれ。俺、桜田さんの家に謝りに行って、それで……」
「鏡の世界に閉じこめられたんです」
傍らから、山本に話しかける声があった。彼が恐る恐る視線を平行移動させると、
おかっぱ頭に泣きぼくろの少女が、感情のない目で、横たわる山本を見下ろしていた。
ややあって、そのセーラー服の少女とはまた別の、脳天気な声が聞こえてきた。
「ああ〜ん、鏡の世界なんて、ちょっとロマンチックかもぅ〜」
「俺もそう思います!」
山本は一秒で立ち上がったのだった。

(続く)

次回予告:
「酷いですよ、柿崎さん! 鏡の世界にほっぽり出して、後は知らん顔なんて」
「よかったじゃないですか。この世界だと両手のケガが治ってて」
「あ、巴ちゃんだっけ。いやいや、それ、ちっともよくないっすよ」
「両手にケガをされてる間、何かいいことでもあったんですか」
「いや、そういうことじゃなくてね」
「不潔」
「そんな目で見ないで〜! てゆうか、どうしてそうゆう発想になるの!?」
「ええっ? 山本君、手にケガしてたのぅ?」
「「………………」」

第3話 庭師 die Gärtnerinnen

311 : ◆qrN8aillXg :2006/11/27(月) 22:50:24 ID:h4pS3Ojq
>>304 アラビア語が化けたです・・・。
次は来年です。じゃ。

312 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/28(火) 00:03:41 ID:yEQObUyb
かなり間が空いてたから一話だけで他の板に行ってしまわれたかと思てた。
月刊誌を待つような気持ちで来年まで待機します。乙です

313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/29(水) 03:09:50 ID:u9LBy32q
銀、金と来て、次は翠か。薔薇水の登場はまだまだ先だな
>巴は泥眼のごとき顔で要求した。
泥眼って何やねんて思って、イメージ検索して・・・・うわあああ!
巴怖すぎ

314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/30(木) 10:22:10 ID:LlfNeyTp
アニキャラ2にあった SS総合がこっちに引っ越してきたんだがこことの関係は?
Rozen Meiden ローゼンメイデン SS総合 8
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1164813753/


315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/11/30(木) 21:32:46 ID:nfRiGiwj
やべー
続きが気になってしょうがないぜ

316 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/10(日) 03:23:36 ID:NSfKUNti
完結までレスするまいと思ってたが
続きを楽しみに待っている

317 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/11(月) 22:34:35 ID:MUbwnKM1
ひどいよ・・・
【Rozen Maiden】雛苺萌えスレ4【ローゼンメイデン】
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1165673180/

318 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/12(火) 16:56:45 ID:VIa9HRme
Rozen Maiden 糞苺であ゛ん゛ま゛あ゛あ゛あ゛
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1165680558/
Rozen Maiden 雛苺で遊ぶですぅ 39
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1159793379/
ローゼンメイデン総合スレ
http://life7.2ch.net/test/read.cgi/trend/1132394374/

319 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/17(日) 23:43:43 ID:MwDG9Exb
医者「めぐちゃん、この人はブラックジャック先生だ。世界一のお医者だよ。
   きっとめぐちゃんを助けてくれる」

めぐ「ほっといて。私はさっさと死んじゃいたいんだから。
   どうせ何やったって治らないんだから構わないでよ」

BJ「死にたいだって? 甘ったれなさんなよ。お前さんは子供の頃から
   患っているようだがな、この私の助手は生まれた時体がバラバラ
   だったんだぜ。死にたいなんてことはしっかり生きてからほざくんだな」

スマンちょっと思いついただけ

320 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/18(月) 01:23:34 ID:+kCHmNuE
生きたいと思ってたけど段々やる気がなくなったんじゃないか
死ぬ死ぬ言われてたら生きる気力もなくなるだろ

321 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/18(月) 07:54:49 ID:NTOUgVVq
>>319
ピノコと水銀燈の絡みとかちょっと想像して和んだ

322 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/18(月) 22:40:54 ID://Kic3fA
エド「なんだこいつら…?」
アル「人形が喋ってる…魂の定着…?」
エド「ローザミスティカ…?」
アル「赤い石…賢者の石…?」


つじつまは合うな

323 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/18(月) 23:38:15 ID:BjO5YEWw
翠「スィドリーム!」
ピカァッ!
「練成陣も無しに練成しただと!? バカな!」

324 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/19(火) 00:47:59 ID:DrbZiMvE
バン
ドザァ!
シャンッ
スタッ
グゥゥン
バァーーーン

真紅「貴女は雛苺ね?」
雛苺「そういう貴女は真紅なのー」
真紅「名前なんて便宜上の些細なもの。これからよろしく・・・」

くんくん「ワンワン!」

真紅「くんくんーッ! 紹介するのだわ、くんくんというの。この真紅の愛犬よ。
   利口な探偵犬なのだわ。心配ないわ、決して人形は噛まないから。
   すぐ仲良しになれるのだわ」
雛苺「ふん!」

ボギャァァ

真紅「なっ ダ二・・・くんくんーッ!
   なっ何をするだァーーーッ! ゆるさんッ!」
雛苺(こいつがローゼンメイデン第5ドール真紅かなの! こいつを精神的に
   とことん追い詰めゆくゆくはこのヒナが桜田家を乗っ取ってやるなの!)

325 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/19(火) 01:29:32 ID:5q0vwuPS
七つの大罪

色欲:水銀燈
暴食:雪華綺晶
嫉妬:蒼星石
強欲:雛苺
高慢:真紅
憤怒:金糸雀
怠惰:翠星石

326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/19(火) 04:54:28 ID:WJVS94BR
暴食:雪華綺晶って言いたかっただけちゃうんかと

327 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/19(火) 12:23:35 ID:5q0vwuPS
いやちょうど七人いたから…

328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/19(火) 21:11:49 ID:vo5VXG6C
そこでアニメ版オリジナル憤怒に薔薇水晶をもってくるつもりなのかー

329 : ◆qrN8aillXg :2006/12/22(金) 03:13:05 ID:W3tbTmOY
えっと、友人にですね。ドールマニアの人がいるんですよ。ええ。アレは本物。
で、まぁ。その友人にまつわる夢。
メールが来てね、その友人の所に遊びに行くんですよ。
するととあるビデオを入手した、と言い出して。それっていうのが

「ドールたちと裸でキャッキャウフフ」

なビデオ。
友人はおもむろにビデオをデッキにいれ、再生ボタンを押します。
そして始まる映像。ドールたちが朝ごはんの仕度をしている所が再生されて。
「上手くできたのー」「喜んでもらえるですかー?」「JUMを起こしてきて頂戴!」
何かと騒がしい朝です。なんだかほんわかする感じです。
そして場面転換。件のJUM君の部屋に移ります。

JUM君、全裸で寝てました。

そんなことはお構い無しに、ドールはJUM君をそっと起こしてあげます。
なんだか和む絵です。全裸でさえなければ。
そして朝食風景。JUM君はまだ全裸です。
その後もJUM君は服を着ません。全裸のままドールたちとひたすら戯れています。
全裸でドール達と一緒にお人形遊びをしたりケーキを作ったり。
お風呂に入るシーンは、JUM君が一人でテレビを見ながら順番待ちしてるところが映ります。
そしてJUM君の番。ここはしっかり映りました。
最後は夜、ドール達が鞄で寝るのを見届け、自分も布団に入って、映像が終わります。
・・・・・・確かに、確かにこれは「ドール達と裸でキャッキャウフフ」なビデオでした。
間違ってはいません。全裸なのはJUM君だけだけど。
私がひたすら笑い転げている隣で、みっ・・・友人は泣いてました。そんな夢。

330 :真紅の家出 1:2006/12/23(土) 00:15:47 ID:C+mIUTzt
ある日真紅とジュンが喧嘩した。真紅がうっかりジュンが大切にしていた通販グッズを
壊してしまった事が原因だった。
「なんて事してくれたんだお前は!これ結構気に入ってたんだぞ!」
「お黙りなさい!誰に口を聞いていると言うの!?それにそんな大切な物を
こんな所において置くジュンが悪いのではなくて!?」
「何だとぉ!?」
もしこれで真紅が素直に謝っていれば大した事にはならなかったのかもしれない。
しかし、プライドの高い真紅が下僕であるジュンに頭を下げる事など出来るはずがない。
その為に二人の仲が険悪な物となってしまっていた。そんな時に騒ぎを聞きつけた
翠星石と雛苺が部屋に入って来たのだった。
「一体何がどうしたですぅ?」
「翠星石に雛苺!二人とも聞いて頂戴。実はジュンが・・・。」
真紅はそれまでのいきさつを二人に話した。翠星石と雛苺なら自分の気持ちを
分かってくれて、自分の味方になってくれるだろう。真紅はそう信じていたが・・・
「それは真紅が悪いですぅ。」
「そうなのよ。」
「え!?」
予想外の返事に真紅は驚愕した。予想外だったのはジュンにとっても同様だったらしく、
そちらも思わず目を丸くしてしまっていた。
「何故!?何故なの!?ジュンは私の下僕のくせに反抗したと言うのに・・・。」
「だって元々は真紅がジュンが大切にしてた物を壊したからですぅ。そりゃそんな
大切な物を壊されるような場所に置きやがる様なジュンも悪いと言えますけどぉ、
法律的観点から考えた場合、やっぱり悪いのは直接ジュンの物を壊した真紅ですぅ。
真紅はジュンに頭を下げて謝るべきですぅ。」
「そうなのよ。」
「あ・・・頭を下げる!?馬鹿言わないで!下僕にそんな事出来るわけないじゃない!」
「何を言うですか?主と言えども己の非は素直に認める潔さは必要ですぅ。
ただ威張っているだけでは下僕も付いて来やがらねぇですよ。」
どんな風の吹き回しなのか、ジュンの味方をする翠星石にジュンは黙り込むばかりだったが、
真紅にとっては忌々しい事この上無かった。
「見損なったわ!もう貴女達は姉妹でも何でもない!ジュンももう下僕なんかじゃないのだわ!」
怒った真紅は涙目になりながら己の鞄を掴んでドアの外に出た。
「ちょっと待て!何処へ行くんだ!?」
「何処でも良いでしょう!?」
家の外に出るなり真紅はそのままいずこへと走り去ってしまった。
「待てよ真紅!」
こればかりはジュンも大人気ないと思えてきたのか、真紅の後を追おうとした。
しかし、それを翠星石が強引に引っ張って止めた。
「追ってはダメですぅ!」
「何するんだ!?真紅が出て行ってしまったんだぞ!?」
「今回の事は真紅が悪いですよ。なのにジュンの方が追ってしまってどうするですぅ!?」
「しかしな・・・。」
「しかしじゃないですぅ!真紅もいい加減学ぶべきですぅ。ただ威張っていれば
いいだけじゃない。人の上に立つ者も人の上に立つ者なりの責任と言う物がある事を・・・。」

真紅は公園の土管の中で泣き崩れていた。
「もうあんな分からず屋は姉妹や下僕でも何でも無いのだわ・・・もう・・・もう・・・。」
下僕に反抗され、信じていた姉妹にも裏切られた。もう誰も信じられない。
自分の非をどうしても認められない真紅はそう考えるしかなかった。
そうして泣き続けたが、その時丁度日が暮れ始めていた。
「もうこんな時間なのね・・・。」
土管から真紅はゆっくりと外を覗いた。すると親に連れられて家に帰る子供の姿が見られた。
それを見ていると、真紅も家に帰りたくなって来た。しかし、喧嘩して家を飛び出したのだ。
今更帰る事など出来るだろうか・・・。これが雛苺や翠星石ならあっさり泣いて謝る事も出来るだろう。
しかし、プライドの高い真紅にはそんな事が出来ようはずがない。

331 :真紅の家出 2:2006/12/23(土) 00:17:24 ID:C+mIUTzt
「どうせジュンの方から探しに来るに決まってるのだわ。ジュンがどうしてもって謝るなら
帰ってあげない事も・・・ない・・・の・・・だわ・・・。」
口では強がっていたが、その口調には何処か何時もの自信が感じられなかった。
そして何時まで待ってもジュンが探しに繰るような気配は見られない。
「ジュン・・・何をしていると言うの?私はここなのだわ・・・。」
真紅は小声で何度もそう独り言を言うが、来る事は無かった。そしてすっかり夜になってしまっていた。
「あ・・・今日はくんくんがある日だったのだわ。でも、今日はくんくんの活躍は
見れないわね。残念だわ・・・。」
真紅は土管の中でうつ伏せになって寝転び、昼間の事を振り返った。
「確かに私は・・・大人気なかったのかもしれない・・・。」

「真紅ちゃんまだ帰ってこないの?」
「うん・・・。」
ジュン達はもう夕飯を食べ終え、食器も片付けられてしまっていたが、
テーブルには真紅の分だけが寂しく残されていた。
そしてジュンは真紅に対する怒りの念が失せてしまった事もあり、真紅を探しに行こうとした。
「翠星石の奴は行くなと言ったけど知るもんか。僕は真紅を探しに行ってくる!」
「待つですよ。」
翠星石がジュンの前に立ち塞がった。
「止めても無駄だからな。僕は行くぞ。」
「その前に庭の中に紛れ込んだ野良猫を追っ払いやがれですぅ。」
「はぁ?野良猫?それが庭の中に入って来たくらいどうって事無いだろ?」
が、次の瞬間翠星石はジュンの脛を蹴っ飛ばし、思わずジュンは脛を押さえて痛がっていた。
「良いから行くですぅ!庭に行って野良猫を追っ払うですよ!」
「わ・・・わかった!分かったから行くよ!」
ジュンは庭に通じる窓のある部屋へ向かった。が、庭を見渡しても野良猫の姿など見られなかった。
「おいおい。猫なんて何処にもいないじゃないかって・・・。」
その時、庭の隅に人影が見えた。暗い為良く分からないがシルエットで分かる。真紅である。
「今更どの面下げて帰ってきたんだ?」
確かに今のジュンはもう真紅に対する怒りの念は失せてしまっている。
しかし、翠星石に言われた事を思い出し、表面上だけでもまだ怒っている様に見せる事にしていた。
だがこれはジュンにとって失敗だったのでは?とも思い始めていた。プライドの高い真紅の性格から
考えて、また喧嘩になる事は目に見えていたからであるが・・・
「ごめんなさい・・・。」
「え・・・?」
ジュンは唖然とした。真紅がジュンに対し頭を下げている。それは真に信じられない光景だった。
「ごめんなさい・・・大切なものを壊してしまってごめんなさい・・・ジュン・・・。」
形だけではない。その顔は泣き崩れ、真紅はジュンに頭を下げて謝っていた。
「真紅・・・おかえり・・・。」
ジュンは微笑みながら真紅を抱き上げた。すると後ろから翠星石が現れた。
「ほらぁ!真紅もやれば出来るですぅ!」
そう言って翠星石が真紅に一本のビデオカセットを渡す。
「ほら!今日の分のくんくん録画しておいたですぅ。ありがたく受け取れですぅ!」

雨降って地固まる。こうして桜田家に平穏が戻った。
                   おしまい

332 :330:2006/12/23(土) 00:19:29 ID:C+mIUTzt
以前にも真紅が家出ネタあったけど、何かカオスっぽい話になってたので
自分は良い話系で書いてみた。

>>329
想像するとかなり怖いんだけどw

333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/23(土) 04:22:25 ID:Tu8FsJgE
真紅って誰かさんと同じでひきこもりだけど、
自分から外出する時は、ほとんど家出ってイメージが・・・。

334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/23(土) 09:18:39 ID:Uz5WRA1z
夕暮れの土管の上で真紅と銀様が並んで話しているシーンが思い浮かんだ

「アッハッハ!そりゃあんたが悪いわよぉ、早く帰って謝りなさぁい」
「それが出来ればあなたなんかに相談しないのだわ、物事にはタイミングがゴニョゴニョ・・・」
「真紅!あなたもしかして、今日言えなくても明日言えばいいと思ってるんじゃない?
「でもぉ・・・でもぉ・・・今謝ったって許してくれるかどうか、ジュンも翠星石も・・・」
「あぁもうじれったいわぁ!いいから帰るわよ!ブッ飛ばすからしっかり掴まってなさぁい!」
ドスン!
「いっ、いたいのだわ・・・襟首掴んで庭に落とすなんて、これだからミーディアムの居ないドールは」

「真紅・・・言いたい事は、言いたい時に言いなさい、「人間」は明日じゃもう遅いかもしれないのよ」


「あら水銀燈、今日はどうしたの?早いわね」
「メグ、わたし、あなたのこと、好きよ、今そう思ったから言うの、だって・・・」
「明日でいいじゃん」
「そうね・・・そうよ、ね」

335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/23(土) 22:20:22 ID:b4IfXdpm
全米が泣いた

336 :December Twilight  1/6:2006/12/24(日) 02:40:00 ID:13J8ET1R
「ねぇみんな。 一体いつになったらアリスゲームを始めるんだい。」

意を決して言ってみた。 しーん。 めっちゃ白けムードが漂った。
激寒な視線が僕に降り注ぐ。 くっ……ま、負けるもんか。 いつかは言わなきゃいけないんだ。

「今忙しいの。 その話題は後にしましょう。」
真紅の言葉でまた思い思いの娯楽に興じる姉妹たち。 駄目だ。 ここで退いちゃ駄目だ。

「いや、あのさ。 みんな、いっつもこの話題を出すと、後で!って言うけど。
 今日は誤魔化されないからね。 君ら、本当に真剣にアリスを決める気あるの?」

「ないでーす。」「あっりませーん。」「馬鹿じゃねーの?」
何その答え!? いい年して学級崩壊かよ! 想像を遥かに通り越して酷い返答が返って来た。 てか最後の誰?

「ぼっ、僕らは究極の少女となるべくしてお父様に生み出さ……」
「蒼星石のおばか!」
ぺちぃん! あうっ! 翠星石の平手打ちが飛んできた。

「時代はラブ・アンド・ピースです! こうしている間にも地球の砂漠化は進み、オゾンホールは拡大してるですよ!
 それなのに蒼星石ときたら! ケンカなんてする暇があったら、花の一つも植えたらどうですか!
 とりあえずそのふざけた帽子を脱ぐです! クールビズです! 呼吸も今すぐやめろです! 光合成がベストです!」

「身勝手な事しか考えられない人は、宇宙船地球号から下船した方がいいのよー。」
「まったく、こんな自己中を育てた親の顔が見たいかしら!」
「愚にもつかない事ばかり言って、目元のシワが水銀燈に似てきたのではなくて?」

「酷すぎるよ!!」
ボッコボコにされてしまった。 自分に都合のいい時だけ凄い団結力を発揮するから女って嫌だ。
本音は面倒なだけだろうに、よくもまぁそこまで言えるね君ら……。

「うふふ……。 今日もお馬鹿さぁんたちがお馬鹿な顔を並べてるわねぇ……。」
はっ。 窓際からの声にみんなの視線が集中する。 水銀燈! 助かった! 彼女ならきっと僕の気持ちを分かってくれる。

「水銀燈! アリスゲームをしに来たんだね? 丁度良いタイミングだよ。」
「あらぁ。 やる気満々ねぇ、蒼星石。 おあつらえだわぁ。」

337 :December Twilight  2/6:2006/12/24(日) 02:41:00 ID:13J8ET1R
ひらひらと左手を振って降り立つ水銀燈。 そのまま左手の甲を僕らに向けて、ゆっくりと巡らせる。
来るか? 何を仕掛けてくる気だろう。 油断無く構える僕。 ……。
しーん。 しかし、しかし。 予想とは裏腹に、水銀燈は左手を突き出したまま立ち尽くすだけだった。

「ちょ、ちょっとちょっと水銀燈! そこで止まらないでよ! え、何? その構え、何の意味も無いの!?」
「わ、分かってるわよぉ。 今からやろうと思ってた所じゃないのぉ。 見なさぁい!」

ばっ! そういうと、再び水銀燈は左手を勢いよく突き出した。 くっ! やはりあの左手には何かあるようだ。
じりっ。 じりっ。 その姿勢のまま、水銀燈が少しずつ間合いを詰めてくる。
息が詰まる。 空気が張り詰めていく。 焦るな。 まずは左手の動きを見極めるんだ……。

……………。 しーん。 ちょっ。 ちょっとちょっとちょっとぉー! 何? 何なの水銀燈? 一体何がしたいのさ!?

「あーーーーっ!! 水銀燈、その手!!」
うわっ、ビックリした! 僕が口を開こうとした矢先、金糸雀が何かに気付いたように大声をあげた。

「あー。 ヒナも分かったの! 水銀燈、左手の薬指に指輪してるぅーーー!」
「あ、あらぁ。 嫌ねぇ、バレちゃったぁ? まったく、変な所に目ざとい子たちねぇ。」

い、いや。 めっちゃ左手アピールしてたじゃん! 本当だ。
水銀燈の薬指には、およそ彼女に似つかわしくないチープな雰囲気の指輪が光っていた。
それは僕らの契約の指輪ではなく。 薬指という事からしても、おそらく。

「えぇぇーーー! 水銀燈、ひょっとしていい人ができちゃったですかぁーーー!?」
「蓼食う虫も好き好きとはよく言ったものね。 聞かせなさいな、水銀燈。 一体どんな物好きを捕まえたの?」
きゃいきゃいと色めきたつ真紅たち。 ぐぇっ。 突き飛ばされた僕は、思いっきり床に突っ伏した。

「しょ、しょうがないわねぇ。 せめてものお情けで聞かせてあげるぅ。 めぐと初めて出会ったのはねぇ……」
頬を染めながら嬉しそうに語り始める水銀燈。 興味津々で聞き入る姉妹たち。

「あ、あれ。 あのー、水銀燈さん。 ちょっといいですか? いや、その。 貴女、アリスゲームに来たんですよね?」
ぽつーん。 誰も聞いちゃいなかった。 楽しそうに水銀燈の恋ばなで盛り上がっている。

……。 許せない。 こんなのって許せない。 僕らは薔薇乙女。 宿命の下、争う事を定められた存在。
いいだろう。 誰もアリスゲームをする気が無いのなら。 ……僕が、始めてやる。

338 :December Twilight  3/6:2006/12/24(日) 02:42:00 ID:13J8ET1R
「レンピカ!」
人工精霊を呼び出し、鋏を構えた僕。 この空気を読んでか、流石の一堂も静まり返った。

「あらぁ……どういうつもりぃ?」
水銀燈の視線が鋭さを増す。 どういうつもりだって? 君らにだけは言われたくないね。

「どうもこうも無いだろう? 今ここに6人のローゼンメイデンがいるんじゃないか。 後は言わなくても分か……」
「蒼星石のお茄子!」
ぺちぃん! あうっ! まだ喋ってる途中なのに! またしても翠星石の平手打ちが飛んできた。

「時代はラブ・アンド・ピー以下省略! こうしている間にも以下省略! それなのに以下省略! 光合成が以下省略!」

「身勝手な事しか考えられない人は以下省略。」
「愚にもつかない事ばかり言って以下省略?」
(存在自体が省略されました。 全てを見るにはここを押してください。)

「そこまで面倒なのかよ!!!!!」
自分が真面目にやってる分、やるせなさも倍加する。 ふと水銀燈と目が合った。

「見なさぁい!」
「それはもういいよ!!!!!」
なんだよこの天丼地獄! いたたまれなくなった僕は、姉妹たちの談笑する声を背中に桜田家から飛び出した。

30分後、ジャージに着替えた僕は川沿いの土手を走っていた。 やはり心が乱れた時はランニングに限る。
ジャブ! ジャブ! アッパーカット! ふっ。 これなら今すぐアリスゲームを制せるな。 それなのに、彼女らときたら。

脳裏に先刻の幸福そうな水銀燈が浮かぶ。 君があんな表情するなんて。 ちりりーん。
君だけは違うと思っていたのに。 ちりちりーん。 生きる事は戦うこちりちりちりちりちりちりちりちりちりちりちりちり。

「だぁー!!! さっきからうっさグエッ!!!!!?」
振り返ろうとした瞬間背中に衝撃が走る。 軽く5メートルは吹っ飛ばされ、地面を抉りながらスライドする僕。

「……ごめんなさい。 避けようと思ったんだけど、自分から動くのも何だか癪で……。」
「謝ってないだろそれ!!!」
そこには良く見知った顔。 ママチャリに買い物袋を満載したそのドールは、紛う事無き薔薇水晶だった。

339 :December Twilight  4/6:2006/12/24(日) 02:43:00 ID:13J8ET1R
駐車場脇の自販機。 人通りもなく、僕らの影だけが気の早い冬の夕日に伸びる。

「……そう……。 アリスゲームを………………。」
ちゃりん。 ちゃりん。 硬貨を自販機に投入しながら答える薔薇水晶。
気付けば僕は今日の出来事を全て話していた。 誰でもいい。 誰かにこのモヤモヤをぶちまけたかった。

「ひどいよね。 お父様が知ったらどれだけ悲しむか。 父親思いの君なら分かってくれるだろう?」
…………。 沈黙。 不安になって横を見ると、薔薇水晶はオレンジジュースを2缶持ちながら、取出口を睨んでいる。

「この自販機……詐欺…………いつもダブリばかり…………レアジュース、全然出てこない………。」
「いやいやいや! 自販機ってそういう物だから!!」

もしオレンジジュースのボタンを押しておしるこが出てきたりしたら、確実にクレームが来るだろう。
しかし聞いているのかいないのか。 暫く立ち尽くしていたかと思うと。

ズガン!! 薔薇水晶はおもむろに自販機にケリを入れた。

「ちょちょちょっとちょっと!!? 唐突に何してんだよ君はーーー!!!?」
「……………レアジュース…………出そうと思って…………。」
「 絶 対 出 な い か ら !!!!!」

常識で考えれば分かるだろ! しかし。 僕の方に向き直った薔薇水晶の目は、意外なまでに濁りが無く。

「試したの?」
「え?」
「本当にレアジュースは出ないのか。 …………自分で試してみたの?」
「え、だって……そんなの、試さなくても分かるじゃないか。」

いつも通りの無表情なままの彼女。 でも、何だろう。 その口調には。 驚くほど雄弁な何かが篭っていた。
いつも通りの無感動な言葉では無かった。

「…………本当に…………そうかしら…………。」

そう言うと、彼女はまた自販機の方に向き直って。 2発。 3発。 次々ケリを入れ続けた。
社会的に見て、明らかに間違った行動。 でも僕は。 言葉が出なかった。 ただ、彼女の次の言葉を待っていた。

340 :December Twilight  5/6:2006/12/24(日) 02:44:00 ID:13J8ET1R
「間違っ……てるよ……薔薇水晶……。」
「間違ってない。」
ぶつ切れな僕の言葉。 迷いの無い彼女の言葉。 普段とまるであべこべで。

「……もし、私が、自分で、やるだけやって。 ……それでもレアジュースが出なかったら……納得がいく。
 でも。 ……他人から聞いただけの事を……自分で確かめたかのように……真実と思い込むなんて………イヤ。」

蹴り足の動きが徐々に激しさを増してくる。 その表情はいつもと変わる所は無い。

「私は……お父様が……好き。 暖かな手が……好き。 優しい瞳が……好き。 それは、私が、確かめた事。
 ……貴女は…………どう? 貴女は…………お父様が…………好き。 ……それは、本当に、貴女が確かめた事?」

僕はもう一言も話せなかった。 ただただ薔薇水晶に見惚れていた。 彼女は。 シンプルに、美しかった。

「…………きっと、真紅たちは……分かっている。 ……姉妹がいて……ミーディアムがいる……。
 アリスゲームを……しない。 ……お父様の意に……背く。 ……それは、多分……楽な事なんかじゃ、ない。」


もう。 もう充分だった。 もう今は。 僕にも分かっていた。

翠星石。 危なっかしくて、泣き虫で、お節介で。 でも、いつも僕を守ってくれる双子の姉。

真紅。 自分にも他人にも厳しくて、いつも態度は素っ気無くて。 でも、本当は誰よりも心優しい妹。

金糸雀。 神奈川で、カニ味噌で、カナブンで。 でも、決して拗ねたり捻くれたりしない可愛らしい姉。

雛苺。 甘えん坊で、駄々っ子で、騒がしくて。 でも、心から人を好きになれる穢れの無い妹。

水銀燈。 好戦的で、退廃的で、独善的で。 でも、いつだって矜持を曲げようとしない誇り高き姉。


じゃあお父様って? 僕は、お父様の事を何一つ知らない。 僕の理想の中だけに生きるお父様。
あぁ、そうだ。 忘れる所だった。 自分の手の暖かさを。 大切な人の温もりを。
僕の愛しい姉妹たちは。 自分の進むべき道を、自分の心で決めたのだ。
薔薇水晶がこちらを向く。 いつも通りの無表情。 でも、僕には分かった。 それが微笑みだという事が。

341 :December Twilight  6/6:2006/12/24(日) 02:45:00 ID:13J8ET1R
「薔薇水晶……。」

何を言えばいいのか。 でも、無性に何か言いたくて。
そんな僕を見透かすように、薔薇水晶は人差し指を立てて、黙って自分の口元に当てた。

「……蒼星石。 レアジュース…………本当に、無いと思う……?」
へっ。 きょとんと彼女を見詰める僕。 ふっ。 ふふっ。

「…………さぁ。 自分で確かめてみなくちゃ、分からないな。」

すっと自販機の横に身を移す薔薇水晶。 もう、喋らなくても分かった。
そうさ。 いつだって僕は僕。 何をするか。 何が大切か。 決めるのは僕自身だったんだ。
てっ。 てってってっ。 助走をつけて。 ズガァン!! 自販機を思いっきり蹴り飛ばす。

<<ポロロロン♪ ポロロロン♪>>

時間が止まる。 嘘みたいだった。 夕闇に包まれた空に軽快なメロディが鳴り響いたかと思うと。
僕の足元には、ディスプレイのどのジュースとも違う、鮮やかな缶が転がり出たのだった。

「薔……!」

顔を向けると、そこにはもう彼女の姿は無くて。 僕は誰もいない駐車場に、ぺこりとお辞儀をした。

そんな事をしていたら、背中の方から誰かの呼び声。
振り向けば、大きく手を振って、僕の方に駆け寄ってくる人影が見える。

迎えに来てくれたんだ。 あぁ。 僕には。 愛すべき人たちがいる。 愛してくれる人たちがいる。
だから僕は息を大きく吸って。 胸いっぱいの気持ちを込めて叫んだんだ。

「おーい! 僕はここだよーーーーー!」




人影は警察だった。 究極の少女(予定)、本日付で前科一犯。
                                                     − おわり −

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/24(日) 08:19:44 ID:RU/Kg4/H
ドタバタ系ギャグ話かと思ったら良い話系になって
良い話系かと思ったらギャグオチでワロッタ

343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/24(日) 09:12:07 ID:8v/zv84I
秀逸すぎwサンタさんありがとうw

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/24(日) 11:34:26 ID:YnPg8i4H
GJ!
わろた

345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/25(月) 07:27:50 ID:NfTqg19j
初心者だけど携帯から投下してみます。
読みづらいのは勘弁(´・ω・`)


346 :クリスマスのメイデン達1:2006/12/25(月) 07:49:52 ID:NfTqg19j
クリスマスも近くなったある日の桜田家

翠「ノリ、何してるです?」
ノリ「クリスマスが近くなったからクリスマスツリーの用意をしてるのよ」
カナ「私も手伝うかしら」
ノリ「ありがとう、カナちゃん」

本を読んでいた真紅が本を閉じて呟く
真紅「そう、もうそんな日なのね」

あの日から数ヶ月が経っていた、桜田家の年末。

ジュン「お前ら、紅茶できたぞ」
ノリ「ありがとう、ジュンくん」

カナ「サンタさんは私のところに来るかしら〜?」
翠「あんたみたいなワガママな人形には何も
プレゼントなんてないですぅ」
カナ「あんたみたいなツンツン女にも
サンタさんは来るわけないかしら」
翠「よくも言ったですね、この疑問か
断定かわからない口癖人形!」

カナ「言ってくれたかしら、この腹黒人形!」

ジュン「不毛な争いだな…」
そう、この二人は相変わらずだ。

真紅「馬鹿じゃない?私達は人形なのよ。
それに命だって神様から授かったものじゃないわ」
翠星石「相変わらず夢のない女です」

続く

347 :クリスマスのメイデン達2:2006/12/25(月) 18:48:03 ID:NfTqg19j
ノリ「せっかくのクリスマスだし、みんなで
楽しみましょう」
翠・カナ「さんせ〜い」
クリスマス…真紅はあることを思い浮かべた。


それから数日が過ぎて、クリスマスイブの日

カナ「わぁ〜なんて美味しそうなのかしら〜」
翠「私も手伝ったんですよ」
真紅「イチゴを載せただけだわ」
翠「真紅はいちいちうるさいですっ」

翠「それにしてもジュン、遅いです」
真紅「ジュンが気になるの?」

翠「べ、別に気にしてなんかないです!
もう腹ぺこだから始めるです!」
ノリ「そうね、もう始めましょうか」

今までにないようなご馳走がテーブルに並んでいる。
ケーキに、チキンの空揚げに、手巻き寿司、
スペシャル花丸ハンバーグ、そしてシャンパンと食後の紅茶。

「メリークリスマス!」
弾け飛ぶシャンパンと同時にバタンと開く扉

みっちゃん「はぁ〜いサンタクロースの登場ですよ〜」

ミニスカサンタクロース姿のみっちゃんだ。
翠「サンタクロースの雰囲気もなにも…」
真紅「ないわね」
カナ「………」


348 :元気の出るおまじない:2006/12/25(月) 21:38:42 ID:zFLxKOek
ついにジュンが復学する日がやって来た。朝早く、久し振りの学生服に身を包んだジュンが
玄関に立ち、ドアノブを掴んでドアを開こうとしたが・・・
「どうしたの?ジュン・・・。」
「体が動かないんだ・・・なぜか・・・。」
ジュンはドアノブを捻る事が出来なかった。まだジュンの心の中に外の世界や
彼が引きこもりになった原因を作った人々などに対する恐怖心が残っていたのだろう。
本人は学校に行こうとしていても、その深層に残った恐怖心がジュンの動きを止めていたのだった。
「まったく・・・最後までだらしの無い下僕ね。」
珍しく玄関までジュンを見送りに来ていた真紅が呆れた表情でジュンに近寄って来た。
「ジュン、こっちに来なさい。元気の出るおまじないをしてあげるのだわ。」
「元気の出るおまじない?お前まさかまた変な力を使ったりするんじゃ無いだろうな?」
ジュンは自分の薬指にはめられた契約の指輪を真紅に見せた。
ジュンは分かっていた。真紅が不思議な力を使う時はマスターであるジュン自身の体力が使われる事を。
「そんな事されてしまったら元気になる所か逆に疲れてしまうんだぞ。」
「そのような事はしないわ・・・。」
そう言うと真紅はジュンの両頬に己の両手を優しく添えた。そして・・・
「んん!!?」
ジュンの目が大きく見開き、飛び出しそうになった。
真紅がジュンの唇にキスをしていたのだ。軽く唇が触れ合うような生易しい物ではない。
二人の唇同士が強く密着しあうと言う深いものだった。
「んー!んー!」
ジュンはもがいた。確かに真紅がジュンに抱っこするように言ってくる事は良くあったが、
キスされる事など初めての事だった。何より相手は人形である。
この事がジュンにとって衝撃的な物であった事は想像に難くない。
しかし、真紅は離さなかった。ジュンの頬に手を添えていた両手も徐々に力が入り、
唇を強く密着させ続けていたのである。その間およそ10秒間。
「んわぁぁぁぁ!いい加減にしろぉぉぉ!」
ジュンは錯乱する余り、真紅をまるで捨てるように放った。尻餅を付いて倒れる真紅。
「痛いじゃないの。仕方の無い下僕ね。」
「何が元気の出るおまじないだ!!ふざけるんじゃないぞ!!」
ジュンは顔を真っ赤にさせながら真紅に対し怒鳴り散らすと、まるでドアを
引き千切らんかのような勢いで開き、そのまま学校へ向けて走り去っていった。
「ほら、元気が出たでしょ?」
物凄い勢いで学校へ向けて駆けていくジュンの背中を見詰めながら真紅はかすかに微笑んだ。
                    おわり

349 :348:2006/12/25(月) 21:40:49 ID:zFLxKOek
>>347
ジュンが何処へ行ったのか気になる

350 :クリスマスのメイデン達3:2006/12/26(火) 02:31:11 ID:Slnw5q40
みっちゃん「そしてコレはプレゼントぉ〜」
何やら大きな袋をひとつ、小さめの袋をみっつ抱えている。

カナ「わぁ〜何かしら何かしら〜」

翠「イヤ〜な予感がするです…」
真紅「大体予測がつくわ」
ノリ「えっ?なになに?」


ミニスカサンタの衣装ドールサイズ。ノリの分まである。
ノリ「きゃあ〜かわい〜」
カナ「なんて可愛いのかしら〜」
真紅「言葉もないわ」
翠「…です」

その後はもうノリとみっちゃんはハイテンション。
シャッターの嵐だ。だけど、騒がしいなりに
楽しい時間が過ぎていった。


カナ「また来るかしら〜」
翠「どうせ明日も来るのわかってるです」
真紅「またね、カナ」

カナ・みっちゃん「バイバーイ」


351 :クリスマスのメイデン達4:2006/12/26(火) 02:37:30 ID:Slnw5q40
ジュン「ただいま〜」
もう時計は10時半を回っている
ノリ「お帰りなさい、遅かったわね」
ジュン「ちょっとな。あ、お前たちまだ起きてたのか」


翠「こんな時間までどこほっつき歩いてたですか?
ジュンのご飯もケーキも食べてしまうところだったです」
真紅「カナが全部食べようとしたイチゴをしっかり守ってたわよね」
翠「ばばばかなに言ってるですか!あとで私が
食べようと思ってただけです!」

ジュン「へえ、珍しくうまそうだな。いただきます」

ノリ「どうぞ召し上がれ」
ジュン「あ、これなに?」
ノリ「シャンパンよ」

ジュン「あ、口あいてる」
翠「さっきちょっと飲んだです(いっひっひ…
さっきみっちゃんが飲んでたワインをサイダーで
割ったものと変えたですよ。とっとと飲んで
酔っ払うですチビ人間)」


ジュン「変わったシャンパンだな…でも美味しいかも」


352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/26(火) 03:57:15 ID:Py/ToGuk
>>351
イイヨイイヨ

353 :クリスマスのメイデン達5:2006/12/26(火) 03:58:40 ID:Slnw5q40
そしてお約束通り顔が赤くなったジュン。

真紅「あなた、まさか…」
翠「ほんとにだらしないですわ。シャンパンで酔う
チビ人間はアルコール耐性までミニサイズです」

ノリ「ジュンちゃんはお酒にとても弱いのねぇ。
どれどれ、私も飲んでみようかな」
翠「…あっ」
わかってないのがいた。
ノリはあっという間に爆睡。激弱。
真紅「人のこと言えてないわね」

ジュン「なあ、真紅」
顔は赤いがいつになく真顔のジュン。
真紅「な、なによ?」
そんなジュンの表情に戸惑う真紅。

しゃがみ、ソファーにいる真紅の頭をそっと撫でる。
ジュン「真紅ってさ、すごく綺麗だよな」
真紅の瞳をじっと見つめてそう言った。
真紅「……ッ////」
翠「はぁ!?何酔って調子こいてるですかチビ人間!」

ジュン「初めてのときは生意気だったけど、ほんとに
優しくなったよな。オレにもねえちゃんにも」

真紅「…………」
うつむいてるため表情はよくわからないが、耳を赤くしてる。

ジュン「翠星石は素直じゃないけど、実はみんなに優しいし
可愛いところがある。お前たちの中で一番お姉ちゃんしてるもんな」
翠星石の頭にポンと手のひらを乗せる。
翠「えっ……」

ジュン「カナはやかましいけれど、この家を明るくしてくれてる。
雛苺もそうだったよな。そして蒼星石はいつもみんなのまとめ役だった」

ジュン「お前たち言ったよな、完璧な少女アリスになりたいって。
でも全然完璧じゃない。やかましいし自分勝手。泣くし、怒るし
笑いもする。悩んで他人を思いやって涙したりする優しさがある」

静かにジュンの言葉を聞く真紅と翠星石。

ジュン「オレが個人的に思ってること
だけどさ、お前たちは立派な女の子だよ」
真紅「ジュン…」

ジュン「また悲しいことがあるかもしれない。いつまで
一緒にいられるか、次があるかもわからないけど…
もし、あるなら今度はみんなでクリスマスしような」

真紅「…ありがとう…」
翠「ジュン…ありがとうです…」


354 :クリスマスのメイデン達6:2006/12/26(火) 04:17:34 ID:Slnw5q40
ジュン「だから…激励と愛を込めて口づけを…まずは翠星石から」
スッと翠星石を抱き上げた。

翠「そんな…私は…人形…」
ジュン「ううん、今は1人の女の子だY(ryバシバシッガッ
髪の毛とエルボーがSMAAAASH!

真紅「何雰囲気に飲まれてるの!」
翠「だ、だって…ジュンが…」

真紅「まったく…呆れたものだわ」
翠「真紅も顔まっ赤です」
真紅「うるさい!寝るわよ!」
翠「は、はいですっ」


355 :クリスマスのメイデン達7:2006/12/26(火) 05:01:10 ID:Slnw5q40
そんなバタバタした桜田家から変わってここは静かな教会。

クリスマスイブだというのに人の気配のない寂しい教会。
けれどメグはそれを気に入っていた。
何回目だろう、この日にここへ来るのは。

メグが扉を開けいつものように祈りを捧げようとしたとき
祭壇の上に何かあるのに気がついた。袋だろうか。

メグ「何かしら…これメリークリスマス…メグ&水銀燈」

袋の中身を開けてみた。
メグ「わぁ…」
水銀燈「病人が真夜中に何してるのよ」

メグ「…これ、見て?」
袋の中から取り出して水銀燈に見せた。

出てきたのは水銀燈とクンクンのぬいぐるみ。
メグ「これ、ふたつとも手作りだよ。かわいい…」
水銀燈「………」

メグ「あれ、天使さんのぬいぐるみの背中、ネジ巻きがついてる」

メグはネジを回した。
するとぬいぐるみからオルゴールの音がする。
オルゴールがぬいぐるみの中に組み込まれているのだろう。
教会にオルゴールの音が響く。

メグ「とても優しい曲ね」
水銀燈「…そうね…」


356 :クリスマスのメイデン達8:2006/12/26(火) 05:06:21 ID:Slnw5q40
ここは真紅の夢の部屋。

真紅「やっぱり来たのね」
水銀燈「なんであんなふざけたマネをしたの?」
真紅「マネなんかじゃないわ」
水銀燈「私には神なんていらない!いない!
お父様だけしか必要じゃないもの!」

真紅「初案は私だけど中身までは知らないわ。ただあなたと
ミーディアムのことをほんの少し聞かせただけ」

水銀燈「…あのミーディアムが?」
真紅「頼りないけど…とても心の優しいサンタクロースよ。
あなたも、蒼星石もあなたのミーディアムのことも
とても心配してる。馬鹿みたいよね、私達人形の
ことにまでこんなに親身になって」


水銀燈は真紅に背を向けた。
真紅「水銀燈」
水銀燈「……帰るわ。頼りないサンタさんによろしくね」

そう言うと水銀燈は姿を消した。

357 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/26(火) 05:10:33 ID:Slnw5q40
とりあえず今回はここまで。
クリスマスは過ぎちゃったけどね(´・ω・`)

>>352サンありがトン。


358 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/26(火) 05:26:02 ID:DaeR2GR+
>>357
お疲れ様。
じっくりと堪能させて戴きました。

続きも期待しております。

359 :クリスマスのメイデン達9:2006/12/26(火) 12:46:30 ID:Slnw5q40
そして…

ジュン「あいてて…なんでこんなに腹が痛いんだ…
頭もガンガンするし…うう…水でも飲むか」

時計をちらりと確認した
「…5時20分か」

蛇口をひねり水を飲む。

(あっ、そうだ忘れるとこだった!ヤバいヤバい…)

すぐさま両親の使っていた部屋に向かう。
ここはほとんど使われてない為、無警戒で中でいろいろできた。

「みんなにバレたらまずいからな…静かに…」


360 :クリスマスのメイデン達10:2006/12/26(火) 12:52:27 ID:Slnw5q40
いろいろあったクリスマスイブが明けて朝になった。
カチャリとカバンがふたつ開く。

翠「ふぁ〜…夜更かししたせいで寝不足ですぅ
…ん?これはなんですかね…メリークリスマス
翠星石、メリークリスマス真紅」
真紅「何かしらね」
翠星石「私のは妙にスカスカですね…」

翠星石の袋は翠星石と蒼星石の名前が彫られた
二枚の銀のプレートをペンダントにしたもの。
そして真紅の袋はクンクンの手作り抱き枕だった。

翠星石「…ほんとに…バカやろうです…」
涙目になる翠星石。

真紅「カバンにこんなものを入れろって言うの?…まったく…」
そう呟く真紅の頬は少し赤い。


361 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/26(火) 13:15:58 ID:Py/ToGuk
>>360
イイヨイイヨ、続きが気になるね

362 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/26(火) 20:09:34 ID:Slnw5q40
次でラストいきます。

363 :クリスマスのメイデン達11 :2006/12/26(火) 20:22:49 ID:Slnw5q40
時間は過ぎてお昼前

ジュン「う〜ん…まだなんかまだ
ぼんやりする…あれ?姉ちゃんは?」
真紅「朝ご飯作ってまた寝てるわよ。それにひきかえ
あなたはいつまで寝てるつもりかしら。酷いものだわ」

翠星石「ほんとです。太陽はもう真上にあるですよ」

ジュン「……!…翠星石!お前、昨日
シャンパンを酒とごまかしただろっ!」
翠星石「酷いです!そんなことしてないですぅ!」

どうやらジュンは酒の一件は全く覚えてないらしい。
真紅はそう分かるとすぐさま一手を放った。
真紅「あら、そんなこと言っていいのかしら?
昨日はあんな酷いことしたくせに」

みるみるうちに顔を真っ赤にしてうつむく翠星石。
ジュン「う…嘘だよな?」
真紅「酷いわ。覚えてないのね。ねえ、翠星石?」

翠星石は真紅の意図を読み取った。
翠「あ…あう…そうです、エッチなことも
言ったです。そして私達にキスを…」
ジュン「してないしてないしてない!嘘だよな!?なっ?」

翠「ひどいです…私達の唇を奪っておいて…」
真紅「真紅は綺麗だ。翠星石は可愛いとも言ってたわ」
これはほんと。

ジュン「うわぁぁぁ嘘だーっ!」


真紅「ジュン…楽しいクリスマスをありがとう」
ジュン「えっ?」
翠「だから、キスの件はなかったことにするです。
心優しい私たちに感謝するですよ、チビ人間」

真紅「それはそうと喉が乾いたわ。ジュン、紅茶を入れなさい」
ジュン「わ、わかったよ…」
そんな桜田家のクリスマスの1日。

真紅と翠星石はいつものようにジュンの紅茶を待っている。

FIN.

364 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/26(火) 22:51:59 ID:4JWSXbKi
>>363
すげーおもしろかったです!
ちょっと泣きそうになりました。

365 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/27(水) 01:12:11 ID:yQHUJ0lL
あったかくなったよ
ありがとう
欲を言えば雛苺へのフォローも欲しかったかな

366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/27(水) 01:21:59 ID:L5fCg8tf
いい話ダナー(AAry
次回作に期待

367 :翠星石限定:2006/12/27(水) 03:54:50 ID:JaBVMd3s


ークリスマスの次の日あたりー


ノリ「翠星石〜お届け物が来たわよ。」

翠「おじじからですぅ。なにかしら?」

小さな箱の中にはクォーツ式の懐中時計が入っていた。
表を見る限りは普通の時計だが裏を見ると


ーMerry X'mas SUISEISEKI From SOUSEISEKIー


…と彫られていた。

翠「……蒼星石…………っ!」

時計を固く握って涙が止まらなかった。

368 :ケットシー:2006/12/28(木) 16:43:11 ID:MwYcV8Ng
オーベルテューレを見たらSSを書きたくなった。
年が変わる前に投下いきまーす。

369 :めぐの一日:2006/12/28(木) 16:44:31 ID:MwYcV8Ng
めぐの一日


 めぐは朝が嫌いだ。
 病室という生活感のない部屋で迎える朝は、気分がいいとはとても言えない。
 意味のない一日が始まると思うと気が滅入ってくる。
 だから、このくだらない毎日を終わらせてくれる天使を朝一番に探す。
「水銀燈、いないの?」
 だが、朝から水銀燈に会えることは稀だ。彼女はめぐよりもずっと早く起きて、どこかへ行ってしまう。
 めぐが呼んでも姿を見せない。今日も出かけているようだ。

 水銀燈を見つけられなかっためぐは、決まって歌い始める。歌えば戻ってきてくれるような気がするから。
 看護士が朝食を運んできても構わず歌い続ける。もう、彼女の目に人間は入らない。
 幼い頃から死を自覚してきた彼女は、人との関係を築こうとは思わなかった。いつ死ぬかもしれないのに、友人を作るなんて馬鹿らしかった。
「少しだけでも食べるのよ」
 朝食を食べるように言われても当然無視。看護士も慣れたもので、顔色ひとつ変えることなく、病室を後にした。

 歌い疲れためぐは、枕に頭を沈めて天井を眺めた。
 水銀燈は帰ってこない。
 思うようにいかないので、だんだんと腹が立ってきた。
 腹いせに緊急時のボタンを押す。
 すると、看護士が血相を変えて駆け込んできた。
 このいたずらがばれると凄く怒られるので、苦しいふりをしてごまかそうとした。
「めぐちゃん、すぐに先生を呼ぶから!」
「はふっ、ふう……!!」
 演技だったはずなのに、本当に胸が苦しくなってきた。冷たい汗が額に浮かぶ。
 悪ふざけがすぎたようだ。
 どうせ死んでしまうのなら、天使に看取ってほしい。
 朦朧とする意識の中、苦しくて声に出ないながらも彼女は歌い続けた。


370 :めぐの一日:2006/12/28(木) 16:45:53 ID:MwYcV8Ng
 本日二度目の起床は日が暮れた後だった。発作を起こしためぐは、そのまま眠ってしまったのだ。
 汗を掻くからか、発作の後は気分がいい。朝ではない目覚めなので気分がいい。
 気分がよくても、彼女は目覚めてすぐに体を起こして天使を探す。生きている実感は欲しくないから。
 そして、彼女の気分が最もよくなる。水銀燈が戻っていたのだ。
 灯りのない病室の窓辺に、小さな天使が腰掛けていた。
「おかえりなさい」
 返事は期待しない。なぜなら、気高い天使は人の相手をしなくて当然だから。
 ある意味、期待通りに水銀燈が無視してくれたので、めぐは上機嫌で微笑む。
「聞いてよ。また死に損なっちゃった。だから、私の命を使うなら早めにしたほうがいいわよ。そのうち死んじゃうから」
 水銀燈は窓から外を見た。この哀れな少女を正視していられなかったのだ。
 めぐは身も心も完全に壊れていた。身体は病で、心は死の恐怖で蝕まれて……。
 水銀燈は自身も壊れていると思っていた。
 しかし、めぐを見ていたら、それが間違いだと思えてしまうことが間々あった。心が本当に壊れたら、生きようとは思わないのだ。
 水銀燈にそんな真似はできなかった。アリスゲームに勝って、お父様に認めてもらわなければならないのだ。
 めぐに生きる望みはないのだろうか。
「貴女、何か望みはないの? やりたい事とか、欲しい物とか」
「あるわよ」
 意外な答えが返ってきた。水銀燈はやや身を乗り出して詳しく尋ねる。
「それは何なの?」
「いつも言ってるじゃない。水銀燈に連れてってもらうことよ」
 笑顔で返ってきたのは、希望のない答えだった。彼女は一緒に空へ行きたがっているのだ。生きていては行けない空へ……。
 水銀燈は再び窓の外を見た。めぐの笑顔が堪らなくつらい。連れて行けそうな場所は地獄しかないのだから。
「私に連れていってほしいのなら、勝手に死なないことね」
 この言葉に込められた意味を、めぐが理解できる日はくるのだろうか。そんなことを思いながら、水銀燈は夜空を見上げた。


おわり


ちょっと切ないお話でした。
それでは、良いお年を。

371 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/29(金) 12:27:03 ID:E4sINBlw
久々の投下、乙です。
ところで『あべこべろーぜんめいでん』の続きマダー?

372 :ほしゅ:2006/12/30(土) 18:49:56 ID:0K/Y6k5q
                    |||
            ___  |||
         _ 〆/__/_ヽ||  __
      〃゚⌒l:l/__◎)o_\lレ/ ̄ \,┐
      (___|:〔|_ ○)__|l /\    |┘
     / ,--、 // ロー── // \\ /
   _O) ̄)|=| | ̄_┬──┐'   //
 0ニ`ー二二|=| 〆 /^ロ__l二〕  /T
  └┴┘ヽ_ノ-UUU|_/─┬┘ー'__/  ピンクのAT!
    ∨《〔⊇|O ⊂ニニ⊃\|┌┴┐  あの反応速度は?
      \_〕/ ̄ |/ ̄| ̄ ̄|/|l l|__l |  彼女だ!
       /   〔 ̄l| 目 | |l  | 間違いない!!
      /|___/|__/ |___| |l__|
      /┌┐/  / |  l ┌┐|
     =キ´^ヽー_/  |_| 〃^ヽ
     人日ノ ̄\   (/人 日ノ|
    〔 | | | |  |   |  | | | | 〔
    〔/ | | | 彡)   (ミ ノ/ | | l」
    └T□Tー <、   人_T□T、
    / 〔__〕ー\l   /o\l//〔_〕
    /__|_(o゚o)  / o_o)_/_ゝコ




            r‐─-n=ニコ
           .{ 〈 ̄ /`ヽ、_}`>  ====
           く ``フ′ ヽ\ト、
             /.Y´   |   l__,=ヘ  ====
           {.ニ|二ニ|ニ二_|二ミ}   ====
           ヾ大=三}ー=ヲ^ーイ
            {wv _ ,.-、lvへ、   ====
              /  〈__ノl\_)`ヽ、`ヽ、   ====
            /    l!  |  \  \ j| |ヨ   =====
          /‐-、  l!.  |  _,. -‐┬-ヾノ
           仁>、 ∨ァ‐T ̄[_,.ィ又_人{、
          ヽ __ソ〈ァ、」フー大′  rュァ‐'′   =====
             ヽ}〉L__)〈ノ=L{_r<.V>  =====
               くr'K_>|      V^∧
               K_>|     V^∧
               ├‐┤     V ,∧ =====  (´⌒
              《:____:》i    i《:____:》ii    (´⌒;;(´⌒;;
              〔i〔二二〕_]  [_〔二二〕i〕 (´;;⌒  (´⌒;;


373 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/01(月) 05:14:00 ID:TFTzk9LV
つ正月
 餅
 薔薇乙女

374 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/01(月) 17:47:39 ID:HL4AC2Gm
真紅「雑煮はやっぱり澄まし汁に鶏肉、蒲鉾、そして焼いた角餅なのだわ」
翠星石「真紅の言う通りです!、丸餅が無い時は田舎者の角餅で我慢するですぅ」
真紅「表へ出やがれなのだわ・・・」
蒼星石「まぁまぁニセ雑煮の話はさておき、白味噌と煮た餅の本物の雑煮を食べようよ」
金糸雀「赤だしぃ〜、何が入っててもいから、赤だしじゃないとイヤなのかしらぁ〜」
水銀燈「間を取ったらいいんじゃないかしらぁ、合わせ味噌の具沢山で、鮭も寒鰤も入ってて」
薔薇水晶「最後にバターをひとかけ・・・」
雛苺「あんこも入れるの〜、ぜんざいにするのぉ〜」

薔薇乙女、新年初のガチバトル

のり「みんな、今年はお雑煮よりスキヤキよぉ〜、愛知県はそうするのよぉ〜」

真紅「みんな、大人気ない事を言って悪かったのだわ、スキヤキ食べて仲直りなのだわ」
水銀燈「そうねぇ、最後のウドンを食べればつまらない争いなんて忘れちゃうわぁ」
雪華綺晶「おじや・・・これだけは譲れない・・・おじやにしないのはスキヤキじゃない・・・」
金糸雀「卵とじなのかしら!スキヤキの最後は卵とじにしてゴハンに乗せて食べるのかしら!」

第二R開始

JUM「カレーがおいしい・・・」

375 : ◆vJEPoEPHsA :2007/01/02(火) 07:52:05 ID:KUh+UnDv
色々意見をいただき、見にくいらしいのでスレッド毎に分けてみました。
ttp://rinrin.saiin.net/~library/cgi-bin/1143018114/

376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/02(火) 08:25:43 ID:FoVRk/Sr
>>375
ごくろうさま〜


377 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/03(水) 23:06:28 ID:gARp2ojc
カナかしら〜

378 : ◆qrN8aillXg :2007/01/04(木) 06:48:12 ID:Emfc6ZOH
鏡の世界の森で、憧れの女生徒と二人きり。ファンタジーとロマンスに溢れる境遇というやつだ。
ところが、山本少年とその女生徒──桜田のりは、囁き合うことも忘れ、ぽかんと口を開けて並び立ち、
見つめ合うことも忘れ、梢の合間に覗く青空を仰いでいた。実は、彼らが二人きりというのは語弊があった。
確かに、その場に突っ立っていたのは山本とのりの二人のみだったが、彼らの頭上、数十メートルの高度に、
第三の人物、柏葉巴が滞空していた。彼女がセーラーカラーの学生服の他に身につけているものといえば、
左の肩に担いだ三尺七寸、真竹の竹刀のみ。凛々しくも、非現実的な姿だった。
泣きぼくろが添えられた切れ長の目は、まず青く霞む稜線を四顧し、次に眼下に広がる黒い森を俯瞰した。
果てしなくはびこる樅の樹海。そのある一点に、彼女の視線が注がれた。太陽に背を向け数百メートル、
割と近い場所に、草原の孤島が浮かんでいたのだ。そこには人工の建造物すら確認できた。
その発見の後、彼女は綿のような軽やかさで下降し、さり気なく右手でプリーツを押さえながら着地した。
「行きましょう。誰かいるかも知れません」
未だ呆けているのりたちを肩越しに促して、巴は露根の隆起する、道なき道を歩み始めた。
「あ、待って、巴ちゃん。今、空飛んでた……?」
のりが率直に尋ねた。彼女は何故か、上は黄色いポロシャツ、下はタータンのミニスカート、
右手にクロスと呼ばれる網つきの棒という、ラクロスの試合から抜け出してきたような格好をしていた。
「鏡の世界ですから」
巴の回答に、「なるほどぅ」と納得したのはのりだけだった。神父が着用する黒いスータン姿の山本は、
ローマンカラーを巻いた首を捻り、更に質問した。
「というか、鏡の世界ってのは、どういう意味なんですか? 何で森?」
「鏡から入ってきたから鏡の世界です。それ以上は知りません」
桜田家の物置にあった古い姿見から、謎の尼僧、柿崎によってこの異世界に連行された三人の中で、
唯一巴だけが事態を把握していた。他二名は、そろって、眠そうな顔で腕組みをした。
「いや、そう言われてもねえ。俺、どうも記憶が曖昧で」
「私も、お茶を淹れてたところまでは覚えてるんだけど……。あ、柿崎さんって子もいたかしら?」
のりがその名前を口にすると、山本が根上がりに躓いてよろけた。転倒にまでは至らなかったが、
体裁を取り繕うように巴に追いすがって、青ざめた顔で訊いた。
「そういえば、君、鏡の世界に閉じこめられたって言ってたけど、まさかあの人が……?」
巴は真っ直ぐ前を見たまま、低い声で囁いた。
「とぼけないでください。貴方たちの目的は分かってます」
「いや、俺は別にあの人の仲間じゃないから! 主に誓って!」
山本が大声を出すと、金槌や鋸やらに翼を付けた異形の鳥たちが、木々の合間から飛び出した。
のりは丸くした目で謎の飛行生物を見送ってから、どんどん先に進んでゆく二人に走り寄った。
「あ〜ん、内緒話はダメなのよぅ! 私も仲間に入れて〜」
姦しい三人組が暗い森を抜けると、そこは青い薔薇が咲き誇る、小さな庭園だった。

379 : ◆qrN8aillXg :2007/01/04(木) 06:50:25 ID:Emfc6ZOH
第3話 庭師 die Gärtnerinnen

荊の生け垣を飾る青い薔薇の芳香が、それまで漂っていた雨と土の匂いを打ち消した。
少年少女は、生け垣の棘に苛まれつつ花園に分け入り、その先に赤い煉瓦の家を見付けた。
「助かった。この様子なら誰かいそうですね」
山本が美しく整えられたイングリッシュガーデンを見回しながら、ほっと息をついた。
庭は規模こそ小さいが、泉を小岩で囲った池を中心に、鬼百合、薔薇、菫の花壇が環状に設けられていた。
日差しを浴びる泉の波紋、露に濡れた花弁と、それに群がるモルフォ蝶、すべてが宝石の輝きを放っていた。
「素敵ねぇ。おとぎ話の中みたい!」
のりははしゃいでいたが、巴は庭の半ばでぴたりと歩みを止め、同時に山本の顔から血の気が引いた。
その閑雅な煉瓦の家屋は、人間が住むにはあまりにも小さすぎるサイズだったからだ。まさに、おとぎ話だ。
煙突のある屋根の高さも、彫刻されたドアやランプも、元の世界のものの半分ほどの大きさしかなかった。
「まぁぁ、かわいい! ちっちゃいおうち! ……あれ、二人ともどうしたのぅ?」
もし、この建造物がただのオブジェでないとしたら、如何なる者がこれを住居としているのだろう。
のりのように無邪気に喜ばない山本を横目で見て、巴が尋ねた。
「貴方は知ってるんですね。あの人形たちのこと」
「そう言う君こそ……って、今、人形たちって言った!? あんなのがまだいるの!?」
山本がまた大声を発すると、それが勘に障ったのか、巴が疑わしげに眉を顰めた。
彼女だけではなかった。薔薇の植え込みの向こうから、何者かがひょこりと頭を出して怒鳴り返してきた。
「うるせーです! 人んちの庭でぎゃあぎゃあ騒ぐなですぅ!」
それは亜麻色の長い髪に頭巾を被った少女──らしき存在だった。三人は沈黙して、彼女を見下ろした。
頭巾を被った頭はソフトボールほどの大きさしかなく、明らかに人間のものではない。やはり人形だ。
少女人形は幾秒か、赤と緑、色彩の異なる左右の瞳で闖入者たちを見回し、俄に金切り声を上げた。
「ぎゃああああああ人間が出たですうぅ!」
「うわああああああああああああ!」
「きゃぁー、かわいいぃ!」
小心者と脳天気が釣られて叫んだ。逆に、ただ一人、巴は表情を失っていた。
いや、泥眼の面を思わせる青白い顔は、むしろ形容しがたい狂気と怨念を滲ませていた。
「貴女、水銀燈という人形のこと知ってる?」
擦れ声に問われると、人形は「ひっ」と恐怖に引き攣った悲鳴を上げ、腰を抜かした。
一目で巴の力を見抜いたのか、単に臆病なだけなのか。深緑の全円スカートを広げて踞ったままだった。
「そんなヤツ知らないですぅ……!」
頭を抱えてがたがた震え始めた人形に、真竹の竹刀がおもむろに持ち上がった。
「嘘つき。桜田君を返して」

380 : ◆qrN8aillXg :2007/01/04(木) 06:53:15 ID:Emfc6ZOH
巴が薔薇の低木を踏み越えようと、足を上げたその瞬間──。
「翠星石から離れろ!」
蒼い疾風が庭園を吹き抜け、巴の後背から襲いかかった。
咄嗟に振り抜かれた竹刀が、襲撃者の刃と衝突し、甲高い金属音と火花を散らした。
巨大な金色の鋏を開き、頭上から圧迫する竹刀を受け止めていたのは、青い服の少年人形だった。
「人形……!」
そう、人間ではなかった。巴の竹刀に、上から押さえつけられてしまうほど低い背丈。頭にトップハット、
肩に青いケープを巻き、下はニッカーボッカーズという風変わりな衣装。そして、緑と赤のオッドアイ。
「人間です! 蒼星石! 人間が出やがったですぅ!」
這い蹲っていた緑の少女人形が、勢いを取り戻して絶叫した。蒼星石とは少年人形の名前か。
「早く、逃げるんだ、翠星石!」
竹刀と大鋏、奇怪な鍔迫り合いのさなか、声を振り絞った蒼星石に、巴の無感情な問いが降りかかった。
「貴方、今、私の首を狙った?」
「だったら、どうしたと言うんだい」
蒼星石は劣勢に陥りながらも、不敵な笑みで虚勢を保っていた。だが、両者の膂力の差は明らかだった。
巴は無言で力を込め、体を軋ませ踏ん張る人形の木靴を、土の地面にめり込ませた。
もはや勝負は決したと思われたとき、桜田のりが動いた。
「やめなさい!」
その一喝は薔薇の園に響き渡り、遠巻きに様子を窺っていた小心者どもをびくりと震え上がらせた。
「みんな仲良くしなきゃダメ! ここでケンカしたらお花さんたちが可哀想でしょ!」
仲裁というより、母親の叱責だった。のりはどうやら、生き人形たちの存在に疑問を抱いていないらしい。
上気した頬を汗で濡らした不可思議な少年人形は、敵から視線を外し、誰にともなく口を開いた。
「……そうだね、あのお嬢さんの言うとおりだ。退くよ、レンピカ」
言うや否や、蒼星石の体がその場から掻き消え、勢い余った竹刀が土を穿った。巴は目を見開いた。
動きが素早かった? 死角を突かれた? いや、そのような次元の現象ではなかった。
蒼星石は、既に巴の間合いの外側まで下がって、呼吸を整えていた。瞬間移動したとしか考えられなかった。
人形の手にあの大きな鋏はなく、代わりに青い燐光が、掌の上で楕円軌道を描いていた。
おそらく金糸雀のピチカートと同種の存在に違いあるまい。
「まぁ、ティンカーベル?」
のりが無警戒に近寄って、妖精のごとく優雅に浮遊する燐光に瞳を輝かせた。
「あ、危ないですよ、桜田さん」
山本は、水銀燈のメイメイを「善良な精霊」と見なした過ちを繰り返さなかった。
ところが、蒼星石は友好的な態度で、「これはレンピカだよ」とのりに燐光を掲げて見せていた。
正気に戻った巴も、素手の人形を相手に、得物を構え直す真似はしなかった。

381 : ◆qrN8aillXg :2007/01/04(木) 06:55:40 ID:Emfc6ZOH
ただし、翠星石と呼ばれた少女人形は違った。彼女は蒼星石の陰に走って、巴を指さし啖呵を切った。
「まったく、命拾いしたですね。蒼星石が本気だったら、お前なんかとっくに真っ二つですぅ!」
巴は何も言い返さなかった。もし、蒼星石があの瞬間移動で、巴の背後に回り込んでいたら──。
いや、そもそも初撃が警告無しの奇襲であったならば、その時点で巴は敗北していた。
蒼星石は巴の戦慄を見て取り、穏やかに、翠星石を制した。
「やめなよ、翠星石。きっと、彼女は何か誤解してただけなんだ。人間は僕らの敵じゃない」
「そうね。貴方は私の敵じゃないわ。貴方には人を殺せない」
巴が和解の意をやや挑発的な台詞で締めると、蒼星石は「なるほどね」と頷き、脱帽して名乗った。
「僕は薔薇乙女のドール、蒼星石。彼女は双子の姉妹の翠星石。そして、ここは僕らの別荘の庭だ」
君たちは不法侵入者だよ、とでも聞こえたのか、のりが慌てて謝罪した。
「勝手に入ってごめんなさい。私は桜田のりって言いますぅ」
「桜田さん、悪魔に名前を名乗るなんて以ての外ですよ! 呪われますよ!」
巴の陰から、腰抜けが人形たちに向かってロザリオを突きだしていた。実に無様だった。
「山本君。こんな可愛い子たちが悪魔だなんて、どうしてそういうことを言うの」
「えっ。……そ、そうですよねっ、うわぁ、可愛いお人形さんだなぁ!」
「ひゃぁ、キモーイ! こっち見んなです!」
周囲の騒々しい喚き声に、蒼星石はやれやれと肩を竦めて、帽子を被り直した。
「名乗りたくないなら構わないよ。ただ、お節介で聞くんだけど、君たち、帰り道は知ってるのかい?
このタルジーの森から歩いて出ようとしても、迷子になるだけだよ」
タルジーの森という固有名詞よりも、迷子という単語に、巴の眉がぴくりと跳ねた。
「心の迷子……。タイムリミットがあるって、誰かが言ってた気がするの」
「うん。ここは夢の世界だからね。長居する場所でも、長居していいって場所でもない。
だから、この家は別荘なんだ。住むことはおろか、一眠りすることすら許されない」
夢の世界。理想郷の比喩というよりは、文字通り、通常ならば睡眠中に訪れるべき世界のようだ。
「あら。ここって、鏡の世界じゃないの?」
のりの疑問符に、親切にも翠星石が回答を示した。
「まったく、無知な人間です。鏡なんてただの出入り口に過ぎんのですぅ」
「僕らがnの……、いや、この世界に住めないのは、滞在しているだけで力を消耗するからなんだ。
僕たちドールのネジはすぐに切れてしまうし、君たち人間は心の樹を枯らすことになる。
体が運動を欲するように、夢は心に必要なものだけど、どちらも過ぎれば毒に変わってしまうってことさ」
「ぐずぐずしてたら、おめーら全員廃人と化すですよ。生ける屍ですぅ」
迷子という状態を具体的に説明すると、そういうことらしい。山本がぶつぶつと祈祷を始めた。
「残念ねえ。こんなに綺麗な世界なのに」
のりだけは名残惜しそうに薔薇の庭園を見回し、ほうっと溜め息をついた。やはり大物である。

382 : ◆qrN8aillXg :2007/01/04(木) 06:58:40 ID:Emfc6ZOH
「ごめん、翠星石。来たばかりだけど、今日はもういいかい。庭の手入れはまた明日にしよう」
蒼星石が振り返って、双子の姉妹に承諾を求めた。翠星石は不安そうに、巴をちらりと見やって囁いた。
「それは仕方ないですけど……。蒼星石、アイツと関わり合いになるのだけはやめるです。
あんな恐ろしげな人間、翠星石は未だかつて見たことがないです」
「そうかな。あの子の目、誰かに救いを求めているようで、放ってはおけないよ。……なんてね。
本当は僕も、ちょっと力を使いすぎた」
「ふぁっ、気がつかなくてごめんです! 私のおばか! 姉失格ですぅ!」
翠星石は自責して、自分の頭をぽこりと叩いた。口は悪いが、根は善良な人形であるらしい。
のりは微笑み、腰を曲げて人形たちと視線の高さを合わせた。
「ごめんね、翠星石ちゃん、蒼星石くん。それで、どうやって帰るのかしら」
「空の上に扉があるですよ。森の動物たちが間違って出て行かないようにしてるです」
翠星石は何気なく答えたが、この人形たちがヘリやら飛行機やらを所有しているのは想像しがたい。
「じゃあ、お空を飛べないと帰れないのぅ?」
「飛び方も知らないですか。まったく、これだから人間は想像力の貧困な生き物なんですぅ」
「翠星石。意地悪な人形はアリスになれないよ」
「ちっ、蒼星石がそう言うならしゃーないです。この翠星石にお任せあれですぅ。……スィドリーム」
翠星石が右腕を伸ばすと、その袖口から、緑色に輝く燐光が飛び出し、さらに何も持っていなかった手に、
細やかな浮き彫りのある金の如雨露が出現した。のりは拍手したが、手品が始まったわけではない。
翠星石は目を閉じ、如雨露を両手で掲げて、何やら呪文を唱えた。
「私の如雨露を満たしておくれ、甘ぁいお水で満たしておくれ」
その要求に応え、燐光が如雨露を中心に螺旋運動をすると、金属の容器からまばゆい光が溢れ出した。
別の世界に旅立っていた山本がびくりと反応した。巴ですら無視できないほどの輝きだった。
「光の水……?」
「驚くのはこれからですぅ。みんな私に付いてくるです!」
翠星石は緑のスカートをふわりと広げて身を翻し、人間たちを従え森の中へと駆けていった。
そして、一本の苗木の前に立ち止まると、それに如雨露の光る水を与えた。
「健やかにぃ、伸びやかにぃ」
それは降り注ぐ光の中で垂れた葉を擡げると、めきめきと音を立てて急成長を始めた。
「ぐんぐんのびて、雲の上までぇ」
翠星石よりも小さかった苗木は、みるみるうちに人間たちを見下ろす若木となっていた。
「さあ、みんな。枝に掴まって」
蒼星石の指示で、のりと巴が成長を続ける木の幹にしがみつき、空にあるという扉を目指した。
山本は渋ったが、人形たちまでもが枝に乗っかり、ひとりその場に取り残されると、結局ままよと後に続いた。
若木は童話で知られる豆の木のように、森からその身を突きだし、天高くそびえる巨塔へと変じていった。

383 : ◆qrN8aillXg :2007/01/04(木) 07:01:00 ID:Emfc6ZOH
蒼星石がタルジーの森と呼んだ黒い樹海は、上空から見ると、やはり果てというものがなかった。
迷い込んだ三人は、もし人形たちに出会えなかったら、時間の制限に関係なく迷子になっていただろう。
元から静かな巴はともかく、のりははしゃぎ疲れたのか、幹に抱きついて遠くの尾根を眺めていた。
枝に跨った蒼星石もまた、力なく幹にもたれ掛かって、ぼんやり空を見上げていた。
ただ一体、苗木を巨木に変えるという超常能力を行使した翠星石だけは、無駄に元気だった。
如雨露を収めた彼女は、枝から枝へ跳んで巴の前に来ると、今度はのりを盾にして指を突き付けた。
「人間! 蒼星石のネジが切れたらお前のせいですぅ! 蒼星石に謝りやがれですぅ!」
「私は口先で謝るつもりはないし、感謝するつもりもないわ」
巴は翠星石の方を見ようともせず、淡々と言い放った。苛立ちを押し殺しているようでもあった。
やり取りに気づいた蒼星石は、ふわりと浮かび上がると、憤りに燃える翠星石を鎮めに出向いた。
「落ち着いて、翠星石。僕のことはもういいんだ」
と、翠星石の肩に手を置いて枝に座らせてから、自身も巴の隣に腰を下ろして、紳士的に尋ねた。
「余計な詮索かも知れないけど、君はnのフィールドで何かやり残したことでもあるのかい」
巴は胡散臭そうに少年人形のオッドアイを見返したが、ややあって、最初に翠星石にした質問を繰り返した。
「貴方、水銀燈という人形のこと知ってる?」
「水銀燈? もちろん……」
「あっ、あんなヤツ知らんです! 翠星石の姉妹は蒼星石だけですぅ」
すかさず翠星石が蒼星石を遮った。しかし、それは却って、この双子と水銀燈との関係を明らかにした。
巴が「姉妹?」と呟くと、翠星石ははっと口を押さえた。のりが仰け反って、蒼星石を見つめた。
「蒼星石くんって女の子だったのぅ!?」
「えっ、僕、薔薇乙女って名乗ったよ。というか、驚くところ違うんじゃないかな?」
またか、という顔で、蒼星石は溜め息をついた。少年人形ではなく、少年風の少女人形だったのか。
「別に驚くことじゃないわ。貴女たちが水銀燈の姉妹だということは、何となく分かってたから」
巴は人形の性別についての関心など、微塵もないようだ。蒼星石の頬に滲む疲労の色が、一段と濃くなった。
「んー、水銀燈ちゃんって子がいるのね? だめよ翠星石ちゃん。兄弟で仲間はずれは、めっなのよぅ」
「ほっとけです! そんなの、人間どもが人類皆兄弟とか抜かすのと同じで、よーするに、赤の他人です。
私が言いたいのは、あんなヤツのことで、おめーらとケンカする理由はねーってことですぅ」
「まぁ、本当は私たちと仲良くしたかったのね!」
「なぁっ! 人間風情が増長するなですぅ!」
すっかり話の腰を折られてしまった蒼星石は、ひとつ咳払いをして、巴の事情を洞察した。
「そうか、なるほどね。どうして君がそんな険しい目をしてるのか、大体見当が付いたよ。
君は水銀燈に、大切な人を奪われた。そして、彼女を追って、この世界に迷い込んだ。違うかい?」
巴は答えず、森の彼方を睥睨して歯を食いしばった。蒼星石は頷き、侮蔑の言葉を吐き捨てた。
「そう。人間を糧扱いする性癖は治ってなかったんだね。本当にアリスに値しないドールだな、水銀燈は」

384 : ◆qrN8aillXg :2007/01/04(木) 07:04:17 ID:Emfc6ZOH
渺茫たる樹海の上に、層積雲の白い綿がいくつもわだかまっていた。地表から遥か1000メートルはあろうか。
成長、というより膨張を続ける巨木は、ものの1、2分で彼らを空の高みに運び上げていた。
妙に温かい風が樹上に繁る青葉をなびかせていたが、夢の世界だからといってしまえばそれまでだ。
「あらまぁ。もう、全然おうちが見えないわねぇ」
「のりは目が悪すぎですぅ。その眼鏡は飾りですか?」
常人の胆力なら目も開けていられない状況で、のりは平然と人形と談笑していた。
そして小心者の山本も、果敢に木の幹をよじ登ってきた。すっかり現実感を欠いているようだ。
「ねえ、巴ちゃん、って呼んでいいかな。あの人形と、水銀燈と何があったんだ」
「貴方には関係ありません」
冷淡極まりない反応だった。巴は、もはや山本に情報源としての価値がないと判断したのだろう。
「関係あるよ。あの人形に、ジュン君が連れ去られたんだろう? 俺のせいなんだ、いろいろと……」
「山本君……?」
ジュンの名前に、のりは笑みを失った。蒼星石は巴と同じく森の彼方を見つめたまま、人間たちに言った。
「何があったか知らないけど、君たちは、今は元の世界に帰ることだけを考えた方がいい。
ジュン君って言ったね。よければ、僕が連れ還してあげるよ」
何とも奇特な申し出が飛び出した。真っ先に反応したのは、翠星石だった。
「何言ってるですか、蒼星石!? お人好しにも程があるです!」
「そうよ、蒼星石ちゃん。いきなりこんなこと頼んじゃ、却って申し訳ないわ」
喜んで感謝すべき人間たちは、ただ困惑の色を見せただけだった。いや、巴など完全に聞き流していた。
「いや、責任があるのは、むしろ水銀燈の姉妹の僕たちだ。だから、落ち込まないで、山本君」
蒼星石はどういうつもりか、毅然と言い張った。しかし、そのオッドアイは、山本を見ていなかった。
「俺は悪魔なんかと馴れ合わないからな」
山本はぼそぼそと喋り、蒼星石の篤志を頑なに拒んだ。その態度に、気の短い翠星石が黙っていなかった。
「きーっ! ムカツクぅ! こんなヤツ、枝からおっぽり出しちまえですぅ!」
けたたましく喚いた直後、轟音と共に突風が襲来し、空気の壁が一同を紙くずのように吹き飛ばした。
のりだけは幹に抱きつき留まっていたが、数十メートルに渡ってしなる樹上にあって凄絶な悲鳴を上げた。
穏やかだった大気が前触れなく一変した。灰色の空は慟哭し、眼下の雲塊は散り散りに引きちぎられていた。
「翠星石のせいじゃないですよ!?」
当たり前だ。蒼星石は小さな手を伸ばし、四肢を振り回して絶叫する山本の襟首を鷲掴みにした。
「暴れないで! いくら夢でも……!」
「何なんだよ、アレ!」
山本は緑に覆われた大地の、ある一点を指さしていた。彼らからかなり離れた位置にも拘わらず、
森の木々が至る所で宙に舞い上げられているのが見えた。まるで煮え立つ鍋だった。
「ヤツですぅ。バンダースナッチが起きたですぅ……」

385 : ◆qrN8aillXg :2007/01/04(木) 07:07:06 ID:Emfc6ZOH
不可思議な現象など珍しくないこの世界でも、桁違いに破壊的な力が、樹海をのたうち回っていた。
「まったく、世話が焼ける小僧です! そこの木刀女も手を貸すです!」
荒れ狂う嵐の中、空飛ぶ人形たちは協力して山本を牽引し、揺れ動く巨木にしがみつかせた。
木刀女呼ばわりされた巴は、中空に留まったまま、天変地異の様を睨め付けていた。
何か呟いていたが、その言葉は暴風にかき消されて、誰の耳にも届かなかった。
「まずい。このままじゃ、僕らの庭が……。翠星石、この人たちを頼んだよ」
一方で、蒼星石の声は彼女の双子の姉に伝わっていた。翠星石は妹を怒鳴りつけて制した。
「庭より自分の心配をするです! マスターなしじゃヤツに勝てっこないです! それにもう時間が……」
「心配しないで。別に彼と戦おうってわけじゃない。興奮を静めてあげるだけさ」
その穏やかな言葉に翠星石が落ち着いた隙をついて、蒼星石は逆風の中に飛び出した。
「蒼星石!」
姉の悲痛な呼び声を、蒼星石は省みなかった。彼女の飛行速度ならば、目的地は目と鼻の先だった。
不意に、巴が後を追って現れ、横合いから何かを差し出した。青い絹のリボンを巻いたトップハットだった。
「落とし物よ」
蒼星石はびくっと震えて、乱れたショートヘアを手で探った。風で飛ばされたことに気づかなかったようだ。
人形は帽子をひったくり、間をおいてから、決まりが悪そうに目を合わせず「ありがと」と礼を言った。
その後も、人間が隣を並行して飛び続けるので、蒼星石は迷惑そうに尋ねた。
「どうして付いてくるんだい。扉はすぐ近くだったのに」
「貴女には二つ、いえ、三つも借りがあるんだもの」
巴の物言いに、蒼星石はまず呆気にとられ、一瞬だけ苦笑し、しかつめ顔で前方に向き直った。
「じゃあ、お礼は言わないよ。でも、覚えておいて。いくら君が強くても、力じゃあの魔物に敵わない。
あいつを止めるのは、時を止めるのと同じぐらい難しいんだ」
「貴女、時間を止められるの?」
「まさか。それにしても、こんな暴れ方は今までなかった。僕も初めて見るよ」
蒼星石は能力を韜晦し、話を変えた。巴は追求せず、自らの推量を打ち明けた。
「たぶん、その魔物とやらと、誰かが戦ってるわ。この風、知ってる気配がするの」
「なるほどね。君らと同じ、招かれざる客というわけだ」
蒼星石が皮肉っぽく笑った。それがこの人形の本心なのだろうか。もっとも、巴は意に介さなかった。
「貴女の体、あとどれくらい持ちそう?」
「5分、いや、10分は戦える」
「ネジが切れるって言ってたよね。どうして巻かないの?」
「ネジ巻きは持ち歩かない主義なんだ。意外とおしゃべりだね、君」
蒼星石はやんわりと、それ以上の質疑を拒絶した。巴は何か言いかけたが、いきなり蒼星石から飛び退いた。
へし折られた大木が暴風に乗って吹っ飛んできたからだ。既に彼女らは、狂える魔物の庭に立ち入っていた。

386 : ◆qrN8aillXg :2007/01/04(木) 07:09:57 ID:Emfc6ZOH
直上から見下ろす森は、巨大な爪で幾度も引っ掻いたように、方々で線状の傷が重なり合っていた。
「間違いない。あいつだ」
蒼星石がそれを見付けた。樹木を飛沫のごとく弾き飛ばしながら、魔物らしき何かが一直線に接近していた。
次の瞬間、強烈な衝撃波が二人を襲った。身構える余裕はおろか、悲鳴を上げる間すらなかった。
ただそれは刹那の出来事で、彼女らが大したダメージもなく体勢を整えると、もう魔物は遠ざかっていた。
「見えたかい?」
蒼星石の問いに巴は答えなかった。森は真っ直ぐに割れ、巨大な四足獣が横切った痕跡だけが残っていた。
遅れて、魔物のやってきた方向から、木やら土砂やらを渾然と孕んだ暴風が、轟音と共に迫ってきた。
それは明らかに魔物を後背から追っており、魔物以外の何者かが発生させたものに違いなかった。
「思い出した。この音は……」
巴が呟いた。風音に混じる、蚊の羽音に似たその旋律は、魔物を目で追っていた蒼星石の耳にも届いた。
「バイオリン? いや、まさか……」
巴は着地し、暴風を真正面から見据えて、左肩に竹刀を担いだ。右手は人差し指と中指を立て、印を組んだ。
「北斗神君来滅悪人、斬截冤家某甲頭、送上天門、急急如太上老君魁剛律令」
暴風から逃げもせず、訳の分からない呪文を唱え始めた巴に気づいて、蒼星石が青ざめた。
「何やってるんだ! 危ない!」
嵐がまさに小柄なセーラー服を飲み込まんとしたとき、彼女の竹刀が裂帛と共に迸った。
真っ二つだった。巴に斬られた暴風は勢力を失い、巻き上げられていた木々が、次々と森の跡に降り注いだ。
土煙の中から再浮上した巴は、遠くで破壊の直線を描く魔物に睨みを利かせ、呆れる蒼星石に提案した。
「先に、寝た子を起こした人たちを取り押さえた方がいいと思うの。魔物も、そこを狙ってやってくるはずよ」
「君の推理通りだといいね」
蒼星石に、あの異常に素早い魔物と鬼ごっこをする気力は残っていないようだった。
魔物が造った道をたどって飛ぶと、その輩はすぐに見つかった。爆心地のように荒涼とした森の跡に、
黒衣の尼僧と、弦楽器を持った黄色い人形がいたのだ。巴が興奮気味に怒鳴った。
「貴女たち……!」
柿崎と金糸雀の主従も、巴たちと同じく、水銀燈の世界から追い出され、この森に飛ばされてきたらしい。
金糸雀が、飛来した巴と翠星石を見上げ、交互に弓で指して叫んだ。
「嘘! 迷子になったんじゃなかったかしら! 蒼星石まで!? どうなってるのかしら!」
蒼星石が「知り合いかい?」と巴に尋ねると、「全然」という返答があった。
「ほら、金糸雀。よそ見しないの。そろそろ悪魔が戻ってくる頃よ」
倒木に腰掛けた尼僧が、気だるそうに金糸雀を叱った。楽士人形はバイオリンを構えつつ、愚痴った。
「ちょっとは手伝ってくれてもいいんじゃないかしら!」
「私ね、無駄なことはしたくないのよ。音より速く走る悪魔相手になんて、とても歌う気がしないの。
そういうワケだから、がんばってね」

387 : ◆qrN8aillXg :2007/01/04(木) 07:12:43 ID:Emfc6ZOH
魔物が何度もこの場所を通過したのだろう。周囲に無事な立木は一本たりとも残っていなかった。
「無伴奏バイオリンのためのソナタ、ハ長調」
金糸雀が魔曲を奏でると、取り巻く空気が目に見えて圧縮を始めた。この演奏が嵐を起こしていたのだ。
蒼星石は険悪な顔で金糸雀に近寄り、弓を鷲掴みにして強引に演奏を止めさせた。
「何をするのかしら! だいたい、久しぶりに会った姉妹に挨拶もなしでって、聞いてるのかしらー!?」
蒼星石は金糸雀のさえずりを黙殺して、巴に要求した。
「巴。ほんの一瞬でいい。君は時を止められるかい?」
山本が一度だけその名を呼んだのを、蒼星石は覚えていた。巴は大地に降り立ち、竹刀を担いで構えた。
出し抜けに、激しい衝撃波が大気を打ち据えた。魔物だ──と認識できた時には、またしてもそこに姿はなく、
木々を蹴散らして離れていく何かが彼方に見えただけだった。本当に音よりも速いのかも知れなかった。
巴は最初の位置から数十メートルほど後退し、赤熱した竹刀を正眼に構えていた。
ローファーが地面に二本の轍を刻み、魔物に力負けして引きずられたことを示していた。
「てんでお話にならないかしら」
「また、ちょっと見晴らしがよくなったわね」
魔物の体当たりから逃げた連中が好き勝手に言っていたが、巴は相手にせず咒言を唱えた。
「天殺黄黄、地殺正方、千鬼万神、誰復敢蔵、飛歩一及、百鬼滅亡、急急如律令」
次に深呼吸し、竹刀を逆手に持つと、勢いよく足元に突き立てた。霹靂のごとき響きと共に大地が鳴動した。
「ひぃ! 地震かしらぁ!」
森が削がれて剥き出しになった荒れ野を、縦横無尽に亀裂が走り、表土が振動によって砂と化した。
巴の攻撃はここからだった。竹刀を構え直し、ある方向に狙いを定め、そして──。
足音よりも速く駆けてくる魔物の巨体を、彼女は三度目にして捕らえた。
液状化した地面によって加速力を失った魔物は、慣性で巴の前に飛び出し、嵐すら断つ剣と正面衝突した。
時は止まった。首の長い、斑模様の猛獣が、鋭い牙で竹刀に齧り付いている姿を露わにした。
「チェックメイトだ!」
蒼星石は叫ぶと同時に魔物の背の上に瞬間移動し、あの大鋏で鬣のあたりをざっくり切った。
魔物は脱力し、そのまま地に崩れ落ちた。息絶えたかと思いきや、寝息で穏やかに腹を上下させ始めた。
鋏で切られたはずの首筋には何故か外傷がなく、また不可思議な能力が使われたに違いなかった。
「まったく、あんな滅茶苦茶な止め方して。金糸雀と同じじゃないか。……だけど、もういい。帰るよ」
蒼星石は今の攻撃でほとんど力を使い果たしたらしく、投げ遣りなことを言ってよろよろ飛び立った。
「あ、待って、巴ちゃん。それと、蒼星石? ダメよ、悪魔はきっちり殺さなくちゃ」
まだ厄介な人物がいた。この状況を待っていたとばかりに、柿崎が両手を広げ、高らかに歌い始めた。
すると、眠ったばかりの魔物が長い首を擡げ、前足を起こし、至近距離から巴に向かって突進した。
魔物の動きは先程に比べて鈍く、間一髪、蒼星石が巴ごと瞬間移動して直撃を免れたのだが──。
この危険な状況に、そうとは知らず飛び込んでくる者があった。

388 : ◆qrN8aillXg :2007/01/04(木) 07:15:35 ID:Emfc6ZOH
「なにやってるですか、蒼星石ぃ!」
飛来した翠星石は、巴に抱かれてぐったりしている蒼星石を目の当たりにして、悲鳴に近い声を上げた。
それから、砂地に半分埋もれて、こそこそ逃げようとしている黄色い人形を発見し、怒声を浴びせた。
「金糸雀!? さてはこの騒ぎの元凶はお前だったですか!?」
正解である。金糸雀は震え上がって「誤解かしらー」などと鳴いたが、翠星石は聞いていなかった。
「遅いと思って様子を見に来てみれば……。蒼星石の無鉄砲!」
周りも見ずに姉妹との会話を始めた翠星石を、巴は有無を言わさず左腕で抱きかかえて飛翔した。
直後、彼女らがいた空間を、勢いよく魔物の牙が抉った。投げ出した竹刀は、遠くに弾き飛ばされてしまった。
「なんなんです、あの歌ってる人間は? 金糸雀のマスターですか?」
「気にしなくていいわ。頭がおかしいのよ」
「お前には聞いちゃいねーです! ……蒼星石? 蒼星石!?」
蒼星石の体からギチギチと異音が鳴っていた。緑と赤のオッドアイが、あらぬ方向に向いていた。
「こうしちゃおれんです! とっととnのフィールドから……後ろです!」
跳躍し飛びかかってきた魔物を、巴は急降下して回避した。翠星石にも見える程度の緩い速度だったが、
その分小回りが利くようになり、しかも執拗に巴を狙うようになってきた。
巴に大人しく抱えられていた翠星石が、蒼星石のケープの下に手を伸ばし、何かを取り出した。
「人間、この指輪を嵌めるです。蒼星石はこれを通じて、お前の力を受け取れるです」
それは薔薇の彫金の入った指輪だった。意識が戻った蒼星石が目を見開いて、弱々しく身をよじった。
「やめて翠星石……! 僕は気高く咲き誇る薔薇乙女、人間の施しは受けない……!」
「蒼星石の意地っ張り! なら、これでどうですか!」
と、翠星石は袖口からもう一つ薔薇の指輪を取り出し、巴の左手薬指に嵌めた。
巴が何も言わずに受け入れると、指輪は目も眩むばかりの光を放った。
「それは翠星石の……? 何てことを……」
「翠星石は、蒼星石のためなら、何だってするです。何だってできるです」
翠星石は微笑みすら浮かべていた。蒼星石は強く頷き、巴の左薬指に第二の輝きが宿ることとなった。
双子の人形の新たな主は、敵に背を見せることを止め、詠唱する柿崎と対峙した。
蒼星石の手には大鋏、翠星石の手には如雨露。向かい合う魔物は牙を剥きだし、頭を低くして構えた。
「両者、そこまで」
卒然として、場の中心に、タキシードの怪人が出現した。その頭部は、どう見てもウサギそのものだった。
「未熟な実をもいでも、上等なデザートにはなりえません。実にトリビァル!」
ウサギ頭の怪人が意味不明の言葉を告げると、液状化で脆くなった地面が蟻地獄の巣のように陥没した。
その場の全員は、怪人の唐突すぎる登場に驚く間もなく、底知れぬ暗黒の淵に吸い込まれていった。
闇の上の怪人は、彼らを見送って、誰にともなく囁いた。
「お楽しみは、来るべきアリスゲームにて」

389 : ◆qrN8aillXg :2007/01/04(木) 07:20:56 ID:Emfc6ZOH
光のない穴をしばらく自由落下した後、巴はふかふかの赤い絨毯の上に尻餅を付いた。
見上げると、安楽椅子に、カーディガンを膝に掛けて異国の少女が眠っていた。
彼女について印象的なのは、薔薇十字とペリカンらしき鳥を赤い糸で刺繍した黒いネクタイ、
そして何より、赤々と燃える暖炉の明かりで輝く、透明に近い金色の髪だった。しかし、何者なのか。
マントルピースの上に掛かった大きな鏡が青白く発光し、そこから蒼星石、翠星石が飛び出してきた。
巴自身も、その鏡からこの薄暗い部屋に抜けてきたようだ。
「あいつらは……!?」
未だ臨戦態勢の蒼星石が鋏を構えて周囲を見回した。だが、その鏡を抜けたのは巴と双子だけで、
彼らに続いて何かが出てくる気配はなく、鏡の発光は収まった。
「良かった。無事に、帰って来れたみたいだね」
安全を確認して、蒼星石がほっと一息ついた。巴は再び室内を見渡してから、小声で同意した。
「そうね。夢の世界と違って、すごく頭がスッキリしてるもの。ここは知らない場所だけど」
「そこでうたた寝こいてる、オディールの家ですよ」
巴はオディールと呼ばれた少女よりも、当然のように日本語を話している西洋人形たちをまじまじと見比べた。
オーガンジーのリボンつき頭巾とシルクのリボンを巻いた紳士帽、ロングヘアとショートヘア、
そしてスカートとズボンという対照的な部分もあれば、ケープカラーのブラウスと、その上の黒いウェスキット、
履き物のサボなどは共通の衣装である。二体とも両眼の瞳の色が異なる、いわゆるオッドアイだが、
翠星石は左目が赤で右目が緑、蒼星石は左目が緑で右目が赤と、これも共通していながら対照形だ。
「ぼんやりしてて分からなかったけど、貴女たち、本当に双子なんだね。同じ顔をしてるわ」
「私もお前のこと、瞬き一つしない冷血爬虫類女だと思ってたですけど、こうやって見ると割と普通の子供です」
何やら酷い言い様だったが、翠星石は巴と最悪な出会い方をした割に、もう心を開いたようだ。
「ねえ。もしも、夢の中で死んでたら、どうなってたの」
膝を抱えて座り込んだ巴が、藪から棒にそんな質問をした。蒼星石が薪の爆ぜる音でうとうとしているので、
翠星石は面倒くさそうに教えてやった。
「nのフィールドのことを言ってるなら、あそことこの世界とは表裏一体です。言わずもがなですぅ」
「そう、死んじゃったんだ」
「まったく、おかしなことを言うヤツです。ふぁあ……、限界です。私ももう寝るですぅ」
翠星石はひとつ欠伸をして、温かいの絨毯の上で俯せに寝転がった。蒼星石がその背中を揺すった。
「もう、翠星石。こんなところで、お行儀が悪いよ」
「蒼星石も半分寝てたくせに。巴、翠星石たちを鞄まで運んでおくです。場所はオディールが知ってるですぅ」
翠星石は一方的に喋って、寝息を立て始めた。巴が「鞄?」と聞き直しても返事がなかった。
「ごめん、巴。やっぱり僕もお願い。起きたら、庭の様子を見に行かなきゃ……。のりたちも……」
連鎖的に、蒼星石まで大の字になってしまった。巴は立ち上がって、また部屋の観察を始めた。
ふと安楽椅子に目を向けると、金髪の少女が薄目を開けて巴を見ていた。

390 : ◆qrN8aillXg :2007/01/04(木) 07:24:26 ID:Emfc6ZOH
「He...」
オディールは巴を見付けて、眉を顰めた。目覚めたら部屋に見知らぬ人物がいたのだ。当然である。
しかしその緑の瞳は、巴よりも、むしろ彼女の指先に向けられていた。そこにはあの契約の指輪があった。
「C'est ça l'anneau de Corinne... Eh ben... Pourquoi vous prenez le sien?」
「この指輪、あなたのなの? それより、この子たちの鞄……」
巴が床に転がった人形を指して言い終える前に、オディールは飛び起きて、部屋のドアへと走った。
そのまま逃げていくかと思いきや、後ろ手で鍵を閉め、巴に向かって何事か叫んだ。
「Pousse! Petites lianes!」
すると、どこからともなく発生した野いちごの蔦が、巴の全身に絡みつき彼女の所作を封じた。魔術か。
「なぜアナタなの。日本人だから?」
その流暢な日本語を発したのは、何とオディールだった。年の頃は、巴と変わらないように見えた。

山本少年が意識を取り戻したのは、薬品臭の漂う病院の待合室だった。
備えつけのテレビはワイドショーを流していた。午前8時45分。朝から割と混み合っていた。
ブレザー姿の山本の両手は、依然、ギプスと包帯の内側だった。彼は寝ぼけ眼で呟いた。
「あれ。ひょっとして、夢……?」
向かいで松葉杖を抱えた坊主頭の子供が、にやりと笑った。赤面した山本に、背後から誰かが声を掛けた。
「ひょっとして、山本君じゃありませんか」
振り返ると、黒いスーツの青年が微笑していた。山本は「はあ」と生返事して、相手をよく観察した。
カニ目の眼鏡、黒い長髪に白皙の優男だが、ネクタイまで黒いせいか、不吉な印象を醸していた。
「義父のお知り合いの方ですか」
「いやあ、これは失礼。お話しするのはこれが初めてでしたか。ええ、神父様には毎度お世話になってます。
私、白崎セレモニーガーデンの白崎と申します。今後ともご贔屓に」
と、やたらにこやかに名刺を差し出してきた。やはり葬儀屋だった。
「突然ですが山本君。君は、ローゼンメイデンというものをご存じですか?」

(続く)

次回予告:
「酷いですよ白崎さん、夢オチなんて!」
「いやいや、山本君。今時、夢オチはないでしょう。というか、僕に言われても困っちゃうな」
「じゃあ、桜田さんは一体どこに!? 桜田さーん!」
「まあ、落ち着いてください。おや、ひょっとしてその方に急用ですか。
両手が使えないと、身の回りのお世話が必要ですからね。生理現象とか」
「そのネタ毎回言われてるんで、もう勘弁してください」
「うーん、仕方ありませんね。じゃ、僕がお世話をして差し上げましょう」
「やめっ、そういうことじゃなくって! アッー!」

第4話 茶家 die Teekennerin

391 : ◆qrN8aillXg :2007/01/04(木) 07:42:25 ID:Emfc6ZOH
いつも次回予告超テキトーなんで、代わりに。

第1話 案内人 die Empfangsdame
 水銀燈(Mercury Lampe) 黒い翼を持つ薔薇乙女。人工精霊メイメイはプラズマ状物質を操る。
 山本 神父を目指す高校生。病院で奉仕活動中に桜田姉弟と出会い、アリスゲームに巻き込まれてゆく。
 桜田ジュン 金の糸を操る異能者。永遠の孤独の夢に囚われ、死を願う少年。水銀燈と契約。
 柿崎 (自称)十字軍聖歌隊長。全ての悪魔・魔術師を滅ぼさんとしている。金糸雀と契約。
第2話 楽士 die Spielerin
 金糸雀(Kanarienvogel) バイオリンで魔曲を奏でる薔薇乙女。ピチカートは気体状の物質を操る。
 桜田のり ジュンの姉。一見普通の少女だが、記憶の一部が魔術で封印されている。
 柏葉巴 神仙術を使う少女。ジュンの秘密を知っている。翠星石・蒼星石と契約する。
第3話 庭師 die Gärtnerinnen
 翠星石(Jade Stern) 双子の薔薇乙女。スィドリームは液体を操り、庭師の如雨露は植物の生育を操る。
 蒼星石(Lapislazuli Stern) 双子の薔薇乙女。レンピカは空間を操り、庭師の鋏はアストラル体を切断する。
 バンダースナッチ(Bandersnatch) タルジーの森に棲息する、凶暴な魔物。
 ラプラスの魔(le Démon de Laplace) 謎のウサギ男。薔薇乙女同士の私闘を禁ずる。
 オディール(Odile Fossey) 薔薇十字団団員。ローゼンの生まれ変わりを探している。後に■■■■と契約。
 白崎 葬儀屋。9秒間の予知能力を持つ男。なぜか薔薇乙女に詳しい。
第4話 茶家 die Teekennerin
 真紅(Reiner Rubin) お茶と錬金術に詳しい薔薇乙女。ホーリエは時間を操る。
 梅岡 外科医。ジュンの担当医だった。本名は■■■■。
 佐原 内科に勤務する看護師。白崎に遺体を流し、金を受け取っている。
 草笛みつ ニート。働いたら負けだと思っている。真紅と契約するが、逆に僕にされる。
 槐 神父。山本の養父。薔薇十字団らにより、ローゼンの転生者と目される。柿崎に金糸雀を渡した。
第5話 語り部 die Erzählerin
 雛苺(Kleine Beere) 子供らしい無邪気さと残酷さを持つ薔薇乙女。ベリーベルは重力を操る。
 道化師の人形 薔薇屋敷に潜む人形。トランプを使って侵入者に攻撃する。金の糸で操られている。
 桑田由奈 巴のクラスメート。ジュンと交際しているという噂のために、各方面から狙われる。
 結菱一葉 魔術師。雛苺のマスター。旧華族で結菱グループ創業者の子孫。生き別れた孫娘を捜している。
 柴崎元治 結菱家執事。薔薇屋敷を管理する。ジュンが幼い頃から親しくしていたらしい人物。
 コリンヌ(Corinne Fossey) 故人。オディールの祖母。双子の人形の元マスター。薔薇屋敷に肖像がある。
第6話 家庭教師 die Gouvernante
 薔薇水晶(Rosenkristall) 伯爵によって作られた人形。光を操り、薔薇乙女たちを凌駕する力を持つ。
 雪華綺晶(Schneekristall) 最後の薔薇乙女。あらゆるものを奪う能力を持ち、特に熱量を奪うことに長ける。
 ジャバウォック(jabberwock) ポールが使役する竜のような魔物。愛称はジョナサン。
 伯爵 薔薇十字団団長にして人形師。サンジェルマン伯爵と噂される。本名は■■■■。
 サラ(Sarah) 薔薇十字団団員。薔薇水晶のマスターに選ばれる。オディールをライバル視するロンドン娘。
 ポール(Paul) 薔薇十字団団員。サラの付き人。ジャバウォックを召喚する。

392 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/04(木) 14:48:50 ID:8rFxSIll
相変わらず面白い。
結構先まで構想固まってるんだな。



あとみっちゃんだけ説明酷くて吹いたwww

393 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/05(金) 02:19:18 ID:DuKDxhk8
アッ−!まで読んだ

394 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/06(土) 17:42:49 ID:tY/1A932
かなり先まで話を決めてるのに少し驚いた

続きが気になるよ

395 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/09(火) 01:05:10 ID:RJkA4zOa
続きを!! 続きを!!

396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/09(火) 04:12:11 ID:thwT1sxm
きらきーのドイツ語名ってどこにあったの?

397 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/10(水) 17:13:16 ID:diLhVKrB
みつにバロスww

398 :めぐ:2007/01/10(水) 18:42:17 ID:RYVr+FJP
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1168360503/1-100

399 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/11(木) 00:01:19 ID:BSm4ldRx
摩女っ子めぐちゃん。

400 :めぐ ◇oMj9YMFprE :2007/01/11(木) 02:57:36 ID:BIiNph4l


401 :めぐ ◆BxcCyaZel6 :2007/01/11(木) 02:59:06 ID:BIiNph4l


402 :めぐ ◆BxcCyaZel6 :2007/01/11(木) 03:00:06 ID:BIiNph4l


403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/12(金) 23:11:07 ID:smujN+Gs
2ちゃんが閉鎖するらしいが…

404 : ◆qrN8aillXg :2007/01/13(土) 02:28:19 ID:mcFq1naI
僕の肛門も閉鎖されそうです

405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/13(土) 11:04:42 ID:hX6TKik5
なんか大丈夫っぽいけどな。

>>404
頑張れ。期待してる。

406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/14(日) 13:10:49 ID:ApgoLJSP
>>404
期待しております。続きを! 我らに希望を!!

407 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/18(木) 20:28:36 ID:AaOXHWfM
>>404
つづきー

408 :めぐ ◆4qzYeyGicU :2007/01/19(金) 23:13:57 ID:Ch07fWPT
http://tmp.2chan.net/guro-gazou/src/1169200597381.jpg

409 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/21(日) 08:48:34 ID:LIzqDjc5
ここは桜田家
誰も居ない桜田家のリビングでドール達は主人の帰るまで思い思いの時間を過していた
そこへ雛苺が顔を上気させて部屋に飛び込んで来た
「真紅〜!翠星石〜!大変なのよ〜!」
「うるさいわ雛苺、今クンクンの良い所なのだから」
「そんなに慌てて何があったですか?( ゚∀゚)o彡゚」
庭で花壇に水をあげていた翠星石が食い付いてきた
雛苺はさも特ダネを得たことをに嬉しそうにして
「ジュンに彼女が出来たみたいなのよ〜!!今日ふたりっきりでデートするみたいなの〜〜!!\(^O^)/」
それまで黙ってクンクン探偵を観ていた真紅の眉がかすかにピクッと動いた
とほぼ同時に翠星石が信じられないといった表情で驚いていた
「ええ〜〜!?あのチビ人間に彼女が〜〜!?ですか?」
ジュンは今や高校3年生
すっかり引きこもり生活からは脱却して自宅から少し遠い高校生活を送っていた
高校生になってからは背丈がグングンと伸びてすでに「チビ人間」では無くむしろ身長が高い部類にあったが
翠星石なんかはいまだに「チビ人間」と呼んでいた
また元々物静かな性格で背の高さとあいまってクラスの大抵の女子から気になる程度の存在になっていた
「フ、フン!あの人間の小さいチビチビ人間に、か、彼女なんかで、出来るわけねーデス!」
翠星石は明らかに動揺して声を震わせていた
さらに雛苺の追い打ち
「本当なの〜!楽しそうに電話してたし、ぱそこんのめーるも見ちゃったの〜!\(^O^)/」
翠星石はハンカチを口にくわえながら消え入りそうな声で
「きっと私達、用無しになってあのチビ人間に棄てられて路頭に迷うんですぅ、えうぅぅぅ、もうノリの美味しいゴハンとお菓子も食べられないんですぅ」
それを聞いた雛苺は血の涙を流しながら
「えぇぇぇぇえ〜!そんなの嫌なの〜!嫌なの〜!うにゅ〜!〆♀◎§♭〜うに※/!£〜ゅ〜〜!!!」
もはや声になっていない
たった今クンクン探偵を観終わった真紅がリモコンを静かにテーブルに置き口を開いた
「雛苺、そのデートとやらの場所はわかる?」
雛苺はやっと落ち着いていたものの泣き顔で
「う、うん映画館」
とだけ答えた
「見にいくわよ!」
「ですぅ!」
かくしてドール達によるデート妨害大作戦がきって落とされた!


410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/21(日) 21:21:38 ID:Ou3tyAKa
ワクワクテカテカ

411 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/21(日) 22:26:35 ID:LIzqDjc5
騒乱篇

真紅達は雛苺の情報からジュンの待ち合わせ場所と思われる
人気の無い公園の植え込みで張り込みをしていた

ガサ・ガサガサ・・・
草むらの中で動めくドール三体
「雛苺、本当に此処で間違いないの?此処は虫が多くて私にふさわしい場所ではないわ」
偽装したつもりだろうか?頭に木の枝を2本差した雛苺が反論する
「ぜったいぜ〜たいほんとうなの〜〜!めーる見たから間違いないの〜(o~-')b
即答である。
雛苺は自信満々で答える
「まったく、どこからそんな自信が出てくるです?そもそもあのチビ人間がデートだなんて
改めて考えてみたらありえねーです!これはきっと水銀灯のワナです!(*゚Д゚)」
もう飽きたのか翠星石は悪態を着き初めていた
「あら?あれは?」
ふと真紅が公園の壁に貼ってあるポスターに目をやる
「ク、クンクン!?」
そうである今はちびっこ映画祭りの時期で
クンクン探偵も劇場版として全国で上映されていたのだ
真紅は何かに取り付かれたような笑みを浮かべながら
夢遊病者のようにフラフラと映画館の方向へ向かって行った
「真紅そっちはだめなの〜〜〜!!うにゅ〜がだめなの〜〜!!!」
「何してるのですか!?戻ってくるですぅ〜〜!!!」
いきなり作戦を無視した真紅の行動に二人も錯乱気味になっていた
それを遠くから呆れた眼差しで見つめる二人の男女
「なにやってるんだ?あいつら?」
「さあ?」
ジュンとノリは訳が分からずに3体のドールの騒動を見つめていた
終わり!


412 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/21(日) 22:43:37 ID:LIzqDjc5
誰も居ないのかなぁ?
アニメしか見てないからキャラ設定間違ってたらスマンです


413 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/21(日) 23:38:54 ID:xhHaIbIg
>アニメしか見てないから

ひょっとしてギャグで言ってry


何で一つ屋根の下で暮らしていて
年がら年中、朝昼晩と顔つき合わしている実の姉の のり と わざわざメールでやりとりしとるんだジュンは?

おさななじみの巴ならまだわかるが。

414 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/22(月) 00:06:32 ID:m0EJV6qe
>>412
ROM専だけど見てるよ
おもしろかった!

>>413
のりが外出中に家に居るJUMを誘ったとかそんなとこ?

415 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/22(月) 09:18:26 ID:JxMwqFzA
大学生?になっても弟溺愛ののりと高校生のジュンは
新たなる波紋を呼びそうだ

翠  「チ・・・チビ人間達は姉弟でベタベタし過ぎですぅ!」
ジュン「へ〜、じゃあお前と蒼星石は姉弟でもベタベタしないんだな?」
翠  「うっ・・・それは・・・」
蒼  「・・・姉弟・・・」

416 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/22(月) 12:53:21 ID:1gVgcK/O
突撃篇

春うらら晴れたポカポカ陽気の昼下がり
暖かい日光が差し込める室内にカチッカチッと
軽快に小気味良い音が響く
「フン♪フン♪フン♪チビ人間だけ楽しい思いをしているのは許せないですぅ♪」
翠星石は以前からジュンがパソコンに向かって
何やら楽しげなことをしていると気になっていたから
ジュンの留守にこれ幸いと見よう見まねでデスクトップの前に陣取った
「翠星石もぁゃι〜ぃ物を注文とかしてスリルとやらを味わうですぅ(゚∀゚)」
両手より大きなマウスをぎこちない動きで操作していた
「ん?Rちゃんねる?何かしらですぅ」
ネットサーフィンををしている内に翠星石はとあるサイトを見付けた
「趣味・人形板…何だか面白そうですぅ!( ゚∀゚)o彡゚しょ〜がないから見てやるかです!」
意気ようようと翠星石は掲示板に突撃していった…


思い付きで書いたっす残りはまた考えてからにします

417 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/22(月) 16:08:09 ID:1gVgcK/O
ツンギレ篇

翠星石がRちゃんねるに突撃してから数十分後
「ムキ〜〜!!まったくまったくまったくもう!!!
ムカツクです!ムカツクです!ムカツクです〜〜〜!!!!」
ガンガンガン!!
翠星石はキーボードに八つ当たりしていた………
哀れ何も罪の無いキーボードは到るところボタンが剥がれ落ち
「ここの連中ムカツクです!!
特にあの『名無しさん』って野郎がムカツクです!
しかもあの書込みの量、半端無いです!!
チビ人間より暇人な野郎です!!(*゚Д゚)」
そのとき
「ただいま〜」
玄関からジュンの声がする
どうやらパソソコンの持ち主が帰ってきたようだ
普段の翠星石なら慌てて証拠隠滅を図るのだろうが
怒り浸透の翠星石は階段を物凄い勢いで駆け降りてジュンに詰め寄った
余程悔しい思いをしたのであろうか
翠星石マジ泣きである
「こんな最低な機械を使ってるお前はまったく持ってやっっぱり
チビ人間ですぅ!!」
おしまい


仕事中だというのに勢いで、ぅpしてしまった
今は反省している

418 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/22(月) 16:46:07 ID:m0EJV6qe
短いながら面白いwww
出来ればもうちょっと長く見たかった

419 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/22(月) 17:28:24 ID:1gVgcK/O
ウケるとやはりやる気がでるっす
またなんか思い付いたら投下しますんで

420 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/22(月) 19:14:30 ID:JxMwqFzA
続編キボ

ニュー速編、VIP編、双葉編、mixi編
懐かしのniftyフォーラム編とか

421 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/22(月) 19:23:50 ID:1gVgcK/O
ツンギレ再び!篇

翠星石がパソコンで悔し涙を流していた時を同じくして

ここは桜田方の町内にある漫画喫茶
真紅と雛苺はのりに連れられて
3人は漫画喫茶のブースの中に居た

「わーいo(^-^)oジュースにお菓子にうにゅ〜!!
漫画喫茶って面白いね!!」
雛苺がパソコンのモニターの上で飛びはねていた
「雛苺、他のお客様にも迷惑よ
静かにするのだわ」
くんくんの絵本を読んでいた手を停めて
真紅が紅茶を飲みながら諭す
「でもふたりとも連れてきて良かったわ〜
たまにはお外の空気も吸わないとね!(^o^)
でも翠星石ちゃんも一緒について来れば良かったのに
何で来なかったのかしら?」
のりが本当に残念そうに言った
「何でも今しか出来ない事があるからって言ってたわ」
「ねえねえ真紅見て見てなの〜!
このRちゃんねるって面白いの〜!!」
雛苺が無邪気にはしゃいで見ていた画面は
あの趣味・人形板であった!
「でも雛苺ちゃん
そのサイトってあまり評判よくないわよ
辞めておいたほうが……」
のりの心配をよそに雛苺はどんどん書き込みを続けていた
「………この名無しさんって
何だかヒナ嫌いなの………」
真紅とのりの雛苺の書き込みを呆気に取られて眺めるしか術はなかった


そしてツンギレ篇へ


422 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/22(月) 19:28:03 ID:1gVgcK/O
間違い

×真紅とのりの雛苺の書き込み
○真紅とのりは雛苺の書き込み

423 :真紅と水銀燈 1:2007/01/22(月) 23:48:49 ID:Sje1V/Jj
真紅は雪華綺晶によって体を喰われてしまった。おまけにローゼンから
頂いた真紅のドレスも切り裂かれて・・・
幸いにも翠星石と金糸雀の救援によって全て食われる事は防がれたが、
片脚と片腕は完全食われて無くなり、片目も潰されてしまった。
水銀燈に右腕をもぎ取られた事はあったが、あくまで外れただけなので
また接続させる事は可能であったが、今は違う。
完全に食われて無くなった片目と片腕と片脚はもう戻って来ないのである。

片目と片腕と片脚を失い、落ち込む真紅を皆は慰めようと優しくしてくれた。
ジュンも移動する際は積極的にジュンを抱っこしてくれるようになった。
確かに真紅にとって嬉しい事なのだが、同時に申し訳無いと言う感情もあった。
「ジュン・・・ごめんなさい・・・。」
真紅はジュンに心の底から謝るようになった。今までならば下僕に謝るなど持っての他で
あったと言うのに・・・。それだけではない。それまでは下僕に命令する事は
当然であり、いくらジュンをこき使おうとも何とも思わなかったと言うのに、今は違う。
ちょっとした頼み事でも申し訳なく感じるようになった。それまで嫌々聞いていたジュンが
積極的に聞くようになった事もますます真紅にそう思わせた。

それから数日が経ち、真紅も片目片腕片脚の生活にも徐々に慣れてきた。
そして一人ジュンのベッドの上で本を読んでいた時だった。突然上から黒い羽が
ヒラリと落ちてきた。
「これは・・・ついに来たのね・・・水銀燈。」
真紅は水銀燈が来た事を悟った。片腕片脚を失って満足に動く事も出来ない真紅に
止めを刺し、ローザミスティカを奪う為に水銀燈が参上したのだろうと。
今の真紅を倒す事は誰にでも可能な事である故に水銀燈が動き出す事も
真紅にとって想定の範囲外では無かった。
「来なさい水銀燈・・・。私はここにいるわ。もう覚悟は出来てる。その最期を
ジュンに看取って貰えないのが唯一の心残りだけど・・・。」
覚悟を決めた真紅は堂々と水銀燈を呼んだ。そして水銀燈が現れる・・・が・・・
「水銀燈・・・?あなた・・・。」
「な〜にその姿・・・片腕と片脚がなくなってるなんて無様な姿・・・
もう正真正銘なジャンク・・・本当お馬鹿さんね・・・お互い・・・。」
真紅の前に現れた水銀燈の姿は真紅同様に片脚を片腕が失われ、漆黒のドレスも
無残に引き裂かれ、頭も半分近く無くなっていると言う、それまで恐怖の対象だった
最凶のドールの印象とは打って変わって変わり果てた物だった。
そして多くの羽が引き抜かれ、今にも折れてしまいそうな程弱った翼で
辛うじてバランスを取りながら真紅の方へ近付いた。
「貴女もまさか雪華綺晶に?」
「それは貴女もじゃない。お馬鹿さんね〜お互い・・・。」
水銀燈は顔は笑っていたが、その口調は弱々しく悲しげだった。
「幸い真紅が失った片腕と片脚と片目は私の残ってる部分で補える。
私の身体をあげるから、私の変わりに仇を討って頂戴・・・。」
「え?いきなり何を言うの水銀燈!貴女が私から奪うのではなくその様な事を言うなんて・・・。」
真紅は我が耳を疑った。水銀燈の性格なら真紅の全てを奪って自分の物にするのは
目に見えており、今の様な状況は信じられなかったのである。だが、水銀燈の目は
真剣であり、一粒の涙も流れ落ちていた。

424 :真紅と水銀燈 2:2007/01/22(月) 23:51:22 ID:Sje1V/Jj
「私だって正直あんたなんかにこんな事するのは嫌なのよ。でも、それ以上に雪華綺晶・・・
あいつが許せないのよぉ!私の体だけじゃない・・・あいつは・・・あいつは・・・
めぐの命まで・・・全て持って行ってしまったのよぉ・・・。だから真紅!私の体と
ローザミスティカをあげるから代わりに仇を討ってぇ!」
「そ・・・それは私だってそうしたいけど・・・でも・・・。」
真紅はうろたえた。水銀燈にここまで頼み込まれると言う事もそうだが、
そんな水銀燈から体とローザミスティカを奪う事など気が引けたからだ。
「出来ないわ・・・。貴女の体とローザミスティカを取るなんて・・・。」
「真紅・・・そんな事言うの?なら私が・・・。」
躊躇する真紅に顔を豹変させた水銀燈が残った片腕を振り上げた。弱気な真紅に止めを刺し、
自分が真紅の体とローザミスティカを奪うのだろうと思われたその時だった。
振り下ろされた水銀燈の片腕は真紅ではなく己の腹に叩き込まれていた。
「水銀燈!?」
「うう!うぁぁぁ・・・。」
己の腹を突き破った水銀燈はそのままローザミスティカを抉り出して真紅の前に掲げた。
「貴女が・・・やらないと言うのなら私が・・・やらせる・・・。これで・・・絶対に・・・奴を・・・。」
水銀燈は倒れた。そしてこれ以上動く事は無かった。
「水銀燈!」
真紅はもうただの壊れた人形になってしまった水銀燈を抱き上げ泣いた。心の底から泣き崩れた。

水銀燈のローザミスティカを取り込んだ真紅は、事情を聞いたジュンに手伝ってもらって
雪華綺晶によって奪われた片目片脚片腕を水銀燈から頂いた部分で補った。
だがそれだけではない。修復された真紅の背には漆黒の翼が生えており、ドレスも
真紅本来のドレスと水銀燈が着ていた漆黒のドレスを縫い合わせた新しいデザインの物になっていた。
彼女がこうしたのは水銀燈の意思を継ぐと言う意味合いがあったのだろう。

「水銀燈・・・貴女の意思は私が継いであげるから・・・見ていなさい・・・。」
真紅が雪華綺晶を倒す事が出来るかは・・・また別の話である。
                   おわり

425 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/23(火) 00:24:03 ID:fbraUC9O
>>421-422
雛苺と翠星石が名無しのまま口論してた、とかそんな展開いれると面白いかも
それで二人とも「名無し嫌い」と言ってる…みたいな

>>423-424
原作の続き?
軽く泣いた…

426 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/23(火) 12:53:52 ID:nHj2xqXY
秋葉原イベント前夜篇

リビングにて真紅は放送時間前には必ずテレビの前を占領して、くんくんをチェックしている
ジュンが高校生になってからも毎日繰り返される何時もの日常だ
ジュンもくんくんに熱中している真紅を微笑ましいと思えるまで心が成長していた
「ジュン、明日くんくんの新しいDVDが発売されるの
初回版を買ってきなさい五分以内で」
やっぱり可愛くないとジュンは思った
しかし真紅の望みはたまには叶えてやらないと
また勝手にトンでもない物を注文しかねない
「そうだ!明日は秋葉原に行くから、ついでに買って来てやるよ
真紅お前も行くか?」
「嫌よ家来の貴方が買ってくればそれで済むでしょう」
真紅はテレビからジュンに視線すら移さずに
気丈高に言い放った
ジュンは少しムッとしたが、あることを思い出して
勝ち誇った顔で真紅に言った
「中の人が来ても?」
「中の人?」
「あ〜、つまり何だ、本物に会えるって事!
本物のくんくんに会えるって事!」
「!!!!!!?」
真紅は今日初めてジュンの方に顔を向けた
ジュンが言うには明日はDVDの発売のイベントで
購入者だけにトークショーとサイン会があるらしいが
くんくんに会えると聞いて
恍惚状態の真紅にジジュンの言葉など耳に入っていなかった!

(あぁ……明日はあこがれのくんくんに逢えるのだわ………)
まるで少女漫画の恋する乙女のような真紅
「お〜い真紅戻ってこ〜い!」
ジュンは真紅の視線を掌でサッサッサッサッと何度も遮る
真紅はその夜眠れなかった!
まるで遠足前夜夜の小学生の如く
アリスゲームですら真紅はこんなにも緊張しないだろう
「明日が愉しみなのだわ!」
結局真紅は一睡もできなかった!
こうして桜田家の夜は更けて行ったのであった


秋葉原ジャンクパーツ篇に続く!かも………?

427 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/23(火) 15:30:26 ID:WZkxlCXa
それは遠く未来のお話。

金糸雀の元に水銀燈が現れた。
突如ナイフのような羽根を撃ち放つ水銀燈に恐れ慄き、パニックのあまりにディスコードを乱射する金糸雀。
しかし、水銀燈の動きに本来の切れは無く、簡単にそれを食らってしまう。

訳が分からないまま、彼女の体から燐光を纏って現れたローザミスティカを体内に取り込んだ金糸雀は、全ての事情を知った。
錬金術によって作られたローザミスティカも、磁器のボディや内部の駆動機構の経年劣化を完全に止めることは出来なかったのだ。
既に発条が錆び始め、手足に目に見えないほどの微細なヒビが出始めたことで自身の「寿命」を知った水銀燈は、
せめて魂だけでも父ローゼンにまみえんと、その命を次代に託したのであった。

しかし金糸雀には、残り5体のドールを敵に回すのは荷が重すぎた。
人が変わったかのような猛攻で他のドールを追い詰めるも、決定打を叩き込むことは出来なかった。
そのうちに、金糸雀も体中に広がる重苦しさに、自分の死期が迫っていることを知らされた。
ついに金糸雀は翠星石に面会し、薔薇水晶と戦ったときの恩を理由にその命を託す意思を伝えた。
翠星石はこれを固辞したが、金糸雀が彼女の胸に倒れこんで悠久の眠りにつくと、受け入れないわけにはいかなかった。

翠星石は悩みに悩みぬいたが、とても真紅と雛苺、そして双子の妹たる蒼星石を手にかけることは出来なかった。
二人の姉をnのフィールドに「埋葬」すると、豊かな「老後」を送り、蒼星石にすべてを託して姉たちとともに眠りについた。

自らのものと合わせて4つのローザミスティカを手に入れた蒼星石だったが、
製作時期が翠星石と殆ど変わらない蒼星石もすぐに体の不調に気づいた。
勝ち目のないことを悟った蒼星石はアリスゲームを放棄することを決め、
真紅にすべての事情を打ち明けると、翠星石の隣に葬られることを望んだ。

428 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/23(火) 15:31:11 ID:WZkxlCXa
既に戦いに倦み疲れていた真紅も、もはや雛苺を倒そうとは思わなかった。
雛苺とともに豊かな時を過ごすと、一人nのフィールドに向かい、ホーリエにローザミスティカを託して雛苺の元へ運ばせ生涯を閉じた。

この時を待っていたのが雪華綺晶であった。
既に物質の限界を知った雪華綺晶はボディを求めるのを止め、ローザミスティカにょるアリスへの昇華にすべてを賭けることにしていた。
いずれ雛苺の寿命が近づいたころ、彼女をそそのかして甘い蜜だけを吸えばよい。
劣化速度が極端に遅い雪華綺晶にとって、待つのはなんら苦痛ではなかった。

ところが、事はそう上手くは運ばなかった。雛苺のボディも、他のドールより品質がやや良いというだけで劣化していることに違いは無く、
六つものローザミスティカを内包した途端、強烈な負荷が掛かった。
このままでは自壊する。焦った雪華綺晶は真紅の体を奪い鏡から抜け出すと、ローザミスティカごと雛苺を喰らった。

雪華綺晶がその口元を緩めた瞬間だった。
右手に蜘蛛の巣のようなヒビが入った。
鏡の中に逃げ込もうと踵を返すと、左足が外れた。
どう、と倒れこむと、腹が砕けた。
せめて上半身だけでも、と左腕を伸ばすと、かろうじて腿に引っかかっていたテンションゴムが外れ、全く動けなくなった。
器を失ったローザミスティカは四方八方に飛び散っていった。

ここに、アリスゲームは勝者なき幕切れを見たのである。

429 :秋葉原イベント前夜篇の続きっす:2007/01/23(火) 22:47:58 ID:nHj2xqXY
秋葉原到着篇

ここは世界に誇る電気街、秋葉原
近年は電気男のブームや大型家電量販店の相次ぐ出店により
日曜日ということもあってか裏通りまで通行人でごった返していた

ざわざわ…ざわざわ…
通行人がジュンを好奇の目で見ている…
「あの〜?すみません…写真撮ってもよろしいですか?」
見るからに観光客風のカップルが近いてカシャっと写真を撮っていった

(これで10組目だ……)
ジュンはため息をついた
ジュンの誤算は真紅が黙ってリュックに隠れるタマではなかったということ
ジュンは真紅を腕に抱えて中央通りを力無く歩いていた
「おい、おい!聞いてるのか真紅……!絶対に動くなよ………!」
「家来の癖に指図しないことね」
「なんだと〜〜〜!!誰のお陰でくんくんに逢えると!!!」
「ジュン、声が大きいわ」
(お、おい!あの人形趣味の男すげえな!)
(人形に話し掛けてるぜ!)
(すげぇ〜!)
(ママ〜あのお兄ちゃん変〜)
(し!見ちゃいけません!)
(でもあの人形も良く出来てるよな!いくらするんだ?)
「あの!RTVですけどインタビューお願いします!」
「ガルルルル!!!」
「ひぃ!」
ジュンは局の人間を威嚇して拒否する
「美しいものを撮ることはごく自然なことなのだわ」
真紅が口を開く
「真紅じゃなくて奴らは僕を馬鹿にしてるんだよ!」
「そうかしら」
今の姿を知り合いに見られたら死のう………
ジュンは本気でそう思った

と、目的地に向かう途中、ガラスショーケースに人だかりが出来ていた
「この人形すげえリアルじゃね?」
「かわいい〜!」
「このフィギアは萌え萌えっすよ!」
ギャラリーからはそのような会話が聞こえてきた
よく見るとショーケースの中に見慣れたドールが3体!
翠星石、雛苺、金糸雀に間違いなかった!
「ぶっ!あ、あいつらまさか着いて来ちゃったのか?」

ドナドナ篇に続く!……かも?


いつもいきあたりばったりで書き込みしてる
今は反省してる

430 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/23(火) 23:56:42 ID:nHj2xqXY
ドナドナ篇
ざわざわ…ざわざわ…
(ふふふですぅ…真紅ばかり注目されてたまるものか!ですぅ)
(もっと見て見て〜なの!)
(この中ではカナが一番かしら〜?)
ショーケースの三体のドール達は
悩ましいポーズをとっている

つもりらしい
が、
これはどう贔屓目に見ても盆踊りか暗黒太極拳の部類であった
そこへ一人の男がガラスに顔を密着させて
「ぐぶぶぶぶ……可愛い人形ちゃ〜ん!僕が今、買ってあげるからね〜?」
(ゲゲ!+ですぅ+なの〜+かしら〜?)
どうやら3人ともに同じ感想らしい
一応容易に買われないようにかなりの高額の値札を用意したつもりだったが
その『大きなおともだち』は、慣れた様子で店員を呼び
すでに商談を行っていた
店員のほうも
(こんな商品あったかな?)
と疑問に思ったものの男に押しきられた格好になってしまった
(ガクガクブルブル…)
三体は見た目は微動だにしていないが心の中では震えていた
まさにヘビに睨まれた蛙の状態
「う〜ん…どの娘にしようかな〜?」
(ひぃ!ですぅ!チビ苺のほうが美味しいそうだぞ!ですぅ!)
(金糸雀が良いと思うの〜〜!)
(もうズルしないから助けてかしら…)
「決めた!この金糸雀って娘にしよう!」
(ひぃぃぃうぅぅ!助けてなのかしら〜!)


その様子をジュンは茫然と眺めていたが
「心配いらないわ
人形好きな人に悪い人は居ないものなのだわ」
「そうか?」
ジュンの脳内ではドナドナがエンドレスで流れていた


くんくん登場篇に続きます

多分

431 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/24(水) 00:08:54 ID:SMyTRFD9
ワクワクテカテカ

432 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/24(水) 00:09:23 ID:IcKP1TTh
続いてもらわないと困るww

433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/24(水) 00:59:12 ID:UwKB1ryp
くんくん登場篇

「真紅、ここがイベント開場があるビルだよ」
秋葉原の中でも一際大きいそのビルの看板には
石バツ電気と書いてあった
「そそそう?それでは案内ななさい」
「真紅、声が震えてるぞ」
いつも通りに振る舞っているつもりらしいが
真紅の声は緊張で震えていた
「ま、まったく相変わらず無礼な家来なのだわ
案内なさいと言ったのが聞こえないの?」
真紅は頬を赤らめてジュンをたしなめた
「待った、その前にDVDを買わないとな」
「お、お買い上げありがとうございました〜…」
ジュンを見てひきつった笑顔をする店員からジュンはもう諦めの境地で
チケットを貰いイベント会場の6階へ向かった
(あぁ…いよいよ憧れのくんくんに逢えるのだわ…)
エレベーターの中で真紅は幸せの絶頂にあった

ざわざわ…ざわざわ…

会場に着くと人影もまだ少なく
時計を見ると開演まで一時間近くあった
「どうする真紅?ここで待つか?」
「そうね、紅茶もない所なのが不満なのだけど
ステージの前のこの場所が気に入ったし
待つことにしましょう」
心なしか真紅は疲れた表情をしているのにジュンは気が付いたが
初めての街で疲れたのだろうし真紅はどうせ強がるだろうとほうっておいた


そして時間

ジャーン!ジャーン!
大音量で会場内に音楽が鳴り響き…
『みなさま大変お待たせいたしました!
只今から名探偵くんくん監督及び出演者による
トークショーを開催致します!!』
パチパチパチパチパチパチ!!!!
うぉ〜〜〜と会場内に歓声が上がった

真紅はというと……




眠っていた………
「おい!真紅起きろ!くんくん始まったぞ!?楽しみにしていたんだろ!起きろ!」
真紅「……」
ジュンが平手打をしても起きる気配が無い

「はっ!そうだ!確かあいつ一睡もしてないって!」

果たして真紅はどうなるのであろうか?

完結編を待て!


また勢いで書いたっす

434 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/24(水) 01:39:01 ID:UwKB1ryp
完結編



『みなさまお忘れ物の無いよう
お足元にお気をつけてお帰り…』
真紅は結局起きないままイベントは終わってしまった
(やっぱり監督はすげーな!)
(ああ!声優達もこだわりがあるよな!)
ファン達は興奮冷め止まぬ様子でくんくん談義に花を咲かせていた
「真紅………」
ジュンは真紅を見ても不思議と怒りは沸いて来なかった
今回の主旨は中の人のトークショーだから
真紅が見てもつまらないと思うし逆に夢が壊れるかもしれない
ジュンがそう思っていると
「う、う〜ん……」
ようやく真紅が起きだした
「くんくん………は?」
「もう帰っちゃったよ……」
「………そう…」
真紅は怒らない
自分がかなり無理をして街を歩いていたのを自覚していたから
「真紅ごめん…僕がつれまわしたから
だからコレ……」
ジュンは真紅に何かを渡した
「これ…は?」
「サイン色紙だよ
僕がくんくんに頼んで書いて貰ったんだ
ほ、ほら!『真紅ちゃんへ』って書いてあるだろっ」
「まったく使えない家来ね」
真紅は色紙を胸に抱く
何だかくんくんの匂いがした気がした

「今日はなかなかに有意義な時間だったわ
帰りましょう」
「ああ!」

そして桜田家
「ただいま〜」
「のり、お腹が空いたわ早く食べさせてちょうだい」
「あら?翠星石ちゃん達は?」
ジュン&真紅「あ!?」

そのころ
閉店し暗くなったショーケースでは
「助けてですぅ〜!出られなくなったですぅ〜!
誰でもいいから翠星石を買いやがれ!
ですぅ…」
「うにゅ〜!お腹がすいたの〜!」



最後まで読んでくれた方乙です

435 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/24(水) 04:49:19 ID:FLZYtrjb ?PLT(11000)
一人ずつお膝に乗せて「○○好きだよ」って告白した

「…あらあらお馬鹿さぁ〜ん 誰に言ってると思ってるの〜? 今回だけは許してやってもいいわあ」
「そ、そんな作戦に引っかからないかしら〜 オ”、オーッホッホッホ」
「な、な 何言ってやがるですか このウスノロスケベ野郎! み、身の程を知っとけですぅ!」
「え マスター? その…え… あ、僕も…」
「…からかうのはよしなさい! そ、そうだわ 紅茶だわ 入れてきなさい!今すぐよ!」
「雛もだーいすきなの〜♪」
「…スキ」
「…スキ (食べるの) 」

皆かわいいなあ\(^o^)/

436 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/24(水) 07:43:49 ID:Bwwkl5qB
>>434
全米が泣いた

437 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/24(水) 21:37:06 ID:UwKB1ryp
機動人形メンデム篇

今日の真紅は何故かご機嫌ナナメだ
その理由は?というと
家来であるはずのこの少年が
私をそっちのけで作業をしているのだから

(まったく…何をそんなに熱中しているのかしら…)

「よ〜し!完成だ!」
真紅の不満をよそに黙々と作業をしていた桜田ジュンが
歓喜の声をあげた
よくみるとジュンは人形を作っていたようだ
しかし何かがおかしい……
真紅は一見して上手く言えないが
何かよくわからない違和感を感じとっていた
ジュンの横で愉しそうに
ジュンの作業を見ていた雛苺が声をあげた
「このお人形足が無いの〜!」
その瞬間ジュンはメガネをキラリ!と光らせ
待ってました!といわんばかりの顔で
「足なんて只の飾りです!
偉い人にはそれが解らんのであります!」

真紅はジュンと雛苺の言葉を聞いて
ようやく違和感の正体が解った

「ジャンク………」
真紅はジュンに強い口調で
「ジュン!早く足を付けてあげるのだわ!
その人形もそれを望んでいるハズなのだわ!」

ジュンは真紅に解ってないなぁ〜
と言わんばかりの表情を浮かべ
「それだとパーフェクトになっちゃうだろ!」
と声を荒げた
ジュンの人形に対する虐待(真紅にはそう映った)
に対し真紅も黙っていない
「ジュン!見損なったわ!
それに偉い人には解らないって、どういう事?
私にはその人形の哀しみがわかるのだわ!
人形は常に完璧を求めるものなのだもの」
真紅は声を震わせて言った
そのときの真紅の脳裏には水銀燈の姿が浮かんでいた

ようやくジュンは真紅が勘違いをしているのに気が付いて…
「コレは足が無いのが普通なの!」
ジュンからコレはこういう商品だという説明を
真紅が納得するまで3時間議論がなされたのだった

「これはいいものなの〜」

終わり
ガン○ム好きのかたスミマセンw

438 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/24(水) 22:20:06 ID:EFoXS0hh
次の日は腕が無い!と大騒ぎ


ビグザム

439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/24(水) 22:34:58 ID:UwKB1ryp
>>438
その発想はなかったですwww

440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/24(水) 23:16:31 ID:SMyTRFD9
>>434>>435>>437
GGGJ!!みんな可愛いなあ真紅の夢が壊れなくて良かったなあ




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