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機動創聖記ガンダムD

1 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 01:17:22 ID:???
時は聖暦0162年。
神の降臨によって人類間の戦争が終結して162年。
人類は神の加護の下に平穏な日々を享受していた。

そんな中、神罰執行機関「EDEN」の新型GUNDAM級MS、インフェルノガンダムが何者かによって強奪されたのだ。
機関所属の少年、少女たちは残された4機のガンダムで追跡を開始する。
「魔」の力を制御できるのは「聖」の力
-ディバインガンダム・セイクリッドガンダム・ホーリーガンダム・ヘヴンスガンダム-のみである。

永遠に続くと思われた楽園は、この事件によって終焉を迎え、
世界は再び戦乱の時代へと突き進むこととなるのである…

2 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 01:20:23 ID:???
2

3 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 01:20:26 ID:???
ぐぅぅッ・・・!!
なんだこのおぞましい波動はッ!?
まるで邪気が…


ハッ!!?
>>1、まさか貴様は!?

4 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 01:21:39 ID:???
ひゃはははは!この第九世界の覇王・凍月のシャスタールが綺麗にお掃除してやるよォ!

5 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 01:21:48 ID:???
ねえお父様、その楽園ではどんな恋が咲くの?

6 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 01:22:35 ID:???
良スレの予感w

7 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 01:29:18 ID:37mhDPZ7
ジムおらんの?

8 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 01:30:07 ID:???
結局は神様がラスボスなんだよな
ホーリーチェーンソーでとどめだ!

9 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 04:00:00 ID:???
聖暦0162年1月1日。
神の降臨、そして聖暦の始まりとともに鋳造され、毎年新年を迎えると共に
高らかに祝福を謳いあげるその大鐘はしかし、噴き上がる業炎の渦を前にして
ただ沈黙するばかりだった。
飴の如くひしゃげる鉄柱。沸騰し、干上がっていく水路。形あるものは全て
際限なく貪る奔火に呑まれ、後には一抹の灰と焼け焦げた匂いを残すだけだ。
荒れ狂う焔に容赦なく蹂躙される都市。
そして、焦熱の渦中、聳える漆黒の巨人。赤く染まる世界に立つ禍々しい鋼の巨躯は
まさしく地獄に君臨する魔王そのものだ。
かつては街を見下ろし、いまや傾き倒壊しつつある鐘塔に吊られた黄金色の大鐘は
悲嘆にくずおれるようにゆっくりと溶け落ちる。
だが、鐘の完全な消失を待つより早く、巨人は鐘塔にその腕を振り下ろす。
地を揺るがす凄絶な轟音はいまだ衰えぬ焦嵐にかき消され、
動くもののなくなった世界で、鋼の巨人は天へ向けて鋭い咆哮を放った。
「ソレ」は、いかに人に似せようとも機械じかけの人形でしかない筈だ。
しかし空を震わせるその軋んだ絶叫は紛れもなく感情を、猛り狂う憎悪を宿していた。
神が創った世界への。
神を礼賛せし人々への。
そして、己を生み出した神への。

聖暦0162年。1月1日。第十三都市「オラトリオ」壊滅。
この年は神を讃える祝福の鐘ではなく、
黒き鋼の巨人・MS「インフェルノ」が放つ呪詛の叫びと共にはじまったのだった。

10 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 05:16:32 ID:???
少年達に聞いてみた。
「あんまりアリョーシャはごく平均な三級市民の少女だった。
辺境エリア育ちのご多分に漏れず、彼女は生まれてから一度も都市部にも行ったことがないし、
敬虔な神教徒の両親から説話や賛歌の類は山ほど聞かされて、
都市生活の詳細については教えられておらず、
勿論、主に都市エリアで活動する治安維持部隊・執行機関も、
機関が扱うというMSに関する知識もない。

だから、少女には本物の天使のように思えたのだ。
蒼天より舞い来たり、今、音もなく草原に降り立つ純白のその機体が。
丘を覆う大木がまるでちっぽけに見えるほどの巨身。
曲線で構成された鎧にも似た外装が、華奢な基本体型の各所を柔らかく包んで、
優美でいて力強いシルエットを成している。


天使の姿に見蕩れていたアリョーシャは、
開いた天使の腹部から這い出てきた人物に気づくのが少し遅れた。
(人が…乗ってるの?)
地に下りた人影はそこからよろよろと二、三歩進んだかと思うと
いきなり草むらに突っ伏した。

少女は少し戸惑い、次いで医を決して駆け寄っていく。
そうして恐る恐る寝転がった人間の顔を覗き見る。
「ん…」
中性的な容姿。陽光を受けて輝く淡い金色の髪。
色素の薄い肌に映える鳶色の瞳。
あどけない顔立ちはまだ少年といっていい。
そんな少年にアリョーシャはおずおずと尋ねる。
「貴方、天使様?」
少年はきょとんとした顔つきになったあと、破顔一笑、そのまま地べたに笑い転げる。
「はははっ…!こいつはひどい勘違いだっ…」
ひとしきり笑った後、
「そうか…MSなんてみたことないよな。…良いよな、平和でさ。
君はさ、こいつが怖くなかったの?」
「お花、踏まなかったもの」
少女は機械の足元を指し示す。
咲き乱れる彼女だけが知っている慎ましやかな花園だった。
「意識はしてなかったけど…都市じゃ、花は貴重品だからかな…キミはこの辺の娘?
この近くに村があるの?」
「キミ、じゃなくて、私はアリョーシャよ。貴方名前は?」
少年は少し考え、
「ううんそうだな…ツバメって呼んでくれ」
「燕…?変なの」
「で、アリョーシャ、頼みたいんだけれどさ。何か食べられるもんない?」
少年の、まぬけな腹の音は少女の笑みを誘い、次いで二人の笑い声が草原に響くのだった。

少これがツバメと名乗る少年と彼女との出会いだった。

11 :訂正。:2007/01/17(水) 05:18:16 ID:???
「あんまりアリョーシャはごく平均な三級市民の少女だった。
辺境エリア育ちのご多分に漏れず、彼女は生まれてから一度も都市部にも行ったことがないし、
敬虔な神教徒の両親から説話や賛歌の類は山ほど聞かされて、
都市生活の詳細については教えられておらず、
勿論、主に都市エリアで活動する治安維持部隊・執行機関も、
機関が扱うというMSに関する知識もない。

だから、少女には本物の天使のように思えたのだ。
蒼天より舞い来たり、今、音もなく草原に降り立つ純白のその機体が。
丘を覆う大木がまるでちっぽけに見えるほどの巨身。
曲線で構成された鎧にも似た外装が、華奢な基本体型の各所を柔らかく包んで、
優美でいて力強いシルエットを成している。


天使の姿に見蕩れていたアリョーシャは、
開いた天使の腹部から這い出てきた人物に気づくのが少し遅れた。
(人が…乗ってるの?)
地に下りた人影はそこからよろよろと二、三歩進んだかと思うと
いきなり草むらに突っ伏した。

少女は少し戸惑い、次いで医を決して駆け寄っていく。
そうして恐る恐る寝転がった人間の顔を覗き見る。
「ん…」
中性的な容姿。陽光を受けて輝く淡い金色の髪。
色素の薄い肌に映える鳶色の瞳。
あどけない顔立ちはまだ少年といっていい。
そんな少年にアリョーシャはおずおずと尋ねる。
「貴方、天使様?」
少年はきょとんとした顔つきになったあと、破顔一笑、そのまま地べたに笑い転げる。
「はははっ…!こいつはひどい勘違いだっ…」
ひとしきり笑った後、
「そうか…MSなんてみたことないよな。…良いよな、平和でさ。
君はさ、こいつが怖くなかったの?」
「お花、踏まなかったもの」
少女は機械の足元を指し示す。
咲き乱れる彼女だけが知っている慎ましやかな花園だった。
「意識はしてなかったけど…都市じゃ、花は貴重品だからかな…キミはこの辺の娘?
この近くに村があるの?」
「キミ、じゃなくて、私はアリョーシャよ。貴方名前は?」
少年は少し考え、
「ううんそうだな…ツバメって呼んでくれ」
「燕…?変なの」
「でさ、アリョーシャ、頼みたいんだけれどさ。何か食べられるもんない?」
少年の、まぬけな腹の音は少女の笑みを誘い、次いで二人の笑い声が草原に響くのだった。

これがツバメと名乗る少年と彼女との出会いだった

12 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 05:51:51 ID:???
三日が過ぎた。
ツバメは機体を近場の森林に隠して、そこで生活している。
アリョーシャは親の目を盗み折を見ては食料を持っていく。
といっても少女が密かに持ち出せる量などたかが知れており、その分頻繁に
通う事になるのだが、彼女にはむしろ有難かった。
ツバメは色々なことを知っていて話すのが楽しい。都市の生活・技術・風俗…
彼女にとってそれらはきらびやかな別世界の御伽噺だった。けれど彼女はそんな話を
する時決まってツバメの目に宿る翳りを見逃さなかった。
(この人の事をもっと知りたい)
しかし、何処から来たのか?何をしているのか?MSを何故持っているのか?
ツバメははぐらかすばかりで肝心な事はなにも語らない。彼女は次第に不満を
募らせていった。

彼女は仕方なく村の少年達に聞いてみた。あの美しい機械、MSのことだ
「親父にはあんまり話すなって言われてるんだけどな…」
実際は誰かに吹聴したくて仕方ないらしい。
人型の巨大兵装。天を駈け地を裂く、恐ろしい力を発揮する兵器…。
どの話も彼女の知るMS、あの天使のような機体とは重ならない。
「そんなもの何に使うの?」
「決まってるだろ。悪いやつらをやっつけるんだよ」
「例えば?」
「…悪い奴は悪い奴さ」

彼女は思った。あんなに美しく神々しいモノが相手にしなければならない「敵」
とは一体何なのだろうと。ツバメも「敵」と戦う為にあれにのっているんだろうか?



13 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 07:25:41 ID:???
そしてその日がやって来た。
ツバメの元から帰ってくるなりアリョーシャは部屋に閉じ込められた。
普段は温厚な父に頬を叩かれて。
どのくらい時間がたったろうか。泣きつかれて眠った彼女の耳に声が聞こえきた。
扉越しに断片的な話し声が耳に入る。村人達が集まって話をしているらしい。
「…まさかこの村に…あんなものが」
「…中央から部隊を派遣したと…今頃は…」
「とんだ疫病神が舞い込んだもんだ…」
「…もう始末はついているさ…」
彼女ははっきりと悟った。
(ツバメの事だ…!)
後を尾けられていたのかもしれない。
或いはMSの話を聞いて回った少年達の誰かが大人にいいつけたのかもしれない。
だとしたら、全ては彼女の責任だ。
アリョーシャの小柄な身体は狭い窓枠を何とかすり抜けられた。少女は夜道を
懸命に駆け抜ける。
何故ツバメが狙われなければならないのか?
あの白い機体こそは「敵」を逐う天使なのではないか?
(分からないけど…行かなくっちゃ…!)
アリョーシャは見た。はじまりの草原に立つツバメと純白の愛機、
そしてそれを取り囲む機械人形の群れを。はじめてみるこれらの機械人形は
みな一様に同じ姿形でのっぺりとした顔立ちをしている。その様は天使というより
さながらヘルメットを被った兵隊だ。
何も分からずに何も考えられずに、彼女はただ叫ぶ。
「ツバメ!」
振り向くツバメは出会った時と同じ笑顔で、
「巻き込んじまってすまない。ここから一刻も早く離れるんだ、アリョーシャ」
さよならを告げていた。
耳を劈く「兵隊」の集団銃撃。
地に降り注ぐ銃弾が土をめくり、草叢に火を放つ。
ツバメを腹部に収めた機体は、「兵隊」の銃火をものともせずに立ち上がる。
そして、
「は!不完全とはいえ、GM如きが何機群がったって…こいつを」
純白の機体は、
「止められるかっ…!」
変貌を開始する。


14 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 07:27:17 ID:???
指先から生じた黒のあわいが全身を覆い、徐々に穢れ一つない白を全き漆黒に染めていく。
崇高ささえ感じられた顔には亀裂にも似たラインが走り、両眼は沈んだ朱色に濁る。
優美な曲線状フォルムの下からたち現れる狂気じみた鮮血のような鋭角。
立ち上る劫火の如き両翼が開く。

純白から漆黒へ。
神の徒たる天使ではなく、神に牙を剥く異形の悪魔。
MS「インフェルノ」。獄炎の名を冠しあらゆるものを灰に帰す殲滅兵器。
悪魔は軽やかに獲物に飛び掛っていった。
腕を捥がれ、腹を割かれ、頭を潰され、
成す術もなくあしらわれ、薙ぎ払われ、叩き伏せられる「GM」と呼ばれるMS達。
少女の眼前で行われるそれは戦闘ではなく虐殺だった。
圧倒的な暴力。
炎の輪に舞い狂う黒き鋼の怪物。
今こそ彼女はMSの本質を理解した。
そして、その力を生み出した神の、
その力を必要とする世界の、
その力に蹂躙される人々の抱える地獄を。


「GM」を破壊しつくした「インフェルノ」は音もなく空に飛び立ち、その姿は夜明けの
曇天に消えていく。

焦土と化した草原にとり残されたのは、霞む虚空を一心にみつめる少女と、
その足元には焼け残った彼女の花園。

15 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 09:12:29 ID:???
職人だw
いいぞ頑張れw

16 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 12:26:21 ID:???
>魔王そのものだ。

まで読んだ

17 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 12:29:03 ID:???
神は自らのことしか考えない

18 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 16:40:08 ID:???
面白いね。続きカモン。

19 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 16:58:56 ID:???
一基数千万人を収容する最大級都市ユニットの無数に連ねた威容。
全天を覆う幾つもの防護幕は都市を常に淡い光で照らし出す。
神都。神住まうこの地に闇夜は訪れない。

そして中央部に聳え立つ天を突く垂方体。
闇を逐い間を滅ぼす聖霊の群れ。神罰執行機関「EDEN」本部である。

無機質な声が淡々と報告を読み上げる。
「「D」捕獲の為に先日エリア第弐十一区画に派遣されたGM十五機、消息を絶ちました。恐らくは「D」に
撃墜された模様」
「予想はついていたけれどな。功を焦った誰かさんの独断でやったことだし」
足のない白亜の長椅子座す少年は不適な笑みを浮かべている。
裾の長い制服をだらしなく着こなし片膝を立てて座り込む不遜なその格好は、
不思議と様になっている。
白い制服から覗く褐色の肌。獅子の鬣にも似た長髪は華美な装飾を施した髪留めで束ねられている。
世界に数機しかないGUNDAM型MS「ディバイン」の搭乗資格者、「ヒーリィ・イル」その人である。
少年のかたわらで苦虫を噛み潰したような顔をしている男が一人。
「…この失態、埋め合わせは必ずするとも」
男は搾り出すようにそれだけ言うと、そそくさとその場を立ち去った。
ヒーリィは男を見送った後、酷薄な微笑で毒づく。
「…次が、ありゃね」



20 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 18:12:10 ID:???
ガルガリン級戦艦「ヤフキエル」。全長数km超、
独立居住区はおろか小規模ながら各種生産ユニットまで兼ね備える
姿はまさしく移動要塞と呼ぶに相応しい。

「まったく…」
少女、ミディ・オンツは艦内通路を急ぐ。
「着替えくらいはさせて欲しいよねえ…」
ただでさえ人目につく容姿だというのに、体の曲線がはっきり出るパイロットスーツ
にジャケットを一枚羽織っただけの姿とあっては、すれ違う人間の…特に異性の…
目を惹くことしきりだ。
なにしろ暴徒鎮圧から帰ってきたばかりで出頭を命じられたのである。
大体、本来なら彼女の出動は予定されておらず、保安部「ADAM」の馬鹿が
勝手にをGMを別件で動かしたため急遽お呼びがかかったという訳だ。
その作戦も無様な失敗を遂げたという。普段から目障りな「ADAM」の失態は
喜ばしいが、尻拭いはごめんこうむる。
「汗、におわないといいんだけどな」
彼女は窮屈なヘルメットから解放された豊かな赤毛を掻き分けた。

「ディミ・オンツ、入ります」
鷹揚に迎え入れた上司は彼女を気遣って椅子を勧める。
「君に「D」捕獲の任が下りた。至急神徒に戻り追撃隊に合流するようとの事だ」
「…すぐにでありますか?」
「ああ…じゃ出立は二時間後ってことでいい」

青天を走る虹の矢が一つ。
巨大な冠を模したリアクターより五色の燐光が空に舞い散り機体を柔らかく包む。
法衣に身を包んだ白銀の乙女、GUNDAM級「ホーリー」。
全MS中最も速く、美しく空を翔けると云われるその機体の主はコクピットで叫ぶ。
「ううっ…お布団恋しいよおー!」

21 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 20:12:24 ID:???
ダネル・アラクシェは本部の廊下を所在なげに歩いていた。
GUNDAM級MS「セイクリッド」の搭乗者である。とはいえ正式の任命を受けたのはつい先日のこと。
襟首を正してもなんとなく様にならない。
機関特有の丈の長い制服にまだ馴染めずにいる様子はまるで余所行きの服を着せられた子供のようだ。

個室の扉を開くと上官が立っていた。
「よう、ダネル」
「話って?何さ賭けごとならもう乗らないぜ」
「はっ、顔に出すぎなんだよお前の場合…そうじゃなくてさ」
直属する上官は彼と殆ど年が変わらないこともあってか、二人だけの時は
ごく気安くものをいう間柄だ。
格式ばった機関にある少年達のちょっとした息抜きなのだろう。
「ダネル喜べ。「D」、「インフェルノ」追撃の許可が下りたらしい」
途端に、ダネルの脳裏に蘇るあの光景。忌むべき強奪劇、炎の邂逅を。

その日、第四開発支部の実験棟では
新型G級MS「インフェルノ」の起動試験が行われていた。
ダネルは島を丸ごと一個の開発施設に作り変えたこの開発支部に配属されていた。
要するに技術役の下っ端である。
だから、「EDEN」より監視任務に赴いた機関員とMS「セイクリッド」を仰ぎ見て
なんともいえない気持ちに襲われたものだ。
白金鎧にちりばめられた瑠璃色。対の大剣を背に負う勇壮なる白き英雄。
少年の決して手に届かない憧れを凝縮したその姿。
ダネルは幾度となく機体を眺めては、ため息をつき、その度に上司から
手が止まっていると怒鳴られるのだった。
(「インフェルノ」もああいう機体になるんだよな…)
他方、ダネルは同じG級、同じ白い機体でありながら「インフェルノ」には憧憬を
覚えなかった。
(何が違うんだろ?まだ、完成してないからかな?)

事件は突然起こった。
施設全域での停電現象。明かりのなくなった島に響く爆音。
目覚めれば蛇炎がうねる地獄の闇。人型の炭灰。鼻を突く煙の臭い。
生ける者のない灼熱の苦界。

そしてこの世界で唯一つの動くモノ。MS「インフェルノ」

機体の随所より伸びる配線が生き物のようにうねうねと踊っている。
島全体のエネルギーを吸い上げている。
白色だった機体色は昏闇を映すが如く黒く、黒く…
「インフェルノ」は耳朶を圧する叫喚と焔の渦を巻き上げ誕生の歓喜に打ち震える。
無数に伸びたへその緒をひきちぎり、悪魔は産声を上げたのだった。


22 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 20:35:59 ID:???
朦朧とした意識でダネルは無心に床に伏した「セイクリッド」に駆け寄っていく。
傍らにはセイクリッドの搭乗者は一塊の墨となって転がっていた。
彼を見下ろすように佇む「インフェルノ」。
突如として押さえがたい怒りに突き動かされた彼は反射的に主を失ったセイクリッドのコクピットに乗り込む。
ダネルとて一通りの操縦位は心得ている。
Gクラスといえど基本的な操縦は汎用MSと何ら変わりはない。
視覚統合モニター展開。
制御用マルチデバイス起動。
システム・イン。
だが、たった一つだけ決定的な違いがある。
GUNDAM級は各々固有の霊性震動を有しており同調できる者にしか搭乗を許さない。
そうでないものには、
「ううああああっ!!」
霊質レベルでの破壊作用を及ぼす。全身を駆け巡る魂さえ砕くほどの苦痛。
遠のく意識、薄れゆく視界。
(…「インフェルノ」めっ)
だが、眼前にたつ悪魔への全てを理不尽に無慈悲に奪い去ったモノへの
怒りが彼を呼び覚ます。
「オレを…」
絶え間ない痛みの奔流の中、ダネルは必死に操縦桿を握り締める。
「オレを選べっ…セイクリッド」
その瞬間、奇跡は起きた。
嘘のように痛みが引いていく。
肉体の隅々まで機体と繋がっていくのが感じられる。
霊従制御機構発動。
我が肉は鋼。
極粒子振動装甲・フレームと連動開始。
我が骨は装甲。
第一神級兵装「セイクリッド・ブレイド」制限解除。
我が魂は必殺の刃。
「インフェルノ」の前に敢然と立ち塞がる白き鋼鉄。
彼は「セイクリッド」に選ばれたのだ。
「いや…ちがうオレは選ばれたんじゃない…選んだんだ」
蹂躙よりは抵抗を。屈従よりは戦いを。

地獄を生み出すモノ共との果て無き戦いの道を。



23 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 20:36:00 ID:???
wktk

24 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 20:43:22 ID:???
これはいいwww
ぶっちぎったセンスだwwwwwwwww

25 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 20:44:05 ID:???
職人さん=>>1

26 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 20:45:44 ID:???
文がなかなか上手い。物語としても面白そう。期待してます。

27 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 21:00:31 ID:???
>>25
違えっす。
面白半分でやった。今は、少し反省している。

28 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 21:06:07 ID:???
>>27
そうか、乙だ
続けてくれw

29 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 22:30:08 ID:???
闇を裂き大地を割る光の大瀑布。
音速に達する勢いで振り下ろされる、光に瞬く大剣は
しかし「インフェルノ」の胸元を掠め地に大きな傷跡を残すにとどまる。
「ちっ外したっ…!?」
「セイクリッド」が二の太刀を放つより速く、
飛び上った「インフェルノ」は身の丈を上回る紅翼を広げ、無明の天を背負う。
ダネルが身構える間もあらばこそ、「インフェルノ」の胸甲が開き、
次の瞬間「セイクリッド」目がけて巨大な火柱が襲い掛かる。
それは今までの貪婪だが無秩序な炎とは違う明確な指向性、獲物に喰らいつく意志を
秘めた灼熱の蛇龍といえた。音速の刃も猛然と迫る炎蛇の勢いを止める事は敵わない。
あえなく白の機体は瞬く間に巻きつかれ劫火に呑まれていく。
「ぐうううっ…!!」
分子振動の制御によってあらゆる攻撃エネルギーを無効化する極粒子装甲とて
限界はある。このまま業熱に曝され続ければ臨界点を越え呆気なく破砕するだろう。
惜しむらくは搭乗したてのダネルには「セイクリッド」が有する豊富な中距離用兵器を
使いこなせない事だ。
熾烈な機体ダメージはコクピット中にまで及んでいる。
「ふざっけんな…こんなトコで、こんなコトで死ねるかっ…!」
「セイクリッドッ!!」
ダネルの気迫に純白の機体は応える。
突然炎の輪が乱れた。「セイクリッド」は急激な加速をかけ、炎の波を泳ぎ空を駆け上がる。

「インフェルノ」が捉えるのは眼前、焔の激流より出でる黄金の騎士。
極限環境下での適応性と対応能力を限界まで追求したこそがMS「セイクリッド」の真価なのだ。
高熱を吸収し金色へと変わった機体はほんの一瞬にせよ焦熱に耐え、今や「インフェルノ」の咽元にまで迫る。
「セイクリッド」の光刃が「インフェルノ」を捉える寸前、拳を割り突き出た
「インフェルノ」の爪が間一髪で防ぐ。

両機は鍔迫り合いの形になった。


30 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 23:12:44 ID:???
俺ガンダム登場させたい流れ

31 :1:2007/01/17(水) 23:37:06 ID:???
キーワード

インフェルノ
プロジェクト・ノア
レビヤタン、ベヒモス(新型GUNDAM級MS)

32 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 00:36:50 ID:???
その時。
ダネルの耳は少年の声を捉えた。
「セイクリッドを駆る者よ!お前は何の為に戦う?」
(この声「インフェルノ」から…人が…乗っている?)
MSに搭乗者がいるなど考えてみれば当たり前の話だ。ただ、しゃにむに
「セイクリッド」を操っていた彼にはそこまで考えている余裕がなかったのだろう。
だが今や、ダネルの「インフェルノ」に抱いていた激しくはあるが漠然とした怒りが、
搭乗者という具体的な存在を得て明確な敵意へと変わっていく。
「貴様ぁっ、そこから降りろおっ!ぶん殴ってやるっっ!」
「なんだ、まだガキじゃないか」
「貴様だって!MSはなあこんな事をする為にあるんじゃないだろっ」
「ふん…ならば何のために在るというんだ?神敵を罰するためか?
神はな、人間なんかになんら興味を持っちゃいないぜ。
罪だの罰だの装ったところでMSは単なる破壊兵器に過ぎないのさ」
「そんなこと俺が知るか!けどな、お前が殺した人たちはみんなみんな
好きな仕事があって、好きなもんがあって、恋人がいて、家族がいて…
そうやって過ごしていくこれからが、未来があったんだよ!」
「誰が与えた未来だと思っている!!…何を奪って手に入れた未来だっ!!」
それまで皮肉めかしていた「インフェルノ」のパイロットは突然、激昂し、声
を張り上げる。「インフェルノ」は「セイクリッド」を力任せに振り払った。
機体越しに伝わる凄まじい怒りの鼓動。
パイロットに呼応する様に「インフェルノ」が哭いている。
先程まで歓喜の声と聞こえたその叫びは、今のダネルには悲嘆と痛苦の入り混じる慟哭に聞こえる。
「ふざけんなよっ…お前は皆を殺したんだぞ…オレからかけがえないの人達を奪ったんだぞっ」
理解したくない。理解してはならない。
悲痛な嘶きを振るきるように「セイクリッド」は悪魔の肩口に刃を突きたてる。
「インフェルノ」はよけようともしなかった。
貫かれる装甲。飛び散る循環剤、破砕する粒子体、そして、其処から吹き上がる
無限の火炎流。
「なっ…!」
「セイクリッド」吹き飛ばす程の勢いで吹き上がる火炎は更に肥大化し、
黒い機体をとり巻き円を作り、球を成しやがて小太陽ともいえる程の濃密な火球を容どる。

疲弊の激しいダネルと「セイクリッド」では何処かへと去っていく魔獣をとめる事は出来なかった。
「くそッ…」
「インフェルノ」の姿は消えていた。
ダネルはゆらめく炎を見据えている。炎の先に映る、地獄を作り出し自らも地獄に悶えるモノ達の姿を。
瞳の奥に焼きついた火は決して消える事はないだろう。彼を、あの地獄を止めない限り。

聖暦0161。10・12日
これが後に「インフェルノ・ハザード」として知られる一連の事件の幕開けであり、
そしてダネル・アラクシェが己の運命と出会った時だった。 




33 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 00:38:43 ID:???

…あの日以来「インフェルノ」は二つの大都市帯とガルガリン級戦艦二隻タルシス級一個艦隊を苦もなく
沈めている。その力は日増しに強大に成っているかのようだ。
「あの時のオレとは違うんだ。今度こそオレのセイクリッドで仕留めてやる」
「それが、な」
詳細を伝えられたダネルの驚きは尤もだった。
「GUNDAM全機で出撃だって…!?」
Gクラス全機をもってあたる任など過去に類例がないことくらい新人のダネルとて承知済みだ。
Gクラスは元々神都の守護を主目的に作られたMSだ。それ故各地区への派遣される事はあるが
必ず1機以上は神都に残るようになっている。
この永年の不文律を破ってまで「D」追撃にあたろうというのだ。
機関にとってこの任務がどれほど重要なものかは想像に難くない。
「「インフェルノ」、それ程のものなのか…」
或いは。
(この件にはオレには分からない何かが潜んでいるのか…?)
「インフェルノ」を駆る少年。彼は何かを知っている様にみえた。
ダネルはそこでそれ以上考えるのを止めた。
今は「インフェルノ」をとめる事に専念すべきだ。
余計な事に気をとられていてはあの狂獣には到底歯が立つまい。

「誰が与えた未来だと思っている?」

あの言葉も今は忘れよう。
彼を倒す。
それこそが自分に課せられた唯一の使命なのだから。

34 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 00:39:34 ID:???
ひといきついたんで跡は適当にお願いしますわ。

35 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 00:49:37 ID:???
>>34

あんたのファンになりそうだw

36 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 04:57:49 ID:???
神話の時代の物語か…カノッサに嗅ぎつけられる前に回収しておかなければな…

37 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 05:24:12 ID:???
神は遍在する。
遍く場に。
遍く刻に。
全ての地平に。全ての事象に。
虚空の天に。草満ちる大地に。星辰の煌きに。燃え盛る太陽の中心に。
失われた過去に。約束された未来の果てに。
神は世界であり、世界は神である。

しかし。
唯一つ、永久普遍たる神でさえ望みえないものがあった。

神は孤独だったのだ。


-------
「EDEN」本部内に存在する「エリドの庭」。
神都を中心に地球の7割を占める超国家共同体「真世界」に於いて楽園と呼ぶのに最も相応しい場所だった。
四季を問わず咲き乱れる花々。
鳥のさえずりと小川のせせらぎ、風に揺れる木々の葉音だけが響く空間。
慎重に管理された閉鎖生態系。
「EDEN」にこのような場所が存在する事は一般の構成員はおろか上級幹部にすら知られていない。
更にいえば足を踏み入れるのを許されるのは組織の三角錐の上辺に位置するほんの十数名者だけだ。

花園に少女は一人、風のそよぎを受けて腰まで伸びた長髪を揺らす。透き通るような白い肌。白い髪。
長い睫の下から覗く瞳は雲一つない空を映したかのような澄み切った蒼。
肢体に重ねられた一枚の白長衣は背に受けた陽光に光彩の縁取りを帯びる。

「また見ているのかね、ルエビ?」
少女の後ろには杖をもった初老の男性がいつの間にか立っていた。
「いらしていたのならもっと早く声をかけてくださればいいのに…」
ルエビと呼ばれた少女は拗ねたようにいう。先ほどまでの超俗した雰囲気は影を潜め、
代わって表れるのは年相応の無邪気な明るさだ。
「一寸、見蕩れていてね」
そいって目を細める男は、皺の数よりも老け込んでみえる。
老いているのは身体ではなく心、それは大きすぎる試練に押し潰された人間の顔だった。
セイファー・ジェラルド。「EDEN」の総帥である。



38 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 05:39:45 ID:???

--------
旧暦。前世紀100年代。
量子空間を利用する新世代通信技術の開発は思わぬ余禄をもたらした。
まさに天啓と呼ぶほかない、正真正銘の奇蹟。
超光速を実現する量子空間の地平にて人類は神と交信したのだ。
より正確にいうならこの空間そのものがいわば神そのものだった。
人々はこの次元にアクセスする事で神と交感し革新的な新技術の数々を手に入れ、
それらは人類に発展をいや、生物史に刻まれるような「進化」を齎しつつあった。
これが世界変革の序章、やがて到来する「真世界」の胚胎期である。
前世紀40年代。
いまだ国家間の争いに終始する世界を神意によって治めるために結成された組織があった。
対立する国家群を纏め上げ、量子空間の地平から現世に神を降臨させる。
受肉機関「EDEN」。
後の神罰執行機関「EDEN」である。





39 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 05:42:20 ID:???

-----------
「もう話は聞いているね?」
「ええ、「D」のことでしょう?」
神秘的な雰囲気を称える少女、ルエビ・アンフィルエンナ。彼女もまたG級の搭乗者だった。
EDEN最高位の称号「ヘブンス」の名を継ぐGUNDAM級MS。
白を基調にしたG系列のデザインにあって一際異彩を放つののがこの機体だ。
なにしろ機体全てが白なのだから。
淡雪を重ねたような法衣は軟性の極粒子形成により常にさわさわと波立っている。
十二枚の展開翼の内六枚が体を包むように畳まれており、
またこれらの翼は発振器、ジェネレイターを兼ねていて華奢な外観とは裏腹な大出力を誇る。
外装が余剰エネルギーの排出性能に優れた軟性の極粒子形成なのはこれが理由である。
顔立ちが搭乗者たるルエビをどことなく感じさせる。
無垢なる永遠の白。祝福の処女像。神都を守護する女神こそMS「ヘブンス」なのだ。

穏やかな世界では時間は瞬く間に過ぎていく。
「私はもういくよ。例の計画も詰めの時期に入っているからな」
「ねえ、ジェラルド」
透き通った両の瞳がジェラルドに向けられる。
「ノアは、何も知らない人々を見捨てて心を痛めなかったのかしら」
「彼等は知らなかったんじゃない。ただ信じなかったのさ」
「では、当然の報いだと信じていたと?」
「…止むを得ない決断だったんだろう」
ジェラルドはそれきり口をつぐむ。
「…我々もまた、選択の余地はないんだ」
そう。箱舟に乗り込める人間は少ない。
選別の時間が始まろうとしていた。

ジェラルドは去り際にぽそりと呟く。
「ソフィアの娘よ、愚かな私を赦してくれ…」
しばしの間の後、少女は一人、誰にともなく呟く。
「…ええ。我が父ジェラルド、赦しますとも。生まれてからずっと私はそうしてきたんだから。
…けれどもやっぱり、貴方には聞こえないのね」
少女は、自分自身を赦す事が出来ない哀れな男を想い、寂しく微笑むのだった。



40 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 07:08:28 ID:???
ルエビは土と草の匂いに満ちた空気を深く吸い込む。
この場所に来られるのはこれが最期だ。
彼女はこれから待ち受ける出会いと自らの死に思いを馳せる。

まだみぬ仲間達。
ヒーリィ・イル。MS「ディバイン」の搭乗者。
何よりも己を愛し、それゆえに己を取り巻くもの全てをこよなく愛す少年。
誰よりも人間である事を愉しみ、人間であることを貫く者。

ディミ・オンツ。MS「ホーリー」の搭乗者。誰よりも他者を慈しみ、
自身も他者への愛によって強くなる少女。
裏切られるが故に信じ、ついには箱舟を導く者。

ダネル・アラクシェ。MS「セイクリッド」の搭乗者。
誰よりも純粋さを失わず、正義を求め、正義を成し、正義を捨てる少年。
後に「楽園の破壊者」として歴史にその名を刻む者。

そして私の死、MS「インフェルノ」を駆る少年。
半身を失った哀しみに灼かれる者。神を憎むが故に神に近づく者。
世界を傷つけ、世界を毀し、世界を救う者。

聖暦0162年 2・19日。
神都に終結した4機のGは「インフェルノ」討伐の任に出立した。
タルシス級戦艦が三隻付随する大所帯である。
神の威光に眩く輝く白銀の御使い達。
地平線は遥か彼方。
運命を見通す少女と運命を背負う仲間達の、最初で最期の旅が今、始まったのだった。


41 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 15:33:26 ID:E8Hqc48B
何これ?
と思ったけど、読んでみたら意外とおもすれーww

42 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 16:36:03 ID:???
邪気ガンダム

43 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 17:26:28 ID:???
板違い

44 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 19:58:59 ID:???
…好き勝手やりすぎたかな…w

45 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 20:03:42 ID:4Q/SU9+L
良スレage

46 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 20:10:15 ID:???
ダブルフェイクスレじゃないのか…

47 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 20:15:33 ID:???
UC以外のいろんな世界にガンダムが存在してるんだから、こういう世界でもいいよね

48 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 21:05:43 ID:???
以外と良スレだなここ

49 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 00:46:19 ID:???
もうガンダムじゃなくてもいいなwwww

50 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 04:53:07 ID:???
聖なるかな。
永久の眠りにつく廃都震わせる祝福の組鐘。
聖なるかな。
曇天を断ち割って大地を照らす天使の光輪。
聖なるかな。
天を征き地を翔ける鋼の御使い達。
神の威光を冠に抱き、福音を羽ばたきにのせ舞い踊る穢れなき白銀の輪舞。
魔を砕き邪を灼き悪うち滅ぼす善能なる断罪兵装。



51 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 04:55:28 ID:???
第9区画エリア・「ぺネルV」。
二つの大都市エリアの周縁部に位置するこの一帯は今もなお旧時代の面影を色濃く残す。
タルシス級艦隊の放出する局所結界膜「エンジェル・ハイロウ」は
標的を逃がさず、同時に強大過ぎるG達の破壊力から周辺環境を守る役割も果たす。
筆頭鑑「アレオパギタ」に搭載された指向型霊性発振機「マグナカリオン」の
文字通り魂にまでも届く振動波は並の魔性であれば消し散じてしまう程強力だ。

だが、何よりも威力を振るうのはやはり4体の聖霊機「GUNDAM」である。

一呼吸で三撃。斬り払う敵はその二乗。
敵は圧倒的な速度で繰り出される剣撃に阻まれ「セイクリッド」のそばに近寄る事さえ出来ない。
にもかかわらず、ダネルは戸惑っていた。
「こんな数…見たことないぞ」
「怖かったらさ、下がってていいんだぜ、ダネル!」
「蟲にびびるかよ!丁度いい訓練さっ」
(しっかし…なんだな)
ダネルにはああいったが、ヒーリィにしてもこの大群は異常に思えた。
邪霊蟲「バグ」。鈍色の甲殻の側面に沿って突き出た牙で獲物を襲う機械虫だ。
不良化した環境維持用マイクロユニットが変態したもので
放って置けば施設や人を襲う事もあり厄介だが、実際、大した相手ではない。
だが、目の前のそれは質も量も並の蟲どもとは桁違いだ。蠢く銀灰色の地面。
個々のサイズも通常の倍近くあり耐振能力も一際だ。
これではタルシス艦からの援護掃撃も焼け石に水だ。
「ま、文句いってもはじまらねえわな…っと!」
ヒィール駆る機体「ディバイン」が奔る。
白地に金の装飾が施された重厚なフォルムは他のGよりシャープな印象を欠くが
むしろその無骨さが力強さと安定感を見る者に感じさせる。背部より排出される金色の余剰波によって
機体は常に太陽に照らされているかのように薄く輝き、その姿は神意によって君臨する地上の王たる貫禄を醸し出す。
「ディバイン」は大ぶりな六角形のハンマーを振り下ろす。
巻き起こる砂塵。
十二基もの独立式発振器を用いた圧倒的なエネルギーが生み出す膨大な圧力に
耐え切れるモノなどそうそうない。一撃必殺、厳格なる審判を下す裁きの鉄槌。
「あー効率わりー」
しかし、大多数を相手にするにはあまり向いた武器ではない。
(いい機会だし、ここは他の連中のお手並み拝見といくか)


52 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 05:00:07 ID:???
「しつっこいんだよっ!」
空中からの急降下。「セイクリッド」は双剣を蟲の一群に叩きつける。放射状に散らばる光の微粒子と共に
蟲たちはあえなく砕け散る。と、突然、ダネルの視界が無数の影で埋まった。
地中に潜んでいたバグの強襲である。
「なろっ!」
油断しすぎたのか大きな隙を作った「セイクリッド」は腰までバグの渦に埋まり、なおも蟲たちは
機体を這い上がりながら鋭く伸びた牙で痛めつける。
「くそっ」
焦るダネルの耳に飛び込んできたのはミディの声。
「そこ!遊んでないの!」
同時に開始される遥か後方より「ホーリー」の援護射撃。
「ゴスペル・クワィア!」
飛散した無数の羽根は互いに連結し、変型し、人形体となって獲物を切り裂いてく。
群がるバグを前に即座に分離した羽根は角錐を形成し、轟然と直進する螺旋の渦となって縦横無尽に蟲を貫いていく。
変幻自在の遠隔型兵器。「ホーリー」の特殊神級兵装「ホーリー・ビット」が蟲の河を渡り「セイクリッド」の戒めを解き放つ。。
「闇雲に突っ込むだけじゃ的か囮にしかならないって。もっと頭を使わないとボケるの早いよ?新人くん」
「…分かってるよさ、その位っ!」
癪に障るいいようだがミディの言い分も尤もだ。
現役G級搭乗者として最も多くの任務をこなしたという彼女には、Gに乗り込んでまだ日が浅いダネルは
危なっかしくみえるに違いない。お節介じみた忠告にしろ、それを裏付ける経験と実力は十分ある。
「そっちこそなんだってそんなに距離とってるんだよ。連携取りづらいだろ」
「虫、駄目なの。キライ」
「……あそう」
だが緊張感がない。

53 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 05:00:56 ID:??? ?2BP(0)
(´・ω・`)

54 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 08:08:55 ID:???
板違い

55 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 16:59:33 ID:???
なんとなく昔ボンボンでやってた騎士ガンダムシリーズを思い出した。

面白いと思うよ。

56 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 17:28:39 ID:???
ってか>>1的にはどうなん?

57 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 00:50:33 ID:???
リアル頭身でガンダムのいない騎兵伝説でおk?

58 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 10:25:24 ID:???
職人さんセンスあるな
おもろい

59 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 19:42:21 ID:???
デモンベイン小説版を読んでる気分だ。

60 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 20:05:32 ID:/hwQJKha
この邪気、只者ではない…
き、貴様…さてはカノッサの者だな…

61 :52続き:2007/01/21(日) 00:25:49 ID:???
ヒィールの回線が割り込む。
「丁度いいやミディ、ここらに精査かけてくれないか」
「先刻調査済みだけど」
「いいから、今度はさっきの千分の一単位で頼む。蟲どもの動き方が気に入らない」
同じG搭乗者とはいえ彼女よりも一等級上の地位にあり、G乗りで一番階級の高いヒィールが
実質の戦導隊長だ。彼女に否やのあろう筈がない。
「えぇ、これって地味ーに疲れるんだけどな…いわれりゃやりますけどねー、私って
こう都合いい女扱いされてる気がするなー、姫様とは偉い違いよねーそもそもさー…」
文句は大いにあるらしいが。
「ホーリー」の「ビット」は十六基。四基づつ重なり合って空を舞う白い花弁を四枚作り出す。
花房は対を組んでくるくると旋回を重ねて戦場に大きな円を幾重にも描く。同時に、両端の花弁を繋ぐように生じる
薄赤色の走査線も、合わせてくるくるとめまぐるしく空間を寸断していく。
場に縦横に張り巡らされた走査光はミディの神経網に等しい。線の集合は面に、面の集合は朱色の半球へ。
一帯の僅かな空気の震えから細胞単位の変動、そして万物の真象、霊性に至るまでの膨大な情報像を
彼女の知覚は分解し、拡大し、精査し、評価し、把握する。
「やっぱり先刻と変わらな…いや、待って!」
空間全体に広がった彼女の「眼」は大群に澱む異形の渦の中点、綾なす根源の影を捉えた。
「何かが在る…いって!」
ビットは主の意に従い瞬く間に射撃形態へ移行、蟲群の一点を正確に射抜く。
それを目印に、
「ダネル、合わせろよっ!」
「ああ!」
「ディバイン」の胸部小光径砲。
両鞘から放つ「セイクリッド」の輻射振動波。
指し示された点目がけての両機の同時斉射は爆砕とともに朽ちかけた古都の一角を消し飛ばし、
地盤に巨大な虚を穿った。
瓦解する旧世紀の遺物、粉塵に散る過ぎし日の夢。


62 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/21(日) 00:30:58 ID:???
そして、辺りに膨らむ土煙の世界で、悪夢は静かに滲み出でる。
「黒い…蟲か…?」
「…違う」
ダネルには既にそれが何なのか分かっていた。
激しい瘴気につれて湧きあがるのは自然の理に反する漆黒の焔。
燃え盛る黒柱に魅入られた蟲の群れは一斉に身を投じてゆく。
融け爆ぜる機械蟲。形を失った鋼肉は蠢く細胞となって火中を激しく這い回る。
ねとつく細胞は劫火に合わせて踊り、融け、精製され、ついには一つの巨塊と変じる。

灼熱巻く永久の闇。

ミディはおぞましさに言葉も発せないでいる。
ヒーリィの上ずった声。独自の軽快な口調はそこにはない。
「これが…そうなのか」
異常蟲群の元凶。
ダネルは、不意に気づいた浅い呼吸と、四肢を重く拘束するプレッシャーはいつからのものだろうと考えていた。
戦闘中か、出撃前か。いや、恐らくはこの地に着いた時点から。
異常な緊迫感は、初陣への不安によるものなどではなく、この遭遇を予期していたからではないか?
なおもさわさわと揺れる幾つもの肉襞が織り上げる巨人の姿。
「間違いないよ…こいつは」
そうだ。彼が見間違えるはずがない。始まりのあの刻よりダネルの目に宿り、いまなお燻り続ける煉獄の業火。

「…インフェルノ…」

MS「インフェルノ」。
災禍たる黒獣の異形が其処にあった。


63 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/21(日) 00:55:36 ID:???
(・∀・)イイヨイイヨー

64 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/21(日) 01:04:11 ID:???
あれ?
何か面白いんだけど

65 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/21(日) 01:16:09 ID:???
>>鳥山 コクーンの外側には、パルスという名の下界があります。
    パルスはモンスターの脅威にさらされている危険な世界。
    まずパルスがあって、たとえば人間がそんな世界で暮らす場合、
    どういう環境が人間にとって適切なのかをクリスタルが考えて作り出した空間がコクーンなんです。

>>鳥山 外なる異物に影響を受けたコクーンの人々は、"聖府"によって隔離されてしまいます。

>>田畑 最初は、誰が敵なのかわかりません。ただ、外界からの侵略は確実に始まっていて、
    世界の均衡が崩れ始めている。
    生徒たちは、敵についていっさい知らされないまま戦い始めることになります。
    なぜその正体が明かされないのか、敵は何者なのかは、物語が進むにつれ明かされていきます。

ttp://www.famitsu.com/interview/article/2007/01/19/668,1169202900,65883,0,0.html


聖府…これもらおうぜw

66 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/21(日) 01:37:35 ID:???
善処しまつ。明日はお休みー。

67 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/23(火) 00:20:27 ID:???
age

68 :天唱・1:2007/01/23(火) 02:10:40 ID:???
戦闘終了より数刻後。

タルシス艦・MS区画内。
機体の自己点検を終え居住ブロックへの通路を歩くミディとヒーリィの二人。
「しかし、予想外に長引いたなー」
「誰かさんがさぼってなきゃもっと楽にいったかもね。他人は目一杯働かせるくせに」
「あちゃ、バレバレすか」
「当然でしょ?コノンでの大立ち回りは「EDEN」中に響いてましてよ?コンジシさん」
「ソレやめてくれ…最低だその呼び名考えたやつ…」

「金輪の獅子」。先年、反聖府組織が起した都市ユニット一つを盾に取ったMS暴動を
たった一機で鎮圧した折に賜ったふたつ名だ。
もっとも彼曰く「前線から離れた所に位置取って、適当にサボってたら、包囲の穴目がけて
突破かけてきた敵本隊がそこに雪崩れ込んできたので焦った」らしいが。
勿論、ヒーリィ特有の韜晦だろうが、本人をよく知る者ほど冗談とは聞こえなくなるのが困った所だった。
「あぁ、みたかったのにな、世界一のMS「ディバイン」の本気をさ」
皮肉まじりでも半分以上は彼女の本音だろう。同じG乗りとしては気になるに違いない。
機体特性と直属組織の性質上の理由から、派遣任務に就く割合は彼女の「ホーリー」の方が多いが、
こと内容の面では「ディバイン」の活躍に遠く及ばない。
Gの「EDEN」管轄とはいえ、それぞれの所属は異なる。
都市ユニットを管理・統括する行政体・太教院「エダー」が「ホーリー」。
立法を司る・至法院「カハール」が「ディバイン」。
諜報機関・神智院「コヘレト」が「セイクリッド」。
その三つを束ね神意に則り統帥する「七十一議会」が「ヘヴンス」を受け持つ。
実際にGを運用するのは「EDEN」だがその際にはいずれかの該当する組織の裁可を得ての活動という形をとる。
つまり、最強戦力たるG級MSを四つの組織が分有する事で実質的な軍事機関である
「EDEN」の手綱を握っている訳だ。
G級の通称「四面のセラフ」もこうした理由による(そうした事情を鑑みれば
各組織の域を越えての今回のG揃い踏みがどれだけ異例な事かも分かるだろう)。
よって、各G級MSの運用方法は所属する組織の方針に影響を受ける面がある。
例えば「議会」に直属する「ヘブンス」は聖府の中枢たる神都防衛に重きを置いたGであり、
また種々式典や祭式にも用いられる「真世界」の象徴ともいえる役割を担う。
そして、対照的なのが「ディバイン」だ。
一般に至法院が「ディバイン」の運用を許可するのは事態に、
真世界の秩序を崩壊させる程の脅威の可能性が認められた場合だけである。
大規模な反乱。凶悪な魔性によるユニット各域の侵犯。内乱の摘発…
いわば世界にとって最大級の危機にこそ、主の代行者たる威信をかけて
「ディバイン」は用いられる。
故に「ディバイン」は、最も苛烈な戦場を潜り抜けてきた「EDEN」の筆頭機といっていい。
いうなれば「真世界」の神聖を顕す象徴が「ヘブンス」なのだとしたら 「真世界」の武力を顕す象徴こそが「ディバイン」なのである。
となれば乗り手であるヒーリィがインフェルノ追撃作戦の実質的な指揮を執るのも至極当然の流れではある。




69 :天唱・2:2007/01/23(火) 02:17:10 ID:???
「…まあいいじゃないか。代わりにもっと珍しいものが拝めただろ?」
「それは、そうだけどね…」
世界で最も有名で、かつ最も謎に包まれたMS。「ヘブンス」。
歴史上、神都が攻撃を受けた事は無い。よって神都防衛を目的として作られたG級も
時代を経るにつれて他の任務に就く事が増えていった訳だが、ただ一機「ヘブンス」だけは
相変わらず神都の防衛を第一義として神都から離れる事はなかった。
結果として真世界の象徴たるMSとして広く巷間に認知されていながら、
その力を示す機会はただの一度たりとて無かったのだ。

その、未知の機体の性能の一端を、彼等は先の戦闘で垣間みることになった。

「で、感想は?」
彼の反応を伺うミディを前に彼は様々な形容句を頭の中で並べ立てて、結局諦める。
「…ますます謎が深まったよ」

透過性の壁窓越しに、遥か後方の地面、残骸の景観に聳える
五色に波立つ繭をみやって肩をすくめた。





70 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/23(火) 19:19:50 ID:???
正直おもしろいw

71 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/23(火) 19:51:04 ID:???
ここまで徹底してくれると、正直アリだと思えてしまうから困る

72 :天唱/3:2007/01/24(水) 00:22:54 ID:???
----------

「ダネル、待てっ!」
猛る感情溢れるままにダネルは機体を目前の悪魔に突っ込ませる。
神速の一閃が横薙ぎに黒の肉形を絶つ。
が、
「手応えがない…?」
分かたれた悪魔の身体はすぐさま繋ぎあい復元する。
乗機の手元を確認してだネルはようやく異変を察知した。
刃に染みた黒い影は瞬く間に輝きを貪り尽くし、
「セイクリッド・ブレイド」の刀身は腐食したようにボロボロと形を失っていく。
「落ち着いて視てみろ。そいつはインフェルノの「影」だ」
ダネルはモニタに各種フィルタリングを呼び出し異形を凝視した。
蟲たちの鋼襞の下には、目標には霊質の核を確認出来ない。
振動機関反応、粒子遊体反応、その他あらゆる物理的実在を示す特徴、
いずれもなし。
つまりは、
「純霊体ってことなのか…けど、こいつは…!」
「どうやら纏った瘴気をここに脱ぎ捨てていったらしいな…まるで蛹だぜ」
具顕化するほどの霊性。あまりに高濃度の真黒の残像。
一体、どれ程のエネルギーがそんな事を可能にするというのか。
「ホント、臭ってきそうな位の霊性の塊って訳ね。面倒くさいもの残してくれちゃって」
ミディの言葉通り、これは相当に厄介な代物だ。
これ程の質量を備えた魔霊を根絶するには、恐らくは相当の時間を要する。
かといってこのまま放置を続ければ、濃密な魔の穢れはバグのように辺りの生態を果てなく侵す。
立ち尽くす一行に回線から男の声が聞こえた来た。
「聞こえるかね、ヒーリィ戦導主長?」
タルシス艦同乗員ケイルブ・マーラー、ADAMから派遣された作戦の参謀役だ。
細く爬虫類めいた目と耳障りな甲高い声が人に冷徹な悪印象を与える、
更にいえば内実も外見を裏切らない男だ。それなりに有能とはいえ、
このような男が重用されているのも保安部が嫌われる一因かもしれない。

「こちらでも状況は確認した。私としては禁弾の使用を提案するが」



73 :天唱/4:2007/01/24(水) 00:28:50 ID:???
地上最強の聖導兵装・Gを操り、真世界においてあらゆる軍事活動を許された
「EDEN」にあっても禁忌とされる兵器は存在する。
それらは強大な破壊力故に物体の霊質そのものまで破壊し、
後には亡者の怨嗟で埋め尽くされた死の大地を生み出してしまう。

膨大な光熱で悉くを塵に帰す「ヴレヴェイルの鏡」。
物質を微粒子状態にまで還元する嵐を巻き起こす「カディンの月翅」
そして「禁弾」。

極小の閉鎖空間で聖性の霊子崩壊を促し破壊力を得るという発想からして神の御心に叛いた兵器。
その上使用された霊質は変質を遂げ全ての霊性を破壊する反霊子と化し、
爆発と共に地に降り注ぐ。後に残るのは霊魂さえ沈黙する死の世界だけだ。
俗称「堕天兵器」の名は決して大げさなものではない。
毒をもって毒を制する、聖と浄をもって秩序なす真世界にあっては忌み嫌われた存在、
それが「禁弾」なのだ。

タルシス艦に搭載を許された禁弾は破壊範囲をごく小規模に絞った威力の低いタイプだが、
それでも場の変質は免れ得まい。
「待てよ。そんな事をしたら…」
「ああ。ここらは百年はつかいものになるまいよ」
ケイルブは平然と、むしろやや愉しげに話続ける。
「幸いにしてこの地区は都市外だ、実害は無きに等しい。それに本部からの承認も既に得ていることだ」
「許可が出てりゃ何でもやっていいってのか!?」
なおも食い下がるダネルとは違い、隊を率いるヒーリィとしては渋々ながらも同意せざるを得ない。




74 :天唱/5:2007/01/24(水) 00:31:25 ID:???
「気は進まないが…止むを得んかね」
「待てよヒーリィ、なにも禁弾なんか使わなくったってこんなものGの力でどうとでもなるさ」
「やろうとすれば、出来ない事はないさ。けどな、それにどのくらい時間がかかる?」
「だけど…」
「ディバイン」が「セイクリッド」に向けて光弾を発射する。
「!」
放たれた弾は「セイクリッド」の頬を掠めて、インフェルノの幻身を焼き払う。
しかし、飛散した肉持つ影は緩やかに寄り集まって、再び元の形に戻るだけだ。
「お前がいってるのは…錆鉄を磨き上げて綺麗な鏡にするようなことだ。
俺達が相手にしなけりゃならないのは影じゃなくインフェルノ自身だろうが。
だからといって放っても置けない。隣接する都市部にだって厄災が広がりかねないからな。
ダネル、これが一番ベストに近いやり方なんだよ」
「…近くには棄民もいるんだぞ!」
都市ユニットの外縁部には都市からうち捨てられた流民の集落がユニット外周を伝うように点在している。
「そういやお前は外の出だったよな…同情する気持ちは分かるがなダネル、ここらでよく心に留めておけ。
俺達は「EDEN」の執行者、神の剣であり、真世界の砦にして、神民の盾だ。
Gに乗る以上、お前は万民の命に対して義務と責任があるんだよ」
「その万民に全ての人間は含まれないのか!?」
「出来りゃあやってる!」
「…ちょっとお、止めてよね、戦場でいい合いなんてさ!」
二人ともミディの仲裁などに耳も貸そうとしない。意見は平行線を辿ったままだ。

不意に、沈黙を破る涼やかな音曲にも似た少女の声が二人の耳に届いた。
「あの、ちょっと、いいですか?」
「ルエビ…さん?」
「ルエビ嬢?」
「もしよろしければ私に任せていただけませんか?」






75 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 00:31:59 ID:???
リアルタイムでキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!

76 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 13:36:40 ID:???
何この中二病なスレ、と思ったらかなりの良スレだw
応援してます

77 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 18:44:09 ID:wZnW3AjJ
いま流行の邪気眼系ってやつかw
意外と面白いw

78 :天唱/6:2007/01/24(水) 21:43:33 ID:???
生まれてから一度たりとも神都から出る事の無かった彼女は、
外の世界の空気が肌に合わなかったらしくここ数日体調を崩し臥せっていた。
おかげで今回の出撃は見合わせていたのだが。

戦艦のデッキ上で、「ヘブンス」は身に倍する六枚の大羽を広げる。

天に描かれる光の輪を背に舞い降りる「ヘブンス」。
「ホーリー」を、華美な鎧装束を纏った天翔ける戦乙女に喩えるなら、
「ヘブンス」はたおやかに白の羽衣をはためかせる天空に舞う姫巫女と形容すべきだろう。

天に円輪を描くを背に「ヘブンス」合わせて光輪が収縮を始めた。
「輪を、拝借しますね」
水面に垂らした白乳が尾を引いて水底に染み落ちるように、天を覆う白光の輪は溶け落ちて、「ヘブンス」の元に垂れる一本の帯となる。輝く乳白色の尾を引きながら、聖処女は六枚の翼を緩やかにうち震わせる。
発振機関の平行振動を促す羽ばたきに同調して極光の白地に刻まれる文様の連なり。
連なる文様は、一本の帯となって天を泳ぐ。
「これは…詠唱律を詠んでるのか?」
ダネルが驚くのも無理は無い。
詠唱律。仮象領域に聖句を「詠み込む」ことで霊性に干渉し
物理的反応を促す技術の総称であるが、もはや時代遅れの技術といっていい。
聖歴150年代には固有律を圧縮搭載する事で詠唱を省いての効速化を可能にした、
いわゆる振動型武装にとって代わられており、今ではMSの起動式に使われる程度だ。
だが、目の前で展開されるそれは普通のものとは明らかに異なる。
なにせ、「ヘブンス」の羽ばたきが生起する詠唱紋は仮象領域を飛び越して物質域に
直接刻まれているのだから。
驚くべき発現速度で紡がれる聖句の紐帯は黒炎の魔物の周囲を
優しく幾重にも舞い包み極光の格子を構成する。
「あんな結界で瘴気を閉じ込める気かよ…」
練成された光壁は確かに美しくはあるが、元はタルシス艦の障壁光輪である。
封印も束の間、強力な瘴気は直に結界を溶かし穿つだろう。



79 :天唱/7:2007/01/24(水) 21:44:53 ID:???
しかし、真の驚異はここからだった。

「ヘブンス」が詠う。

本体部、女神像は物理的実在でありながら
霊性にまで届き入る音振動を紡いでいく。

音は韻を。韻は句を。、
句は、詩へ。詩は、唄へ。
唄律は重なり合い響き合い、清らなる聖唱の輪舞で格子を満たす。

MSの中で最高度の振動耐性を備えるGですらが、
結界から漏れ出る音響振動だけで機体を圧迫される程の霊質量。
「インフェルノ」の霊性を尽きせぬ灼熱とすれば
「ヘブンス」の霊性はいわば霊質の凍結。
無尽の噴炎をも静める凍てつくほどの清浄に、
純白の籠を充溢する唄は光の粒を弾く。
凝固した霊質の結晶がキラキラと風を映して格子の淵を跳ね、
いつしか縒り合わされた銀糸を紡いでいく。
巡る銀糸が織り上げる膜は、わだつ境界を無色に染める。
淡い煌きが織り成すそこはもう真白の領域。銀箔の繭。

それは、ヒーリィですら戦場である事を忘れるほどの幻想的な光景だったが、
彼は真に驚くべき事象を見誤る程間抜けではない。
繭の内側で起こっている超高密の霊性相克を。

白色の絵の具はほんの数滴の黒色で無惨に汚される。
反対に同量の白色を加えても黒は依然として黒のままだ。
泥水に同量の純水を注いだところで濁りは消えない。
だが、注がれるのが数百倍、数千倍なら?
「ヘブンス」が行っているのはまさにそのような所業だ。
汚泥の山を大河の奔流がさらうように、
「インフェルノ」の残した濃密な魔をさらに凌駕する膨大な聖流で分解していく。
聖成の無垢。
そこにはどんな細緻な技巧も介在していない、圧倒的な聖のみが成しうる純正の奇蹟があった。

穢れを祓い邪気を鎮める。癒し、清め、総てを守る為に在る機体。
「ヘブンス」の断罪はかくも慈愛に満ち溢れている。

「これが…神都を守護する機体…」
他のGパイロットはおろか、艦に乗船する誰しもが目前に広がる光景を前にして
言葉もなくただ立ち尽くすことしか出来なかった。




80 :天唱/8:2007/01/24(水) 21:45:49 ID:???
衆目の見守る嗣業の最中、ルエビは異形よりこもれ出る記憶の残滓に触れていた。

紅蓮の檻にひざまづく少年の姿。
鮮血の血溜りの中、骸をかき抱く煉獄。
復讐では軽過ぎる。憎しみでは脆過ぎる。
絶望では届かない。怒りでは及ばない。
容どる言葉など存在しない。ただ赤黒く滾る紅蓮によってのみ示されるこの衝動。
見開かれた両の眼が映すのは、灰と広がる神世界。

瞬きとともに去る白日夢、彼女の前には極光にさざめく繭の沈黙があるだけ。

------------
ヒーリィは繭から、艦内に収められた「ヘブンス」に視線を移す。
「…聖霊なんていわれてるG級だが、MSはMS、所詮は機械だ。どんなに現実離れした性能を誇ろうともそこには貫徹した理論と限界がある。けれども「ヘブンス」は、とてもMSの範疇に収まる代物にはみえない。あれは、まるで…」
神徒たる身にはその先を口にするのは憚られる。
「インフェルノも、そういう相手なのかな」
「ぞっとしないね。そうでない事を祈るばかりだ」
「それにしても、せっかくG勢ぞろいでの作戦だってのにまずお互いの探りあいじゃね」
同じG搭乗者とはいっても立場も境遇も違いすぎる4人だ。この先うまくやっていけるかどうか不安が残る。
「んー?俺でよければ、なんだって教えますよっと、」
ミディは肩に回された腕を引っぱたく。
「その手の台詞は他の娘にしときなさいな。操舵士の彼女、こっち睨んでるよ」
「…嘘だろ?」
「かっこいいとこみせてくれたら、考えたげるよ、コンジシさん」
彼が振り返った時には、彼女は既に後ろ手をふって歩き去った後だった。
「…それはやめろっつうのに」

81 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 22:58:43 ID:???
そろそろGUNDAM5機のイラストが投下されてもいい頃だろう

82 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 23:14:19 ID:???
冷やかしのつもりで覗いただけなのに、気付いたら読みふけっちまってたぜ
作者なかなかやるな

83 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 23:16:26 ID:???
これ、そのうちリバイバルみたいな壮大なプロジェクトになったりしてw

84 :通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 23:24:21 ID:???
ガンダムじゃなくても良いじゃん

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